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【cinema】『余命1ヶ月の花嫁』(試写会)

2009-04-30 00:20:08 | cinema
'09.04.24 『余命1ヶ月の花嫁』(試写会)@ニッショーホール

yaplogで当選。正直に言うと、闘病を描いた実話ベースの作品はあまり積極的に見たいとは思わない。もちろん全然、否定するつもりはない。でも、どうしてもドキュメンタリーのようになってしまう気がする。そして何より見ていて辛いから。でも、試写会に応募したのは乳ガンのことを知りたかったから。そして瑛太くんが出ていたから(笑)

「イベント・コンパニオンの千恵は、イベント会場で広告代理店に勤める太郎と知り合う。太郎から交際を申し込まれるも、戸惑う千恵。結局、付き合い始めた2人は太郎のマンションで同棲を始める。千恵の父親にも会い順調。幸せな時を過ごしていた。そんな時、千恵が乳ガンであることが分かるが…」という話。これは悲しい。案の定号泣。映画の主人公でもある長島千恵さんは24歳の若さでこの世を去っている。その事実を知っている以上、これは冷静に映画として見れないので、感想を書くのがとっても難しい。

テレビで放送されたドキュメンタリーを見たbaruによると、とっても忠実に映画化されているらしいので、別のイベントに出る千恵さんが、間違えて太郎さんのイベント会場に来てしまったというのもホントなんだろうか? だとしたら、運命の出会いってあるんだなと思ってしまう。それくらい2人の関係がいい。もちろん、多少脚色している部分はあるとは思うけれど、お互いがお互いを思いやる姿がホントに素敵で、そういう相手との出会いが、千恵さんの短すぎる人生にあったことが、心からよかったと思ったし、見ていて救いだった。そして、正直うらやましかった。もちろん、恋愛の部分だけを見て、今こうして生きている自分がうらやましいなんて、バチが当たるけれど…。でも、数年前に辛い経験した身としては、病床にあっても結婚したいと思われるというのは、女性として素直にうらやましい。それだけ千恵さんが素敵な女性だったのだと思う。

太郎さんと出会った直後、千恵さんは乳ガンであることを告げられる。このシーンはなし。お母様をやはりガンで亡くしている千恵さんは、ガンと闘うことの意味をよく理解している。だから、太郎さんには何も告げなかった。何も告げずに楽しく幸せな時を過ごしていたのは、太郎さんを騙しているようで辛かっただろうとは思うけれど、そうしなければいられなかったのだと思う。それは太郎さんを愛していたからだし、そうしていなければ不安でいられなかったからだろうし、何より自分が1番幸せだったからだと思う。太郎さんに病気の事が知られてしまった日、彼に別れを告げるシーンでは、セリフ以上にそういう言葉にならない気持ちが伝わってきた。

乳房の切除手術を受けた後、屋久島へ向かう千恵。このエピソード自体は映画オリジナルだそうだけど、女性として乳房を失うという悲しみを癒すシーンとしては、屋久島の神秘的な自然は効果的。もちろん、簡単に整理のつくことではないので、本人としては辛いだろうと思うけれど、見ている側は癒される場面。食堂のオバちゃんとの何気ない会話に、癒されつつも涙…。病気になってしまうと屋久島の縄文杉を見に行くことが出来なくなるってことは想像できるけれど、こういう何気ない会話をするという日常も失うってことなんだと改めて理解。そして、ここで千恵と太郎は改めて絆を取り戻す。

そして、再発。千恵さん以外のお父さん、叔母さん、そして太郎さんに余命が告げられる。ここからはずっと病室での闘病生活ということになる。その辺りきちんと描かれているし、千恵さん役の榮倉奈々も頑張っていたけれど、映画としては彼女が苦しんでいる姿そのものよりも、千恵さんと太郎さんの関係を描くことに比重を置いているため、そんなに悲痛なものではない。でも、辛さはきちんと伝わってくる。太郎さんは病室に泊まり込み闘病を支える。自分が苦しんでいる姿を見せたくないという人もいると思うけど、千恵さんには逆に辛い姿は見せまいという励みになっていたように見えた。それは、千恵さんが友人達と焼肉に出かけて留守の時、千恵さんのお父さんの貞士さんが絞り出すように太郎さんに言う「ありがとう」に表れている。このシーンは泣けた。

そして"花嫁"のシーン。ここが最大の見せ場だけど、正直そんなにグッと来なかった…。何でだろう? 女性に生まれたからには1度は憧れる花嫁姿。写真だけでも撮らせてあげようと、太郎さんとお友達が企画、サプライズも用意してあって、幸せそうな笑顔に心からよかったと思ったのだけど…。それよりもむしろ、会場である教会に向かう車の窓から、久しぶりに見る外の景色を愛おしそうに眺める姿の方が切なかった。見ている側も千恵さん本人も、この何気ない風景をもう彼女が見ることはないことを知っているから。

キャストは実在の人物を上手く演じていたと思う。この映画のもとになったドキュメンタリーは見ていないので、キャスト達がご本人に似ているのかは不明だけど、少なくともベタな感じにはなっていなかった。上手く言えないけど…。父親役の柄本明はさすがの存在感。突然、娘が連れてきた彼氏に戸惑いながらも不器用に受け入れる姿がいい。そして何より「ありがとう」のシーンが素晴らしい。お父さんが登場した瞬間から、この人は最愛の妻と娘をガンで失ってしまうのかと思うと切なかった。柄本明のお父さんは、決して饒舌ではないし、感情をあまり表す人ではないけれど、この「ありがとう」の瞬間に溢れ出た悲しみに心打たれた。

瑛太くんはやっぱり上手い。本当の太郎さんのことは分からないけれど、誤解を恐れずに書くと、この役かなり少女マンガのヒーロー的なタイプなのです。彼女が末期ガンであるということがなかったら、かなり照れてしまうようなセリフが多い。あれ何て言うのか分からないけど、キャッチボールのようなことをしながら「千恵のお父さんに会いたいな~」って言ったりとか。だけど、きっと女性だったら言われたいし、言ってほしい。そういうセリフが自然に入ってきたのは瑛太くんの演技のおかげ。女性目線で見れば、結婚式をしてくれる彼より、お父さんといい関係を築ける彼の方が素敵。そういう部分も自然で良かった。何となく日本人が演じると照れてしまう、幸せいっぱいの恋愛時代の演技も良かった。またこんな恋愛したいと思ったし(笑)

榮倉奈々はちゃんと演技しているところ初めて見たけど、よかったんじゃないかと思う。かなり病状が進行した段階で、体を起こしたりする時に、若干動きが早いのは気になったけれど、その辺りも頑張っているけど、自分が思っているより早く動いてしまっているのかもしれない。三味線の師範の資格があるらしいけれど、千恵さんのお父さん貞士さんは実は三味線の師匠。2人で三味線を弾くシーンは印象的。ラストのビデオレターのシーンはすごくよかった。悲しくて号泣。

乳ガンの発症率は年々上がっている。乳ガンは唯一自分で発見でき、早期発見できれば命が助かる可能性が高い。千恵さんも実は胸のしこりに気づいていたのに放置してしまっていたため、手遅れとなってしまった。ネットなどでも情報が少なかったこともあり、もっと若い人達に乳ガンの事を知って欲しいとドキュメンタリーの取材に応じたとのことだった。このドキュメンタリーが映画になったわけだけど、乳ガンそのものについてはそんなに語られていない。でも"死"についてすごく考えさせられた。人は誰でもいずれ死ぬ。頭では分かっているけど、普段あまり意識していない。もちろん千恵さんもそうだった。だけど、死は急にやって来ることもある。そういうのが伝わってきた。

前半の2人の恋愛シーンをキラキラに描いたことで、2人の運命の苛酷さがより伝わったし、その運命に立ち向かう絆の強さもすんなり入ってきた。毎日チャリ通している身としては、夜中の激走シーンは「迷惑だな(笑)」と思いつつ、楽しい雰囲気が伝わってきた。実際は迷惑だけど(笑)ドキュメンタリー放送、書籍化、映画化と進み、千恵さんやの経歴や、太郎さんや、お友達たちに関していろいろ言われているようだけど、特別ご本人達を擁護するつもりはないし、全部本当だったとしても、個人的には非難するような事でもないように思う。仮に、美化している部分があったとしても映画としてはありだと思う。ただ千恵さん本人が残した言葉がきちんと伝わればいいんだと思う。

みなさんに明日が来ることは奇跡です。
それを知っているだけで、日常は幸せなことだらけで溢れています。


映画を見た後では、かなり重いけれど、しっかり心に刻んで頑張っていこうと思った。
心から、千恵さんのご冥福をお祈りします。


『余命1ヶ月の花嫁』Official site

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【cinema / DVD】『百万円と苦虫女』

2009-04-26 23:43:01 | cinema / DVD
DVDにて鑑賞。

「嫌な同居人に拾った猫を捨てられてしまい、腹いせに彼の持ち物すべて捨ててしまった鈴子。刑事訴訟を起こされて有罪。前科者になってしまう。実家に居ずらくなり、100万円貯めて家を出る。辿り着いた土地で100万円を貯めたら次の土地に移るという生活を始めるが…」という話。なかなか良かった。蒼井優は演技上手いので、彼女が主演なのであれば、当たらずとも失敗はない気もするけれど。粗筋だけ読むと不思議キャラのような鈴子だけど、彼女の上手く言えない感じや、それゆえトラブルに巻き込まれてしまう感じが、なんだかとってもよく分かった。それは蒼井優の演技とキャラによるところも大きいとは思うけれど。

苦虫といえば「苦虫を噛み潰したような顔」ってことで、てっきり苦々しい顔のことを言うんだと思ってた。一応、辞書によると「不愉快、不機嫌な顔」となっている。予告編によると、この映画では、そんな顔もハッキリとはできず、微妙な表情になっている状態を言うらしい。何に対しても不機嫌で、不満ばかり言っているやっかいな女の子の話なのかと思っていたら、むしろ逆になるべく争いを起こしたくないため、人と関わりを持ちたくなくて、感情を表さないようにしている女の子の話だった。だけど、そうして外に見せているおとなしい印象とは裏腹に、こうしたいとか、これはしたくないみたいな強い気持ちがある。それが普通の人(っていうのもなかなか乱暴なくくりではあるけれど)とは違う感覚だったりするので、人に受入れてもらいにくい。それを分かっているから彼女は人と関わることはあまりしない。だけど、実際はそうではなくて、誰かを必要としているし、必要とされたいと思っているんだと思う。矛盾しているようだけど、関わりたいのに関わりたくないと思うことってある。無意識に関わりたいと思った相手は、多分本当に自分が求めている相手なんだと思う。だけどその人に嫌われるのはイヤだし、拒絶されたら辛い。だったら関わりたくないと思うのかもしれない。

バイト先の友達とルームシェアするところから始まる。簡単に計画を進めていく友人に何となくしっくりこないものを感じていると、部屋が決まった段階になって彼女は彼氏と一緒だから3人で住む事になると言う。本当は嫌だけれどハッキリ嫌と言えない鈴子は苦虫顔のまま。引越し当日になって、友人の彼氏から別れたので彼女は来ないと告げられる。そして悲劇へ。普段摩擦を起こさないように感情を押し殺している人は、感情が爆発するとその分ふり幅が大きい。でも、鈴子のした事は犯罪だけど、映画として見ている分には、あれくらいしたっていいんじゃないかと思ったりする(笑) だけど、この経験が鈴子の心を閉ざしてしまう。人と関わると傷つくなら、なるべく関わらないで生きていこうと思ってしまう気持ちは分かる。弟の言葉に傷つき誰も自分を知らない場所へ行きたいと思う気持ちも。ならば、部屋を借りるのに困らず、仕事が見つからなくてもしばらく暮らせるであろう100万円を貯めたら家を出ようと計画して、実行してしまうところはすごいけれど(笑)

最初の土地は"海の近くの町" 海の家で働き始める鈴子にはカキ氷を作る才能があることが分かる。そういうささいな事が自分に自信を持てずにいた鈴子の自信になる。ここで鈴子は同じバイト仲間の男の子から好意を寄せられる。人から関わりを求められたわけだけど、人と関わりたくないと思っている鈴子には受入れられない。それに本当に自分も彼を求めているなら、頭では拒否しても気持ちが向かっちゃうはず(笑) でも、そうならなかったなら彼は鈴子の求めている人じゃないということ。この時点で鈴子が感じているのは困惑だと思う。自分は関わりたくないのに、関わりを求めてくる人がいる。困ったな(笑) だけど結局、人と全く関わらずに生きては行けない。それは次の"山の近くの町"でより実感することになる。

"海の近くの町"で印象的なシーンがあった。お客さんのいない雨の日、バイト仲間の男子4人がまかないを食べながら、離れたところで店番をする鈴子の事を話し始める。「かわいい」とか「黒髪がいい」とか他愛もないことで、多分そう思ってはいるけれどノリで言っているだけで深い意味はない。意味を込めているのは1人だけ。だけど、それは確実に鈴子に聞こえている。聞こえているけど、聞こえてないフリをしている。ここの蒼井優の演技がいい。自分の存在をなくしたいなどと考える人は、良くも悪くも自意識過剰なんだと思う。女子高生だった頃、似たような経験を何度かした。かわいいと言われる時もあったし、ブスと言われる時もあった。多分、その言葉自体に意味はないんだと思う。でも、かわいいと言われればうれしいかといえば、そういうものでもない。きっと、いい気になって振り向いたりすればバカにされるに違いないと思うし、ブスと言われればもちろん傷つく。自分は何もしていないし、名前も知らない相手からブスと言われるのは辛い。何故なのかずいぶん苦しんだ。嫌いなら嫌いでいいから放っておいて欲しいと思っていた。だけどもしかすると自意識過剰な何かが彼らの注意を引いてしまったのかもしれない。そして、からかわれても上手く流せなかったことで、余計イライラさせてしまったのかも・・・。なんて、すっかりずうずうしくなってしまった今では、当時を少し滑稽に感じながらこのシーンを見た。だから鈴子の気持ちは良く分かった。

"山の近くの町"では桃農家に住み込んで桃の収穫を手伝うバイトをする。ここの中年独身息子がピエール瀧だったのが笑えた。基本的には映画やドラマにミュージシャンやお笑い芸人が出るのは好きじゃない。ジャンルの違う人を使う理由はいろいろあるのだと思うけれど、それが生かされず浮いてしまって見えることが多い気がするので・・・ だけど、この瀧のキャスティングは良かった気がする。特別上手い演技だったとは思わなかったけど、久々に見た若い女性(しかも、かわいい)に心惹かれながらも、上手く関わることができない感じが、瀧のポッチャリ体型と合っていた(笑) 鈴子が入浴中にやって来て、ガラス越しに話しかけるシーンが2度出てくる。1度目は親切からなのか、覗きたいのか分からない演出。2度目はエロい気持ちではなく、本当に心配しているのが伝わってくる。こっちを見せたくて1度目の演出なんだと思うけど、その得体の知れなさみたいなのが瀧の雰囲気と合っている。ホントはいい人で女性に興味もある。そして鈴子が困っていることも、彼女がハッキリ言えない子だと言うことも分かっている。でも、一見どんよりした中年男にしか見えない(笑) たぶん、本当の瀧は違うと思うけれど! 一応フォロー(笑)

鈴子はここで桃娘騒動に巻き込まれてしまう。いわゆるキャンペーン・ガールになってくれという話で、前科のある鈴子はマスコミに登場出来ない。だから自分にはムリだと言うけれど、聞き入れてもらえない。鈴子の側に立ってみれば、嫌だというのに押し付けてくる村の人はわがままだし、逆ギレして「田舎をバカにしている」と言われるのは論点が違わないか? と思うけれど、村の人の側から見れば、他所から来て村の世話を受けているんだから、協力しろというわけで、それもどうかと思うけれど気持ちは分からなくもない。結局、平行線のままヒートアップしてしまい、とうとう鈴子が言いたくなかった事を言わせてしまう。そういう自覚の無い悪意というか、罪悪感のない自己主張の押し付けみたいのはホントに困るよなと思いつつ、鈴子が招いてしまった側面もあるのかなと思ったりする。上手く立ち回れないというか・・・。もちろん、それがダメなわけではない。きっと人間はちょっと言葉足らずだったり、上手く行動すれば相手も自分も傷つかずにすんだのにと思うことを経験して、次は上手く出来るようになっていくんだと思う。

海や山など狭い地域での生活は逆に密度が濃くなってしまうと思ったのか、次に選んだのは"ある地方都市" そこそこ都会。ここで鈴子は恋をすることになる。バイト先の大学生、亮平。この恋愛が不器用で切なくて良かった。亮平もあまり人づきあいが得意なタイプではない。バイト先の飲み会も本当は行きたくない。でも、行きたくないとは言えないので参加はするけど、居心地が悪く帰ってしまう。だけど、2人でいるのは居心地がいい。鈴子は初めて自分のことを語る。それは鈴子が亮平に心を開いたということで、彼に惹かれているということ。そういうのが自然に入ってきた。亮平の告白と、それに応える鈴子のシーンは良かったし、その後、食事を作りに亮平の部屋に行くけど、ここでのぎこちない感じがすごくいい。亮平が慌てて部屋を片付ける感じとか、所在なさげな感じがすごくいい。こんな恋愛もうできないんだろうなぁと思ったりする(笑)

2人の仲が進んでいくと亮平の態度が変わってくる。この辺りの感じもなんか分かるなぁなんて思っていると、鈴子から借金してみたり、デート代のほとんどを鈴子に払わせるようになる。とっても純朴でバイト先の仕事もきちんとこなす亮平には似合わない行動に、見ている側も戸惑う。鈴子が彼をこうしてしまったのかと思ったりもする。もちろんダメなわけではないんだけど・・・。鈴子はこの地で初めて弟からの手紙を受け取る。このシーンで見ている側は、今までそうだと思っていたことが違うことを知ることになる。鈴子は弟がいじめにあっているんじゃないかと感じてはいたけれど、それがどの程度深刻なのか分かっていなかったし、彼が自分を罵倒するのは実はいじめによって傷ついた心のバランスを取るためだったというところまで理解できなかった。もちろん、それも鈴子が悪いわけではない。だけど弟からの手紙で、鈴子は初めて自分が今まで家族にすらきちんと向き合ってこなかった事に気づく。傷つくことを怖れて、人と向き合うことを避けてきたから、より人を傷つけ自分を傷つけることになってしまったのだと理解する。そして亮平ときちんと向き合う決意をする。後から、見ている側は亮平の真意を知ることになるけど、それは切ない。切ないけどあれはやっぱりダメでしょ(笑) まぁ、ダメではないけど彼も結局、きちんと向き合えていなんだということ。このラストは良かったと思う。ハッピーエンドではないけれど、アンハッピーでもないと思う。

桃農家の佐々木すみや、鈴子を農家に世話する喫茶店のマスター笹野高史はさすがの存在感。2人の普通の人の優しさに救われる。地方都市のバイト先の上司、堀部圭亮も良かった。普段はそんなにイヤな人でもないのに、人のミスをグチグチしかる感じがいい。イヤよくはないけど、こういう人いるよなぁと思う。きちんと叱れないでネチネチいう人。彼は彼でコミュニケーションが下手な人なんだと思うけれど・・・。亮平の森山未來が良かった。ぎこちなく鈴子を誘う感じとかも良かったけれど、ヒモ状態の時の演技も良かったと思う。ここで見ている側が亮平にイライラしないと、後のどんでん返しが生きてこないので、そういう意味では良かったと思う。

そして何といっても鈴子の蒼井優が良かった。鈴子は人と関わることが苦手なだけで、決して不思議ちゃんではない。でも、百万円貯めたら次の土地に移って、人と深い関係にならずに自分の存在を消すように生きていこうという発想は結構スゴイ(笑) 不思議ちゃんにも、無謀な子にもなっていなかったのは蒼井優のおかげ。演技もそうだし、彼女の表情や雰囲気に合っている。まぁ、本当の彼女のことは知らないけれど。カキ氷の才能も、桃もぎりの才能もあるってことは、意識過剰にならなければきちんとできる子なんだということ。だけど劣等感があるので、人の目を気にして自意識過剰になるから失敗してしまう感じがすごく伝わってきたし、言いたい気持ちや思いがあるのに、なかなか上手く伝えられないでいる感じもきちんと伝わった。すごく良かったと思う。

いろいろ書いた。鈴子より全然年上になってしまったけれど、きちんと人と向き合えているのかと言われれば自信がない。でも、人間関係に悩んでない人なんていない思うし、誰とでも上手くやっていける自信があると公言する人はむしろ信用できない。そういう事がきちんと伝わってきたし、押し付けがましくなく、あざとくもなくて良かったと思う。亮平の部屋とか、鈴子の部屋とか好きだった。まだ実家にいた頃、鈴子がビルの屋上で100と切り抜いたのり弁を食べるシーンで、海苔がフタの裏についちゃう感じとか、細かいところが女性監督ならではで良かった。このシーンで椅子が百に並んでいたのもツボ。

普段は思い出しもしなかったけれど、中学とか高校の頃の辛い思い出の理由の一端が分かった気がした。分かったからといって傷が無くなるわけでもないし、今では傷跡が残っていたとしても痛みがあるわけでもない。でも、あの時のことはそうだったのかと整理がついた。もしかしたら今苦しんでいる人が見るよりは、古傷を抱えている人が見た方がより冷静に見れるかもしれない。とにかく、そういう意味でも見てよかったと思う。


『百万円と苦虫女』Official site

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【voyage】吉祥寺散歩 Part.2

2009-04-13 23:48:05 | voyage
'09.03.28 吉祥寺食べ歩きTOUR Part.2

東急で少し休んでハモニカ横丁へ。狭い路地にびっしりと小さなお店が並ぶ。まるで迷路のよう。ごちゃごちゃしてておもしろい。こういう所大好き。しかし、これだけ店舗が並んで、しかも食べ物屋さんが多いのに、ゴミとかほとんど落ちていなくて清潔な感じなのは、さすが日本と言う感じ。アジアとかだったら異臭がするくらい汚いはず。まぁ、そんなのもおもしろかったりもするのだけど、やっぱり清潔な方がいい。でも、清潔すぎない方がおもしろい。矛盾してるようだけど、そういうのってある。ごちゃごちゃしている感じは楽しみたいわけで、でも汚いのはイヤだという(笑) ここは適度にごちゃついてて、整然とし過ぎない感じが絶妙。もちろん、お店の方達の努力のおかげだけれど、やっぱり日本人だなぁと思って楽しくなる。

行列で有名なメンチカツの「吉祥寺サトウ」もハモニカ横丁にある。この日もスゴイ行列。「清水屋」の漬物がおいしそう。でも、今買ってしまうのは・・・。ってことで、これは次回。花束や飾り方がセンスいいんだよとbaruが言ってた「ルグラン」は小さくてかわいいお店。あちこちに"ジンジャーハイボール"と書かれた黄色い提灯を掛けたお店が。ジンジャーの原酒をブレンドした焼酎をトニックウォーターで割ったもの。飲みたい(笑) この提灯がかわいい。黄色地に黒で書かれた文字の書体が手書きっぽくて、濁点が★になっててかわいい。Hanakoに載ってた「カフェ モスクワ」を発見。こじんまりとしたカウンターとロシアっぽいシャンデリアが印象的な写真ではもう少し広く感じたけれど、実際は小さい。オープンになってて入りやすそう。とっても飲みたいけどまだお昼だし(笑)

とりあえず、お茶でもしましょってことで、こちらも気になるヨドバシ裏エリアへ。ここも気になるお店満載なんだけど、この日のお目当ては「Cafe Amar」 アンティークのランプや椅子がかわいくて壁のオレンジっぽい赤がどことなくインドを思わせる写真が気になって行ってみたかった。この界隈にもお店が点在。東急裏よりももう少し個性的な感じ。モロッコのタジンという陶器のお鍋で煮込んだ料理が食べられる「Cafe★Bar BLOOMOON」、12種類のリゾットのお店「リゾットカフェ 東京基地」、創作つくねの「せんなり瓢箪」なども気になるお店。ここは見つけておいたので、ぜひ次回! 他にもたくさんあるんだけど(笑)

お目当ては「吉祥寺シアター」の近く。こじんまりとしたスタイリッシュな外観の映画館。カフェもあっていい感じ。水門通りに「Cafe Amar」がある。ちょっと庭のようなスペースにオープン席もあるけど、寒いのでもちろん中へ。けっこう広い。どうやらカウンターに沿って逆L字型に席がある様子。カウンター席以外はテーブルも椅子も全部バラバラ。それがいい。入口近くには何とブランコ席が。背もたれなどもあって、いわゆるブランコとは違うけれど、座り心地はどうなんだろう。入った時にはおねえさん2人が座っていたし、意外に近い席だったのであまり見れず・・・ 後から来たカップルが「どっちに座る?」と言っていたけど、彼氏に座らせるのはかわいそうかもと思っていたら、彼女の方が座っていた。それはそうかも(笑) 13:30頃入ったのでランチを取る人が多い。キッシュ・プレート(980円)、トマトチキンカレー(1050円)、などランチセットが5~6種類。ランチワインは150円! どれもおいそう。通されたカウンター席の隣りのおねえさんが食べてた"赤いシチューのプレート"だったかな? が気になった! ビーツを使っているのかな? 赤いシチューにパンとサラダ付き。おいしそうだった。私達はアラビアン珈琲(550円)とアマルオリジナル・タルトタタン(600円)をオーダー。タルトタタンとはキャラメリゼで炒めたりんごをしき、タルト生地を上に乗せて焼いたもの。ひっくり返してりんごを上にして出される。Wikipediaによると、フランス・ロレーヌ地方でホテル・タタンを経営していたタタン姉妹のうち、料理を担当していたステファニーがアップルパイを作ろうとして失敗。なんとか挽回しようとした結果生まれたのだそう。少し苦味のあるキャラメリゼとりんごのシャキシャキ感が好き。生クリームが添えられていることが多いけれど、ここのはサワークリームが添えてあった。甘酸っぱくほのかに苦いりんごに、サワークリームの酸味が合う。2人でシェアしたけど、けっこうなボリューム。アラビアン珈琲は不思議な味。シナモンスティックで混ぜていただくけど、他にも香辛料が入っているらしい。スパイシーな香りと味。おいしい。

当初の予定では5時頃早めの夕食をハモニカ横丁の「クルン・サイアム」で取り、大好きなアウグスが飲める「Bistro Musui」に行く予定だったけど、この日はムリってことで予定通り「クルン・サイアム」で食べて、お開きということになった。早めの食事で帰ってからお腹空くかもってことで、気になってた「しまねこ軒」へ行ってみる。末広通りにある小さくてかわいいお店。あやくく見逃してしまいそう。もう、15時過ぎていたので、残っているお惣菜はわずか。にんじんサラダはおいしそうだったけれど、今からサラダを持ち歩くのも・・・ ってことで、今回はスルー。井の頭公園へ行ってみようってことで、途中話題の楳図邸を通る。たしかに赤と白のボーダー。丸く張り出した入口(?)部分は緑色と色の取り合わせは斬新(笑) でも、思っていたより全然地味かも。意外に周囲に溶け込んでいた。しかも煙突状の部分には顔が! かわいい。中はかなりスゴイらしいけれど(笑) baruによると以前来た時には、まことちゃん人形が外に置いてあったらしけれど、この日はなし。先生いないのかな? とか話しながら井の頭公園へ(笑)

閑静な住宅街を抜けて行くと、デパ地下などでおなじみおこわの「米八」本店の周辺はすごい人。特別メニューのわらび餅を試食したけどおいしかった。井の頭公園の桜はまだ5~6分咲きといった感じ。それでもお花見の人達でいっぱい。敷物を敷いて盛り上がっている。まぁ、飲めればよくてお花は関係ないのかもしれないけれど(笑) 木によってはけっこう咲いているのもあって、やっぱりキレイ。満開になったらさぞかしと思いながら一周する。やっぱり桜はいい。花の1つ1つは小さいけれど、それらが集まって咲き乱れたら本当に心躍る。桜をこんなに日本人が愛するのは、その辺りに理由があるんじゃないかと思う。特にソメイヨシノの淡いピンクが1つ1つは主張し過ぎないのに、それらが集まり満開になった時の美しさはスゴイ。そういう感じは日本人に似ていると気がする。多分、重ねている部分はあると思う。それにやっぱり春という感じがする。どんなに暖冬だったとしても、やっぱり冬は何となく耐えている感じがする。まぁ、耐えてないけど(笑) 春はやっぱり心躍る季節。夏生まれだから夏好きだけど、季節の中では植物などいろんな命が芽吹く春が好き。

5~6分咲きながら桜を堪能。ハモニカ横丁方面へ戻ることに。途中「ケーニッヒ」でソーセージを買う。オープン14年のドイツソーセージ&ドイツビールのお店。イートインスペースもある。ウィンドーにはたくさんの種類のソーセージやハムなどが並ぶ。どれもおいしそうだけど、ここはしつこく素材の味重視ってことでプレーンのオリジナルソーセージと、吉祥寺白ソーセージをお土産に購入。翌日おいしくいただいた。しっかりと挽かれたタイプ。粗挽きの方が好きだけど、これは名物だというホットドッグがおいしいかもしれない。ビールに合いそう。

トコトコ歩いてハモニカ横丁へ。17:30頃「クルン・サイアム」へ。タイ料理のお店。タイのレトロな洋館をイメージしたという店内の写真がかわいくて、ディナーはここと決めていた。B1だけど上が半円の飾り窓のある壁はピンクで下1/3が緑色。って書くとドギツイ感じがするけど、そんなことはない。ステンドグラスっぽい照明もかわいい。4人掛けの席が4~5つと、8人掛けの席が3つ。1段高くなった所に4人掛け席が4つ。でも広々した感じではなくて、でもごちゃごちゃした感じでもない。かわいい。早い時間だったけれど既にお客さんが3組くらいいた。予約も入っていた。風邪薬を飲んでるbaruはお茶だけど、私はビールをいただく。タイといえばシンハーだけど、こちらも有名なチャーンにする。象が2頭向き合ったロゴがかわいくて、タイのお土産にTシャツも買ってきた。テーブルにはこのロゴ入りのナプキン入れもあった。一緒に写メ(笑) ソム・タム(1,050円)、パット・パック・ルアム・ミット(980円)、カオ・パット・パッカナー(900円)をオーダー。ソム・タムは青パパイヤのサラダ。細切りにした青パパイヤを干しエビやナッツなどと和えた辛いサラダ。これは大好き。3年前ダンナ様の転勤でタイに行ってたAを訪ねて行った時はずっと食べてた。そんなに辛くないのもあるけど、ここのは辛い! ちょっと汗かくくらい辛い。でも、おいしい! パット・パック・ルアム・ミットは野菜のオイスターソース炒め。もうこの説明だけでおいしいの分かるくらい。野菜をオイスターソースで炒めてまずいはずがない(笑) カオ・パット・パッカナーはケール入りチャーハン。これおいしい! ちょっと硬めのパラパラごはんはオイスターソースで味付けされている。これはおいしい。ケールはあの青汁の材料で有名。青汁は・・・だけど、シャキシャキした食感がいい。そして全然クセがない。けっこうなボリューム。お腹いっぱい。デザートもおいしそうだったけど、ちょっとムリ・・・。ってことでお茶をいただく。おいしかったけど名前を失念・・・。 調べてみたけど、メイクイ紅茶だったような・・・。でも七仙女だった気も・・・。baruが毛蟹を飲んだのは覚えているんだけど(笑) もちろん毛蟹が入っているわけではない! というわけで大満足。飯田橋にもお店があるみたいだから今度行ってみよう。

ということで吉祥寺TOURは無事終了。まだまだ行きたいお店がたくさんあるので、ぜひ第2弾を開催したいっ!

【私信】 baruへ:体調悪いのにつきあってくれてありがとう! おかげでとっても楽しかったよ


ミートショップ サトウ(食べログ)
カフェ モスクワ(食べログ)
楳図かずおOfficial site
ケーニッヒ(食べログ)


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【voyage】吉祥寺散歩 Part.1

2009-04-09 01:51:24 | voyage
'09.03.28 吉祥寺 食べ歩きTOUR Part.1

久々に本屋でHanakoを買った。知らない間に大きくなってた(笑) 久々に手にした理由は吉祥寺特集だったから。吉祥寺は好き。見てたらかわいくておいしそうなお店ばかり。早速、近くに住んでるbaruに行きたいお店をリストアップしてメール。食べ歩きTOUR開催となった。

ホントはお泊りして遊ぶ予定だったけど、baruが風邪ひいてしまったので今回は日帰り。体調も考えて少しゆるめのスケジュールにしようということで、とりあえず11:00開店のお蕎麦屋さん「中清」へ。Hanakoのエリア分けによると東急裏エリア。閑静な住宅街には20年ほど前からオシャレな雑貨屋さんなカフェなどが増えているのだそう。この辺りには以前「DEVADEVA CAFE」や、お味噌料理店「SOYBEAM FARM」に来たことがあるけど、ホントに住宅街という感じで、その中にぽつぽつとお店がある。自然派っぽいかわいらしいお店が多い。この辺りに「Dans Dix ans(ダンディゾン)」もある。新丸ビルにある大好きなパン屋さん「POINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)」、青山の「d’une rarete(デュヌラルテ)」と同じ淺野氏のお店。ここも好き。このエリアはかわいくて好き。

トコトコ歩いて五日市街道へ。この通り沿いに最初の目的地「中清」がある。11:00開店となっていたので、ほぼ11:00頃お店に到着。でも、まだ準備中。結構待たされた。この日はかなり寒かったので結構辛かった。やっと席に案内されたのが11:30頃。おそらく開店は11:30だと思われます。お店は本当に普通のお蕎麦屋さんという佇まい。そんなに広くない。4人掛けのテーブルが5つに、1段高くなった座敷スペースに机が3つ。店内にはジャズが流れる。でも、気取った感じはない。お蕎麦もうどんも全て手打ち。種類も豊富で悩むけれど、やっぱりそば粉100%使用の生粉打が食べたい! 一番お蕎麦の味が分かるのはせいろだと思うけれど、すっかり体が冷えていたので鴨せいろにする。そば粉は日替わり。この日は茨城県城西市のそば粉。これはモチモチしてしっかりコシがあり、蕎麦の味がしっかりしておいしい。鴨肉の入った汁はかなり濃いめ。鴨のあぶらがほどよくおいしかった。そば湯で割ってしっかり頂いた。生粉打は1,200円とお蕎麦にしては高めかなと思っていたけれど、かなりのボリューム。baru元気バージョンだったら、中清別のお店で軽く遅めのランチという予定だったけれど、正直ムリです(笑) というわけで大満足。

またトコトコ歩いてお土産の甘いものを買おうってことで、中道通りにある「はらドーナツ」へ。途中かわいらしい食器が並ぶ雑貨屋さん「Wickie」の前で、玄米ワッフルのお店「夕焼けこやけ」の自転車が! 土日はこのお店、月水はジブリ美術館、木は武蔵野大学前、金は吉祥寺西公演前で自転車で販売しているお店(?) チャリはあるけど姿が見えない。「Wickie」のお店の方が気づいて今コピーを取りに行っていると教えてくれた。では、帰りに寄りますってことで「はらドーナツ」へ。吉祥寺西公園前に行くと行列。でも、いつもより少ないらしい。神戸の「原とうふ店」の豆乳やおからを使用するなど、安心素材のドーナツ。看板にも"安心おやつ"と書いてある(笑) 白を基調としたお店。手書きっぽい「はらドーナツ」という看板もいい。木の階段やウッドデッキにはブリキのじょうろやバケツに観葉植物が生けてあって、かわいく飾られている。オープンになっている店内は広くない。5~6人でいっぱいかな・・・。入口正面のウィンドー内にドーナツが並ぶ。どれもおいしそうで迷うけれど、やっぱり素材の味が良く分かるプレーン(120円)と丹波黒豆きなこ(150円)を購入。みんな公園で出来たてを食べているけど、お腹いっぱいでムリだった。家に帰って食べてみたけどモチモチしているけど軽い食感。甘さはかなり控えめ。黒豆きなこは翌日食べたけどこちらも甘さ控えめ。ほのかにきなこ味でおいしい。揚げたてはかなりおいしいと思われる。

トコトコ歩いて先ほどの「Wickie」前の「夕焼けこやけ」へ。お客さんが何人かいる。ニコニコかわいらしいおねえさんも戻ってきていた。10cm×10cmくらいのワッフルは1個200円。プレーン、黒ごまハチミツ、黒蜜きなこの3種類。黒ごまハチミツ、黒蜜きなこはワッフルの四角くくぼんだところに埋め込まれている。とっても惹かれたけれど、やっぱり素材の味重視ってことでプレーン2個入りを購入。これは翌日の朝食となった。オーブントースターで軽く焼いて、マーガリンやジャムをつけていただいたけれど、何もつけなくてもほのかに甘くて、まわりがカリカリして、中がしっとりモチモチでおいしい。玄米の味もいい。やっぱり吉祥寺はおいしい(笑)

さらにトコトコ歩いて井ノ頭通りへ出て「marimekko」へ。フィンランドのファブリックのお店。1Fは食器やバッグ、小物などの雑貨類、2Fは洋服や生地が並ぶ。とにかく柄のデザインがかわいい! バッグなども布が中心で形も色もかわいいけれど意外に高い。でも、見ているだけで幸せ。商品の柄を見せるため、店内は白で内装もシンプルでスタイリッシュなのもいい。すごくかわいいふとんカバーがあったけれど15,000円・・・ ちょっと買えない(涙) でも、かわいかった~ 1Fですごくかわいいガマ口型の小物入れを発見! タテ長、ヨコ長などいろんな形や大きさがある。おサイフを入れるポケットのないバッグを持つ時のおサイフ入れにしようと思い、おサイフがすっぽり入る大きめサイズを購入。2,310円。柄もいろいろあって悩んだけど「marimekko」といえば大きな赤の花柄でしょってことでコレにした。早速使用。かわいい。

ちょっと戻って雑貨屋さんをのぞく。天然素材っぽい洋服とか雑貨がたくさんあるお店。デパートとかに入っていた気もする。「中清」に行く途中で見かけて気になった。クロスがお花っぽくなっているシルバーのピアスが980円。これを購入。baruの体調が悪くなってきたので東急で一休み。


マガジンワールド|Hanako
中清(livedoorグルメ)


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【cinema】『刺青奇偶』

2009-04-05 23:30:36 | cinema
'09.03.21 『刺青奇偶』@東劇

これは『ふるあめりかに袖はぬらさじ』『連獅子/らくだ』に続くシネマ歌舞伎鑑賞第3弾。シネマ歌舞伎とは生の舞台を、山田洋次監督が撮影した映画。映画のために演技しているのではないけど、テレビの劇場中継とも違う感じ。歌舞伎には少し興味があるけど、どうも敷居が高い印象。歌舞伎入門編のつもりで見てみたら、とっておもしろかったので続けて見ている。

「博打ばかりして、今では生まれ育った深川にも帰れなくなってしまった半太郎。せめて故郷の見える場所にと、さしあたり江戸川を渡った行徳に居る。ある夜半太郎が渡し場で入水自殺をはかった酌婦お仲を助ける。やがて2人は夫婦となるが…」という話。ストーリーとしては単純。映画として見たならばちょっと物足りないかもしれない。でも、舞台なのであればこのくらい分かりやすい話しでちょうどいいのかも。なにしろ2階席の後ろの方から見ているお客さんもいるわけで、細かい表情の見えないお客さんにも伝わらないといけない。となると、複雑な心理描写は難しい。だからといって見ていて退屈ということはない。

大きく分けて3場面。2人が出会う場面、夫婦の絆が描かれる場面、そして半太郎が一世一代の大博打を打つ場面。まずは2人が出会う行徳の渡し場から。ここでは半太郎と博打仲間、半太郎とお仲の掛け合いが続く。博打が大好きで借金がかさみ、ついには生まれ育った深川にも帰れなくなってしまった半太郎は、対岸に見える故郷を眺めに渡し場にやって来る。そこへ結婚をやっと承知してくれた女性に、半太郎自分の悪口を言ったため、彼女が結婚はやめると言い出した、いったいどうしてくれるのだと、博打仲間が怒ってやって来る。半太郎にしてみれば、本当のことを言ったまで。男にしてみれば、本当のことでもわざわざ言うことはないだろうというわけで平行線。まぁ、こちらにしてみればどっちもどっち(笑) このシーンがけっこう続くので、若干飽きるけど、このシーンだけで半太郎という人物の生い立ちだけでなく、性格まで分かるようになっている。半太郎は決して嫌な人ではないし、ヤクザ者というわけでもない。半太郎の言っていることは一見理屈が通っているようだし、何の悪気もないのも分かる。でもホントのことでも言っちゃいけないことはある。正直と言えばそうだけど、思ったことを考えるより前に言ってしまう、せっかちな江戸っ子タイプのようだ。まぁ、でも結婚した後からダメ亭主だったって分かるよりは良かったかも(笑)

友達が怒って行ってしまうと、誰かが水に落ちた音がする。助けたのがお仲。お仲は貧しさゆえに売られた酌婦。酌婦とはお酒をお酌する仲居さんのような人だけれど、実際は多くの女性が体を売っていたらしい。売られ売られてとうとう行徳に落ちてきたお仲は間違いなく後者の方。さんざん辛い思いをしてきたお仲は、半太郎が自分を助けたのは単純に善意からだということが理解できない。そんなお仲を理解できない半太郎との掛け合いがいい。半太郎が何を言っても勝手に解釈して、所詮男はそんなものと決めつけていたけれど、お仲を酌婦として差別することもなく自然に振る舞う半太郎に惹かれていくまでがコミカルに描かれる。このシーンだけでお仲の生い立ちと、彼女の性格、後の伏線までも語られている。2人の会話がかみ合わないのを笑うシーンだけど、けっこう長い。正直、お仲さんの頑なさにイラッとくる感じもあるけど、飽きさせないのはさすが、中村勘三郎と坂東玉三郎。

場面は変わって長屋の一室。お仲さんが病んで寝ている。どうやら重い病のよう。医者はお仲の前では良くなっていると言うけれど、お仲の世話をしてくれている近所の女性をそっと外に呼び出す。このシーンがいい。2人がお仲を気遣う姿がさり気なく描かれていて、それが本当に品がいい。2人の人柄もさることながら、2人がお仲を好きであることが分かる。ということは、お仲は半太郎の妻として世間に受入れられているということでもある。お仲と所帯を持った半太郎だけれど、相変わらず博打が止められない。お仲の病状がかなり悪いこんな時ですら、博打に夢中になって家に帰っていない。帰ってきた半太郎はお仲の病状を知る。驚き悲しむ半太郎。3人が必死で隠してもお仲は自分の病状を知っていた。お仲が最後の頼みと半太郎の腕にサイコロの刺青を入れる。これがタイトルの「刺青」 お針箱から取り出した針を使って、墨で書いたサイコロの上をぶさぶさ刺して刺青を彫るけれど、そんなに簡単に彫れるものなのだとは知らなかった。まぁ、知ったところでやりませんが(笑) このシーンはとってもベタだけど泣けた。2人の演技が素晴らしい。そして、半太郎が腕に針を刺される瞬間、顔をしかめる。そういう表情まで見えるのは映像ならでは。

2人の姿に涙していると、場面が変わる。半太郎は博打の場でいかさまだと言い立てて、場を仕切るヤクザ者達に捕まり、散々痛めつけられたらしい。お仲が腕に彫ったサイコロは2度と博打をしないようにという願いを込めてのものだったのに、何故博打を打ちに行ったのか。そして、何故いかさまだなどと言い出したのか。それはお仲の病気を治したいがゆえ。ムリを承知で大芝居を打ったのだと涙ながらに語る半太郎に、心を打たれたお頭から一世一代の大博打を持ちかけられる。結果は想像通りになるけれど、ここの見せ場は半太郎とお頭の掛け合い。お仲だけが生きがいだと訴える半太郎のセリフは、かなり照れてしまう感じだけれど、涙ながらに語る半太郎の姿には単純ではあるけれど、素直で心優しい人柄が表れている。そして、それに心打たれて大博打を持ちかけるお頭の片岡仁左衛門がいい。ヤクザ者の元締めだけれど、威厳があって品がある。半太郎を助けたのは話に情けからだけではなく、半太郎の人柄を見込んでのことだということも分かる。一世一代の博打に半太郎が勝つと、サラリとお金を払って去っていく。粋。

股旅物などで有名な作家、長谷川伸の原作はそんなに複雑ではない。舞台ではこのくらい分かりやすい方がいいかと思う。でも、これは映画でもあるので、単調で大袈裟に見えかねないけど、主役2人を初めとする役者達の演技が素晴らしく、見ていて全く大仰ではない。そして、映画なので細かな表情などの演技も見る事ができる。やっぱりこのシリーズは好き。次回は坂東玉三郎の『鷺娘』を見に行く予定。


『刺青奇偶』 シネマ歌舞伎

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【art】「生活と芸術 -アーツ&クラフツ展」鑑賞@東京都美術館

2009-04-03 00:45:47 | art
'09.03.20 「生活と芸術 -アーツ&クラフツ展」@東京都美術館

これは見たかった! あんまりギリギリになると混むだろうと思って頑張って行ってきた。結構忙しくて書くのが遅くなってしまった

19世紀後半にイギリスで興った「アーツ&クラフツ運動」 詩人であり思想家、そしてデザイナーでもあるウィリアム・モリスが提唱した運動。産業革命により大量生産される粗悪品を憂いたモリスは生活と芸術を融合させようと主張し、モリス商会を設立。この運動はアール・ヌーヴォー、ウィーン分離派などにも影響を与え、日本では柳宗悦がその思想に共感し、民芸運動を興すことになる。今回はアーツ&クラフツを中心に分離派、そして民芸運動までの流れを見せる展覧会。これはなかなか良かった。

とにかくスゴイ点数。絵画でこの点数だったらビックリするけれど、美術工芸品なので大きなものから小さなものまで様々なので、目だけでお腹いっぱいということはない。モリスといえば壁紙だけど、何点もあった壁紙の中でお気に入り『壁紙見本「果実」あるいは「柘榴」』と『内装用ファブリック「いちご泥棒」』が素敵。『壁紙「デイジー」』もいい。これらは1つのパターンを繰り返しプリントしたもの。デザイン化された花や柘榴がいい。「いちご泥棒」は庭にいちごをついばみに来たツグミの姿を見て描いたものらしい。紺地に花やいちご、葉などをデザインした壁紙はかなり色が濃いので、日本の狭い部屋ではちょっとムリだけど、デイジーなんかはいけるんじゃないかな(笑) 『内装用ファブリック「マリーゴールド」』もいい。茶を基調とした装飾で品がいい。この「マリーゴールド」と「いちご泥棒」はそれぞれ1875年、1883年にデザイン登録されている。

モリスといえば本の装丁と飾り文字、いわゆるカリグラフィーのデザインも有名。『「ジェフリー・チョーサー作品集」用の飾り文字"W(Whilom)"』のデザイン原画と試し刷りもいい。デザイン化されたWに草の蔓や花などをモチーフにした装飾をあしらっていて素敵。『詩の本』では行間に草花の装飾がされている。でも全然じゃまじゃない。モリスの『刺繍壁掛け「蓮」』が素敵! けっこう大きなキャンバス地に暖色系で中央の大きな蓮が刺繍されている。つぼみがピンクでかわいい。ジョージ・ヘイウッド・モーノワ・サムナーの『ポスター「四季 - 春・夏・秋・冬」』 4点組のこれは四季をとおしての農作業を描いたもの。淡い色合い、周りの文字、装飾などミュシャを思わせる。アーツ&クラフツはアール・ヌーヴォーに影響を与えたというけれど、たしかにお互い良い刺激となっていたのかもしれない。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの『聖ゲオルギウス伝ステンドグラス・パネル』がいい。6枚もののこれはサブラ姫をドラゴンから救うという伝説を描いたもの。それぞれの場面が美しく、とってもロマンチックでウットリ。場面を説明する文字も美しい。クリストファー・ウォールのステンドグラス『聖アグネス』が素敵! 横顔の聖アグネスが美しく、全体的に白を基調として作られているけれど、金色の冠と手にした緑がアクセントとなっていて美しい。M・H・ベイリー・スコットの『屏風仕立ての装飾「染織」パネル』がいい。3枚組のこれは円の中に花を描き、茎が下まで伸びて根の部分が組み紐のようになっており装飾的で素敵。3枚ともデザインや色合いはほとんど変わらない。円の中に描いた花のモチーフは日本の家紋を思わせて面白い。

【Ⅱ ヨーロッパ】 ウィーン分離派が有名だけれど、このコーナーで気になったのはエドゥアルト・ヴィンマ=ヴィスグリルの『ブラウス』 紫の地に草の蔓をモチーフにしたピンクの模様のブラウスは、ブラウスそのものよりも、これがプリントであるということが重要。洋服に使用されたのは初めてだそうで、注文が殺到、あのポール・ポワレも使用したとのこと。ペーター・ベーレンスの『電気湯沸かし器』は持ち手が蔓で和風。これは単に熱伝導的なことなのか、やっぱり和を意識してのことなのか・・・? パリ万博で金賞を受賞したノルウェーの刺繍家フリーダ・ハンセンの『羊毛のタペストリー織り[手紡ぎ・手染め]』がスゴイ! かなり大きな作品で、大胆な花柄。これ1990年と109年も前の作品だけど、今見ても全然古くない。まぁ、それは全てに言えることだけど。

【Ⅲ 日本】 最後は日本。モリスのアーツ&クラフツに感銘を受けた柳宗悦を中心とした民芸運動の中から生まれた作品たち。アーツ&クラフツの芸術を暮らしの中にという考え方は民芸運動では、その名のとおり民芸品ということになる。正直、民芸品はその無骨なまでの木なら木、陶器ならば土そのままの風合いが、あまりにもそのまま過ぎてあまり好みではないけれど、藍の地に羽ばたく鳳凰を美しく染め抜いた『筒描鳳凰文色入夜具地』や、釣鐘のように下が広がった『鉄瓶』など、作者も分からない美しい作品を見ると、声高に叫ばなくても生活の中に芸術は自然と根付いているものなのだと思ったりもする。モリス達が彼の新居となったレッド・ハウスに集い芸術論に花を咲かせ次々芸術を生み出していったように、依頼主山本氏(フルネームは失念)の娘の新婚の新居となり、民芸グループの集い場所であった『三国荘』が再現させた展示を見ると、そのパワーとか芸術家達の息吹なんかを感じられて羨ましくもなる。

この『三国荘』の展示が素晴らしい。民芸調のテーブルセットのある応接間よりも、和室の主人室がいい。中央に置かれたテーブルに広げられた紅型のテーブルクロスが素敵。紺地に大きな花モチーフがかわいらしい。床の間の飾り棚も素敵。壁に掛けられた江戸時代後期に描かれた『泥絵オランダ船図』も素朴。安価なので流行したという泥絵の具で描かれた絵自体は特別上手いとは思わないけれど、茶色で描かれた絵は素朴。河井寛次郎の『鉄薬笹絵喜字鉢』がいい。かなり大きな鉢で、お皿といえるくらいわりと浅め。喜という字の流れるようなデザインがいい。

最後に棟方志功の『二菩薩釈迦十大弟子』がある。これは一度見たことがある。上野で興福寺の企画展で仏像を見て十大弟子を作る決心をし、一週間で描いたのだそう。好きとか嫌いとかいうことを超越させる迫力。これはスゴイ。

今回すごくうれしかったことが2点。チャールズ・レニー・マッキントッシュの椅子が見れたこと。マッキントッシュというとラダーバックチェアだけど、これは馬毛やいぐさを使った椅子。『アーガイル・ストリート・ティールームのハイバック・チェア』とあるように、グラスゴーのパブのために作った椅子。デザインに全くムダがない。素敵。同じくこのティールームのために作った石膏の下絵『酒宴』もいい。同時代に活躍したウィーン分離派のグスタフ・クリムトの『ベートーベン・フリーズ』を思わせる感じが面白い。

そしてもう1点。あのオットー・ヴァグナーの『郵便貯金局会議室のアームチェア[肘掛け椅子]』が素晴らしい。オットー・ヴァグナーといえば世紀末ウィーンを代表する建築家。ウィーンを訪ねれば、マジョリカ・ハウスなど彼の素晴らしい芸術的な建物を必ず見せられるはず。『郵便貯金局会議室のアームチェア[肘掛け椅子]』もその一つ。ブナ材で曲線を生かした椅子は黒く塗られ4つの足と肘につけられたアルミのシンプルな装飾のメタル感がいい。多分、アルミは当時の最新素材だったのかもしれない。

というわけで世紀末イギリスから興ったアーツ&クラフツ運動は、パリのアール・ヌーヴォー、ウィーン分離派などと絡み合い、遠く離れた日本にも影響を与え、民芸運動へと展開するのは面白い。でも、アール・ヌーヴォーやウィーン分離派には日本美術が大きく影響しているというのもまた面白い。

入口に書かれたモリスの言葉"役に立たないもの 美しいと思わないものを 家に置いてはならない"というのは感慨深い。それを実行するのはなかなか大変だけど、何も高価なものの事を言っているのではないと思う。自分が美しいと思う物を身の周りに置くだけで心が豊かになる。そういう暮らしがしたいものだと思った。


★「生活と芸術 –アーツ&クラフツ展」:2009年1月24日~4月5日 東京都美術館
「生活と芸術 -アーツ&クラフツ展」(朝日新聞社)
東京都美術館HP

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