【cinema】『ブロークン･フラワーズ』

'06.06.28 Tと『ブロークンフラワーズ』@Q-AXシネマ

ずっと見たくてやっと見れた。「お金にも女性にも不自由せず気ままな独身生活を送るドン。ある日"あなたの息子がいます"という手紙が届く。友人のススメで昔の恋人達を訪ねる旅に出るが…」という話。ジャームッシュ節と言い切る程作品を見てないけど、『コーヒー&シガレッツ』でも感じたマッタリとしてるけど居心地悪い感じがおかしい。見る人を選ぶ作品とは思わないけど、ハッキリ結論が出たり、分かりやすい描写が好きな人(バカにしてはいない)は苦手かも。

ドン・ジョンストン(ドン・ジョンソンと聞き間違えられる小ネタあり)役のビル・マーレイ最高！ やる気のないダメ中年をやらせたら右に出る者なし。基本的に無表情。結構な割合で寝てるか、あらぬ方向をぼんやり眺めてる。それだけでおかしい（笑）友人ウィンストン役のジェフリー・ライトかいい。ヘタをするとウザくなりがちだけど、愛すべきキャラになってた。境遇も性格も正反対の2人の対比が上手いっていうのもあるけど…。ドンはお金持ちって設定なのに、ウィンストンが勝手に計画したツアーの飛行機がすべてエコノミーなのもツボ。エチオピア音楽(これイイ！)にのせて何度か映る機内で毎回居心地悪そうなビル・マーレイがおかしい。

4人の元恋人など女性達も魅力的。別れてから約20年、それぞれの人生を生きてきた。それが多くを語らなくてもちゃんと分かる。今では他人の人生に突然踏み込んでしまったことによる居心地の悪さや、居場所のなさを感じたりして、自分が年を取ったことなどに思い至る。それを少しのセリフとビル・マーレイの表情だけで見せる感じがいい。バックパッカーの青年との絡みもいい。認めるのを避けてきた孤独感が浮き彫りになる。

結論は出ないけどそれもまたいい。あれこれ説明されなくても伝わるものは伝わる。ハッキリ結論を出さないってことは、例えそれが作り手の言いたいことではなかったとしても、それぞれが感じたことが正解なんだってことなのでしょうし…。

ビル・マーレイのジャージ(たぶんFRED PERRY)姿だけでも見る価値ありのおかしさ。

『ブロークン･フラワーズ』

【cinema】『ダヴィンチ・コード』

'06.06.24 母親と『ダヴィンチ・コード』

今更説明するまでもないベストセラー作品の映画化。文庫版を最近読んだ。サスペンスとしては普通だったけど、ダヴィンチの絵画を使っての謎解きは面白かった。キリスト教についての謎解きも楽しかったし。キリスト教徒の人には冒涜なのでしょうが、無宗教の私には聖杯の件はともかく、少なくともイエスに関しては自然に思える。まぁ、あくまで作り物として…。ただ、これは映画についてのコメントなのであくまで映画のみの判断とする。

映画としては無難で面白くはない。原作を読んでしまっているので先が読めてしまい、サスペンス部分にドキドキ感がないのはコチラの都合なので仕方ない。それを差し引いても面白くないかも。原作ではルーブル館長の暗号の謎解きが一番楽しかったのに、かなりはしょっている上にあっさり解読してしまう。確かに全てを盛り込むのはムリだと思うし、そこにばかり時間をさけないのは分かるけど、その謎解きとキリスト教の謎がキモなわけで、そこが面白い部分だと思う。それに未読の人は分かりにくいんじゃないかと…。こだわり過ぎや説明過多は話を分かりにくくするし退屈なので、不要な部分は省くべきだとは思うけどアッサリし過ぎ。ラスト近くの教会の感動シーンも…。

トム・ハンクスはいつもどおり無難。作品ありきの映画では無難で当然なんだろうけど、面白くはない。原作にそんなに思い入れもないけどトム・ハンクスじゃない気がする。イアン・マッケランやアルフレッド・モリーナを使うならもう少し生かせなかったかな。原作もあんな感じだけど、どうせ少し変えてるんだから…。好演してるだけに残念。

無難に映像化しただけでサラーっとした印象。まぁ、原作ともども娯楽作品なのでそういう意味ではいいのかも。ベストセラーの映画化ってことで、万人向けに作るとこうなるってことでしょうか？ もともと捻くれてるので万人向け映画は合わないだけかも（笑）

『ダヴィンチ・コード』公式サイト

【MJ】「ボブ・ディランDVD発売イベント」

'06.06.23 TとBob Dylan Event

完全ご招待のBob Dylan DVD発売記念イベント。Bob Dylanの大ファンであるMJがご出演ってことで告知が来た。もちろん応募。見事に当選(喜) 張り切って行ってきた。

大変失礼とは思うけどBob Dylanにはあまり興味がないので、曲もほとんど知らない。MJの出番は20時頃とのことなので、会場のclub-Rと同じビル内のハンバーガーのお店で腹ごしらえしてから行く。100組200名ご招待なのでそんなに人もいない。ドリンクを引き換えてからでもステージ正面の位置をキープできた。

20:20頃MJ登場。ディランのスライドを流しつつトークするというもの。吉田拓郎がファンだからという理由で聴きまくり無理矢理ファンになったという話や、マニア仲間に言われて、同じアルバムを全世界版、もしくは再発の度に買うハメになった話などを披露。1stの仕様違いのジャケ写を何枚もスライドショー やっぱりおバカで素敵。

壁にディスプレイされたジャケットやポスターを提供された方(名前失念。ディランマニアの第一人者らしい（笑）)も加わりさらにトーク。最後に東京ディランによる熱唱で終了。曲名は不明…。

MJようにMJがファンだからといってディランファンになれない私は、真のMJファンではないのだろうか？(笑)

このままではBob Dylanに対して失礼すぎるので…

『NO DIRECTION HOME』 BOB DYLAN 2006.6.23 DVD RELEASE！

【cinema】『嫌われ松子の一生』

'06.06.10 KTと『嫌われ松子の一生』@六本木ヒルズ

前回の教訓を生かしKTがネット予約してくれて無事鑑賞。

タイトル通り「嫌われ松子」と呼ばれた女性の一生。転落転落の人生だけど、急にミュージカルになったりして、深刻には描いていない。前半はかなり壮絶なのにおかしくさえある。なので伊勢谷友介が出てくるあたりから涙が止まらなかった。

松子の悲劇は父親に愛されていないと思い込んでいたことにある。その空白を埋めるため男にすがる。これがことごとく… そういう男ばかり選んでしまうのか、そんな男にしてしまうのか。心から愛し愛されたのは伊勢谷だけだったと思うけど、2人ともあまりに不器用で傷つき過ぎた。それが悲しくて泣けた。

親友でさえ自ら遠ざけてしまう。精神学的に言えば病名とかあるんだろうけど、あくまで純粋で不器用な人に見える。それがおかしくもあり切なくもある。

中谷美紀良かった。監督とかなり揉めたらしいけど代表作でしょう。自らどんどん不幸になる松子を愛おしく感じるのは、監督や脚本の上手さもあるだろうけど、彼女の演技によるところが大きいと思う。柄本明が堅物で愛情表現の下手な父親を好演。松子のおどけた顔に思わず吹き出す表情がいい。こちらには充分愛情が感じられるのに、松子には伝わらない。でも、そんなものなのかもしれない。人の本当の気持ちは分からない。

親友役の黒沢あすかカッコイイ（笑）伊勢谷は『キャシャーン』(見てしまった（笑）)の時は正直下手だと思ったけど、今回は繊細な感じが良かったかも。劇団ひとりはキャラまんまだけどいい。他にも意外な人がチラリと出演してる。スカパラの谷中さんがコートひるがえして去っていく姿イイ！

唐突なミュージカルシーンや、妄想シーン、クセになってしまったおバカ表情など、悲惨な松子の人生がコミカルに描かれているので楽に見れた。正攻法で見せるほど破天荒な人生でもない。あざといくらいやり過ぎな場面も、重い場面との緩急が絶妙でいい。ギャグに見えるベランダシーンも松子の生への執着が一瞬で分かる。そういうのがいい。

楽しくてせつなくてイイ。

『嫌われ松子の一生』公式サイト

【cinema】『花よりもなほ』

'06.06.04 KTと『花よりもなほ』

『嫌われ松子』を見に行ったら立見！ こっちを見る。

「父の仇討ちを果たすため江戸で長屋暮らしをする青木宗左衛門。次第に仇討ちに意義を見出だせなくなり…」という話。いろいろ伏線が張ってあって楽しかった。同じ長屋に『忠臣蔵』の赤穂浪士も潜伏しているという設定。潜伏中なので誰なのかは不明、後から分かるとニヤリ。私は『忠臣蔵』好きなので（笑）タイトル『花よりもなほ』も忠臣蔵だし。赤穂浪士の仇討ちと、宗左衛門の仇討ちとの対比もいい。そもそも時代劇を作るというより、時代劇パロディーを作ろうとしたのじゃないかという気さえする。

古田新太がよかった。いい加減な感じで。「あ！ 腸！」は最高。ダチョウの竜ちゃんや千原兄も演技はイマヒトツだけどキャラとしてはあり。キム兄の役はよく分からなかった。少々足りないという設定なんだろうけど、意外にちゃんとしてたり…。 キム兄を使うなら古田新太の役じゃないかと思う。でも古田新太の方が適役。キム兄の役は荒川良々がよいかと…。 やさぐれ男そで吉の加瀬亮もよかった。『スクラップ・ヘブン』と印象が違うので誰だか分からなかった。暗い過去を持つ陰のある人物だけど、線の細い感じとあってていい。岡田くんはこの役合ってると思った。実際どんな人とか知らないけど、役柄のままなんじゃないかという気がする。どの程度演技なのかは微妙だけどこの起用は合ってると思う。

江戸の風情とか、長屋の感じとか、そこに暮らす一癖も二癖もある人々もおかしくて、役者の個性と合っていてよかった。宮沢りえ美しい。長屋暮らしにしては品があり身ぎれい過ぎると思っていたけとオチがあって納得。

宗左衛門の仇討ちはおかしかった。父の期待に応えられなかったという思いと、仇の暮らしを見つめるうちに芽生えるある思い。その葛藤の末にアレなのがいい。現代の若者の面倒なことは避けたいって感じにも通じるし、根底に「命の重さ」っていうテーマがあるのも分かる。大々的に言われると胡散臭いけど、軽いタッチで描かれているので見やすい。まぁ、軽くないと素直に見れないのもどうかと思うけど…。感動って感じではないけど、爽やかな気分になった。

『花よりもなほ』公式サイト

【nephews】甥っ子×2来襲！

'06.06.03 甥っ子Tちゃん&Kちゃん

甥っ子TちゃんとKちゃんがやって来た。生後2週間もたってないKちゃんはホントに小さい。正直、車に乗せて大丈夫なのか？とちと心配。

Tちゃんは弟をまだどう認識していいのか分からないとうような状態。でもKちゃんが泣き出すと「赤ちゃん泣いちゃった」なんて言ったりする。なんとなくママを取られちゃった感があるのか、弟の傍に行ったりしないけど気にはなる様子。

もうちょっといたかったけど、久々にアカスリに行く予定があったので3時に家を出てしまった…。後から母親に聞いたところによると、眠くなったTちゃんは、母乳を与えているママに「おかしゃん、だっこ・・・」と言いながら眠ってしまったとのこと…。切ない(涙)