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【cinema】『RAILWAYS』(試写会)

2010-04-30 01:13:41 | cinema
'10.04.23 『RAILWAYS ~49歳で電車の運転士になった男の物語』(試写会)@よみうりホール

yaplog!で当選。いつもありがとうございます。49歳で電車の運転手になった元エリートサラリーマンの話。たしか実話ベースだった気がするけど違ったかな? ちょっと気になったので応募、見事当選した。

*ネタバレありです!

「大手電器メーカー企画室長の筒井肇は、同期の親友が工場長を勤める工場を閉鎖させる。親友は見事に工場を閉めた後、事故に合ってしまう。そんな時、実家の母が倒れたという知らせが入る。末期ガンで余命わずかとのこと。悩んだ末に肇が出した結論は、幼い頃の夢だった電車の運転手になることだった…」という話。これはなかなか良かった。ちょっと、ところどころやり過ぎというか、あまりにもベタなシーンが気になるけれど、全体的に流れがよかったし、役者さん達が上手いので、落ち着いて見られて、じんわり感動する作品になっている。

49歳で電車の運転手になるという設定が、夢を叶えるにはずいぶん遅いスタートであるという点や、その夢が電車の運転手という、これまた49歳で挑戦するにはちょっとビックリな職業であることを除けば、仕事に追われ生活に潤いをなくした主人公が、ふと立ち止まって夢に向かって進んで行くストーリーとしては、とっても王道。だから何となく話の展開は分かる。前半、肇がキリキリ仕事に追われている様子が描かれて、それがやや長い気もするけれど、そこで肇が取締役に推薦されるくらいきちんと仕事ができる人物であるから、このビックリ・チャレンジもちゃんとできるんだということに説得力がある。それは肇がエリートで選ばれた人間だからということじゃなくて、きちんと仕事に取り組む人物であるということ。そして働く場所や、仕事の種類は違っても、やっぱり鍛えられているということ。それは面接でのそつのない対応もそうだし、 実際勤務についてからの危機管理能力なんかもそう。上手く言えないけど、瞬時に判断が下せるというか… それはもちろん、肇がエリートであることが、より説得力のある感じにしていることは間違いないけれど。この辺りは同じく新人運転手の宮田大吾との対比となっている。

この大吾にも実はドラマがあって、夢が破れた後の人生に絶望している。この感じもとっても王道で、正直特別必要ない気がしないでもない。後に彼が原因である事件が起こる。その事件自体についても、ちょっとやり過ぎな気がしないでもないけど、前から伏線が貼ってあって流れとしては上手い。この件がもとで肇は、辞表を提出することになる。その辺りは"責任"を負うという管理職に就いていた人である感じや、肇の生真面目さなんかを表しているのだと思う。それは仕事人間であったということだけではなく、自分の夢に対しての責任でもあるのかなと思ったりもする。ただねぇ… その後のシーンが(笑) まぁ、王道と言われれば、これ以上にないくらい王道ではあるのだけど、ちょっとあまりにも… これは何とかならなかったかな(笑) というわけで、そういうベタなシーンがところどころ入ってくるのが若干気がかりではある。娘が入院中の祖母の病室の窓に向かって、顔を見せてと叫ぶシーンは、祖母に元気になって欲しい一心であるということが大前提にあっても、かなりベタ。まぁ、病院で大騒ぎしちゃダメでしょというツッコミはあえてしませんが(笑)

もう少しだけ気になる点としては、肇が乗客が荷物を忘れたり、落としたりするのを放っておけず、手助けして進行時間を乱してしまうというエピソード。これは、自分が職務をまっとうするためには、親友の工場さえも閉鎖させるような人であった肇が、母の病気や親友の死に際して、人生を見つめ直し、人間らしく生きているということを表しているし、伏線でもあるのだけれど、ちょっと多いかな(笑) そんなにみんなウッカリしてないでしょう。でも、それがまたキリキリしている東京と、のんびりしている地方の対比としているのだと思う。個人的には今のところ東京から離れて住むことは考えられないし、地方の風景の美しさや、のんびりとした雰囲気は好きだけれど、あまりに都会はゆとりがなくて人間味に乏しく、田舎暮らしこそ人間的な暮らしという感じには、全面的に賛成というわけにはいかないのだけれど…

と、まぁ気になるシーンはあるのだけど、全体の流れがいいのと、役者さん達が上手いので、全体的にはじんわり感動できる作りになっている。49歳で運転手になれるのか?という疑問も、応募資格20歳以上というザックリとした説明で解決するのもいいし、きちんと研修場面を描いているので、肇が運転手になることにも説得力があった。東京で研修を受けることになるけどという面接での質問に、「東京に持ち家があります!」と即答するのもおもしろかった。研修シーンが楽しそうでよかった。多分、京王電鉄の講師役で鉄で有名なホリプロの南田マネージャーが出てたのが個人的にツボ。

そして、バタデンこと一畑電車がイイ! 明治44(1911)年創業。宍道湖沿いを2両の電車が走る。払い下げ車両も走っているみたいだけど、この作品にも登場するデハ二50形は昭和8年から走っているそうで、現役車両としては日本最古級。これがカワイイ! オレンジの車体がなんともレトロでまるでおもちゃみたい。もちろんドアも手動式。デハニには意味があって、作品内で肇がうれしそうに答えていたけど忘れてしまった(笑) 運転席と客車は分かれていなくて、ホントに簡単な仕切り棒だけなのにはビックリ。実はこれも伏線となっている。駅もレトロな感じで感じでいい。田舎の風景の中をカワイイ電車が2両走っている姿はホントに和む。自身の田舎はないので、この風景は自分のものではないけれど、なんだか懐かしい気がするのはやっぱり原風景なのかな。そのカワイイ電車を守る整備士さん達のエピソードもよかった。

そして、これは家族再生の話でもある。仕事一筋で家庭を省みなかった肇。一応、会話はしているけれど、上の空なことに肇だけが気づいていない。大学生の娘も、最近ハーブショップを開いた妻も、肇のことは諦めている。女の人は話すことでコミュニケーションを取ろうとする。もちろん、そうでない人もいるとは思うけれど… 例えば、いつも買っている洗剤が、今日は100円安かったとか、男の人にはたわいもない話でも聞き流されるのは辛い。外で仕事をしているのと、専業主婦では見ている世界が違う。それはもちろん、どちらが上で、どちらが下かという問題じゃない。そもそも、みんな見てる世界違うと思うし。でも、だからこそ「洗剤が100円安かった」を、取るに足らないことだという態度を取られたら、自分を否定されたように感じてしまうのかも。もちろん、毎回いちいちそんな風に思っていないだろうけれど、その時感じた違和感や淋しさが積み重なって諦めてしまうのかも。その感じは短いけれど、前半のシーンで伝わってきた。でも、全員それぞれの範囲内でそれぞれを心配しているし、それぞれのやり方で気遣っているのも伝わってくる。だから、会社を辞めたことを伝えた時に妻が言う「あなた息切れしてたから」という言葉には説得力があった。お互い、それぞれ大切なものを見つけて、それはたまたま一緒には出来ないのであれば、夫婦2人の選択もありなのかも。変に支える妻に描かなかったのは好感が持てる。ただ、少し妻の存在感が薄かった気もするけれど。

キャストはみな良かったと思う。娘役の本仮屋ユイカは、特別上手いとは思わなかったけど、滑舌良くセリフが聞き取れて、普通の女子大生をきちんと演じていたと思う。妻役の高島礼子はやや見せ場が少ないながら、迷いつつ自分の夢と夫の夢とを尊重する妻をきちんと演じていたと思う。親友役の遠藤憲一は好きな役者さん。彼の存在が肇を立ち止まらせる役でキーマン。生きる速度が違ってしまった親友を見送る表情が良かった。肇の決意に説得力があった。こちらも好きな役者さんで、ヒロトの弟甲本雅裕が入社後の指導担当者を演じている。初めて運転した電車の切符を記念にくれたり、鉄なんだろうなって感じが微笑ましい。母親役の奈良岡朋子がさすがの存在感。ガンが進行してどんどん小さくなってしまうのが悲しい。でも、その姿に自分の母親を重ねてしまう。幸い両親とも元気でいてくれているけれど、いずれこんな風に別れる日が来るのだと思うと切なくて泣いてしまった。何をしてても、自分が楽しければそれでいいと言うセリフがいい。まるごと受け止めているということ。何があっても親だけは受け入れてくれるんだと思ってまた泣くみたいな(笑)

肇役の中井貴一はやっぱり上手い。この役すごく合ってると思うし。エリート時代の仕事に追われて、ピリピリしているのも、運転手になって責任を取って辞表を提出するのも、彼がとっても真面目だから。よく考えると大企業のエリートから、49歳で運転手になるという、わりと共感しにくい設定ながら、その息切れやそうせずにいられない感じには、何となく思いあたるふしがあって、すんなり入ってくるし、共感できる。前半と後半では別人の様に人が変わるけど、そこにも違和感がない。基本は彼が真面目だからだということに説得力がある。ややキャラ作りすぎな脚本ではあるけれど、コミカルな感じも入れつつサラリと演じているので、気にならない。なにより研修中からずっと楽しそう。その感じが良かった。でも、老けたね… そして横分け(笑)

監督は島根県出身とのことで、島根をとっても美しく描いている。なによりバタデンがカワイイ! 宍道湖沿いを走る姿は鉄じゃなくても乗りたくなる。中高年が夢を叶える話としても、家族再生の話としても、時々やり過ぎちゃうけど楽しめる。そして、鉄だったら絶対楽しいと思う。

そんなに重くなく、サラリと感動したい方、そして鉄の方にオススメ。


『RAILWAYS』Official site

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【cinema】『アリス・イン・ワンダーランド』

2010-04-27 01:17:05 | cinema
'10.04.17 『アリス・イン・ワンダーランド』@TOHOシネマズ六本木

これはもうホントに映画化のニュースを聞いた時からずっと待ってた! yaplog!さんのおかげで、ファン・イベントでジョニデ&バートン監督にも会えたし、ファンとしては行かないわけにはいかないでしょう! ということで、歯痛にも関わらず座席予約。出遅れてしまったため、前から2列目しか空いてなかった(涙) 3D辛そうだけど頑張る! これを励みに歯痛にも耐えたのだもの… ということで、朝には雪も降ったこの日、UNIQLOのコラボキャミ着用で鑑賞!

*ネタバレありです! そして長文

「19歳のアリスは13年前のワンダーランドでの体験を時々見る悪夢だと思っている。夢見がちなアリスの唯一の理解者で、優しかった父を亡くし寂しい日々。知らないうちに、貴族の孫との結婚話が進み、気づけば婚約発表パーティー会場。おなかの弱い彼から列席者の前でプロポーズ! 思わず逃げ出したアリスは、ウサギ穴に落ち再びワンダーランドへ。しかし、そこは赤の女王が支配するアンダーランドだった…」という話で、ここから先はアンダーランドでのアリスの活躍が描かれる、バートンワールドが展開される。アリスがアンダーランドに足を踏み入れた入口横にある木は『スリーピー・ホロウ』で首なし騎士が出てくる木みたいだ!と思って期待でドキドキしたんだけど…

うーん。ちょっと「不思議の国のアリス」の記憶が曖昧になってしまったのだけど、今回登場のキャラ達は全員原作にも登場するのかな。映画オリジナル・キャストもいるんだろうか? ラスボスはオリジナルっぽいけど… 各キャラがバートン作品にしてはまともというか、おとなしめな印象。マッドハッターにしても見た目は強烈だけど、意外にちゃんとした人なので『チャーリーとチョコレート工場』のウォンカほどのインパクトはない。頭を巨大化した赤の女王も見ているうちにしっくりきちゃったし(笑) 『チャーリー~』も有名な原作の映画化だったけど、やっぱりアリスともなるとそんなにバートン・ワールド全開にもできないのかな。イヤ、もちろんバートン・ワールドではあるんだけど、全開ではなかった気がする。

そのワールド全開でない感じは作品全体にも言える。マッドハッターが実はマッドではないのも、悪役である赤の女王が意外に孤独でかわいそうな人であるのも、特別問題ないと思うんだけど… 多分、今回の主役がアリスであるということも大きいんだと思う。あんまりバカなことはさせられないというか(笑) 19歳のイギリスの良家の娘さんなので、せいぜいラストにビックリダンスを踊るのが精一杯かも。この時代の娘としては、親に反抗するなんて有り得ないことだし、女性が自分の意志で思うように生きるのは難しかった。だからアリスも自分で決断できないと思っている。夢見がちな少女にありがちな、人と違っていることにも不安を感じている。でも、自分の気持ちは守りたい。だから、周囲からは扱いずらい娘だと思われてしまう。そんなアリスの窮屈な感じは伝わってくる。そしてそんな彼女の成長を描いているのだけど、多分やりたかったことは別にあるのかなと思ったりする。

ストーリー的にはいわゆる少女が苦難を乗り越え、成長する姿を見せるということになるんだと思うけど、多分バートン監督がやりたかったのは、アンダーランドを舞台としたロールプレイング・ゲーム。だから、アリスの成長もラスボスに立ち向かえるかにかかっている。結果については、ネタバレも何も、予想どおりなので、あえて書きもしませんが(笑) 最後、インド映画もビックリなくらい、やけに強引に自立した女性になってしまうけど、多分最終ステージに上がったのかと… って、ゲームはスゴイ苦手で、全くやらないからよく知らないけど(笑) 予言の書に描かれたラスボスと戦う救世主アリス。みんな一丸となって予言の日に向かって頑張る姿が描かれるけど、王道中の王道。アリスを本物じゃないと決めつけるキャラがいることすら王道。恐ろしい赤の女王と、優しく美しい白の女王は戦うことになる。この感じも、王道過ぎる感じも、もしから『ロード・オブ・ザ・リング』以降、やたらと作られているロールプレイング系ファンタジーを茶化しているのかなとも思う。予言の書とか唐突に出てくるけど、どういう由来なのか全く説明もないし(笑) そこに書かれている内容も、スゴイ早口でまくしたてながら、ざっくりと語られるだけで、"~の剣"とかのアイテムや、予言の日とかのキーワードも覚えにくい名前なので、そもそも予言はそんなに重要じゃないのかなと… まぁ、バートン調な気もするけれど。



全体的に"毒"が足りないかな… バートン作品といえばポップで一見バカバカしい"毒"の中にある哀しさや、切なさなんだと思う。そもそもポップな毒が足りないので哀しさもあまり引き立たない。アリスのミア・ワシコウスカにはちょっと荷が重くてかわいそうなので、その役は主にジョニデと、赤の女王ヘレナ・ボナム・カーターが担うことになる。2人相変わらず上手いので、それでも哀しさ故の毒を感じさせてはくれるけど、いかんせん弱い… これはやっぱりディズニーだから? 子供にも分かりやすいようにかな。まだ10歳以下と思われるチビッコが「おもしろいね!」って言っていたので、それは成功(笑) バートン作品は子供向け題材であっても、実際は大人が見たら毒の中にある切なさがグッとくるんだけど。『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』を6歳の甥っ子は3歳の頃から大好きだけど、大人が見ると切なさがグッとくる感じっていうか… それはやっぱり毒があるから。

うーん。なんだか酷評してるみたいだけど、やっぱりおもしろかったし、好きではある。ティム・バートン×ジョニー・デップ×アリスとなれば期待値が上がってしまうっていうのもあるんだけど… ファンだから普通に見に行くつもりだったけど、宣伝などで煽り過ぎな気がしないでもない。まぁ、普段あまり映画を見ない人にも見てもらわないと、大ヒットにはならないわけなんで、映画会社としては興味を引くように宣伝するのは当然なんだけど、どうにも『シャッター アイランド』にしても煽り過ぎ。「世界はもうまともではいられない」というけど、意外とまともだからね(笑)

ただ、19歳という大人でもない子供でもない時期に、将来の選択を迫られたアリスが、アンダーランドでの冒険を通して成長する物語としても、王道ではあるけど良く出来ている。王道を踏襲しながら、サラリと描いているので、押しつけがましくないので、すんなり入ってくる。この辺りのさじ加減はさすがに上手いなと思う。ビジュアル的にもやや抑えめな気はしたけど、原作(映画はオリジナルだけど)ファンでも満足できるんじゃないかと思う。その中にバートン・テイストが上手くミックスされている。実は帽子屋が肌が真っ白で赤毛なのは、当時帽子を作るのに水銀を使っていたそうで、水銀中毒の症状なのだそう。ジョニデの役であるマッドハッターはMad as hatter(帽子屋のように狂ってる)からきてるけど、これも水銀中毒によるものなんだとか。映画の帽子屋は身を守るために狂ったふりをしているのだけれど。ニタニタ笑いのチェシャ猫は原作どおりな気がするけどどうだろう? 個人的に好きだったのは、アリスを諭すイモ虫。青っていうのがグッときた! この声はアラン・リックマン。さすがの存在感。

アリスのドレスがカワイイ! 「『アリス・イン・ワンダーランド』の世界展」でも見た、最初に着てた水色のドレスはまだ少女っぽい。ボタンで留めるブーツカバーの見える足首丈。アリスといえばディズニーの水色のパフスリーブのワンピースに白いエプロン(?)というイメージ。そのイメージから水色なのかなとも思うけど、この色と小さなパフスリーブが、アリスがまだ少女であることを表している。だから、婚約者になるかもしれない相手のことより、ウサギの方が気になってしまう彼女が、プロポーズされることに違和感を感じる手助けになっている。それは相手がイケてないからじゃなくて、アリスがまだ少女だから。まぁ、ホントにイケてないけど(笑) その衣装はウサギ穴に落ちて、大きくなり過ぎたり、小さくなったりして着れなくなる。そんな彼女のためにマッドハッターが作ったドレスは袖のない肩出しドレス。この時代の女性は着たことないスタイルに違いない。でもカワイイ。同じ布で作った靴がイイ。そして、とうとう甲冑に身を包む。そこに至るまでの服の感じが、アリスの成長を表している。赤の女王のドレスも、白の女王のドレスも「~世界展」で見たけど、やっぱり実際着用されて動いていると印象が違う。赤の女王の衣装は、赤と黒でトランプ柄モチーフだけど、悪趣味ではない。悪役にしては意外におとなしめ。白の女王はその名のとおり、ウェディングドレスのような純白ドレス。でも、スゴイ毒々しい口紅。それが、いい人に見えて実は…ということの伏線になっている。

他キャラは三月ウサギにしてもそんなに作り過ぎていない。ディズニーのキャラに忠実なのかなという気もしたけど、あんまりハッキリ覚えていない(笑) 赤のトランプの兵隊がカッコイイ! 「~世界展」で気に入った真ん中に顔がある花は、思ったより毒がなかったかな。赤の女王の巨大な頭はイイ。あとサザエさんがお化粧した時みたいなおちょぼ口口紅(笑) 彼女に取り入るため、どこかしらを人より大きくしているおとりまきが、実はっていうのはおもしろい。ラスボス、ジャバウォッキーは結構怖い。『ロード・オブ・ザ・リング』のバルログの方が怖いけど(笑) でも、こっちの方が好き。だって声がサー・クリストファー・リーだから! やっぱりバートン作品にはリー様がいないとね。あの渋い低音で、演じてらっしゃった。



キャストはバートン作品常連ばかりな感じなので、安心感はある。赤の女王ヘレナ・ボナム・カーターはいつもイライラして「首をはねておしまい!」と言いつつも、庭で大きくなってしまったアリスをかわいがる感じなんかは、とっても淋しくてかわいそうな人という役作り。それが悪役としては若干弱かったので、作品全体の毒を薄めてしまった感はあるけど、ラストの滑稽だけど悲しいって感じさせることが、この作品最大の毒を引き立たせている。その辺りはやっぱり上手い。ただ哀しさで言ったら『スウィニー・トッド』の夫人の方が全然良かったけれど、作品自体にあそこまでの毒はないので、それはしかたなし。白の女王アン・ハサウェイはカワイイ女優さんというイメージ。出演作品って見たことあったかな… 何故かずっと小指を立てて、肘を曲げて手を広げたポーズをしている。厚めの唇に黒っぽい赤の口紅。ニコニコしながら毒を吐く感じや、実の姉に下した判決は"死刑"より酷いんじゃないのかという点で、実はこちらの方がくせ者であるという部分も、何となく迫力不足だったかなという気はする。バートン作品としては、実はくせ者であるとか、実は悲しい人であるとかが重要で、しかもできればここはなるべくサラリと、でも大袈裟にやって欲しいのだけど、ちょっとそれは荷が重かったかな… 下手ではないんだけど。クスッとかニヤリとかいう感覚で、その毒を見たいので。

アリスのミア・ワシコウスカがカワイイ。ホントにあの時代の良家のお嬢さんみたい。実は強くて熱く、自分の意志をちゃんと持っているけど、それはよくないことだと言われているため、自信が持てないでいる感じが、クラシカルな顔立ちに合っている。演技は正直、特別上手いと思わなかったけど、バートン監督の毒を担うのはなかなか大変なので仕方ないかも。原作ファンの方にはこのアリスが、あのアリスの19歳の姿としてどう感じられるのか分からないけど、この作品のアリスとしてはよかったと思う。ジャバウォッキーに立ち向かう時ですら、不安顔なのがいい。でもCGを駆使した戦いぶりはスゴイけど(笑)

帽子屋ジョニデはやっぱり上手い。バートン作品の中でも、エドワード・シザーハンズ以来のビックリな外見だけど、内面はかなりまとも。白の女王の軍勢を率いて先頭に立って戦ったりもする。ジャック・スパロウも戦ってたけど。正義のために皆で突撃みたいなジョニデって初めて見る気がする。あのいでたちってこともあるけど、何となく違和感(笑) でも、辛い記憶が甦って呆然としてしまった時の表情とか、アリスに勇気づけられた時の笑顔が、なんだか子供みたいで母性本能をくすぐるのはさすが! あの衣装を着て真面目に演技して、感動させるのもジョニデぐらいでしょう(笑)

このアリスがマッドハッターを勇気づける言葉「あなたは変人だけど、優れた人はみんな変わっている」というのは、アリスが亡き父に言われた言葉。これはいい。それは"個性"と称してて奇抜なことをすることではなくて、自分の内から自然に出てきた発想や気持ちこそが個性であるということ。人と変わっていることがコンプレックスでもあるアリスにとって、変わってないと言われるより、変わっていていいんだって言われることは、何より救いになると思う。これこそ、この作品でバートン監督の言いたいことなんだと思う。

と… 気づけば長文(笑) 何度も書くけど、バートン監督がアリスを撮るなら、もう少し"まともでない" 感じになるのかと思っていたので、物足りない気もするけれど、それはバートン×ジョニデゆえのハードルの高さであって、やっぱり飽きないし楽しい。ポップで毒のある画も、いつもほどではないけれど、アリスの世界をバートン調にしてはいる。ラストやけにあっさりしてしまうけど、ホントに言いたいことは成長後ではないのでいいのかも。バートン作品初めての人には見やすいかも。ダニー・エルフマンの曲がイイ!

『アバター』は見ていないので、3D映画は初めて。ホントに立体なのでビックリ。マッドハッターが立体で見れてうれしかった! IMAXで見たい!


『アリス・イン・ワンダーランド』Official site

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【Googleのロゴ】Earth Day Tokyo 2010

2010-04-23 01:00:47 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに!



Earth Day Tokyo 2010

これはセンスいい! よーく見るとGoogleの文字が見える。

4月22日はアースデイだったのだそう。

Earth Day Tokyo 2010の公式サイトによると、
アースデイとは1970年にG・ネルソン上院議員が、
4月22日を"地球の日"であると宣言したことにより誕生。

最初のアースデイは、延べ2000万人以上の人びとが何らかの形で、
地球への関心を表現するアメリカ史上最大のユニークで多彩なイベントとなったとのこと。

Earth Day Tokyo 2010

4月も終わりに近づいているのに、この寒さ・・・
やっぱり地球おかしくなってるのかな?
少しは地球について考えないといけないのかもしれない。



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【cinema】『シャッターアイランド』(試写会)

2010-04-10 00:09:23 | cinema
'10.04.01 『シャッター アイランド』(試写会)@中野サンプラザ

yaplogで当選。いつもありがとうございます。これは予告編見た時から見たかった。今回は"超吹替え版"とのことで、日本語吹替えでの鑑賞。普段、吹替えではめったに見ないので、どんな感じなのか楽しみ。決算期なので行けるか心配だったけど、頑張って行ってきた。18:15中野着。サンプラザ前は長蛇の列! 入れるのか心配したけど、中に入ってみれば空席もあるくらいで、左端ではあるけれど無事2階席最前を確保。

*ネタバレすると思います(笑)

「ボストン沖に浮かぶシャッターアイランド。精神病犯罪者を収容した厳戒体制の施設から、1人の女性が失踪した。連邦保安官のテディは、島に入り捜査を開始するが、誰もが本当のことを言わず、何かを隠している様子。嵐で島に閉じ込められたテディは、本来の目的である妻を殺害した放火犯レディスを捜すが…」という話。原作は『ミスティック・リバー』のデニス・ルヘイン、監督はマーティン・スコセッシ。サスペンスものではあるけれど、チラシなどで宣伝されているとおりオチがある。終演後配られた"謎解きチェックシート"にも幾つかポイントが書かれていたけれど、そのオチに結びつく伏線もきちんと張りつつ、失踪した女性の謎や、放火犯レディスの行方、島で行われていること、大きな陰謀の疑い、そしてテディの過去など、様々な要素が盛り込まれていて、飽きさせない。度々盛り込まれる回想シーンやテディの悪夢など、少し混乱する部分もあるけれど、上手くまとめられているので、オチまで一気に見てしまう。おもしろかった。

まずは"超吹替え版"について。確かに最近、字幕についていろいろ言われることが多いように思う。以前に比べれば英語が分かる人はずいぶん増えたし、原作のあるものは読み込んでいるファンも多い。翻訳者の意訳で字幕をつけてしまうと、違和感を感じてしまう。事実『ロード・オブ・ザ・リング』は原作ファンには吹替え版の方が評判が良かったりする。かといって、忠実に訳そうとしてあまりに長いと字幕を追うのに精一杯で映画に集中できなくなってしまう。吹替えならば情報をたくさん入れられるので、謎解きサスペンスなどにはいいのではないかということで、今回の"超吹替え版"となったらしい。うーん。確かに謎解きには集中できるのだけど、主演のレオナルド・ディカプリオをはじめ、マーク・ラファロ、ベン・キングスレー、マックス・フォン・シドーなどの名優の演技を聞きたいかも。そして刑事モノだからといってマーク・ラファロが「~っすよ」って話すのはなんか違うかな。まぁ、それも伏線ならいいと思うのだけど… 字幕を追う必要がないので、画面に集中できるのは確かなんだけど、字幕版で見ると違う映画のように感じるような気もする。

オチについては明記するのはやめておくけど、この手の精神病がらみの捜査モノを何本か見ていれば、何となく想像がつくと思う。"謎解きチェックシート"には、オチについては秘密にしておいて欲しいと書いてあったし、映画としてもやっぱりそこが見せ場ではあるけれど、その事実自体にはそんなに衝撃は受けなかった。そうなった背景については、細かい部分までは分からなかったけれど、見せられていたこととは違う側面があるのだろうと思っていたし、これもまた衝撃的ではなかった。前にも書いたけど、オチにしても、背景にしても特別目新しくはない。そこに至るまでの過程自体も見たこともある気がするけど、その描き方が上手いので、混乱はするけれど飽きたりはしない。もちろん作品の構成上オチは重要なので、そこでビックリしてくれないと意味がないだろうけれど、見せたいのはそこじゃない。見せたいのはテディと一緒に味わう混乱。そして、冒頭に説明されたとおり"錯覚"。

こういう作品の特性として、後から考えると別の真実が見えてきたり、伏線だったんだと分かったりすることは多い。そのいくつかは"謎解きチェックシート"に書いてあったりするけれど、個人的にヒントになったのはテディが度々見る悪夢と、嵐で島に閉じ込められてしまうところ。これを書いてしまうとネタバレになってしまう気がするけど、見終わった後、語り口は違うけど『アイデンティティ』に似ているなと思ったので。多分、治療法としてあるのかなと… でも、嵐まで起こしたのかな? どこまで、見ていたことが真実なのか… 冒頭に両側が矢印状になっている直線と、その矢印部分が逆を向いた直線が映し出される、目の錯覚の例としてよく見かけるアレ。実は2本は同じ長さ。でも、矢印状の方が短く感じる。要するに人間は錯覚するし、見たいものしか見ていないという説明が入る。なるほど。その通り(笑) オチ自体は分かっても、アレは実はこういうことだったのかと、正解をいちいち説明してくれるわけではないけど、自分で納得できるのも楽しい。でももしかしたら、そのオチにしちゃえば何でもありじゃんと感じる人もいるかも。個人的にもちょっとそんな気がしないでもないけど、むしろ見ている時に感じた違和感が解消されて納得したりする。例えば、車に乗っているシーンで、窓の外の景色が妙に合成っぽい感じとか。なるほど現実じゃないからなのかと思ったりする。まぁ、深読みし過ぎで、実は浮いてしまっただけかもしれないけれど(笑) でも、多分狙いなんだと思うんだけどな。

1954年が舞台となっている。いくつか見るテディの悪夢のうちの1つは第二次大戦中の記憶。ナチスの強制収容所の解放に立ち会った。そして、度々出てくる妻の幻影。夢の中の妻はいつも悲しそうで、なぜか濡れている。妻がテディがアルコール依存症であるかのようなことを口にするし、彼がお酒をあおっているシーンも出て来る。それは伏線でもあるけど、PTSDを描きたいのかなと思ったりする。今だに戦争はなくなっていない。彼の戦争体験が、その後の人生において重大な影響を及ぼしたことは間違いない。アルコールに走ったのもそのためかと。それを押し付けがましくなく、描いている。これを書いてしまうのもネタバレなのかもしれないけれど、ここは重要な伏線。この伏線をしっかり描いているのに、サラリと見せているのが上手い。そういうネタを仕込む的なものから、主人公の性格描写など細かいところまで張り巡らされている。マーク・ラファロがいつも見守り目線なこととか…

この時代に設定したことの最大の理由は、戦後アメリカでさかんに行われたロボトミー手術のことを描きたかったんだと思う。ロボトミーというかわいらしいネーミングにも関わらず、手術自体は人権を無視したもの。ロボとはロボットとは関係なく、前頭葉とかの"葉"のことで、トミーとは"切断する"という意味なのだそう。こめかみ辺りに穴を開けて、脳の一部を切除する手術をすると、狂暴化した精神病患者がおとなしくなるとのことで、戦後のこの頃アメリカが中心となって研究が進められたのだそう。脳については今だに解明されていない部分が多い上に、手探りで行うかなり乱暴な手術だったらしく、今ではほとんど行われていない。実際に行われたと考えると人道的にどうかと思うけれど、映画の題材として取り上げたくなる気持ちは分かる。詳細については今回初めて調べたけれど、ロボトミー自体は以前から映画で見て知ってた。ジョニデ主演の『フロム・ヘル』でも、イアン・ホルムがロボトミー手術をされていた。この映画の中ではテディがこの島に来たホントの目的のうちの1つとなっていて、それが全体的に不安で不気味な感じを演出している。そして同時にオチから目を反らす役割も果たしている。ってこれもネタバレかな(笑)

周囲を海に囲まれた島。南北戦争時代の城塞を利用した病院。そこにいるのは精神を病んだ凶悪犯と、口裏を合わせるかのように真実を語らない職員達。失踪した女性。立ち入り禁止のC棟。ロボトミー手術。謎の灯台。テディの真の目的である放火犯の行方など、サスペンスとしての要素は多くて、やや混乱するけど、その混乱が狙い。混乱して見失ってもイライラしたり、飽きたりはしない。1954年が舞台ということもあって、レトロっぽい画なのもいい。何となくヒッチコックっぽい。前にも書いた車の外の画が浮いて見えるのも、あの時代の手作りの合成って感じを出してるのかなと思ったんだけど、考えすぎかな。でも灯台の螺旋階段はヒッチコックの『めまい』のオマージュだと思う。あの作品も錯覚や思い込みを利用した作品だった。

キャストについては、前にも書いたけど、かなり豪華。キャスティングが上手い。大体、ベン・キングスレーやマックス・フォン・シドーが、特異な精神病院の医師だと聞けば、これは何かしらやってるなと思ってしまう(笑) 2人とも怪演。ベン・キングスレーは人道的な意見を言いながら、実は非人道的なことをしているんじゃないかと思わせて、監督が見せたい方向に導いている。マックス・フォン・シドーはそんなに出演シーンは多くないけど、元ナチスの医師という、これまた怪しい人物を好演。マーク・ラファロは好き! 穏やかにテディを見守るかのような相棒チャックがとっても合ってるし、すごく好き。途中、ある疑念を持つような方向への導きがあるけど、それでも信じたからこそのオチなわけで、それはマーク・ラファロのたたずまいのおかげかなと思う。最後まで彼だけはテディを見守り続ける感じもいい。レオナルド・ディカプリオはかなりのガッチリ感でビックリ。けっこうアクション・シーンもあるし、かなり男くさい。正直、特別好みではないけど、『タイタニック』のジャック役以降の"レオ様"みたいなイメージがあったので驚いた。そもそもは『ギルバート・グレイプ』などで、若手演技派注目されたのに、レオ様と呼ばれ出した頃から、人気が先行してしまい、演技を評価されにくくなってしまった気がする。その辺りのことは本人も気にしているのかなと思う。そんな役作りな気がした。ベイビーフェイスなので、一時期は中途半端な感じになっていた(あくまで個人的見解)けど、この骨太路線がファンにも受け入れられれば、もともと演技は上手いわけだし、いろんな役が出来るんじゃないかな。って上からだけど(笑) 割といつもイライラしているけど、ところどころ伏線となる演技をしている。ラストの決意が哀しい。とはいえ… やっぱり吹替えだと半分は声優さんの演技になってしまう気がする。声優さんたちも良かったし、英語分からないんだけど(笑) でも、マックス・フォン・シドーはドイツ語訛りの英語を話してるらしく、それで彼の過去を暴いたりしてるのに、その辺りが吹替え版だと辛い(涙) そして、前にも書いた「~っすよ」が板についてないのは実は伏線なのかもしれないけど、でも、違和感を感じてしまうとなかなかぬぐえないからなぁ… ということで、役者の演技を楽しみたい作品についてはやっぱり字幕でみたいかも。

というわけで、作品の性質上出来るだけネタバレを避けたので、なんだかよく分からない感想になってしまっているけど、おもしろかった! よく考えるとつじつまが合ってなかったり、そのオチにしたからといって納得いかないぞという部分もある気がする。どこから人為的なのかとか。でも、個人的にはそういう部分は気にならなかった。テディの捜査は全然進まないし、後から考えると最終的には何が目的だったのか分からなくなる。でも、実はそれも伏線。そういうまとまらなかったことが、オチでふに落ちて、なおかつ後から思い出すと、あれはそういうことだったのかと気づいたりして楽しい。大人の謎解きサスペンス。謎は最初に思っていたのと違うけど…

サスペンス映画や、そもそも映画自体がそんなに好きではない人が、ディカプリオ目当てで行ってしまうとガッカリするかも。いろんな意味で意外に汚れてます(笑) ちょっとクラシカルな大人のサスペンスが見たい方はぜひ!

★追記★
他の方の記事を読んでみると、気づかなかったオチがさらにあるらしい! なるほど・・・ ラストの言葉、テディのある決意を示唆しているのだと思っていて、その決意自体は間違いないんだと思うけど、それにはもう一つ重大な意味があったらしい・・・ 全く気づかなかった(涙) まさに錯覚、そして思い込み。「見たいことしか見ない」ってなるほど! 参りました(笑)


『シャッター アイランド』Official site

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【cinema】『ヴィーラ ~踊るONE MORE NIGHT!』

2010-04-04 02:10:08 | cinema
'10.03.26 『ヴィーラ ~踊るONE MORE』@シアター・イメージ・フォーラム

これは見たかった! あのスーパースター ラジニ・カーントの還暦祝いだから(笑) 残念ながら最新作ではなく、1994年の作品だけど。未見なので見に行く。

「地方の村で音楽家の修業を受けたムトゥは、女手一つで育ててくれた母親の借金を返すため、マドラスで開かれた音楽コンテストに出場する。見事、優勝し借金を返済するため村に帰るが、最愛の婚約者が亡くなったと聞かされる。マドラスに戻り自分に恋する社長令嬢と結婚するが…」という話。インド映画といえば、インターミッションを挟んで、3時間ほどある長編がほとんどで、その中に恋愛、喜劇、悲劇、アクション、そしてミュージカルまで盛り込まれている。贅沢といえば贅沢だけど、たいていアレはどうなるんだ?という問題も、強引に収束して完結するという、とっても無理やりでゆるい作り。でも、それが楽しい。

インド映画を見るのは久しぶり。10数年前の『ムトゥ~踊るマハラジャ~』以来、しばらくインド映画ブームが続いたけど、最近はあまり新しい映画が来なくなってしまった。でも、インド映画ファンはたくさんいるので、インド映画祭などは毎年開かれているのだけど。今作の主演ラジニ・カーントは『ムトゥ~踊るマハラジャ~』の主人公ムトゥ。当時、インドではスーパースターで、ファンクラブ会員が10万人いると言われていた! そんな彼はスーパースターの宿命か、政界進出を期待されたみたいだけど、本人にその意志はなく、そのゴタゴタで映画界から遠ざかっていたけれど、日本公開5年ぶりとなった『チャンドラムキ』を見たのが、かれこれ4年前。この映画も最新作じゃないし、どうしているのだろうか?

ちょっと話がそれてしまった(笑) 話しの展開の強引さなんかは相変わらずで、それがインド映画の良さ。それは堪能できたんだけど、前作(個人的に見た順番として(笑))『チャンドラムキ』が、サスペンスとしても(私の中では)成立しててかなり良かったので、今作のテーマはちょっと軽くて、そこまでどっぷり浸れなかったかな。もちろん、歌あり踊りあり、笑いあり、悲劇もありながらハッピーエンドと、インド映画のセオリーはきっちり守っているのだけど。

ヴィーラというのは、音楽コンテストに出場するため、出てきたマドラスで出会った、調子のいい相方がつけたあだ名。名前を2つ持ったことが、伏線となっている。この相方役の人はラジニ映画ではよく見かける人。残念ながら名前は不明。音楽コンテストで優勝したヴィーラことムトゥは、歌手としてデビューする。そして歌手ヴィーラとして令嬢と結婚する。亡くなった婚約者を忘れられなかった彼も、令嬢の自分への思いに心打たれて幸せな生活を送っていた。そんな時、亡くなったはずの婚約者が現れる。医師によるとショックを与えると命にかかわる状態だという。どちらにも本当のことを言えない彼は二重生活を始めることになる。と、ここまでの中に、母の借金の為に音楽コンテストに出るという家族モノ、人気歌手になるというサクセス・ストーリー、令嬢に愛されるきっかけとなったヤクザ者とのアクション、悪ガキだった頃の青春モノ、音楽の師匠との修業シーン、婚約者との恋愛モノとそれを見せるためのミュージカル部分、婚約者が亡くなってしまう(死んでないけど)という悲劇、そして二重生活のドタバタ喜劇、そして再びヤクザ者との死闘を経て、ちょっと強引ながらもコメディータッチなハッピーエンディングと、とにかくいろんな要素が詰まっている。その混沌がインド映画であり、インドなのかも。

スーパースターは今回も彼の持ち味である胡散臭いけど、かわいらしくて憎めない感じを堪能。ホントに普通のオッサンなのだけど、彼が踊り出すとなぜかとってもセクシー(笑) 今年還暦とのことなので、この映画を撮った時40代半ば~後半。でも間違いなく20代~30代前半の役だからね(笑) いくらなんでも無理だろうと思うけど、その強引さが彼の魅力でもあり、インド映画でもある。彼を奪い合う女優2人は令嬢のロージャーが好みではなかったのが残念(涙) その分、婚約者役のミーナの愛らしさと美しさを堪能。一応これセレブ生活と、庶民の生活どっちが幸せ的なことも描きたいんだと思うけど、わがままな令嬢より清楚な婚約者がいいかなと思ったのもミーナの愛らしい中にもキリリとした演技と美しさのおかげ。インドの女優さんは美女ぞろいだけどミーナが一番好き。

よく考えると、ヴィーラ=ムトゥであると分かったから婚約者がマドラスに出てきたように思うので、そもそも二重生活が成り立たない気がするし、ラスボスとのトイレの中での死闘も、床に敷かれたふわふわしたケガ防止のシートを無いものとして進める感じが、インド映画の魅力の全てを現している気がして大好き。もちろんココで言う"インド映画"というのは、いわゆる『ムトゥ~踊るマハラジャ』以降、日本に紹介されたマサラムービーのことなので、文芸作品も撮られていると思うけれど…

というわけで、久々に見たインド映画は、二重生活というテーマが若干入り込めない部分もあったけれど、全ての要素が一気に楽しめる"インド映画"と、スーパースターを満喫。還暦おめでとうございます! 新作も見たいなぁ

しかし、イメージ・フォーラム寒すぎ! もう少し暖房入れてください(涙)


スーパースター & 整理券1番


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【Googleのロゴ】ハンス・クリスチャン・アンデルセン生誕205周年

2010-04-02 01:45:30 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに!



ハンス・クリスチャン・アンデルセン生誕205周年なのだそう! 205年ってなんか微妙・・・(笑)

もちろん知ってるけど、毎度の{サイド}Wikipediaで調べてみた!

ハンス・クリスチャン・アンデルセン( Hans Christian Andersen)は、
デンマークの代表的な童話作家、詩人である。

デンマークでは、Andersen が非常にありふれた姓であることから、
フルネームを略したH. C. Andersen(ホー・セー・アナス)と呼ばれる。

とのことで、詳細はWikipediaで!

Tillykke med fødselsdagen!



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