'07.06.20 『大日本人』@東劇
記念すべきCinema☆100本目は尊敬する松ちゃんの初監督作品『大日本人』 ちょっと狙いました(笑)
基本的にネタバレは避けたいと思っているので感想を書くときにはいつも言葉選びなどが難しかったりするけど、この映画の場合は特に難しい・・・。正直に言うといわゆる一般的な映画とはやはり違っていると思うから。この映画にもオチがあって、そういうシーンはきちんと存在する。だけどそのシーンっていうのはいわゆる映画のオチとは違っている。いや映画としてもオチてるんだけど、ただ松本人志のコントを見てきて、その感性とかが好きだったり分かっていたりしないと、このオチはまるで理解できないと思う。オチ部分についてはっきり書けないので何を言っているのか意味不明だと思うけど・・・。
多分、松ちゃんのコントの中でも「トカゲのおっさん」とか「ミラクルエース」とかああいった感じのコントが好きな人じゃないとキビシイと思う。あの気まずい、どこか切ない感じの言葉のやりとりとかその感じ。世間一般からは理解されず、どちらかといえば虐げられている存在。その人物がとつとつと自己主張しているのを聞かされる。言っていることは分かる、でもやっぱり違うかなと思う。その感じを笑う感じ。切ない笑い。それが松ちゃんの本当の笑いなんだと思う。でも実は、その感じは最後の15~20分のシーンとエンドロール部分を見せたいためのフリだったりする。なので、そこまで耐えられないとオチまでもたない。だけど、フリの部分で感じていた切なさや共感していた部分とオチがあまりにもギャップがある(ように見られると思われる)ので、理解不能になってしまう人もいると思う。
正直に言うとオチ部分だけを見せたかったのだとすれば映画である必要はなかったのかもしれない。以前から松ちゃんがしてきたようにDVDで発表するのでもよかったのかも。でも、敢えて映画にしたのはやっぱり自分の笑いというものを世間にアピールしたかったということはあるのだろう。ただ、やっぱり松ちゃんの笑いは少し高度なのだと思う。ひねりが効きすぎている。自分が優れていると言っているわけではないけど、昔から松ちゃんのコントを見てきたものとしてはラストまでのあの感じと、コメントが出てからのあのオチは全く違和感がないのだけど、最近のダウンタウンしか知らない人は理解できないと思う。カンヌでは新しいタイプの映画と称した記者もいたらしいけど、映画として新しいとは感じなかった。
松ちゃん演じる大佐藤大(だいさとうまさる)は大日本人という世襲制の仕事をしている。防衛庁の命を受けて電波を浴びて巨大化し、獣と呼ばれる怪獣と戦う。最盛期の4代目の頃はゴールデンで生中継されるくらい人気だったが、今は深夜枠においやられ、世間からはむしろ迷惑がられてさえいる。その感じは人気がある時だけ持ち上げて落ちてくれば徹底的に叩くマスコミや世間に対する皮肉だろう。大佐藤はテレビ番組と思われる密着取材を受けている。かなり突っ込まれた質問にもとつとつと答える。答えにくいところでは言葉に詰まったり、娘に会いに行く時にはうきうきと自分から話しかけてきたりする。その感じがおかしいし切ない。全ては書けないけれど大佐藤は悲しい人物だ。ただ大佐藤も頑なな部分があって、やっぱりその状況に陥るのは仕方がないのかと思う部分もある。その辺りも客観的にみればおかしくもあり切なくもある。大佐藤の家に石が投げ込まれるシーンの松ちゃんの表情は秀逸。何かを諦めて、でも決定的なことから逃げている人物にも見える。
CGで作られた獣も板尾創路、竹内力、神木隆之介などキャラ自身も楽しいしデザインがスゴイ! このデザイン感覚はトカゲのオッサンとか、浜ちゃんの部屋で卵を産むトカゲみたいとか以前からの松ちゃんテイスト。グロといえばグロだけど発想が素晴らしいと思う。特に板尾さんと原西の匂ウノ獣オスメスはエログロでおかしい。こういうデザインも理解できないとダメかも。巨大化する際に紫のパンツを用意する感じがおかしい(笑) 大佐藤の住んでいる家や中年男の1人暮らしの感じも切なくていい。とつとつと自分の仕事や生活を語る大佐藤。時に自分を少し大きく見せたりする。その仕事内容が変身してからの戦いなのだけど、それが上記のキャラとの対戦なのだからおかしい。でも、そのコントラストをおかしいと思えないと辛いと思う。
松本人志を尊敬している身としては久々に松ちゃんのコントを見れて楽しかったし、大佐藤のインタビューから感じた「世の中に受け入れられない自分」というのに共感したり、切なくなったり、疑問を持ったりと映画としても楽しめた。ただ、話題の映画しか見ないタイプの人(バカにしてはいません!)には松ちゃんの映画だからと話題性だけで見に行ったら全くつまらないと思う。私は多分DVDも買う(笑)
大佐藤の服とか髪型とかすごいかっこよかった。ちょっと'70年代な感じで。MJは多分それも狙いと言っていたらしいけど、私もMJ同様カッコイイと思ってしまった(笑) 雨のシーン(画像)での中村雅俊の曲の使い方も笑えた。ダイソンもツボ(笑)

↑大佐藤の手形とパンツ
『大日本人』Official site
記念すべきCinema☆100本目は尊敬する松ちゃんの初監督作品『大日本人』 ちょっと狙いました(笑)

多分、松ちゃんのコントの中でも「トカゲのおっさん」とか「ミラクルエース」とかああいった感じのコントが好きな人じゃないとキビシイと思う。あの気まずい、どこか切ない感じの言葉のやりとりとかその感じ。世間一般からは理解されず、どちらかといえば虐げられている存在。その人物がとつとつと自己主張しているのを聞かされる。言っていることは分かる、でもやっぱり違うかなと思う。その感じを笑う感じ。切ない笑い。それが松ちゃんの本当の笑いなんだと思う。でも実は、その感じは最後の15~20分のシーンとエンドロール部分を見せたいためのフリだったりする。なので、そこまで耐えられないとオチまでもたない。だけど、フリの部分で感じていた切なさや共感していた部分とオチがあまりにもギャップがある(ように見られると思われる)ので、理解不能になってしまう人もいると思う。
正直に言うとオチ部分だけを見せたかったのだとすれば映画である必要はなかったのかもしれない。以前から松ちゃんがしてきたようにDVDで発表するのでもよかったのかも。でも、敢えて映画にしたのはやっぱり自分の笑いというものを世間にアピールしたかったということはあるのだろう。ただ、やっぱり松ちゃんの笑いは少し高度なのだと思う。ひねりが効きすぎている。自分が優れていると言っているわけではないけど、昔から松ちゃんのコントを見てきたものとしてはラストまでのあの感じと、コメントが出てからのあのオチは全く違和感がないのだけど、最近のダウンタウンしか知らない人は理解できないと思う。カンヌでは新しいタイプの映画と称した記者もいたらしいけど、映画として新しいとは感じなかった。


松本人志を尊敬している身としては久々に松ちゃんのコントを見れて楽しかったし、大佐藤のインタビューから感じた「世の中に受け入れられない自分」というのに共感したり、切なくなったり、疑問を持ったりと映画としても楽しめた。ただ、話題の映画しか見ないタイプの人(バカにしてはいません!)には松ちゃんの映画だからと話題性だけで見に行ったら全くつまらないと思う。私は多分DVDも買う(笑)
大佐藤の服とか髪型とかすごいかっこよかった。ちょっと'70年代な感じで。MJは多分それも狙いと言っていたらしいけど、私もMJ同様カッコイイと思ってしまった(笑) 雨のシーン(画像)での中村雅俊の曲の使い方も笑えた。ダイソンもツボ(笑)

↑大佐藤の手形とパンツ
