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【cinema】『キャッツ』

2020-01-31 00:57:00 | cinema

2020.01.24 『キャッツ』鑑賞@TOHOシネマズ楽天地

 

「キャッツ」は劇団四季版を10回以上鑑賞しているし、スタジオ収録版Blu-rayも何度も見ている大好きなミュージカル。実写化されると聞き、とても楽しみにしていたのだけど、公開日が近づいてくるにつれ聞こえて来る不評の数々。そしてビジュアルを見るにつけ不安でいっぱいに😅 でも、ムビチケ買っちゃったので公開初日に見に行ってきた。

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「ロンドンの街角に捨てられた子猫ヴィクトリアは、ジェリクルキャッツと名乗る猫たちに導かれ、天上に昇る猫を決めるジェリクルボールに参加するが・・・」という感じですかね。これは・・・ 楽曲と役者たちの演技や歌唱がいいので後半盛り返したけれど、正直前半はちょっと無理かもと思った😅 大好きなミュージカルの映画化作品としてコレが残ってしまうというのは、個人的にちょっと残念😢

 

個人的に残念ではあるもの「キャッツ」自体のことを良く知らずに見て、ストーリーがないとか、ミュージカルが苦手だという理由で酷評されるのは悲しい😢 なので、そもそも「キャッツ」に明確なストーリーはないこと、そしてミュージカル作品の映画化だということは知っておいて欲しいと思う。

 

そもそものミュージカル作品について詳しくはWikipediaを見て頂くとして、サラリと書いておくと「キャッツ」はイギリスの詩人T.S.エリオットの詩集「キャッツ ー ポッサムおじさんの猫とつきあう方法」の詩にアンドリュー・ロイド=ウェバーが曲をつけたもの。なのでもともと物語があるわけではないし、主役がいるわけでもない。おそらくミュージカル化するにあたり転生する猫を選ぶというストーリー的なものを考え、その猫としてグリザベラを設定したということなのだと思う。

 

1981年5月11日にロンドンで初演。実は初演時グリザベラ役は今作にオールドデュトロノミー役で出演しているジュディ・デンチだった。でも、直前にケガをしてしまい、代役としてエレイン・ペイジが出演したという経緯がある。日本では劇団四季が1983年に初演。どうやら劇団四季版は海外とは違うオリジナルの猫がいたりと、独自の変化を遂げているらしい。自分は劇団四季版しか見ていないので分からないのだけど、詳しい方によるとダンスシーンなども違っているらしい?🤔

 

というわけで、今作がミュージカルなのはそもそもミュージカル作品を映画化したからであり、ストーリーがないのはそもそもストーリがないから。

 

トム・フーパー監督作品。監督の作品は『英国王のスピーチ』(感想はコチラ)『レ・ミゼラブル』(感想はコチラ)『リリーのすべて』(感想はコチラ)を見ている。全て良かったけれど、今作にあたり心配だったのは『レ・ミゼラブル』のあえての作り物感のセットやビジュアルが苦手だったため😣 作品の持っている力と俳優の演技は良かったし、良いと感じる演出もあった。例えばパリに巨大な象の像があったのは事実らしく、その辺り忠実に再現しているのかもしれないけれど、前述したように作り物感のある映像が自分の好みに合わなかった。とはいえ、それは個人的な感想ではあるのだけど、残念ながら今作ではさらにその合わなさが増していた。2作とも自分にとって思い入れの強い作品ということもあると思う。

 

映画について毎度のWikipediaから引用しておく。『キャッツ』(Cats)は、T・S・エリオットの『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』に基づいた同名のミュージカル劇を原作とした2019年のイギリス・アメリカ合衆国のミュージカル・ファンタジー・コメディ・ドラマ映画。監督はトム・フーパーであり、彼にとっては『レ・ミゼラブル』以来2度目のミュージカルとなる。出演はジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワードらである。

 

ユニバーサル・ピクチャーズ配給で2019年12月20日にアメリカ、イギリスを皮切りに約40か国で公開された。批評家からはCGI効果、プロット、トーンを根拠に酷評され、2019年で最悪の1本との声も挙がっている。また商業的にも失敗し、1億ドルに近い製作費に対して2020年1月21日時点での興行収入は6100万ドルとなっている。

 

1990年代にミュージカルを原作としたアニメ映画がアンブリメーションによって計画されたが、スタジオの閉鎖により廃案となった。2013年12月、ミュージカル劇『キャッツ』の作者・作曲者であるアンドルー・ロイド・ウェバーはユニバーサル・スタジオは数年前に映画化権を獲得し、積極的に企画を進めていることをほのめかした。2016年2月、トム・フーパーが監督交渉中であり、またスキ・ウォーターハウスなどが出演者として構想されていることが報じられた。2016年5月、フーパーは監督に就任した。2018年1月、フーパーとワーキング・タイトルは正式にキャスティングを開始し、またその一方で映画を完全に実写にするか、CGで作るか、あるいはその両方の混合作品にするのかという技術的側面についても検討し、さらにアンドルー・ロイド・ウェバーが映画化の際に新曲を書き下ろすことを発表した。

 

2018年7月、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジェームズ・コーデン、イアン・マッケランがキャストに加わった。スウィフトは以前にフーパーの『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役のテストを受けていたが、今回はオーディション無しでボンバルリーナ役を得た。2018年10月、さらにイドリス・エルバとジュディ・デンチがキャストに加わった。デンチはかつてオリジナルの舞台ミュージカルにキャスティングされていたがアキレス腱断裂により降板しており、ロイド・ウェバーとフーパーはこの映画でオールド・デュトロノミーを女性にして彼女に役をオファーした。2018年11月、バレーダンサーのフランチェスカ・ヘイワードとスティーヴン・マックレーの他、レベル・ウィルソン、ジェイソン・デルーロ、ロバート・フェアチャイルドがキャストに加わり、イングランドのハートフォードシャーのリーブスデン・スタジオでリハーサルが行われた。

 

2019年7月18日に最初の予告編が公開され、多くの視聴者から否定的な反応を受けた。映画の上映開始初期には多くのCGIの失敗と不具合が含まれていた。ジュディ・デンチのキャラクターの猫の足の代わりに彼女自身の人間の手が結婚指輪付きで見える場面などが例に挙げられている。

 

2020年1月20日時点でアメリカ合衆国及びカナダでの興行収入は2680万ドル、その他の地域で3480万ドル、全世界で6160万ドルに達している。スタジオの損失は7100万ドルから1億ドルにのぼると見積もられている。レビュー・アグリゲーター・ウェブサイトのRotten Tomatoesでは272件のレビューで支持率は19%、平均点は3.77/10となった。Metacriticでは50件の批評で加重平均値は32/100と示された。

 

この後、延々と評判が悪いという内容が続くので引用は控える。とはいえ、ここまででも十分酷評ばかりだけれど😅 なんだかちょっとかわいそうになってきてしまったけれど、残念ながら自分も不満点を書かざるを得ないというのが正直なところ。

 

今作を作るにあたり、トム・フーパー監督はじめとした映画製作者サイドと、アンドリュー・ロイド=ウェバーはじめとした版権者(っていうのかな?)と、どの程度話し合いがなされて、どのような方向性で映画を作ろうということになったのかは不明なのだけど、映画化にあたり分かりやすくするため主人公を設定し、主人公が体験する形である程度のストーリー性を持たせたこと、キャラ変更があったこと、いくつかシーンが抜けているなどを除けば、基本元のミュージカル作品に忠実な展開になっている。「キャッツ」のファンとしては喜ばしいことではあるけれど、それが逆に映画化の足かせになったかなとも思える。自分含めて酷評しているけれど、「キャッツ」を映画するのはかなり大変な作業だったと思う。その辺り含めて、感想を書いていきたいと思う😌

 

overture

overtureが流れて映画が始まる。このシークエンスで舞台となるロンドンの街角が映し出されるのだけど、このビジュアル自体が自分的に好みではなかった。後のシーンでビッグベンやテムズ川が映りロンドンであることが分かるのだけど、ほとんどの場面で特にロンドンとは感じなかった。別にロンドンである必要はないのだけど、時代設定もよく分からない感じ。クラシカルな感じもするけど、ネオンサイン見えたりもする。とにかく全てがセットもしくはCGであって、ロケは一切行っていない様子。セット感満載でもCG多用であっても好きなビジュアルもあるのだけど、今回は全く合わなかった😭 これは個人的な好みだからしかたがない。好きな人ももちろんいると思う。

 

overtureの間に一台の車がやって来る。クラシカルなヒールを履いた足が白い袋を持って車を降りる。そして、その袋を投げ捨て車に戻り、車は去って行く。その様子を遠巻きに見ていた猫たちが集まって来る。すると白い袋はもぞもぞと動く。猫たちが引っかいたりすると、袋が破けて中から子猫が現れる。この猫はヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)で、ここに捨てられてしまったのだった。

 

Prologue: Jellicle Songs for Jellicle Cats / The Naming of Cats / The Invitation to the Jellicle Ball

ヴィクトリアを取り囲んだ猫たちは、リーダー格のマンカストラップ(ロビー・フェアチャイルド)やマジシャン猫ミストフェリーズ(ローリー・デヴィッドソン)らを中心に、自分たちはジェリクルキャッツだと名乗り、自分たちについてや、猫には特別な名前が必要であると語る。舞台ではJellicle Songs for Jellicle Catsから、歌って踊ってで一気にキャッツの世界に引き込まれるシーン。なのだけど、自分的に大きな違和感を覚えてしまったため、その後の全てのダンスシーンが作り物のように感じてしまった。

 

今作が不評な一番の理由は猫たちのビジュアルにあると思う。体を覆いつくす毛をCGで表現していて、耳や尻尾の動きも猫をよく研究して再現されていると思う。そこにメイクをした人間の顔が埋め込まれているような形になっているため、不気味なことになってしまっている。しかも、手と足は人間のままでペイントしてある。手はともかく足指が見えているのが自分的には苦手だった😫 手と足は猫のかわいさポイントの1つだからね。とはいえ、このビジュアルは見ているうちに慣れてはくる。のだけど・・・

 

前述したように体をCGにしてしまったことで、役者たちのボディラインが隠れてしまい、ダンスシーンが美しく見えない。製作陣としてはどこまで猫に寄せるか悩みどころだったのではないかと思うけど、おそらく猫っぽさを出すために腰のあたりに丸みをもたせたため、全体的にボッタリしたラインが美しくなく、せっかくの踊りが生きていないように感じた。個人的に一番致命的だったのは、例えばセットからセットに飛び移るシーンに明らかに分かるCGを使っているため、全てのダンスシーンで役者たちが超絶技巧を披露してもCGに見えてしまう。これはダメでしょう😫

 

さらに、前半は猫目線のようなカメラワークが入っていたり、作品全体にカット割りが多く落ち着かないため、カメラ酔いしそうになった。中盤のThe Jellicle Ballのシーンで特に感じたことのなのだけど、ダンスの動作が終わらないうちにカット割りして別のシーンに映ってしまうため消化不良。ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードは英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルなわけだから、当然ながらバレエ的な動きをしているわけで、例えばグランジュッテは踏み切って空中姿勢で終わってしまうのだけど、バレエの動きとしては着地してポーズまでが一つの動きなわけで、その余韻が全くない。例えばフィギュアスケートで言えば、ジャンプの入り、空中姿勢、高さ、幅、そして着地してからの流れを見て採点されるわけで、それはその一連の動きが一つのジャンプということ。途中もしくは、着地した瞬間に別のカットに移ってしまうので、見ている側としてはとってもストレス。

 

何故くどくど書いているかというと、前述したとおり「キャッツ」には明確なストーリーがないため、ダンスの比重がとても高いミュージカルとなっているから。例えば「レ・ミゼラブル」は、ほとんど踊らない。ジェローム・ロビンスが手掛けた「ウェスト・サイド・ストーリー」でも、ダンスシーンは芝居の間に入って来る形。でも「キャッツ」は作品の90%くらいが歌って踊っているミュージカル。この辺りをどうするのかっていうのも難しい点ではあったと思うのだけど、ダンスシーンでストレスを感じさせてはダメでしょう。

 

The Old Gumbie Cat / The Rum Tum Tugger
そういう意味ではThe Old Gumbie Catの部分ではダンスというよりも、ビジュアル重視という感じで楽しいシーンにしようという印象は受けた。人間サイズのキッチンなどは自分の好みとは違っていても、なかなかおもしろかった。ジェニエニドッツのレベル・ウィルソンの歌はあまり上手いと思わなかったし、コメディエンヌでもあるけれど、正直あまり笑えなかった。この時点では猫ビジュアルに慣れていなかったのもあるし、舞台では猫たちが演じるネズミも擬人化しているためちょっと不気味だったこともある😅
 
 
ラム・タム・タガーのビジュアルは四季版を見慣れている身としては、思っていたのと違かったけど、ジェイソン・デルーロは歌も上手かったし、なかなか楽しかったと思う。
 
 
Bustopher Jones
個人的に楽しみにしていたジェームズ・コーデンのバストファージョーンズ。劇団四季の舞台版を見慣れている者としてビジュアル面で舞台版と一番近かったのはバストファージョーンズかも。ジェームズ・コーデンがとても合っている。ただ、笑わせようとしている部分が自分に全く合わなかった💦 ジェームズ・コーデンをそんなに良く知っているわけではないのだけど、例えばインスタで見た路上で「オペラ座の怪人」のパロディやっちゃう感じとかとても好きなのだけど、変に下ネタって感じで😅 
 
 
あと、このシーンでゴミ箱を倒して、残飯を猫たちが食べるシーンがあるのだけど、これがもう気持ち悪くて🤮 リアルではなくて作り物感のあるお肉などで、野良猫たちの過酷な生活を見せる意味もあるのかもしれないけれど、個人的にちょっと悪趣味に感じた。
 
 
Mungojerrie and Rumpelteazer
映画ならでわで良いなと思ったシーンは、Mungojerrie and Rumpelteazerのシーン。オス猫とメス猫の泥棒カップル。舞台版では2匹だけで歌い踊るのだけど、映画版ではヴィクトリアがマンゴジェリー(ダニー・コリンズ)
とランペルティーザ(ナオイム・モーガン)に引っ張られるような形で、お金持ちの人間のお屋敷に忍び込んで、歌ったり踊ったりベッドに飛び移ったりと大はしゃぎで、これはとても楽しいシーンだった。階段でのヴィクトリアのアントルシャカトルは、もう少し引きではない画で見たかったけれど。このシークエンスで人間のブレスレットかな?を首にかけているのが、上に貼った海外版ポスターのビジュアルとなっている。
 
 
Old Deuteronomy
いくつかキャラが変わった猫たちがいる。例えばグロールタイガー(レイ・ウィンストン)は後に出て来る劇場猫ガスが演じた役として、劇中劇で演じられるキャラクターだけど、今回は独立してマキャヴィティ(イドリス・エルバ)の仲間という形になっている。その中でも一番変わったのはオールドデュトロノミーで、なんと性別が変わってしまった😲 これはおそらく、初演時に出演する予定だったジュディ・デンチを出すためだと思われる。
 
 
初演時ジュディ・デンチはグリザベラ役の予定だったから、出演していたらメモリーを歌ったのかしら? 若い頃の歌唱力がどんな感じだったのか不明なのだけど、歌は正直お年を召しただけとは言い難い感じはある😅 だけど、それを補って余りある存在感。天上に転生するたった一匹の猫を選ぶ権限を持つオールドデュトロノミー。四季版のオールドデュトロノミーは悟り切っている感じで、対象者を積極的に探そうとはしていなかった。映画版も積極的に探しているわけではないけれど、誰にしようか迷っているというような描写が入る。それは、見ている側にどうなるのかという期待感を持たせるためだろうから特に問題はないし、その分オールドデュトロノミーの出番が増えているのもジュディ・デンチ好きとしてはうれしかった。そして、猫ビジュアルが一番合っていたのはオールドデュトロノミーだったかも。特に後ろ頭。
 
 
The Jellicle Ball
ここはもう本当に猫たちが歌って踊る場面なのだけど、チラチラとマキャヴィティたちの影があって、その辺りを見せる必要があるのは分かる。分かるのだけど、前述したようにダンスとしての一つの動作が完結しないうちに、別の猫の表情をチラリと見せるだけのカットを入れたりするので、ダンス重視で見ている側としてはストレスが溜まるし、こちらも前述したとおりCGを使った体のラインのおかげで美しく見えず、さらに一度CGを使ってしまったために役者たちの踊り自体もCGを使っているように見えてしまう。せっかく英国ロイヤルのプリンシパルが踊っているのに残念過ぎる😢 さすがにフランチェスカ・ヘイワードやスティーヴン・マックレーの踊りをCGとは思わないけど、とにかくアップ多用で上半身しか映らなかったり、引き過ぎて小さかったり、全身映っても足元が切れてたり、ポーズ前に別カットに行ったりストレス😣
 
 
映画なので自分のようにダンス重視で見ている人ばかりではないと思うけれど、せっかくダンスシーンを入れたのなら魅力が伝わり切らないのは残念過ぎる。今作に限らず、ミュージカル好きの映画監督がダンスを上手く撮れるとは限らないので、ここはダンスを撮るのが上手い撮影監督とかを使うという選択をぜひともしていただきたいところ。
Grizabella, The Glamour Cat
前半でもチラリと登場していて、ヴィクトリアが気にしてはいたのだけど、本格的にグリザベラ(ジェニファー・ハドソン)登場。舞台版ではグリザベラは元娼婦猫で年老いて落ちぶれているという設定だったけれど、落ちぶれてしまってはいるけれど元女優という設定に変更されていた。これは子供も見るからってことかしら? 娼婦だと何か人権侵害的なことでまずのかしら? イヤ、猫たちが彼女を嫌ったのは元娼婦だったからだと思うので、そこを変更してしまうと本質的な部分が違ってくるのではないかと🤔 早々ネタバレしてしまうけれど、元娼婦だから差別されていたけれど、彼女の辛さ寂しさ、本質的な美しさに触れて猫たちが彼女を受け入れ、そして彼女は転生することを許されるわけなので、そこ変えてしまうのはどうなのかしら? そして、グリザベラはマグダラのマリアのメタファーということではないのかしら? 「罪のない者のだけが石を投げよ」ということなのではないのかな? まぁ、キリスト教圏の人が変更したのだから、考え過ぎか😅
 
 
The Moments of Happiness / Memory
舞台版では2幕目のオープニング曲。オールドデュトロノミーが朗々と歌うナンバー。ジュディ・デンチ歌っておりました。そもそも猫は夜行性だし、一夜の出来事を描いていることもあり、舞台版はずっと夜だったのだけど、映画は夜が明けて来る。劇団四季版では今作のヴィクトリアにあたるシラバブという子猫が、やがて夜が明けると歌っているので、この変化はよかったかなと思う。朝日が当たる中でのオールドデュトロノミーは神々しかった。
 
 
Gus: The Theatre Cat
劇団四季版ではジェリーロラムが紹介するのだけど、映画版ではマンカストラップが行う。本名アスパラガスという劇場猫ガス(イアン・マッケラン)が、昔の栄光を歌う。舞台版ではGrowltiger's Last Stand including "The Ballad of Billy McCaw"という劇中劇に展開、ジェリーロラムがグリドルボーンという悪女猫として登場したりするのだけど、この部分はまるまるカットで、前述したとおりグロールタイガーは悪役猫として独立したキャラになっている。なので、ガスが歌って終了。イアン・マッケランは少しコミカルに、でも切なさをにじませさすがの演技を披露。こちらも高齢ということもあり、少し安定しない部分はあったものの、ガスのキャラを考えるとそれも味といえるかもしれない。この辺りから映画もどんどん見応えが上がって来た。やはり楽曲がいいし、名優が出ると締まる。
 
 
Skimbleshanks, the Railway Cat
個人的に2幕のお楽しみポイントの1つ。鉄道猫スキンブルシャンクスを紹介するシークエンスで、舞台版ではセットの一部であるゴミを持ち寄って、猫たちが汽車になる。このシーンがとてもかわいくて好き😍 とはいえ映画なので、この辺りどうするのだろうと期待していた。そして! スキンブルを演じるのが英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルであるスティーヴン・マックレー! これは期待大✨ どんなダンスを披露するのかと思っていたら、まさかのタップダンス! スティーヴン・マックレーはタップダンスも得意で、「不思議の国のアリス」のマッドハッター役でタップダンスを踊ったこともあるんだよね。これホントに超絶技巧です! このシーンは足元しっかり映してくれてうれしかったし、タップを躍らせたのも良かったと思う。スキンブルにキャラづけがされた。そして、なんと猫たちは線路の上を歩いてテムズ川を渡り、列車に乗り込む。このシーンは映画ならでわで良かったと思う。こういうシーンがないと映画化した意味がないし。
 
 
Macavity
舞台版ではディミータとボンバルリーナというカッコイイ雌猫2匹が歌い踊る。かなりダークでセクシーなイメージ。でも、ここも子供が見ることを想定したのか、かなり煌びやかなシーンに変更になっていた。ディミータは登場せず、ボンバルリーナ(テイラー・スウィフト)がゴンドラ的な物に乗って登場。他の猫たちを従えて、粉をまき散らしながらハスキーヴォィスで歌う。曲が声に合ってて良かったと思う。ダンスのジャンルが分からないけど、女性ポップ歌手がよくやる感じのダンスを披露。これも良かった。舞台版とはかなり印象が違うけれど、映像ならでわの変更になっているので、これはOK。
 
 
マキャヴィティは舞台版ではかなり謎に包まれていて、チラッとしか登場しない。映画版ではイドリス・エルバが演じていることもあり、しっかり登場。身長が高いこともありスラリとカッコイイ😍 このマキャヴィティがオールドデュトロノミーをさらってしまう。マキャヴィティはその他にもジェニエニドッツやガスもさらっていて、テムズ川に浮かぶ船に拉致しており、彼らを見張っていたのがグロールタイガーということになっている。これは映画オリジナルのエピソード。マキャヴィティの狙いはオールドデュトロノミーに天上に転生する猫に選んでもらうこと。これも映画オリジナルの設定で、舞台版ではマキャヴィティがオールドデュトロノミーをさらった理由はハッキリ描かれていなかったと思う。マキャヴィティがジェニエニドッツやガスを殺すと脅すと、それならば自分はテムズ川に身を投げると船の帆先に進むオールドデュトロノミー。
 
 
ここでシーンが切り替わる。このシーンが挿入されたのはマキャヴィティの出演シーンを増やすためと、オールドデュトロノミーをさらう事の理由付けだと思うけれど、特別ドキドキもせず。とはいえ、自分がその後の展開を知っているからかもしれない🤔
 
 
Mr Mistoffelees
さて、舞台では後半の見せ場の一つであるマジシャン猫ミストフェリーズのシーン。バレエが踊れる俳優がキャスティングされることが多く、32回転フェッテが最大の見もの。なのだけど、今回はなし😢 舞台版ではミストフェリーズは偉大なマジシャンで、早くから登場している小さな黒猫が2役演じているという設定らしく、マジシャンとして登場する時には電飾が光ベストのようなものを着ている。でも、映画版は最初からずっとミストフェリーズとして登場していて、さらにヴィクトリアのことを気に入るという設定にしているためか、マジシャン修行中という感じになっている。
 
 
マジックでオールドデュトロノミーを探そうということになり、ミストフェリーズに白羽の矢が立つ。舞台版では当然のように登場して歌って踊り、32回転フェッテまでしてオールドデュトロノミーを呼び戻すけど、映画版はマジシャン見習い的な感じなので、本人も無理だと消極的だし、何度も失敗してしまう。この辺りはハラハラさせるだけでなく、自分や仲間を信じる大切さとか、諦めないことなどを表しているのかもしれないけど、個人的にはちょっと長く感じた😅
 
 
Beautiful Ghosts
当然ながらオールドデュトロノミーは戻って来る。猫たちは大喜び😃 そんな中、ヴィクトリアは外にグリザベラの姿を見かけ、気になって出て行く。グリザベラは放っておいて欲しいという態度。そんなグリザベラにヴィクトリアが歌いかけるBeautiful Ghostsは映画オリジナル。どうやらテイラー・スウィフトが歌ったバージョンが主題歌として発売されたようだけれど、このシーンの歌唱はフランチェスカ・ヘイワード本人。キレイな声で歌も良かったと思う。
 
 
Memory
ヴィクトリアが導くように戻ると、グリザベラは意を決して扉を開けて中に入って来る。勇気をもって現れた彼女に猫たちは様々な反応を見せる。興味を持って見守る者、不快感をあらわにする者、好意を寄せようとする者。オールドデュトロノミーはそれをじっと見守っている。でも、好意を見せていた者たちも、敵意を持った猫たちに飲み込まれ、グリザベラを追い出そうとし始める。そこで、グリザベラが歌い出すのが、名曲Memory。
 
 
ジェニファー・ハドソンだから失敗はないと思っていたけれど、パワフルに歌い上げ過ぎたらどうしようかという不安がなくもなかった。Touch me~ の部分で感情がほとばしって欲しいし、もちろん歌い上げても欲しいのだけど、それはパワフル方向ではないので。でも、悲しみと絶望をにじませた歌い出しも良かったし、Touch me~ の部分もやり過ぎていなくてとても良かった。やっぱりこの曲は素晴らしい。前半の違和感を吹き飛ばすパワーがある。
 
 
The Journey to the Heavyside Layer
グリザベラの思いや本質的な美しさを知った猫たちは、彼女を受け入れる。そして、オールドデュトロノミーは天上へ転生する猫としてグリザベラを選ぶ。グリザベラはカゴのついた気球的なものに乗って天上へ登っていく。うーん。このデザインはどうにかならなかったのだろうか😅 イヤ、舞台版のもちょっとどうだろうと思う部分もあるのだけど、これはちょっと。イヤ、天上に転生するって、要するに天国に行くっていうことだよね? キリスト教的な考えがどうなっているのか不明だし、もしかしたら気球的なもので天上へ行くのかもしれないけれど、ちょっと安っぽい気がしてしまったのだけど😅
 
 
The Ad-Dressing of the Cats
空に昇り始めたグリザベラを乗せた気球的なものを追って、猫たちは外に出る。ピカデリーサーカスっぽいところで締めの歌唱。猫は求めるのだ唯一のその名。毎回ここで泣いてしまう😭 一緒に暮らすはっちゃんだけれど、名前も持たないまま野良猫として一生を終える猫たちのことを考えてしまう。イギリスの大詩人T.S.エリオットがこの詩にどのような思いを込めたのか正確には理解できていないけれど、猫を見てとても哲学的な感じがしていたのではないかなと思う。そして、誰にも唯一のその名がきっとあるということなのかなと。
 
 
映画は、ヴィクトリアがジェリクルキャッツに迎えられて終わる。舞台版はグリザベラが主役なのだろうと思う。ただ、彼女はあまり登場しないので、物語を引っ張る存在が必要だったということなのでしょう。舞台版では一応その役割がマンカストラップなのだけど、子猫が成長していく物語とした方が分かりやすいということかな。その辺りの変更はOKだと思うし、ヴィクトリアが主役なのであればこの終わりでOK。

 

キャストは皆良かったと思う。なかなか豪華で人数も多いので、それぞれのシーンで触れたキャストについては割愛。ヴィクトリアのフランチェスカ・ヘイワードが素晴らしかった。バレエシーンはピケターンの素早さや、グランジュッテの空中姿勢の美しさなど、鳥肌モノだった。歌も良かったと思う。ご本人はもう歌うことはないとおっしゃっているけれど。そもそも英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルだから、身体表現が素晴らしく、すべてにおいてかわいく美しかった。彼女に救われた部分は大きいと思う。

 

さて、散々な評判になってしまっているけれど、個人的には後半盛り返した印象。ただ、全体的にこれが「キャッツ」だと思うか聞かれたら、別モノですと答えるかな😅 前述したとおり「キャッツ」を映画化するのはとても難しいと思う。明確なストーリーがないこと、ダンスが主体であること、登場人物が猫であることなど。人間が猫を演じること、そして舞台版からそう遠くないイメージにするとビジュアルはどうすればいいのか? 舞台版の全身タイツがベストな気はするけれど、それならば1996年に作られたスタジオ収録版でいいわけで🤔

 

今回、役者の体のラインが見えてしまうことや、服を着ている猫といない猫がいるため、ポルノという意見もあるようだけれど、舞台版の全身タイツを見慣れた身としては逆に体のラインが見えず、ダンスが美しく見えないと感じたのは前述したとおり。自分も正直このビジュアルは好きではないけど、見ている間に慣れてはくる。でも、慣れたらそれでいいのかという疑問も😅 

 

劇団四季が「キャッツ」を上演する場合、仮設の劇場を建ててしまう。一部、客席と一体化した舞台は基本固定で、劇中劇のシーンでセットが出て来るぐらいで、基本セットも変わらない。なので場面転換は猫たちのダンスや歌唱、そして小道具などで行っている。映画化するにあたり、そこをどうするかも難しかったかもしれない。猫たちがゴミを使って作る列車もいいけど、映画なら実際に汽車に乗せた方がいい。それが映画にする意味だから。とはいえ、前半部分はちょっと本来の「キャッツ」からかけ離れてしまった印象はあるかな🤔

 

もう、まとまらなくなってきたのでこの辺で止めるけど、決していい加減に作った作品ではないと思う。役者も、スタッフもみな頑張ったのだと思う。ただ、出来上がったものが「キャッツ」なのかというと、自分には別モノだなと思えるということを、長々と書いてみました😌 

 

別モノとしてなら楽しめると思う。とはいえ、それでいいのか? でも、好みはそれぞれだから、気に入るかもしれないし、見てみるのもいいと思う。というオススメのしかたでございます😅

 

『キャッツ』公式サイト

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【shopping】KYOKA プロジェクター スマホ 1080PフルHD 2400ルーメン

2020-01-25 01:48:36 | shopping

【shopping】KYOKA プロジェクター スマホ 1080PフルHD 2400ルーメン

 

 

 

映画が大好きなのでずっとプロジェクターが欲しいと思っていた。とはいえプロジェクターは高いというイメージでなかなかハードルが高かった😅

 

そんな中、たまたま楽天で見つけたコレ。9,800円とプロジェクターとしてはお手頃価格なうえに、かなりレビュー評価が良かった。特に自分が惹かれたのは映画がキレイに見れたという点。もちろん10万円代する機種に比べれば違いがあるとは思うけれど、そもそも部屋だって狭いわけだし😅

 

500円引きクーポンが出ていたことと、ガスレンジやお正月の買い物したのでポイントが5300円分貯まってたので、思い切って購入! 4000円で買えた😃

 

本体とAVケーブル、HDMIケーブルが入っている。DVDプレイヤーなどにはAVケーブルでつなぐようなのだけど、これが短い💦 とりあえずHDMIケーブルでパソコンにつないでYouTubeで動画見てみた!

 

 

右下に映っている四角いのはテレビ。かなり大画面で見れるし、この値段でこの画質なら大満足😍 スピーカーも内蔵されているので本体だけでOK。

 

説明書が若干分かりにくかったのと、モデルチェンジしたのか操作画面のアイコンが違ったりして戸惑ったけど、そんなに手間取らずに出来た。

 

WOWOWで録画して映画見ることが多いので、Blu-rayレコーダーにつなぎたいのだけど、それはちょっと調べてみないと分からない。Wi-FiとかBluetooth接続とかが出来ないのは不便なところかな🤔 とはいえ、この値段なのでね。

 

まだちゃんと1本見れていないので、この後スタジオ収録版「キャッツ」を見てみようと思う😌

 


 

オススメ✨

 

ちなみに見たのはこの動画

Sierra Boggess Think of Me Phantom of the Opera 25th Anniversary HD

 

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【dairy】『キャッツ』鑑賞(感想は後日)

2020-01-25 01:03:14 | dairy

【dairy】『キャッツ』鑑賞(感想は後日)

 

 

日本版チラシがあまり好きじゃなかったのと、海外版(どこのだろ?)がかなり素敵だったのでチラシはこちらを採用

 

 

「キャッツ」は大好きなミュージカル。劇団四季版を何度も見たし、オリジナル グリザベラのエレイン・ペイジが出演しているスタジオ収録版Blu-rayも持ってる。実写化のニュースを聞き、かなり期待したのだけど、かなり不安を感じるビジュアルに加え、聞こえてくるのは不評ばかり😅 かなり不安だったけどムビチケ買っちゃったし、公開初日に見に行ってきた。

 

 

 

 

 

ザックリした感想はTweetどおり。ちなみに感想はcoco投稿から連動。cocoでは良い👍、普通、残念👎の判定ができるのだけど、上3つが残念👎最後の1つが良い👍判定となっております。音楽と俳優たちはとても良かったのよ。でもねぇ・・・ 個人的にはとっても残念😢

 

感想は後日UPする予定。昨年鑑賞済みの『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』書き始めたけど、コチラを先にアッサリ目に書こうと思う😌

 

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【cinema】『ダウントン・アビー』

2020-01-24 01:02:45 | cinema

2020.01.17 『ダウントン・アビー』鑑賞@TOHOシネマズ日比谷

 

ドラマ版が大好きでずっと見てた。映画化のニュース知ってからずっと待ってた。試写会は見かけなかったのでなかったのかな? 公開から1週間後見に行ってきた~

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「平和な日々を過ごすダウントンにバッキンガム宮殿から手紙が届く。国王夫妻がこの土地を訪れパレードとダンスパーティーを開くので、その際にダウントンに一泊するというのだった。クローリー家と使用人たちは準備に取り掛かるが・・・」という感じで、ザックリ言うと国王夫妻が一泊して帰る話。その間、それなりに事件やドラマがあるけれど、最後は全て丸く収まる。この形ならば今後も映画化できそうだし、見ている間はとっても楽しめたけど、正直内容的にはドラマのスペシャル版で十分な気がしなくもない😅 ただ、やっぱり本物のお城や時代考証にこだわった衣装やセットなどが豪華で、大画面で見れて良かったと思う。

 

ドラマ版はシーズン6まで製作され、全52話がイギリスのITVで放送され2015年に終了。日本では2011年秋にスターチャンネルで放送が開始され、その後2014年からNHKで放送された。自身はNHKの放送を鑑賞。ドラマ版について詳細はWikipediaで!

 

さて、映画についてもWikipediaから引用しておく。ダウントン・アビー』(Downton Abbey)は、マイケル・エングラー英語版監督、ジュリアン・フェロウズ脚本による2019年のイギリス・アメリカ合作の歴史時代劇映画である。2010年から2015年にかけてITVで放送されたフェロウズ製作の同名のテレビシリーズの続編であり、ヒュー・ボネヴィルローラ・カーマイケルジム・カーターミシェル・ドッカリーエリザベス・マクガヴァンマギー・スミスペネロープ・ウィルトンといった多くのキャストが続投する。時代設定は1927年であり、ジョージ5世メアリー王妃によるダウントン・アビー訪問が描かれる。イギリスでは2019年9月13日に封切られた。日本では2020年1月10日に公開された。

 

映画は2015年12月に52話目を以て完結した同名のテレビシリーズの続編であり、最終回である1925年の大晦日から約2年後となる1927年の秋が舞台となる。2016年4月、映画化が検討中であり、ジュリアン・フェロウズが脚本の概要作業に取り組んでいることが明らかとなった。脚本は2017年初頭にオリジナルキャストたちに配布された。2018年7月123日、プロデューサーにより長編映画の製作が発表され、2018年中旬に撮影が始まることが明らかとなった。

 

2018年7月、ヒュー・ボネヴィルエリザベス・マクガヴァンミシェル・ドッカリーローラ・カーマイケルマギー・スミスらオリジナルキャストがテレビシリーズと同じキャラクターを演じることが報じられ、その後さらにジョアン・フロガットの続投も明らかとなった。一方でローズ・マクレア役のリリー・ジェームズやジェームズ・ケント役のエド・スペリーアスは出演しないことが明らかとなった。2018年8月、映画で新たに加わるキャストとしてイメルダ・スタウントンジェラルディン・ジェームズタペンス・ミドルトンサイモン・ジョーンズデヴィッド・ヘイグケイト・フィリップス、 スティーヴン・キャンベル・ムーアが発表された。プロデューサーはサイモン・ジョーンズとジェラルディン・ジェームズが王と女王、デヴィッド・ヘイグが王の執事を演じることを明かした。

 

主要撮影は2018年8月末にロンドンで始まった。9月20日までにテレビシリーズの主要なロケ地となったハンプシャーのハイクレア・カースルで撮影が行われた。また9月にはウィルトシャーラコックでも撮影が行われた。撮影は2018年11月に完了した。Rotten Tomatoesでは批評家の支持率は35件で83%、平均点は6.41/10となっている。Metacriticでは16件のレビューで加重平均値が60/100と示されている。

 

とのことで、評価としてはまずまずという感じなのかな。うん、自分としても映画としては60点くらいだと思う。ただ、ドラマ版見ていた者としては、あの世界が再び見れた喜び加点があるので75点くらいはあげてしまうかも😅

 

映画が始まる前に料理人パットモアさん役のレズリー・ニコルから簡単な登場人物の紹介映像が入る。あらすじ的なものはなかったけれど、ドラマ版未見の方には親切だったかもしれない。自分は字幕版で鑑賞したけれど、後日吹替版で鑑賞した母親によると、この部分については字幕で上映されたとのこと。

 

ドラマ版終了時から2年後の1927年の設定。バッキンガム宮殿で書かれた手紙が汽車に乗りダウントン・アビーに届けられるシークエンスから始まる。使用人たちが使うドアに郵便が届けられ、対応に出たアンディ・パーカー(マイケル・C・フォックス)が差出人に驚き、そのまま執事室に向かう背中を映す。こういうショットはドラマ版でも多用されており、さらに使用人たちの仕事場である地下のスペースが映し出されるのもワクワクする導入部となっている。

 

ドラマ版で執事を務めていたチャーリー・カーソン(ジム・カーター)は引退し、屋敷の敷地内に住居を構え、妻であり家政婦長として働いているエルシー・ヒューズ(フィリス・ローガン)と暮らしている。現在の執事は元下僕だったトーマス・バロー(ロブ・ジェームズ=コリアー)になっている。そして、手紙を見たバローが階段を上ってクローリー伯爵一家がくつろぐ居間へ。

 

クローリー家当主は変わらずグランサム伯爵ことロバート・クローリー(ヒュー・ボネヴィル)だけれど、長女のメアリー・タルボット(ミシェル・ドカリー)が運営を手伝っている様子。亡くなった三女の婿トム・ブランソン(アレン・リーチ)も自動車販売店を経営しながら助けているらしい。伯爵夫人コーラ(エリザベス・マクガヴァン)も夫と娘をサポートしており、グランサム伯爵の母で先代の伯爵夫人ヴァイオレット(マギー・スミス)も健在。おばあ様御健在なのはウレシイ 

 

バッキンガム宮殿からの知らせは国王夫妻がグランサム伯爵の領地を訪れ、パレードとダンスパーティーを開催すること、その際ダウントン・アビーに滞在するという内容だった。この時の国王はジョージ5世(サイモン・ジョーンズ)で、実際メアリー王妃(ジェラルディン・ジェームズ)と共に英国各地を巡り、各地の領主の館に滞在したのだそう。ダウントン・アビーのモデルとなっているハイクレア城に滞在したことはないのかな? このハイクレア城はツタンカーメン発掘で有名なハワード・カーター(Wikipedia)のスポンサーだった第5代カナーヴォン伯爵でもおなじみのカナーヴォン伯爵(Wikipedia)家の城であり、現在も第8代カナーヴォン伯爵が暮らしている。

 

話が反れてしまったけど、要するに当時としては国王夫妻が領主の城を訪れることは、そんなに珍しいことではなかったということらしい。しかも、クローリー家の人々の反応からすると、必ずしも喜ばしいものでもなかったような? もちろん名誉だと喜ぶ人々も多かったと思われる。事実、使用人たちは大喜びで、現在は教師になっている元下僕のジョゼフ・モールズリー(ケヴィン・ドイル)が噂を聞きつけ、是非下僕として参加させて欲しいと申し出るほど。クローリー家の人々の反応は、おそらく経費的な問題かと思われる。

 

バッキンガム宮殿からの手紙には、国王夫妻を迎える準備については、王室からの指示に従うようにという指示があったため、バローは銀製品などを揃えさせているものの、どれを使うか指示を仰いでから磨くと言う。その事を聞いたメアリーはバローでは役不足と考えて、自らカーソンの自宅に出向き一時復帰を頼む。暇を持て余していたカーソンはこれを受ける。いよいよ役者が戻って来きたぞ😃

 

カーソンの復帰を従者のジョン・ベイツ(ブレンダン・コイル)や妻で侍女のアンナ・ベイツ(ジョアン・フロガット)、パットモアや料理人のデイジー(ソフィー・マクシェラ)らが歓迎するが、メンツを潰された形のバローは当日自分は休暇をもらうと言い出す。これは後の伏線でもある。

 

国王夫妻に自分の料理を食べてもらえると俄然張り切るパットモアさんだけれど、王室の執事や家政婦長、料理長などがやって来て、自分たちが全て取り仕切るので手出し無用と言われてしまう。これには使用人たちが反発するけれど、王室執事のウィルソン(デヴィッド・ヘイグ)は我々は格が違うのだと言い放つ。嫌な奴😠 でも、この使用人どうしの争いはダウントンの見どころの一つでもある。

 

地元の食料品店に材料を注文してしまったパットモアさんは、デイジーと共に断りに行くけれど、自分が調達した食糧が国王に食べてもらえると喜んでいる店主に本当のことが言えず、食材は大量にダウントンに届いてしまう。とりあえずデイジーが使っていない部屋に押し込めてある様子は、笑わせる要素なのかと思ったら後の伏線だった。

 

さて、ダウントンに国王来るの知らせに、次女でヘックスハム侯爵夫人のイーディス・ペルハム(ローラ・カーマイケル)が、夫のバーティー・ペルハム(ハリー・ハデン=ペイトン)とダウントンにやって来る。コーラが電話で知らせていたけれど、1927年当時は電話が通じていたのね。イヤ、ドラマ版でも既に開通していたかな? 忘れてしまった😅 その他、ボイラーが故障し、ボイラー技士と楽しそうに話すデイジーにアンディが嫉妬して、せっかく直ったボイラーを壊してしまうくだりがあったり、使用人たちは掃除機を使っていたりして時代の流れを感じる😌

 

元運転手でアイルランド人のトムは王制には反対の立場だけれど、国王夫妻の訪問には中立の態度。それはクローリー家の一員だから。とはいえ、久しぶりにトムに会ったイーディスは少し不安を感じている様子。これは見ている者に対してのアピールで、実はトムに近づく人物が。チェトウッド少佐(スティーヴン・キャンベル・ムーア)という人物が、トムの店を訪ねて来て、トムにアイルランド人として王制をどう思うかなどと聞いてくる。しつこくパブに誘いトムも思うところあってつき合うことにする。まさかトムが国王夫妻に何かしてしまうのか?

 

一方、コーラのもとには国王夫妻の娘であるメアリー王女(ケイト・フィリップス)からお茶の誘いが入る。コーラはこれを受け、メアリーとイーディスと3人で向かう。メアリー王女は快活で親しみやすい人物で、子どもたちも侍女たちと一緒に遊びながらのお茶は楽しいものだったが、王女の夫が帰宅して空気が一変する。DV気味のこの夫は子供たちが同席していることを快く思わず、侍女たちに子どもたちを部屋に連れて行くように言いつける。メアリー王女がダウントンに招待されたと言うと、自分は行かないとピシャリ。これはヒドイ😅

 

このメアリー王女は後にダウントンの庭で一人でいる所に通りかかったトムと話をするシーンがある。トムはメアリー王女と気づかなかったため、もちろん女性に対して失礼のないように注意を払っていたけれども、自然に接したため王女も自然に悩みを打ち明ける。トムは王女に自分の人生で何が一番大切かを考えることが必要だというようなアドバイスをする。

 

先に書いてしまうと、トムの助言に従ってよく考えた結果、自分にとって一番大切なのは王室であるという結論に達し、そのためには夫ともう一度やり直す決意をしたと母である王妃に語る。正直、トムのアドバイスを聞いた時、王女の結論は子どもたちだと言うと思ったので、まさかの王室という答えにビックリ😲 このメアリー王女は特に必要なキャラクターとは思わなかったけれど、シリーズ通して女性の自立をテーマの一つとして描いてきた流れとして、身分の高い女性でも女性の生きる道は窮屈であったということを描きたいのかなと思った。ちょっと順番は前後するけど、メアリー王女の件をまとめて書いておく😌

 

さて、国王到着前夜、パレードの椅子が遅れて届く。今から並べなければパレードに間に合わないが、外は土砂降りの阿雨である。メアリー自ら椅子を並べると聞けば、使用人たちはもちろん、伯爵も黙って見ているわけにはいかないと、総出で椅子を並べる。実際、貴族が自らこんなことをしたとは思えないけど、クローリー家と使用人の絆を描きたいということなのかな。

 

さて、国王夫妻がダウントンにやって来る。クローリー家の家族や使用人たちが国王を迎える。下僕として復帰したモールズリーは倒れそうなほど感激する。ちょっと曖昧な記憶になってしまったのだけど、国王夫妻が到着したので昼食をとることになったのかな? とにかく、配膳をすることになったわけだけれど、料理は気取ったフランス人らしき料理長が作り、配膳も張り切って運ぼうとするモールズリーはじめとした下僕たちから、奪うような形で王室の下僕たちが運んで行ってしまう。これに憤った使用人たちはベイツ夫妻を中心に策略を巡らす。

 

一方、アンナはイーディスから発注したドレスがサイズ違いで届いてしまったことを聞き、一晩で直せる心当たりがあると言う。実は、王室の使用人たちが到着してから物が無くなる事象が起きており、不審な動きをする王妃の衣装係が犯人だろうと確信していたのだった。渋々ながら一晩でドレスを直した衣装係は、盗んだ理由として自分が一生かけても稼げない金額の品物を、特に気にもせず飾っているのだから、一つくらい頂いたっていいだろうというめちゃくちゃなものでビックリ😲 このエピソードは特に必要なかった気もするけど、王室の使用人vsダウントンの使用人エピソードとして入れておいたってことかな。

 

さて、国王によるパレードが行われる。国王が馬に乗って領地内を歩き、昨夜椅子を並べた広場で謁見式を行う流れ。沿道にはパレードを一目見ようと人々が集まっている。その群衆の中にチェトウッド少佐を見かけるトム。トムに目配せして群衆から離れるチェトウッド少佐。彼を追うトム。その行動に気づいたメアリーが2人を追う。チェトウッド少佐は物陰から、待機している国王を銃で狙っていた。トムが飛びつきメアリーの援護もあり無事に捕獲。警備の人に引き渡す。トムとしてはチェトウッド少佐が自分を疑っているのだと思っており、家族に伝えず密かに納得させようと思っていたのだけれど、まさかチェトウッド少佐が反王制側で、自分を引き込もうとしているとは気づかなかったらしい。後にトムはこの働きと、メアリー王女に助言したことにより国王から声掛けをいただく。

 

パレードは無事成功。ビシっと軍服を着た国王と騎馬隊。この騎馬隊の人たちが一体誰なのか全く説明がなかったので不明。国王と一緒に来たのか、領地内の人々なのか?🤔 王妃やクローリー家の人々のドレスも素敵✨ そんな中、トムは前日すれ違い声を掛けたレディー・モード・バクショーの侍女ルーシー・スミス(タペンス・ミドルトン)の姿を見つけ、お互い会釈を交わす。実は、このルーシー・スミスがクローリー家に波紋を広げることになる。

 

王妃の女官であるレディー・モード・バクショー(イメルダ・スタウントン)は、クローリー家の親戚でグランサム伯爵の従妹。夫を亡くし跡取りもいないため、相続人にグランサム伯爵を指定するようにヴァイオレットが画策してるのだが、レディー・モードはこれを拒否。なんと長年仕えてくれたルーシー・スミスに譲ると言い、ヴァイオレットを激怒させる。あらあら。

 

一方、ダウントンではベイツ夫妻を中心に使用人たちの作戦が始まる。まずは、休暇を申し出ていたバローが国王の従者であるリチャード・エリス(マックス・ブラウン)と画策し、偽の電話を掛けて使用人たちの大半をロンドンに帰してしまう。2人はそのままエリスの故郷に向かう。話は前後してしまうけれど、2人のことをまとめて書いてしまう。エリスの故郷に到着した後、実家に帰るエリスを待つため一人パブに残ったバローは、パブにいた男に誘われて別の店に行く。行先を店主に伝えると眉をひそめる。

 

男が連れて来たのは同性愛者が集まる秘密クラブで、カップルたちが楽しそうに飲んだり、踊ったりして楽しんでいた。初めてありのままに自分を出せた喜びから、楽しい時を過ごすバロー。しかし、そこに警官が踏み込んでくる。当時、お同性愛は罪だったんだよね😢 そんなバローを王室の使用人であるという身分を使ってエリスが助けてくれる。お礼を言うバローに、エリスは自分も同性愛者であることを告げる。なんと! 

 

一方、ダウントンではアンナたちの作戦が始まっていた。密かに睡眠薬を混ぜた飲み物を王室の使用人に飲ませ、執事には理由をつけて自室に下がらせ、2人の部屋にカギをかけて監禁してしまう。ヒューズさんが対決していた王室家政婦長を一喝し、自ら使用人たちの指揮を執ると宣言。例の部屋に隠していた食材を使い、パットモアさんとデイジーが料理を作り、モールズリーさんやアンディーがそれを運ぶ。王室料理人は自ら仮眠をとると言って自室に行ったからいいけれど、王室執事のカギは、ダウントン側の仕業だとバレるんじゃないかなと思うけど🤔 まぁ、騙されたとはいえそれも含めて失態ではあるし、そういうツッコミは別にいいか😅

 

晩餐会の料理は国王夫妻に好評で、国王は王室料理長の手柄だと言うけれど、舞い上がったモールズリーさんが、ダウントンの料理長パットモアさんの手柄ですと言ってしまう。下僕が発言してしまうだけでなく、国王の発言を訂正するなど許されない行為。怯えるモールズリーさんに王妃がとりなし事なきを得る。この際、モールズリーが深々とカーテシー(Wikipedia)をして一同を呆れさせ、見ている側の笑いを取る。

 

晩餐会は無事終わり座を移して歓談。国王はイーディスの夫であるバーティーに皇太子のアフリカ行に同行するように依頼する。上流貴族の務めとしてこれを受けるバーティーだが、イーディスは断って欲しいと言う。この下りは翌日に持ち越したりと長いのだけど、まとめて書いておく。実はイーディスは妊娠の兆候があり、妊娠しているとすると出産予定日がアフリカ行にぶつかってしまうというのだった。これを受けてバーティーは機会をとらえ辞退したい旨を伝えるものの、国王は認めない。酷い😅

 

これを聞いたイーディスは日ごろの不満が爆発。以前はやりがいのある仕事(出版社の経営)をしていたのに、今はずっと家にいるか、たまに領地に出てしたくもないおしゃべりをするだけ、自分の人生を生きたいと言う。長女のメアリーは早い段階から婿を取って家を継ぐという使命があり、本人もそのように考えていただろうし、周りもそう扱ってきた。次女のイーディスはメアリーと馬が合わず、自分の価値を見出せず迷走していた。そんな中、マリゴールドの父親である男性と知り合い、出版社を見事にきりもりしたことは、大変だったけれど楽しかったし自信になったのだと思う。

 

とはいえ侯爵夫人としての仕事はたくさんあるだろうし、母親のコーラを見ていれば領主夫人としての仕事もあると思うのだけど、それにはやりがいを感じないということなのでしょうかね。でも、このイーディスの不満は夫であるバーティーに伝えられたものの、母コーラが王妃に直談判し、国王がアフリカ同行をしなくてよいという判断を下したという描写だけで終わってしまい、未解決だったように思うのだけどいいのかしらね?🤔

 

さて、再びヴァイオレットとモードのバトルが勃発するのだけれど、モードはかたくなにルーシーに譲ると聞かず自室に戻ってしまう。そこにマートン男爵夫人イザベル(ペネロープ・ウィルトン)が訪ねて来て、ルーシーは自分があなたの子どもであることを知っているのかと尋ねる。やっぱりね😏 ここまで頑なら理由はこれしかないよね。たしか夫を亡くした後で不倫ではなかったと思うけれど、モードはルーシーの父親と恋に落ち妊娠が発覚。自分の父親に理解してもらえないだろうと、アメリカに渡ってルーシーを出産。アメリカでルーシーの父親と暮らし幸せな時を過ごした。何故、イギリスに戻って来たんだっけ? 彼が亡くなっちゃったんだっけ? ちょっと忘れてしまった😅 イザベルはヴァイオレットは正直に話せば理解する人だから、ちゃんと話せとアドバイスをする。

 

翌日、国王夫妻はクローリー家の人々や使用人たちに見送られてダウントンを去る。その後、娘であるメアリー王女の嫁ぎ先であるヘアウッド伯爵の屋敷で催される舞踏会へ向かう。ダウントンにはメアリーの夫であるヘンリー・タルボット(マシュー・グッド)がアメリカから帰って来る。クローリー一家は揃って舞踏会へ向かう。

 

ヴァイオレットとモードが話した描写はなかったけれど、どうやら2人は和解したらしい。ルーシーとトムが文通をする約束をしたらしいと聞き、ヴァイオレットがトムとルーシーが結婚して、トムがバクショー家の当主になるというアイデアはとてもいいと発言し、イザベルを呆れさせる。ここは笑わせるところ。

 

人々が踊る中、トムは舞踏会場を離れルーシーを探す。モードの娘でバクショー家の相続人でありながら、現在は舞踏会に出席することができないルーシーとバルコニーでダンスをする。これはちょっと素敵なシーン✨

 

ダウントンでは使用人たちが大仕事をやり終え、お互いを称えていた。そんな中、アンディーがデイジーに嫉妬でボイラーを壊したことを告白。デイジーは散々アンディーからのプロポーズをはぐらかしていたのに、この告白を受けてアンディーにも熱い心があるのだと気づき、結婚を決意する。うーん💦 どうやら今作、全員がハッピーになる方向にしようとしているようだけれど、これはちょっと取って付けたような感じだったかな~🤔

 

そして、バローにも幸せが! ロンドンに戻るエリスに友達として文通したいと言うと、エリスは友達じゃないと言う。バローがやはりゲイは受け入れられないのかと思った瞬間、エリスはそれ以上の関係になりたいと言いキスをする。ドラマをずっと見ていた者としては、バローにはいろいろ思うところあるけれど、シリーズ後半のバローは心を入れ替えていたし、これは素直に良かったねと思った😳

 

一方、メアリーはヴァイオレットを呼び出す。国王夫妻を迎える準備のさ中にこっそりロンドンへ行ったのは何のためだったのか聞くためだった。するとヴァイオレットは実は以前受けた検査の結果を聞きに行ったのだと答える。どうやら長くは生きられないようだと言う。メアリーは悲しみ、おばあさまがいないとやっていけないと言う。ヴァイオレットはあなたならば十分やっていけるから大丈夫だとメアリーを励ます。なんと😢

 

メアリーはトムにダウントンを維持していくことの難しさや、城を売って自分たちは今の自分たちに見合った家で暮らすべきなのではないかと話すシーンがあったけれど、やっぱり相当大変なんだろうな🤔 時代もどんどん変わっていくし。ダウントン・アビーとして使われているハイクレア城も、現在の当主である第8代カナーヴォン伯爵も、以前ダウントン関連の番組(だったかな?)で、維持することの大変さを話されていて、こうしてロケに提供したり、結婚式場として貸し出したりしているとのことだった。とはいえ、この時点ではヴァイオレットの思いをくみ、メアリーはダウントンを守る決意を固める。

 

人々が舞踏会を楽しむ中、大仕事を終えたカーソン夫妻が帰宅しようとしていた。今日だけはいいだろうと使用人出口ではなく、国王も使った玄関から出て行く。カーソンがダウントン・アビーはこれからも続き、クローリー家が100年後も住んでいるだろうと語り、引きの画になって映画は終了する。

 

キャストは皆良かった。いつもは吹替で見ていたので、ご本人の声で見るの不思議な気もしたけれど、吹替版のもキャラクターに合った声優さんをキャスティングしていたんだと気づいた。特にトーマスの三上哲さんが、トーマスの嫌味な感じと繊細さを引き出していたことを知り感動。やっぱりプロってスゴイ。

 

話が反れたけれど、とにかくいろんな人に光を当てたので、誰がメインということもなかったかな💦 前述したようにキャストは皆良かったと思うけれど、誰がどう良かったかというと難しいな😅 最近、他の映画でも見かけるメアリーのミシェル・ドッカリーはいよいよダウントンを背負う責任と重圧を見事に演じていたと思うし、娘に移行しつつも女主人として立ち回るコーラのエリザベス・マクガヴァンも良かった。おとぼけ感が増してしまった気もするグランサム伯爵をヒュー・ボネヴィルがかわいく演じていた。

 

使用人たちの中では今回大活躍のアンナのジョアン・フロガットが良かった。大好きな『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(感想はコチラ)にも出ていたりと、最近映画でも良く見かける好きな女優さんの1人。ゲイであることをずっと悩んでいたバローに幸せが来て良かったねと思わせたのはロブ・ジェームズ=コリアーのおかげ。パットモアさんのレズリー・ニコルも良かったな。

 

そして、ベテラン女優たちの競演が素晴らしかった。今回はよい働きをするけれどドラマの中では時々出しゃばり過ぎに感じてたイザベル、その辺りも含めペネロープ・ウィルトンの演技は良かったと思う。短い出演シーンながら印象を残すモードのイメルダ・スタウントンもさすがの演技。そしてヴァイオレットのマギー・スミスが素晴らしい。このシリーズの陰の主役はヴァイオレットなんだよね。その君臨感がスゴイ

 

話の内容的にはドラマのスペシャル版の域を出ていないようにも思うけれど、やっぱり映画となると予算などの規模が大きくなるのか、ドラマでも十分豪華だったセットや衣装が豪華✨ ハイクレア城だけでなく、本物のお城がいくつも使われているし、こじんまりとした街並みも素敵。女優たちの衣装やジュエリーが素敵でウットリ。これは大画面で見て良かった。

 

そうそう、映画を見た時の記事(コチラ)にも書いたけど、メアリーはヴァイオレットをGrannyと呼んでいて、これは特別上流階級の人が使うというわけではないようだけれど、ウィリアム王子とヘンリー王子はエリザベス女王をGrannyと呼んでいるそうで、その辺りを反映させているのかなと思ったけど考え過ぎかな🤔

 

ドラマ版ファンの方はオススメしなくっても見ていると思うけれど、まだ見ていないドラマファンの方も見てガッカリしてしまうことはないと思う。ドラマ未見でも楽しめると思う。コスチュームプレイ好きな方是非!

 

ユニバーサル・ピクチャーズ公式がおさらい動画を公開してるのでドゥゾ♪(っ'ω')っ))

 

映画『ダウントン・アビー』約10分でおさらいできる特別映像

 

 

『ダウントン・アビー』公式サイト

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【cinema】『パラサイト 半地下の家族』

2020-01-22 01:26:03 | cinema

2020.01.11 『パラサイト 半地下の家族』鑑賞@TOHOシネマズ楽天地

 

これは絶対見たいと思ってた! 試写会ってあったかね? 記憶にないのだけど🤔 ということで、連休初日の公開翌日に早速見に行ってきた~

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

できるだけネタバレしないで見ることをオススメします!

 

「父親が失業中で半地下の家で貧しい暮らしをする4人家族。ある日、長男の友人が訪ねて来て、留学する自分の代わりにIT企業の社長の娘の家庭教師をして欲しいと言う。これをきっかけに、家族は社長宅に入り込んでいくが・・・」という話。これはめちゃめちゃ面白かった! 主軸は"半地下の家族"がパラサイトしていく話なのだけど、途中である事実が分かってからは作品のテイストが一気に変わる。コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマ、そしてホラー要素まで。これだけ詰め込んでも雑多な感じがせず、2時間超あっという間に見てしまった。

 

ポン・ジュノ監督作品。監督の作品は『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』と今作しか見ていない。『母なる証明』は前のレコーダーのHDDに入ってたのだけど、壊れてしまい未見のまま😢 『オクジャ』がめちゃめちゃ見たかったのだけどNetflixだから見れず😢 好きな監督という程見れてないけど、見た2本は好きだった。

 

今作について毎度のWikipediaから引用。『パラサイト 半地下の家族』(기생충(→寄生虫)Parasite)は、2019年韓国ブラック・コメディ映画。監督はポン・ジュノ。主演はソン・ガンホ。共演はイ・ソンギュンチョ・ヨジョンチェ・ウシクパク・ソダム英語版ら。第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞を果たした。
韓国で2019年5月30日に公開され、観客動員数は1,000万人を突破した。日本では2019年12月27日から一部の劇場で限定先行公開された後、2020年1月10日公開された。

 

撮影は2018年5月18日には始まり、主要な撮影は約77日かかり、同年9月19日に終了した。同年同月19日、本作が第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされたと発表された。ポン・ジュノ監督作としては、『グエムル-漢江の怪物-』(監督週間)、『TOKYO!』(ある視点)、『母なる証明』(ある視点)、『オクジャ/okja』(コンペ)に続き、5度目のカンヌでの上映となった。また、ソン・ガンホ出演作としては『グエムル-漢江の怪物-』、『シークレット・サンシャイン』(コンペ)、『グッド・バッド・ウィアード』(特別招待)、『渇き』(コンペ)に続き、5度目の上映となった。また、チェ・ウシク出演作としては『新感染 ファイナル・エクスプレス』(特別招待)、『オクジャ/okja』に続き、3度目の上映となった。

 

本作は批評家から絶賛されている。Rotten Tomatoesでは350個の批評家レビューのうち99%が支持評価を下し、平均評価は10点中9.4点となった。MetacriticのMetascoreは15個の批評家レビューに基づき、加重平均値は100点中87点となった。サイトは本作の評価を「世界的な絶賛」と示している[21]。前述の通り、本作は第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した。審査員長のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは「まったく先が読めない映画」「本作は様々なジャンルがミックスされており、切迫した事柄をユーモラスに描けている」と評し、他の審査員も本作を絶賛し、満場一致での受賞だったと明かした。とのことで、概ね高評価なのだけど・・・ 

 

本作は2019年7月28日、中国青海省の省都・西寧市で開催された「西寧ファースト青年映画祭」の閉幕式で上映される予定であったが、7月27日午後に突如「技術的な理由」による上映中止となった。本作の内容が中国当局の検閲で問題視された可能性が高いと見られる。とのこと😢

 

キム一家は、失業中の父親キム・ギテク(ソン・ガンホ)と母親チュンスク(チャン・ヘジン)浪人中の長男ギウ(チェ・ウシク)、美大を目指す長女ギジョン(パク・ソダム)の4人家族。半地下の家に住んでいる。キム一家が住む界隈には半地下に住む家族が他にもいるようだけれど、一家の家は路地の突き当りにあるらしく、雨が降ると水が流れてきたりとなかなか大変らしい。トイレが部屋の上の方のあり得ない位置にあったりするものの、それなりに部屋数もあるし生活はできている様子。

 

長男と長女はスマホも持っていて、どうやら同じ建物の住人のWiFiをこっそり使っていたようだけれど、住人がパスワードを設定してしまったため使えなくなり、必死でFreeWiFiを探すシーンから始まる。この時点ですでにパラサイトしているということ。何故必死に探していたのかというと、宅配ピザ用の箱を組み立てるバイトをしているから。一家総出で作成し納品するも、不良品が多くその分を差し引かれてしまう。母親は不服を申し立てるけれど長男がなだめて、若い女社長に逆に自分をバイトで雇ってくれと交渉し、社長もその気になってしまうという手腕を発揮する。この序盤から一家の生き方というか体質のようなものが紹介されていてスゴイ。

 

そんな中、ギウの友人ミニョク(パク・ソジュン)が観賞用の石を持って一家を訪ねて来る。ミニョクの祖父が趣味で集めておりギウを訪ねると言うと、お土産としてくれたのだそう。この石が後に印象的な使われ方をする。さて、ミニョクが訪ねてきたのは留学中に、現在自分が担当しているIT企業の社長の娘の家庭教師を代わってくれないかということ。ミニョクはこの娘に恋しており、彼女が大学に合格したら付き合うつもりなので、信用できるギウに託したいというのだった。キタ!😀 そして、この友人が恋しているというのも後の伏線なのかなと思う。

 

ギジョンが偽造した学生証を持ってパク社長宅を訪ねる。妻のヨンギョ(チョ・ヨジョン)はミニョクの紹介ならば、学生証など不要だというような信じやすい人物。とはいえ、娘のタヘ(チョン・ジソ)との初めての授業には立ち会うと言う。タヘは特別反抗的ではなったけれど、的確な指摘とさりげないスキンシップでヨンギョとタヘの心を掴む。ギウ役のチェ・ウシクは特別イケメンでもないし、イケてる設定でもないのだけど、逆に油断してしまう部分はあるのかもしれない🤔

 

パク一家は妻ヨンギョと娘ダヘの他に、IT企業社長のパク・ドンイク(イ・ソンギュン)と、ADHD気味のダソン(チョン・ヒョンジュン)の4人暮らし。一家が住む豪邸は有名な建築家が自宅として建てたもので、彼が雇っていた家政婦ムングァン(イ・ジョンイル)が建築家亡き後も引き続き住み込みで働いている。一見人あたりのよいムングァンが実は一家を取り仕切っている印象があったけれど、この人物は驚愕の秘密を持っていたのだった😅

 

さて、ヨンギョは落ち着きのないダソンについて悩みを抱えており、ギウに愚痴をこぼす。ダソンには絵の才能があると考えており、美術の家庭教師を雇うのだが長く続かず辞めてしまうのだという。ここでギウが閃いたのが妹ギジョンをアメリカ帰りの美大生ということにして、ダソンの家庭教師にすること。もともと人を信じやすいヨンギョはまんまとこの手に乗ってしまう。

 

数々の家庭教師が手を焼いたダソンをどう手懐けたのかは描かれないので不明なのだけど、ギジョンはネットから得た知識でヨンギョの心をつかみ家庭教師として入り込むことに成功。すっかり彼女を信用したヨンギョは帰宅した夫の運転手にギジョンを送るように頼む。イケメン運転手はギジョンを気に入ったのか家まで送るとしつこい。ギジョンとしてはもちろん家まで送られるわけにはいかない。彼氏が駅で待っているからとピシャリと断る。そして、あるアイデアが浮かぶ。運転手に気づかれないように下着を脱ぎ、後部座席に置いて来たのだった😲

 

ギジョンは運転手を貶めて、代わりに父親のギテクを運転手として送り込もうということらしい。ギテクは元タクシー運転手だけど、ベンツを運転したことがないため、ギウと一緒に自動車販売店に行き運転の練習をし、店員に咎められたりするシーンもありコミカルに進む。ギジョンの推薦で運転手となり、確かなテクニックでパク社長の信頼を得る。割り込みされた時などに、ついうっかり汚い言葉を言ってしまい、社長に眉をひそめさせる描写があるけれど、これは後の伏線。この辺りの仕込みは上手いと思った。

 

さて、ここまで来れば残りは母親であるチュンスクを送り込むのみ。それには手強そうな家政婦を追い出さなければならない。どうするのだろうかと思っていると、この家では桃が食卓に登場しないという情報を得る。家政婦が桃アレルギーだからなのだった。とはいえ、桃を食べさせるのは至難の業。どうするのかと思ったら桃の毛を家政婦の首辺りにさり気なくパラパラと振りかける。するとアレルギー反応を起こしてしまう。これを感染症だと吹き込まれたヨンギョは、彼女に辞めてもらうことにする。実はヨンギョは運転手にも解雇を告げており、どちらもヨンギョがどう話したのかは映されないのだけど、角が立たない形で辞めてもらうことが上手いらしい。こういう部分がちょっと笑える。

 

呆然とした表情でムングァンが出て行った後、しばらくはヨンギョが家事をしていたようだけれど、どうやら料理がとてつもなく下手らしく、食事がまずくて困ったとパク社長がギテクに愚痴る。ここぞとばかりに家政婦を派遣する会社を紹介。ベテランをメインに紹介している派遣会社で、自分もそこに所属していると言うと、パク社長はすっかり信用。派遣会社の電話は当然ながら偽物でギジョンが対応。こうして、まんまと4人全員がパク家に入り込むことに成功。彼らのしていることは、良いこととは思えないけれど、それなりにちゃんと仕事はしているし、何よりその見事な手腕にニヤニヤしてしまう。

 

さて、パク一家がキャンプに行くことになる。ダヘはギウと別れたくないようだけれど、渋々出かけて行く。ダソンの誕生日を祝うためのキャンプ。ここぞとばかりに豪邸を謳歌するキム一家。リビングのソファに寝転んで、食べ散らかし飲み散らかし楽しそうではある。ギウはダヘと結婚すると言い出すけれど、これは最終的なパラサイト計画というわけではなさそうに感じた。自分が騙していた相手に恋してしまっているという図式を見せたいのかなと思う。そして、ギウが家庭教師になるきっかけとなったミニョクもダヘに恋していたことを思い出す。ダヘが意図的に2人を手玉に取ってるわけではないようだけれど、そういう気持ちにさせる何かがあるということなのかなと思う。ダヘが魔性であると言いたいわけではなくて・・・ 上手く言えないな😅 今作のテーマの1つとしてタイトルであるパラサイトだとすると、そのパラサイトは決して一方ではないということを表しているのかなと。考え過ぎかな🤔

 

ココから重要なネタバレありです!

 

キム一家が楽しんでいると、外は土砂降りの雨に。そんな雨の中インターホンの音が。家政婦であるチュンスクが応対すると、元の家政婦だったムングァンだった。彼女は忘れ物をしてしまったので中に入れてくれと言う。断り切れずに中に入れると、慌てた様子でキッチンの奥の地下室へ続く扉の中へ。しばらくしても出てこないので、ギテクらに様子を見に行くように指示されるチュンスク。すると、ムングァンは地下室にある棚を必死に動かしていた。そこには隠し扉があり、さらに地下へと続く階段があった。地下には廊下や部屋があって、そこには中年男性がいたのだった。ビックリ😲

 

この男性はムングァンの夫(パク・ミョンホン)で、この家の前の持ち主である建築家が住んでいた頃から地下に匿われていたのだった。この夫が何故地下に住まなければならなかったのか、説明していたように思うけれどよく覚えていない😅 例えば犯罪者であるというようなハッキリした理由ではなかったような🤔 そして、そういう理由では今作の意味がないのだと思う。

 

映画の中でも説明があったので、少し話の流れを切ってしまうことになるけど入れておく。どうやら韓国のお金持ちたちの間では、ある時期自宅の地下にシェルターを造ることが多かったけれど、地下にそういう施設があることは秘密にされていたのだそう。なので、前の持ち主であり設計者でもあった建築家亡き後に越してきたパク一家は、地下シェルターの存在を知らないし、もちろん周囲の人々にも知られずに夫を匿えたということ。

 

そして、地下シェルターなので、ずっと生活するには快適ではないけれど、トイレなどある程度の設備を備えているということ。その辺りはよく考えれられていると思った。夫の居住空間には本なども運び込まれていて、よく見ると机の上にはチボリオーディオが置かれていたりする。これは建築家の持ち物から拝借したということなのかな?  そういう描写であると同時に、パラサイト生活ながらオシャレアイテムが置かれているという滑稽さのようなものも演出しているのかなと思った。

 

さて、話を戻す。最初はチュンスクに見逃して欲しい。なんとか夫をこのまま住まわせて欲しいと懇願していたムングァンだけれど、そこにギテクらが現れたことにより形勢が逆転する。ムングァンは家庭教師、美術教師、運転手とチュンスクが家族であり、自分を追い出してパク家に入り込んだのだと確信。動画を撮影してパク社長に訴えると脅す。このことから乱闘となり、最終的にムングァンと夫を地下に閉じ込めることに成功。このバトルの迫力と美しくないアクションがリアル。

 

疲れ果ててリビングで寝転がっていると電話が鳴る。ヨンギョからで大雨のためキャンプを取り止めにして家に戻るので、夜食を用意して欲しいと言うのだった。名前は忘れてしまったけど牛肉を使ったラーメン🍜的なもの。大慌てでリビングを片づけ始めるギテクたち。チュンスクはラーメンを作る。片づけると言っても映画などにありがちな、短時間で何事もなかったように元通りということはなく、単純にソファの下に押し込んだだけ。そういうのもリアル。

 

しかし、何とか体裁は整えたものの、パク一家が帰ってくるまでにギテクたちが帰る時間はなく、仕方なくローテーブルの下に隠れる。ギウは勝手に持ち出して読んでいたダヘの日記を戻しに彼女の部屋に行ったものの、ダヘが戻って来てしまってベッドの下に隠れて、見つかりそうになったりのハラハラがあったりしつつ、結局は3人ともローテーブルの下に隠れることに。この辺りコミカルではあるんだけど、どこかシュールな感じになってくる。確かこの間にムングァンが地下室からキッチンに上がって来たので、気づいたチェンスクが蹴り落としていたと思う😱

 

ヨンギョはラーメンを食べながらチュンスクに何故ダソンの誕生日に外出を選ぶのかを話す。数年前の誕生日の夜、目が覚めたダソンはキッチンへ行き、冷蔵庫の中にあったケーキの残りを食べていた。すると、地下室から幽霊が現れて冷蔵庫の中の物を持ち去ったというのだった。ダソンはそれがトラウマになっているので、誕生日には外に連れ出しているのだと言う。見ている側もチュンスクとともに幽霊の正体が分かる仕組み。

 

楽しみにしていたキャンプがダメになってしまったため、ダソンは庭のテントで寝ると言う。大雨が降っているのに庭のテント内で眠れるというのは、この家が高台に建っており、子供が庭で寝ていても大丈夫な安全が確保されているということ。この辺りも象徴的は感じがした。リビングはこの中庭に面していて、一面がガラス張りとなっている。全面クリアなこの"窓"は、半地下のキム一家の家の窓、そして地下の窓のない空間との対比となっているのかなと思う。

 

ダソンが庭で寝るというので、パク社長夫妻はソファで寝ることにする。困ったのはローテーブルの下の3人。息をひそめてじっとしているしかない。するとパク社長がなんだかキム運転手ことギテクの匂いがすると言い出す。ギテクは頑張っているけど、時々汚い言葉を言ってしまうことがある。それは我慢できるのだけど、あの匂いは我慢できないと言う。それがギテクたちをとても傷つける。パク社長の口調には特別ギテクを蔑む感じはなかったけれど、逆にそれが無意識の差別を感じさせて、見ている者にも嫌な感じを抱かせる。そんな中、パク夫婦がエッチを始めてしまい、ローテーブルの3人はいたたまれない。この感じもシュールだった😅

 

パク夫妻がソファで眠り初め、やっと3人はローテーブルから抜け出し半地下の家に帰る。その時には外はドシャ降りで3人はびしょ濡れになりながら歩いて帰る。パク家からキム家まで3人はずっと坂や階段を下りっぱなし。実際はこんなに高低差があることはないと思うけれど、これはパク家とキム家の格差を象徴しているのでしょう。この坂の使い方はとても良かった。 

 

3人が半地下の家に帰って来ると、辺りには水が溢れ人々が避難していた。3人は家に入り大切な物を持ち出そうとするけれど、突き当りにあるキム宅には水がどんどん流れ込んできて、瞬く間に背が立たなくなってしまう。この描写もスゴイ。汚水が溢れて来るトイレを必死で押さえているのもシュール。やっとのことで持ち出したのは、ハンマー投げの選手だったチュンスクの写真と、あの日ミニョクからもらった石だった。

 

被災したギテクたち3人は避難所で朝を迎える。すると、ヨンギョから電話が入る。ダソンの誕生パーティーを家で開くから買物に連れて行くようにというのだった。ギテクたちが被災しているとは知らないので仕方がないのだけど、これは痛烈な皮肉なのかなと思った。被災した人たちがいるということすら知りもしないという無感覚。被災して食べる物もないギテクにカートを押させ、カゴに次々と高級食材を放り込んでいく。それを料理するのは家が被災していることも知らないチュンスク。なんとも皮肉。

 

ダヘのリクエストでギウとギジョンも招待される。富裕層の人々が次々集まって来る中、ギウはあの石を持って地下室へ。ムングァンはチュンスクに蹴り落とされた時に亡くなっていた。ギウが最初からムングァンと夫を殺そうと思って地下へ行ったのかは分からないけど、ムングァンが死んでしまっていたことで、いよいよ夫の口を塞ぐ必要が出て来た。しかし、ギウは夫の逆襲に遭いシェルターから上がった地下室で石で頭を殴られてしまう。

 

一方、庭では客たちがパーティーを楽しんでいた。そんな中、アメリカ先住民に扮したパク社長とギテクが物陰に隠れていた。パク社長夫妻はサプライズ計画を立てていて、バースデーケーキ🎂を運んできたギジョンをパク社長とギテクが襲い、それをダソンが助けるという演出。これに対して乗り気でない発言をするギテクに対し、プライドを傷つけられたのか仕事だから従うように言うパク社長。ギテクの中に何かが広がったと同時に悲劇が起きる。

 

なんと、地下からムングァンの夫が刃物を手に現れてケーキを運ぶギジョンを刺してしまったのだった。そのまま庭に現れるムングァン夫。するとまだ彼に気づいていないパク社長が匂いに顔を歪める。その時、ギテクの中で何かが切れた。暴れるムングァン夫から刃物を奪うと、パク社長に突き立てた😲 当然ながら大パニックとなって客たちは逃げ惑い修羅場となる。

 

シーン変わってチュンスクとギウがテレビを見ている。このテレビを見てた場所はどこだっけ? とにかくテレビではパク社長宅で起きた事件を報道しており、パク社長を殺害したギテクの行方が分からないことを伝えている。ギジョンは亡くなってしまったらしく、チュンスクとギウは2人であの半地下の家に住んでいるらしい。

 

ヨンギョたちは家を売却したらしく、現在は外国人一家が暮らしている。雪が降り積もる高台からあの家を覗くギウ。すると、外灯がチカチカしている。言い忘れていたけどムングァン夫はモールス信号を勉強しており、外灯を使ってモールス信号を発信していた。例のバトルのさ中も血を流した頭をガンガン打ちつけてモールス信号を送っており、それをダソンがテントの中で解読している場面があった。ダソンがムングァン夫を救出するという展開になるのかと思ったら何も起こらず忘れていたけど、ここにつながるのね!😲

 

モールス信号を送っていたのはギテク。あの日、門を出たギテクは車庫から家の中に戻り、そこから地下室を通って地下シェルターに向かった。そして、ムングァン夫に代わりそこの住人になったのだった。いつかここを出ることを諦めていないというようなことをモールス信号で送っており、ギウはそれを受信した。

 

そしてギウは計画を立てる。とにかくお金を稼いであの家を買い取ること。そして、引っ越し初日に庭に出るから、お父さんも出て来て下さいというナレーションが流れて、ジャケット着用してオシャレしたギウとチュンスクがあの家のカギを受け取り、家に入って庭に出たところで、地下からギテクが出て来きて再会するシーンが流れる。ここで終わるのかと思ったら、半地下の家でギウが妄想していたというオチで終わる。うーん。これはニヤリ😏

 

実はこれ3つの階層を描いているんだよね。頂点がパク社長、底辺にいると思われてたキム一家だけどさらに下にムングァン夫がいたという。それを高台の豪邸、半地下の家、そして地下シェルターで表している。キム一家は半地下から一般家庭レベルの振りをしてパク家にパラサイトしたわけだけど、その家にはさらにパラサイトしている人物がいた。さらにパク社長たちのような富裕層も、実は社会の底辺にいる人たちの犠牲になり立っている部分もあり、パラサイトしているとも言える。そういう意味で、日本版の副題"半地下の家族"は不要なのではないかと思う。半地下の家族だけがパラサイトしているわけではなのではないかなと🤔 

 

キム一家は半地下から抜け出そうとしたわけだけど、パク社長が指摘したように体には臭いが染みついていた。それは文字通り何かしらの臭いでもあるのだろうけれど、格差社会が生み出した歪から抜け出せないということを表しているのだと思う。ギテクはそれに気づいてしまった。単純に自分の臭いを指摘されて傷ついただけではないのだと思う。この感じはとても上手いし、見ている側にじんわりと沁みて来る。

 

役者たちが全員スゴイ! ムングァンのやり手家政婦として陰の主的な雰囲気から、一転ボロボロの姿で去って行く感じとか、夫のために懇願する感じ、さらに一転なりふり構わぬモンスターになる変化ぶりをイ・ジョンウンが怪演。ムングァン夫の役名って出て来たかな? 名前すらないという境遇ではさすがにないと思うけれど、映画的に役名はなかったような?🤔 おそらくネタバレを避けるためだと思うけれど、この役を演じたパク・ミョンホンは公式サイトで紹介されていない。でも、最終的には狂気に走るムングァン夫は、いろんな要素が詰まった今作のホラーパートを担う役でもあり、そういう意味で見事だったと思う。

 

一生懸命だけれど人を信じやすいヨンギョをチョ・ヨジョンがかわいらしく演じていたし、無意識下に差別意識を持っているパク社長のイ・ソンギュンも良かった。パク一家は決して悪い人たちじゃないし、自分たちも正しくあろうとしているけれど、人を思いやるということには欠けている。その辺りをさり気なく漂わせつつ、二重にパラサイトされていることに全く気付かない間抜けさを出しつつ良かったと思う。

 

キム一家はちゃっかりしているし、基本だらしない部分もあるけれど、悪人というわけではない。それぞれ一定以上の能力がある。でも、それが生かされないから策略を巡らせているわけで、知らず知らずにそれを身につけてしまっているギウのチェ・ウシクとギジョンのパク・ソダムも良かった。最初はパラサイトしていく大胆さとか小賢しさみたいな部分を嫌な気持ちで見ていたのに、いつの間にか2人に同情していて、その辺り上手かったなと思う。

 

チュンスクのチャン・ヘジンは品のないおばちゃんとして登場したのに、やり手家政婦になっててビックリ。でも、特に品のないおばちゃんだった時のパワーがすごかった。一家の主は間違いなくチュンスクだったと思う。そして、ギテクのソン・ガンホが相変わらず上手い! そもそもはギテクが失業してしまったから困窮していたわけなのだけど、それでもどこか楽しそうだった。家族がどんどのパラサイトして行く過程まではノリノリだったのに、パク社長のあの一言を聞いてから表情が一転する。そこからはギテクが切なくて切なくて😢 特に先住民の姿をさせられて、パク社長に見下されていることに気づいてしまった時の表情が印象的。素晴らしい

 

前半はコミカルタッチで、サスペンスタッチに代わり、中盤でムングァン夫が登場してホラー要素が加わり、さらにアクションや自然災害まで加わわる。一つの映画でこれだけ見せ方を詰め込んでいるのに、全然雑多な感じがしない。役者たちの演技がすごくて引き込まれるし、いろんな伏線が散りばめられているのも面白い。全部の場面がおもしろかった。好みはいろいろあると思うので苦手な人もいるかもしれないけど、自分はとってもおもしろかった。ラストの落としどころも良かったと思う。モールス信号を解読したと思っているのもギウの妄想なのかもしれないし。その感じも良かった。

 

パク家の豪邸のデザインも良かった。オシャレで素敵だけど温かみは感じない。リビングから見える庭も箱庭感がある。半地下の家の雑多で閉塞感のある感じも良かったし、地下シェルターの息詰まる感じも良かった。さり気ないチボリオーディオ含めて。

 

ギテクは半地下から這い上がろうとして、結果地下に堕ちてしまうのだけど、そこからまた這い上がれることはないのでしょうね。人を殺してしまっているしね。それはやっぱり罪を背負うってことだからね。

  

とにかく面白いからオススメ! これだけネタバレしておいて言うのもなんだけど、出来る限りネタバレなしで見た方がいいと思う! ポン・ジュノ監督とソン・ガンホ好きな方必見です!

 

 『パラサイト 半地下の家族』公式サイト

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【Googleのロゴ】アンナ・メイ・ウォンを称えて

2020-01-22 01:07:44 | Google's logo

毎度のGoogleのロゴがこんなことに!


 

アンナ・メイ・ウォンを称えて

すみません💦 どなたでしょう?


毎度のWikipediaによりますと・・・


アンナ・メイ・ウォンAnna May Wong、本名:Wong Liu Tsong、

中国名:黃柳霜、ピン音:Huáng Liǔshuāng、1905年1月3日 - 1961年2月2日)は、

ハリウッドで有名になった初の中国アメリカ女優である。

エキゾチックな美貌で、“チャイニーズ・ヴァンプ”として人気を博し、ヨーロッパでも活躍した。


ほ~ 女優さんなのね


ウォンは中国系の3世として、ロサンゼルスチャイナタウンに生まれた。

父親はクリーニング業者である。

1919年、14歳の時に『紅燈祭』のエキストラで映画初出演。

1922年の『恋の睡蓮』で16歳にして初主演を果たした。

1924年、『バグダッドの盗賊』でダグラス・フェアバンクス上山草人と共演し、

エキゾティックな悪女を演じて一躍有名になった。


とはいえ・・・


ウォンはその後、悪女、妖婦、メイド、売春婦、女奴隷等々、

妖艶でミステリアスな東洋人女性を演じ、脇役ではあったが立て続けに映画に出演した。

しかし、似たような役柄しか与えられないことに次第に苛立つようになった。

これは、当時の東洋人に対するイメージや偏見に加えて法の存在もあった。


と、差別があったらしい😢

そこで・・・


1928年、23歳のウォンはヨーロッパに渡った。

猛レッスンの末、ドイツ語フランス語もマスターし、映画や舞台で華々しく活躍。

社交界でももてはやされる存在となり、

1929年にはイギリス映画『ピカデリー』で大成功を収めた。

1930年、凱旋帰国したウォンは、ブロードウェイの舞台に立って喝采を浴び、

続いて意気揚々とハリウッドに戻った。

ところが、ハリウッドで待っていたのは、以前と変わらない扱いだった。

失望したウォンはヨーロッパに戻った。


なんと😠

しかし・・・


1930年代半ば、ヨーロッパでは日増しに戦争が色濃く影を落とし始めた。

ウォンは戦争の気配から逃れるように帰国し、ハリウッドに戻った。

しかしハリウッドにウォンの活躍の場は最早なかった。

1930年代後半、ウォンは映画界での限界を感じ、

中国系の血統や容姿が関係しないラジオ番組に出演するようになった。

1942年、ウォンは37歳の若さで映画界から引退した。


しかも・・・


ウォンはついに、求めていた役柄と巡り会った。

それは中国アメリカ人の家庭を舞台にしたミュージカル映画

フラワー・ドラム・ソング』(1961年)の母親役だった。

ウォンは興奮し、出演に向けて意気込んだ。

ところが、出演が実現するかに思えた1961年、

肝硬変を煩っていたウォンは、サンタモニカの自宅で心臓発作で急死した。

56歳、終生独身だった。


なんと😢

でも・・・


映画界への貢献が認められ、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに加えられた。


とのこと😌


このロゴはスライドになっていて、

アンナ・メイ・ウォンの生涯を描いているのかな?


女優を夢見る少女時代

映画デビューするもステレオタイプな役ばかり・・・

ヨーロッパに渡り・・・

一躍スターに✨

テレビに出演したということ?


検索画面のロゴはこんな感じ


でも、何故今日称えられたんだろう?🤔

そうやら初出演映画の公開日にちなんだものらしい?


とにかく・・・


おめでとうございます

コメント (3)
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【tv】「令和の法隆寺 千四百年の伝承と聖徳太子の残響」@BSフジ

2020-01-20 00:14:12 | tv

【tv】「令和の法隆寺 千四百年の伝承と聖徳太子の残響」@BSフジ

 

 

お正月に放送された番組。録画しておいたのを見てみたら、とても面白かったのでメモ取りながら鑑賞。備忘録として記事にしておく😌

 

法隆寺(聖徳宗総本山 法隆寺)の敷地面積は18万7,000㎡。東京ドーム14個分。東院伽藍と西院伽藍があり、西院伽藍に世界最古の木造建築がある。中門は飛鳥時代(Wikipedia)の建築で入口が2つあるのが特徴。左右の金剛力士像は奈良時代(Wikipedia)に作られた塑像(Wikipedia)。吽形は16世紀に修理され胸から下は木製になっている。

 

西院伽藍の回廊は最も重要な聖域を囲んでおり、かつては僧侶も中に入れなかった。胴張(コトバンク)の柱には埋め木(コトバンク)がされており、下の方には根継ぎ(コトバンク)がしてあり、1300年に渡り人々に大切にされてきたことが分かる。

 

金堂(Wikipedia)と五重塔(Wikipedia)が並列で並ぶ法隆寺伽藍配置。金堂が本堂で世界最古の木造建築となっている。雲斗(コトバンク)、雲肘木(コトバンク)、卍崩し(コトバンク)の勾欄やそれを支える人字割木など、飛鳥時代の建築様式が見られる。金堂内部の空間は大きく三つに分けられる。

 

 西の間=阿弥陀三尊像(Wikipedia)

 中の間=釈迦三尊像(Wikipedia)

 東の間=薬師如来像(Wikipedia)

 

四隅には四天王(Wikipedia)が配置されている。最古の四天王。後世では憤怒の表情や躍動感ある姿で表されるが、法隆寺金堂の四天王は直立で口を堅く結んでいる。


釈迦三尊像

 

本尊は釈迦三尊像。飛鳥時代に止利仏師(Wikipedia)によって作られた。銅製で金色だった。二等辺三角形で左右対称なのは飛鳥時代の仏像の特徴。口元はアルカイックスマイル。中国様式ではあるが表情や衣は日本独自の表現。脇侍は左が薬上菩薩(Wikipedia)、右が薬王菩薩(Wikipedia)で薬を持って人々を救う。

 

誰が何のために作ったのか?

 

釈迦三尊像の光背に銘文によると、聖徳太子(Wikipedia)と后の病気平癒を祈願して后や王子が造立を発願。聖徳太子と后が亡くなったため、太子の母である穴穂部間人皇女(Wikipedia)と合わせて冥福を祈願して止利仏師により推古31年(623年)に造られた。"尺寸王身(せきすんおうしん)"と記載もあり、聖徳太子の等身であることが分かる。

 

法隆寺は聖徳太子が建立したとされているが、生前は何を祀っていたのか?

 

薬師如来の光背の銘文によると、聖徳太子の父である用明天皇(Wikipedia)が自らの病気平癒を願い、寺と薬師如来を造ることを請願したが、完成を見ることなく崩御。推古天皇(Wikipedia)と聖徳太子が遺志を継ぎ、推古15年(607年)に完成させたとある。銘文によると薬師如来の方が15年早いが、薬師如来が造形化されるのは607年より後の時代で、様式的に法隆寺の釈迦三尊像より後に造られたと考えられる。最初の本尊が何かは不明。

 

日本書紀(720年完成)に法隆寺は670年に焼失したと記載があるが、今の伽藍は誰が何のために建てたのか?

 

そもそもは601年に聖徳太子が住まいとして斑鳩宮(Wikipedia)を造営し、その後父である用明天皇のための寺を建立。607年法隆寺建立。都である明日香から20キロ離れたこの地を選んだのは何故か?

 

東野治之教授(Wikipedia):斑鳩の地は大和川、富雄川、竜田川があり、交通の要所であった。外国使節に向けての国力誇示のデモンストレーションだったのでは? 

 

6世紀後半築造の藤ノ木古墳(Wikipedia)もあり重要な土地だった。この古墳が誰のものであるのか不明だが、大伯父である穴穂部皇子(Wikipedia)の墓ではないかと言われている。

 

670年に火災により焼失したが、その後の再建状況について明治以降論争が続いているのだそう。今見ている伽藍は創建当時のものなのか? 昭和14年に発掘調査が行われ、西院伽藍の脇に江戸時代(Wikipedia)に若草伽藍(Wikipedia)と呼ばれる塔頭伽藍があった場所で、塔と金堂の基壇が発見された。これにより若草伽藍=創建法隆寺ではないかと考えられた。2004年に焼痕瓦が出土。607年に建立されたのは創建法隆寺で、670年に焼失したと考えられる。さらに、この創建法隆寺は南北一直線に配置される四天王寺式伽藍配置であったと思われる。

 

何故伽藍配置を変えたのか? また、何故場所を移したのか? 焼失前の釈迦三尊(623年造立)は無傷で残ったのか?

 

再建ではなく新しい寺を建てたのではないか? 奈良文化財研究所は2008年に金堂の天井裏調査を行った際の木材を、年輪年代法(Wikipedia)で調査した。中心となったのは客員研究員の光谷拓実氏(Wikipedia)。年輪は1年毎に増えるが、その幅はその年の気温、降水量、日照時間で変わる。幅の変動は一定地域で共通したパターンがある。1980年からパターンのデータベースを構築。樹皮直下の年輪が伐採年となるため、面皮の残る木材を探し出して調査。金堂の材料は668年に伐採されたことが分かった。670年に創建法隆寺が焼失前に伐採されていることになる。

 

焼失前に建立計画があったのか? もしくは既に建っていたのか?

 

建築史家の鈴木嘉吉氏(Wikipedia)は、2008年に金堂の天蓋(Wikipedia)を外した際の木材に遊びの金具があることを発見した。西の間、中の間は飛鳥時代のものだが、東の間は鎌倉時代(Wikipedia)。この東の間の薬師如来の天蓋に遊びの金具があった。飛鳥時代の木材の天蓋ではなく、軽い天蓋がかかっていたのでないかと考えた。

 

奈良時代の「伽藍縁起并流資材帳」(国立国会図書館デジタルコレクション)によると、693年の仁王会(コトバンク)で持統天皇(Wikipedia)から紫色の布製の天蓋を下賜されたと記載があり、この天蓋を掛けたのではないか。西の間、中の間の木材には金堂が完成して直ぐに金具を取り付けたので、塗料の赤(弁柄)が残っている。東の間は金堂の完成からしばらくして塗料が色落ちしてから金具を取り付けたと思われるので赤が薄い。

 

西の間=木製の天蓋、中の間=木製の天蓋、東の間=何もない 後に布製 何故?

 

仏像が内陣の前方に祀られている。もともとは本堂とは別の用途のために造られたのではないか? 聖徳太子の御霊を祀る廟堂(コトバンク)として造られたのではないか? 670年より前に建っていたこと、釈迦三尊像が焼失していないこと、また釈迦三尊像が聖徳太子の等身大であることの説明がつく。

 

後ろの空間には何があったのか?

 

平安時代の記録によると厨子が3つ並んでていたらしい。そのうちの1つが玉虫厨子(Wikipedia)。厨子とは仏像やお経を収めるもの。玉虫厨子は高さ2mで飛鳥時代7世紀前半作。金具の下に玉虫の羽根が埋め込まれているため玉虫厨子と呼ばれる。飛鳥の建築、工芸、絵画の技法が使われており、側面には釈迦の前世の腹を空かせて餓死寸前の虎に自らを与えるエピソードが描かれている。聖徳太子を悼むお堂の名残りではないか?

 

聖徳太子を祀る寺ではなく、聖徳太子が造った寺であることが重要だったのではないか?

 

東の間の薬師如来の光背に聖徳太子が建てたという縁起を記載し、天皇から授けられた布製の天蓋を掛けることで、聖徳太子が造った寺であると朝廷が公認した形。

 

693年に聖徳太子の廟堂から、金堂に大転換したのではないか?

 

西院伽藍の五重塔は金堂より後に造られたが日本最古の塔である。32mあり6層に見えるが1番したは裳越。鎌倉時代に落雷で火災に遭うも、人々の尽力によって消化された。相輪(Wikipedia)は落雷除けと言われている。

 

五重塔は逓減率が使われており、初層に対する最上階の幅の割合は0.5で、上は下の半分となっており、これにより安定感が生まれている。これが1300年以上前に建った奇跡。

 

昭和9年~60年まで半世紀かけて昭和の大修理が行われた。指揮を執ったのは法隆寺の宮大工西岡常一(Wikipedia)。鬼と呼ばれた伝説の宮大工。その唯一の内弟子が鵤工舎の小川三夫氏(Wikipedia)。


小川三夫氏:五重塔は知恵の塊。知識がなかったのだから知恵を絞った。檜の強さを知っている工人がいたのでは? 欅や松では600年、杉で900年しかもたない。檜だから1300年以上保っている。西岡氏から「木は生育の方位のままに仕え」と教えられた。山に生えていた時と同じ方向に置く。

 

五重塔内部には東西南北に仏教の重要は場面が再現されている。例えば北は涅槃(Wikipedia)。横たわる釈迦の向こう側には菩薩(Wikipedia)や阿修羅(Wikipedia)が見守っており、手前では羅漢(Wikipedia)たちが嘆き悲しんでいる。奈良初期の作。

 

しかし、五重塔の最も重要なものは中央の心柱(Weblio)。その地中には礎石があり、その中に舎利が納められている。昭和の大修理で確認された。塔の語源はストゥーパ(卒塔婆)(Wikipedia)で、舎利(Wikipedia)を安置して拝するためのもの。心柱=塔婆。穴は開けない。五重塔はこれを倒れないようにするための建物。心柱に周囲の各層に接していない。積み重ねられていない。揺れに対して各層ごとに揺れる? 心柱が逆に揺れる? 耐震構造になっているらしい。

 

小川三夫氏:そもそもはインドや中国から入って来たが、気候風土に合わせた建物に造り変えた知恵こそが日本人の素晴らしさではないか。猿真似と言われたりもするが、そうではない。

 

21世紀を迎え五重塔の謎の解明が進んでいる。五重塔の心柱の円盤標本を年輪年代法で調査したところ、594年に伐採されたことが分かった。594年は法隆寺創建前の年代。転用したのではなくて貯木されていたのではないか。法隆寺を聖徳太子が建てたということにするため、五重塔を出来るだけ古い形で、聖徳太子が生きた時代の木材を使って建てたいと考えたのではないか。

 

令和元年十月八日、西円堂で大般若経転読法要(コトバンク)が行われた。大般若経はインドから玄奘三蔵(Wikipedia)が持ち帰った経典を漢訳したもので600巻ある。西円堂の本尊は薬師如来坐像。2m半。奈良時代作で漆と木屑に金箔で覆われていた。特に耳の病を治すとされ、耳が通じるようにと錐を奉納する。


百済観音像

 

百済観音像(Wikipedia)。飛鳥時代の作。八頭身あり2m。正面から見られることを意識しているのが飛鳥時代の特長だが、横から見られることも意識しているように見える。異国風であるが渡来仏ではなく日本製。どのように法隆寺に来たのかは謎。

 

東院伽藍は聖徳太子が居を構えた斑鳩宮の跡に造営。造営に尽力した行信僧都(Wikipedia)の像は唐招提寺の鑑真和上像(コトバンク)と同時期の最古の人物像。


救世観音像

 

夢殿(コトバンク)は奈良時代に造られた。聖徳太子が斑鳩の宮で瞑想していた時、夢に仏が現れたという伝承に由来。厨子を中心に周囲を周ることが可能。毎年春と秋に厨子の扉が開かれる。厨子の内部に安置されているのは救世観音像(Wikipedia)。飛鳥時代の作。最古の木彫像。樟の一木造りで、透かし彫りの宝冠をいただく。幾何学的な衣は飛鳥時代の特徴。保存状態が良いのは長い間衣に包まれて秘仏であったため。明治時代にアーネスト・フェノロサ(Wikipedia)が扉を開き再発見した。

 

何故、奈良時代の夢殿に飛鳥時代の救世観音が安置されているのか?

 

奈良時代様式の夢殿に飛鳥時代の像を持って来た。聖徳太子信仰。救世観音は等身大の聖徳太子像と言われている。西院・東院とも太子信仰の寺である。

 

聖徳太子はどんな人物だったのか?

 

聖徳太子(中央) 山背大兄王(右)


材料がなく分からない。後から付け加えられた要素も多い。574年生まれと言われており、用明天皇と穴穂部間人皇女の間に生まれた。大おじに蘇我馬子(Wikipedia)がいる。生誕の地は明日香。

 

明日香の橘寺(Wikipedia)は聖徳太子の祖父欽明天皇(Wikipedia)の橘宮が置かれた場所に聖徳太子が寺を建立したと伝わる。五重塔の礎石がある。直径90cmで38mの塔が建っており大伽藍があったが、火災や僧兵(Wikipedia)により壊滅。本堂は江戸時代に再建され太子堂と呼ばれる。太子像が本尊。聖徳太子が推古天皇のために勝鬘経(Wikipedia)を講じていると、蓮の花が1mも降り積もった。南の山に千の仏頭が現れ光明を放った。不思議なことが続いたため、推古天皇が聖徳太子にここに寺を建てることを命じたとされている。

 

青年期の聖徳太子伝承としては、廃仏派の物部守屋(Wikipedia)と崇仏派の蘇我馬子が対立。実際は物部守屋は仏教を受け入れていたそうなので、そういう名目での権力争いであった。これが587年の丁末の変(Wikipedia)で、13歳の聖徳太子は大おじである蘇我馬子と戦った。その際、仏法を守る四天王に勝ったら四天王を祀る寺を建てると戦勝祈願をした。物部守屋は討ち取られた。

 

6年後の593年に四天王を祀る寺を建てたのが、大阪の四天王寺(和宗総本山 四天王寺)。創建は法隆寺より古いが伽藍は昭和に再建された。中門、五重塔、金堂、大講堂が一直線に並ぶ四天王寺式伽藍配置。金堂には雲形の装飾があり飛鳥時代の建築様式で再建されている。本尊は救世観音。夢の中で穴穂部間人皇女の口に救世観音が飛び込み、我はそなたの腹に宿り、生まれ変わりこの世の中を救うだろうと告げた。目覚めると聖徳太子を身ごもっていたという伝承から。四天王から聖徳太子に信仰の対象を変える。奈良時代から聖徳太子を神格化する動きが盛んになり、超人的な伝説が生まれる。

 

何故、聖徳太子は神格化されたのか?

 

非常に優れた人物ではあった。早くから神格化し、それが広まって行った。

 

斑鳩町の法輪寺(嵐山 虚空蔵法輪寺)は聖徳太子の息子である山背大兄王(Wikipedia)が聖徳太子の病気平癒を祈願して建てた。4人の后の内の一人膳菩岐々美郎女(Wikipedia)が住んでいたとされている。金堂、三重塔が並ぶ法隆寺式伽藍。三重塔は昭和19年の落雷で焼失したが、作家の幸田文(Wikipedia)らの尽力で昭和50年に再建された。西岡常一のもと小川三夫も副棟梁として再建に携わる。飛鳥様式再現。

 

講堂は飛鳥時代の仏像が並ぶ。本尊は薬師如来坐像。飛鳥時代の木彫如来像としては唯一最大。山背一族の反映。虚空蔵菩薩(Wikipedia)は飛鳥時代作。水瓶を持っているので観音菩薩(Wikipedia)なのではないかとも言われている。

 

山背大兄王は権力争いに巻き込まれる。蘇我入鹿(Wikipedia)に斑鳩宮を焼き払われてしまう。生駒山(Wikipedia)に逃げるが、ここで兵を挙げれば多くの人を巻き込んでしまうと考え、斑鳩寺(創建法隆寺)に戻り、一族もろとも自害して果てた。これにより聖徳太子の一族は滅亡。通常子孫が絶えると大規模な再建は考えにくいが法隆寺は再建された。仏教によって国を維持して行こうという天武天皇(Wikipedia)、持統天皇(Wikipedia)以降の朝廷の政策に合致し、それが法隆寺の再建に上手く結びついたのではないか。

 

徒歩15分の位置にある龍田神社(Wikipedia)は紀元前の崇神天皇(Wikipedia)の頃の創建と言われている。百人一首の"ちはやふる 神代もきかず 竜田川"で有名な所。聖徳太子が寺を建てる土地を探していたところ、白髪の老人の姿をした龍田大明神に出会う。斑鳩こそが仏法興隆の地、私が寺の守護神になろうと語った。聖徳太子はここに法隆寺を造る。

 

明治時代以前は法隆寺の管理下にあり、法隆寺から30人の僧侶が神社に来て例祭や大祭を執り行った。今でも大きな行事の際には互いに奉納し合う。

 

令和元年11月15日に大講堂にて秋の法要が行われた。大講堂は990年に再建された学問の道場。本尊は薬師三尊像で平安時代作。脇侍は右が日光菩薩(Wikipedia)、左が月光菩薩(Wikipedia)。

 

勝鬘夫人(Wikipedia)の遺徳をしのぶ勝鬘会法要。勝鬘夫人は古代インドの女性で在家の仏教徒。女性は成仏できないというものもあるが勝鬘経は女性を受け入れ救済を解く内容。聖徳太子は勝鬘経を説いた。女帝の時代だったこともあるが、女性の救済を考えたいのではないか。日本で初めて法華経(Wikipedia)を注釈し講讃した。法華経は女性が救われることが書かれている。女性の信仰を集める。奈良時代光明皇后(Wikipedia)が法隆寺に様々な寄付をした。光明皇后と周辺の女性たちが東院伽藍の造営を支援したと考えられる。

 

東院伽藍に隣接する中宮寺(聖徳宗 中宮寺)も聖徳太子信仰が色濃い寺で、太子の母穴穂部間人皇女の発願。飛鳥時代から一貫して尼寺。本堂は昭和43年に高松宮妃の発願で建てられた。500m東に位置する火災前の創建法隆寺と対となっていたのではないか。昭和38年の発掘で塔と金堂跡が確認された。室町時代から皇族が寺に入り門跡寺院'(Wikipedia)となった。


菩薩半跏像

 

本尊は菩薩半跏像(伝如意輪観音(Wikipedia))で悩み苦しむ人々を救う。アルカイックスマイルで表現されており、スフィンクス(Wikipedia)、モナリザ(Wikipedia)と世界三大微笑像と言われている。聖徳太子が穴穂部間人皇女の姿を刻んだと言われている。樟の木で色彩がほどこされていたけれど、お香や燈明の油で黒光りしている。

 

平成31年3月22日、聖徳太子お会式(Wikipedia)が開催された。お会式とは太子の命日に奈良時代から続いている法要。聖霊院にて開催。聖霊院は鎌倉時代の500回忌に僧侶の生活の場であったものを改装した。雅楽と共にお経を唱える。本尊は聖徳太子像。平安時代の作で太子45歳の時の姿だと言われている。 

 

十七条憲法(Wikipedia)。法律ではなく教訓。第一条:和を以て貴しと為し、忤うこと無きを宗と為せ。朝敵内の争いを諫める。第二条:篤く三宝を敬え、三宝とは仏法僧なり。


聖徳太子は平和の象徴?


聖徳太子ほど評価の移り変わった人物はいない。太子はその時代にふさわしい姿に変容して行った。近代のイメージも変容の一つ。

 

奈良時代:優秀な政治家

平安~江戸時代:観音の化身。超能力を持つ。

 ⇨明治維新で皇室中心の政治に。聖徳太子も「偉大な皇族」のイメージに。

明治時代:天皇制国家にふさわしい皇族

戦前:承詔必謹(詔を承けては必ず謹め)=天皇の言葉を受けたら必ず謹んで従え

戦後:平和主義者

 

聖徳太子は時代の要請に合わせてどんどんイメージを転換してきた。

 

令和元年12月8日お身拭い。埃を払う。聖徳太子が造ったお寺だから人々が守って来た。信仰の力。五重塔の心柱の焼け焦げは鎌倉時代の落雷。みんなで消したと記録がある。それこそが日本人の精神。


感想

とても面白かった! 近年では実在しなかったのではないかとまで言われている聖徳太子。でも、厩戸皇子という人はいたらしいし、亡くなった直後の奈良時代の太子のイメージが一番近い像なのかなと思う。その太子が広めようとした仏教により国をまとめようとした結果、太子を神格化して行った、そのために"聖徳太子が建てた法隆寺"が必要だったというのはとっても納得のいく説明だった。


番組内に登場された専門家の方々のお話は全て興味深かったけれど、御年91歳の鈴木嘉吉さんが印象深く、小川三夫さんのお話がとても興味深かった。特に檜だから1300年以上もっているという点と、新しい文化を取り入れながらも日本の気候風土に合わせたものに形を変えて行く日本人の柔軟さについての言及がとてもうれしかった。猿真似というニュアンスで伝えられることが多かった気がするので😢 取り入れたものをそのまま使うなら猿真似だけど、それを自分たちに合う形に変化させたのならば、それはもう別物なのではないか。そういうことが昔から日本人は得意だったのだと思う。


日本のお寺や住宅は木と紙なので、火災にとても弱い。自然災害も多く、さらに戦で焼かれたりもした。その中で、仏像をはじめとした文化財が残ってきたのは、昔の人々が必死で守ってきたから。そう考えるとさらに重要な宝であるように思う。これをさらに1000年後まで残していきたい😌 

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【dairy】『ダウントン・アビー』鑑賞(感想は後日)

2020-01-18 00:54:20 | dairy

【dairy】『ダウントン・アビー』鑑賞(感想は後日)

 

 

 

NHKで放送されてたドラマ版をずっと見てた。シリーズ終了直後から映画化の話があり、とっても楽しみにしてた。日本の時代劇も好きだし、海外のコスチュームプレイも大好き😍

 

 

ザックリした感想はTweetどおり。いつもよりアッサリしてるけど、ホントこんな感じなので😅 ドラマでもいい気がするけど、やっぱり大画面で見てよかった。

 

 

ドラマはずっと吹替で見てたので新鮮だった。トーマスのあの感じを三上哲さんがより膨らませていたことを再確認。吹替版も気になる。メラニーがヴァイオレット様のことをGrannyって呼んでたのだけど、特別上流階級の呼び方というわけではないらしい? どうやらウィリアム王子と噂のハリー王子はエリザベス女王をGrannyと呼んでいるそうなので、その辺りを意識しているのかしら?🤔

 

さて、感想は後日UPする予定だけど、書けてない記事多数! 今『パラサイト 半地下の家族』書いてるからその後。『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』と『この世界の(さらにいくもの)片隅に』も書きたい! 頑張る!!

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【cinema】『リチャード・ジュエル』(試写会)

2020-01-16 00:46:41 | cinema

2020.01.07 『リチャード・ジュエル』試写会@ニッショーホール

 

サム・ロックウェル好きなので見たいと思っていたのだけど、試写会はノーチェックだった。友達から誘われたので喜んで行ってきた~

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「アトランタオリンピック中に開催された野外イベント、警備員のリチャード・ジュエルは不審なリュックを発見。中身が爆弾であることが分かり、必死に避難を誘導するも間に合わず爆発。2名の死者と100人を超える負傷者の出る惨事となったが、多くの人々を救ったとしてリチャード・ジュエルは英雄になる。しかし、地元紙がFBIが彼を容疑者としてマークしていることを報道すると、彼を取り巻く環境は一変する。」と、あらすじとしてはこんな感じかな。実話ベースなので調べれば彼に起きたことも結末も分かってしまう。個人的には権力やメディアの暴力についてだけでなく、外見やステータスによる差別についても描きたかったのかなと思った。そういう意味では考えさせられたけれども、時々ちょっと女性記者がステレオタイプ過ぎたり、古く感じる演出があったり、放りっぱなしに感じる出来事などもあったかな😅

 

クリント・イーストウッド監督作品。監督作品は40本目だそうだけれど、自分は『マディソン郡の橋』『スペースカウボーイ』『ミスティック・リバー』『グラン・トリノ』『ヒア アフター』『ジャージー・ボーイズ』(感想はコチラ)『ハドソン川の奇跡』『アメリカン・スナイパー』(感想はコチラ)『15時17分、パリ行き』(感想はコチラ)と今作を鑑賞。好きな作品もあるけど、そうでもない作品もあるかな。近年は実話ベースの作品を多く撮っている印象。

 

映画について毎度のWikipeidaから引用。『リチャード・ジュエル』(Richard Jewell)は2019年のアメリカ合衆国の伝記ドラマ映画。監督はクリント・イーストウッド、主演はポール・ウォルター・ハウザーとサム・ロックウェルが務めた。マリー・ブレナーが1997年に雑誌『ヴァニティ・フェア』に寄稿した記事「The Ballad of Richard Jewell」を原作とし、1996年のアトランタオリンピックで爆発物を発見して多くの人命を救った英雄であるにもかかわらず、FBIやメディアに容疑者と見なされた実在の警備員リチャード・ジュエルを描いている。 2019年11月に開催されたAFI映画祭においてワールドプレミアが行われた。

 

2014年2月4日、リチャード・ジュエルの伝記映画が製作されることになり、レオナルド・ディカプリオとジョナ・ヒルが主演と製作を兼任することになったと報じられた。9月10日、ポール・グリーングラスに監督のオファーが出ているとの報道があったが、交渉は不首尾に終わった。2015年4月1日、クリント・イーストウッドが本作の監督を務める意欲を見せていると報じられた。

 

2019年4月、ディカプリオとヒルが降板し、製作サイドがイーストウッドに本作の監督のオファーを出していると報じられた。5月24日、ワーナー・ブラザース映画が本作の配給権をディズニーから購入したとの報道があった。6月、ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツ、オリヴィア・ワイルド、ジョン・ハム、イアン・ゴメスの出演が決まった。同月24日、本作の主要撮影がジョージア州アトランタで始まった。

 

本作は2019年12月13日に全米公開される予定だが、これは第92回アカデミー賞をはじめとする賞レースへのノミネート資格を得るためでもある。 2019年11月20日、AFI映画祭で本作のプレミア上映が行われた。その際、ジュエルの母バーバラ(ボビー)・ジュエル本人が会場に姿を見せた。

 

本作は『ジュマンジ/ネクスト・レベル』及び『Black Christmas』と同じ週に封切られ、公開初週末に1100万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを大きく下回るものとなった。2019年12月13日、本作は全米2502館で公開され、公開初週末に468万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場4位となった。この数字はクリント・イーストウッド監督作品としては異例の低さであった。

 

本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには144件のレビューがあり、批評家支持率は73%、平均点は10点満点で6.71点となっている。また、Metacriticには38件のレビューがあり、加重平均値は69/100となっている。なお、本作のシネマスコアはAとなっている。

 

作中で、実在の記者キャシー・スクラッグスがFBIの捜査官を前にセックスと引き換えに情報を引き出そうとする描写があり、問題となった。故人であるため反論できない状況にある人間に対するこのような描写への反発は強く、批評家や記者の一部は激しく作品を批判し、SNS上では「BoycottRichardJewell」というハッシュタグも作られてボイコット運動が起こった。キャシーの所属していたアトランタ・ジャーナル=コンスティチューション(以降AJCと略)は「記者の描写は衝撃的であり、真実ではない」と主張し、クリント・イーストウッド監督とワーナー・ブラザースに書簡を送り、中傷的な方法で誤って描かれているために、場面の一部が脚色されたものであることを正式発表するよう要求した。これに対してワーナー・ブラザースは、映画は情報源に基づいていると主張し、ジュエル氏が疑われていると真っ先に報じたメディアの一つであるAJCが映画を非難するのは残念で皮肉だと述べた。

 

とのことで、自身も見ていて女性記者のステレオタイプな感じと、その後の処理について違和感があった。それについてはおいおい書いていくとして、このキャシー・スクラッグスについて調べてみたのだけど、知りたかったことがあまり見つからず💦 これが一番詳しいかな? (⇨"実話"のクリント・イーストウッド新作、女性記者の「まくら営業」シーンは『嘘』ボイコット広がる ) キャシー・スクラッグスさんは2001年に亡くなっているのね。

 

映画は、事件の10年ほど前から始まる。法律事務所の備品係りをしているリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が、声を荒げて電話をしているワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)の横を通り過ぎようとしているところから始まる。八つ当たりのような形で声を掛けられたジュエルは、モゴモゴとした口調ながらワトソンが必要としているであろう備品を揃えておいたことを告げる。太っていて覇気がなく愚鈍な印象のジュエルの意外な鋭さに興味を持った様子。予備知識を入れていなかったので、2人の関係が良く分かっていなかったのだけど、ここで2人の関係だけでなく、ジュエルの観察眼や分析力を見せて行く感じは良かったと思う。

 

その後も、ジュエルとワトソンはゲームで競ったりするシーンがあるものの、社会的ヒエラルキーの上下関係をお互いがハッキリと意識している感じも描かれていて興味深い。今作で取り上げたかった問題の1つであることは間違いないと思われる。ある日突然ジュエルがワトソンに転職することになったと言いに来る。この時、話したことが後にジュエルがワトソンに連絡を取るきっかけとなったと思うのだけど、具体的に何を話していたか忘れてしまった💦

 

ジュエルは自分の仕事を度々ある言い方をしていたのだけど忘れてしまった💦💦 法を守る者という意味のこと。要するに警察官など法を守る人に強い憧れを持っていたようで、次に就いた学生寮の警備の仕事でも、学生の部屋に踏み込んで飲酒を摘発したりしてやり過ぎだとクビになってしまう。ジュエルがしていることは間違ってはいないのだけど、警備員の仕事の範疇を超えていると言われれば確かにそうで、彼にはちょっとそういう部分があるという描写とともに、この学長が後に彼の運命を変える存在でもあってビックリ。こういう視野でしか人を見ない人が学長って問題あるような😅

 

さて、1996年アトランタオリンピック開催中のアトランタ。リチャード・ジュエルは母親のボビことバーバラ・ジュエル(キャシー・ベイツ)と2人暮らし。オリンピック会場近くの公園では、連日コンサートなどのオリンピック関連イベントが開催されており、ジュエルはその警備員の仕事を得た。

 

運命の日、ジュエルは機材スタッフなどがいる建物の脇で物を投げたりしてふざけている若者数人に注意をする。こういう若者たちにありがちな感じでジュエルに絡んでくる。その際、ベンチの下に置かれていたリュックが倒れる。不審に思ったジュエルは警官の応援を呼ぶ。皆取り合わないがジュエルは調査を強く主張。警官の1人がリュックを調べると筒状の爆弾が仕掛けられていることが分かる。同時に911には公園に爆弾を仕掛けたという電話が入っている。これは後に重要な要素になってくる。

 

ジュエルたちは必死に観客たちを誘導し避難させようとするけれど、なかなか上手くはかどらない。そうこうしているうちに爆弾が爆発してしまう。結果、2名が死亡し100人を超えるケガ人を出す大惨事となった。この事件のことは全く知らなかったのでビックリしたけど、アメリカ人にとっては有名な事件なのかな? かなり大きな事件だし、オリンピック開催中に起きるなんて衝撃的。このシーンは緊迫感があったし、爆発すると分かっているのに驚いてしまった。

 

爆発物の第一発見者として事件を最小限に防いだということで、リチャード・ジュエルは新聞やテレビなどメディアに取り上げられ、一躍ヒーローとなる。道行く人にも声を掛けられるなど、今までにないことに喜ぶジュエル。とはいえ、決して天狗になってしまうようなことはなく、インタビューにも警備員としてあたりまえの仕事をしたことだと謙虚な受け答え。ただ、その中に後々不利になってしまうような発言もあったりするけれど、そこも含めて策略を巡らせられる人としては描いていないように思う。見ている側に白か黒か分からない人物と思わせる演出ではなく、ジュエルは無実の罪を着せられた人という描き方だった。

 

このジュエルをヒーローとする流れの中で、彼の体験を本にしないかという話が出る。そこで、ジュエルは権利関係などについて詳しく知りたいと考えて、ワトソンに連絡を取る。ワトソンの事務所にはナディア(ニナ・アリアンダ)という秘書がおり、この秘書がなかなかやり手でワトソンに対する愚痴をこぼしながらもハッパをかけ、ワトソンが渋々仕事を引き受けるやり取りがコミカルで楽しい。しかし、このナディア役のニナ・アリアンダは実年齢が35歳らしいのだけど、役作りの髪型やメイクのせいかワトソンの母親くらいの年齢に見えて、事件解決後にワトソンとキスしたり、エンドロールでワトソンと結婚したと書かれていて驚いた😲 ニナ・アリアンダの演技は良かったのだけど、この老けっぷりはミスキャストでは? イヤ、20代の若い美女をキャスティングしろということではなく、ホントに老けて見えたから😅

 

いい画像が見つからなかったけど、左の女性がナディア(ニナ・アリアンダ) 老けてる😅

 

話が反れたので元に戻す! ワトソンはジュエルの依頼を受け、これ以降は自分への相談なしにどんな書類にもサインしないようにといい電話を切る。この10年間ワトソンがどんな人生を歩んできたのかは不明なのだけど、法律事務所に勤めていたころはスーツを着こなしていたのに、今はシャツとジーンズだったりとラフないでたち。前述のナディアと2人ではやらない法律事務所を開業しているらしい。この時点ではワトソンは楽でお金になる仕事が来たと考えている感じ。

 

さて、早い段階でジュエルにとって悪夢のきっかけとなる人物が2人が登場している。地元紙の女性記者キャシー・スクラッグス(オリビア・ワイルド)とFBI捜査官トム・ショー(ジョン・ハム)で、実際はどんな人物なのか不明だけど、今作ではこの2人が悪役の位置づけ。で、この2人に美形の役者がキャスティングされているのは狙いなのかなと思う。エリートで美形だから特別な人間だという階級意識で、見た目も経歴もイケていないジュエルのことなど、人としてまともに扱う気などないという感じ。本人がどう思っているかということではなくて、潜在意識にそういう差別があるだろうということ。その部分も描きたいテーマの一つなのだと思う。


前述のWikipediaからの抜粋に、キャシー・スクラッグスがスクープを取るためにまくら営業した描写が物議をかもしたとあったけれど、とにかく個人的にこの女性記者の描き方には大いに疑問があった。あまりにもステレオタイプ過ぎるというか。登場時からそっくり返ってズンズン自分のデスクまで歩いてくる感じがもうイタいし、男性上司と話す時に豊胸手術しちゃおうかしらと自分の胸を掴む感じとか、こんな人います?!と聞きたくなる感じ。事件現場を取材する際もバッグの中をガサゴソとタバコを探す感じとか、ベンチの上に靴のまましゃがんじゃう感じとか、正確なセリフは覚えてないけど男性の同僚に「どうか犯人が強烈なキャラで読者の興味を引くような人物でありますように」と祈っちゃう感じとか。もう不快感通り越して、こんな人いますかね😅という感じ。あまりに古くないですか? 男性が描いたガツガツした女の典型的なパターンって感じで現実離れし過ぎ💦 オリビア・ワイルド的にはこんな感じでいいんですかね? ご本人は亡くなっているそうだけれど、そういう意味でもこの人物像はどうなのだろうか?

 

ちょっと話が反れてしまったけど、この映画でとっても違和感があったのがキャシー・スクラッグス絡みのことだったので、まとめて書かせていただく。このキャシー・スクラッグスが以前からの知り合いのFBI捜査官トム・ショーにまくら営業を仕掛けて、FBIはジュエルが犯人であると考えているという情報を得て、それを記事にしたことによりジュエルの悲劇が始まる。実際にまくら営業をしたかは不明だし、そもそもショーが情報源だったのかも不明だけど、彼女の記事がきっかけだったのは事実らしい。映画では裏付けも取らずに記事にしているけどそのあたりはどうだったのだろう🤔

 

ただ、今作の中でジュエルとワトソンが事務所内に乗り込み、キャシーに記事の撤回と謝罪を求めると、自分である調査をしてジュエルが犯人ではないことを確信する。その後、ショーに否定された描写はあったものの、その路線を追求する取材をした様子もないし、後述する予定の母親の演説を聞いて涙を流している描写が入っただけで、このキャシー・スクラッグスについて一切触れないのだけど、ジュエルに対して謝罪したのだろうか? 

 

実際のキャシー・スクラッグスも独自に調査をしてジュエルの無罪を確信したのか不明だし、ジュエルに対して謝罪したのかどうかも分からないけど、これだけこの人物のキャラをふくらましておきながら、母親の演説に涙したくらいじゃ見ている側の彼女に対する怒りはおさまらないんですけど😠 キャシー・スクラッグスの描き方について長々書いてしまったけど、ちょっと自分としてはステレオタイプ的な描写も、この雑な納め方も納得できなかったので、これは書いておきたかった。

 

FBIがジュエル犯人説を取ったのは、第一発見者を疑えというセオリーがあったことと、前述した学生寮警備員をしていた時の学長が、FBIに連絡をしてきてジュエルが今回の犯行を起こしそうな人物であると証言したから。法の番人であることについて強い憧れとこだわりがあり、自分が手柄を立てたいばかりに自作自演したのではないかということ。たしかにそういう事例はたくさんあるし、この時点ではジュエルは容疑者ではあるので、学長が彼が犯人ならば証言しないわけにはいかないと考えるのも分からなくはないけど、結局この学長にもインテリ層による差別があるってことなのかと。確かにジュエルには越権行為があったし、苦情も多くて迷惑していたのは事実で、その時のジュエルに抱いた印象を語っただけではあるのでしょうけれど。

 

FBIとしてはこの証言もあり、ジュエル犯人説に固執して行った印象。多分、実際には他の線も捜査していたとは思うけれど、今作ではそれは描かれていない。ジュエルに対する捜査については、本人やワトソン、ジュエルの母親ボビなどから証言があっただろうから、多少の脚色はあるにせよ実際も映画同様のことが行われたのかなとは思う。

 

ジュエルのもとにトム・ショーとダン・ベネット捜査官(イアン・ゴメス)らが訪ねて来る。いくつか事件について尋ねた後、教則ビデオ的なものを撮影したいから協力して欲しいと要請する。この時点でおかしいわけだけど、自らも法を守る者だと考えているジュエルは快く協力する。この時点で既にキャシーの記事が出ているので、ジュエル宅には報道陣が押し寄せている。自分に好意的だったメディアが自分を犯人扱いしていることに驚愕するジュエル。

 

それでもジュエルはFBIに協力。狭く薄暗い部屋でトム・ショーやベネットなど数人の捜査官に囲まれてビデオ撮影が行われる。最初はノリノリで撮影に応じていたジュエルだけれど、供述書にサインするように言われワトソンとの約束を思い出しこれを拒否。するとショーたちはあの手この手でサインさせようとする。これを不審に思ったジュエルがワトソンと連絡を取りたいと申し出るも、これも許さない。とはいえ、ジュエルも負けてはいず、ワトソンに電話することを許される。これはヒドイ💦

 

さて、ワトソンが登場してジュエルは家に帰ることが出来るのだけど、ここから戦いが始まる。ワトソンはジュエルの目を見て話し、彼が嘘をついていないと確信し弁護を引き受ける。とはいえ、一応調査をする。あの日、爆破予告電話が掛けられたとされる公衆電話まで、ジュエルのいた事件現場まで歩いてみると、ジュエルには爆破予告電話があった時間に電話はかけられないことが分かる。この調査は前述したとおり、キャシー・スクラッグスも行っており、これにより彼女はジュエルが無実であることを確信するのだけど、ショーに共犯者がいると否定されてそれっきり😒


こういう弁護モノ?にありがちな、不利となる可能性のある事実を弁護士であるワトソンに告げていなかったり、銃マニアのジュエルは合法とはいえ大量の拳銃やライフルを所持していたりして、ワトソンをイライラさせるけれど、この辺りはジュエルのおとぼけ感もありコミカル要素として描かれている。でも、ジュエルは基本FBIについて協力的で、家宅捜査と称して証拠になりそうなものを次々運び出して行く捜査官たちに手伝おうかと声をかけてしまう始末😅

 

お人よしが過ぎると見ている側もイライラしてきた頃、自分が一緒に居る時以外はショーたちとしゃべるなと言われているのに、タッパーウェアや自分の下着まで持ち出されたと泣き叫ぶボビをなだめている間に、ショーたちがジュエルに犯人が電話で話したセリフを言わせて録音してしまう。これにはさすがのジュエルも不信感を持ったようだけれど断れない。ワトソンが気づき慌てて止めさせるけれど、時すでに遅しで録音されてしまった。でも、これが証拠として提出された様子もないし、一体何だったんだろう? ただ、FBIのやり方の汚さを描いたということなのかな?🤔

 

このお人よしぶりにイライラしたワトソンは声を荒げてジュエルにもっと怒れと言うと、ジュエルも感情をあらわにして自分だって怒りを感じているけれど、法を守る側でいたいから、出来ることは協力したいと涙ながらに言う。ジュエルの気持ちは分かるし、最終的には正しいことをした人が勝つと思いたいけれど、彼が耐えてしまうことはいじめを助長させてしまう構図にも似ているのかなとも思った。

 

この時、声を荒げたことがきっかけで、これからはもっと自分の権利を守ろうということになり、前述したキャシー・スクラッグスに抗議しに行ったのだったと思う。一方、ショーたちFBIのなりふり構ない感じは度を越して行き、ジュエルの友人を連行し、ジュエルのゲイの恋人で事件の共犯者なのではないかと尋問したり、ジュエルの自宅やワトソンの事務所に盗聴器をしかける始末。ジュエル宅には連日マスコミが押し寄せ、飼い犬の散歩もままならない。この頃からジュエルは胸の痛みを感じている描写が入る。もしかしたら、心労により命を落としてしまうのかと思ったけど違った😅 でも、後の伏線ではあった。

 

加熱する報道を抑止するためと思われるが、ワトソンはボビに記者会見を開かせる。彼女は涙ながらに息子の無実を訴え、同時にメディアによる暴力も訴えた。泣いてしまっていたけれど、しっかりとした言葉で語られ、最後には大統領に助けを求めて終わった会見は、見ている者の心を打った。少なくともキャシー・スクラッグスには響いたようで涙を流していたけれど、正直この描写は陳腐に感じた。これまでの彼女の描写からすると、この会見ですら利用しそうな勢いに感じたし、そもそもアナタの記事きっかけなんだから、泣いてる場合じゃないのでは?と思ったり。それはさておき、このシーンのキャシー・ベイツの演技が素晴らしく、もらい泣きしてしまった😭

 

ワトソンはジュエルをウソ発見器にかけてもらい、専門家から完全に潔白であるとの結果を得る。これも実際にあったのとなのかな🤔 この結果がFBIに提出されたという描写はなかったのだけど、これは何故行ったのかな? ジュエルに自信をつけさせるため? とにかく、この後ジュエルはFBIと直接対決となる。

 

FBIの会議室のようなところでショーをはじめとした複数の捜査官と対峙する。ジュエルにはワトソンが付き添うが、完全にジュエルをバカにしたような態度のショーに毅然とした態度で向き合うジュエルには、ワトソンの手助けはほとんど必要なかった。しっかりと自分の言葉で、自分を犯人だと疑う証拠は何なのか? 第一発見者を容疑者だと決めつけていたら、今後不審物を見かけても警告するのを躊躇してしまうのではないか、こうして誤って自分を責め立てているうちに、真犯人は野放しだ。FBIは間違っている。もう一度聞く、自分を犯人だと疑う証拠は何なのか? 今までずっと柔和だった彼の表情はキリリと引き締まっていた。このシーンのポール・ウォルター・ハウザーの演技が素晴らしかった

 

数か月後、ジュエルとワトソンがダイナーで食事をしていると、ショーがやって来てワトソンに書類を手渡す。そして、ジュエルの方は一切見ず、ワトソンに対して「お前の依頼人は絶対クロだ」と言い残して去って行く。ヾ(゚Д゚ )ォィォィ 謝罪はなしかよ😠 どういうことかと問うジュエルに、自分たちが勝ったのだと書類を見せる。FBIとしてはジュエルが犯人ではないという結論に達したというような内容。イヤ、犯人である証拠が見つからなかったというような、自分たちは悪くない的な言い回しだった気もする。

 

確かに犯罪の捜査だから、疑わしい人物に捜査の目を向けるのは当然だし、その際にマスコミに容疑者がマークされてしまうこともあるだろうけれど、ジュエルの件がマスコミに洩れたのが今作の通り(まくら営業は別として)だとしたら、リークしてしまった部分も含めて不手際があったわけなのに、こんな紙切れ一枚で謝罪なしとは😒 ましてや彼は第一発見者で多くの人命を救ったヒーローだったのに。ただ、このトム・ショーという人物が本当にこんな嫌な人なのかは不明なので、あくまで映画で描かれていたことに対しての怒りだけれども。

 

自分的にさらに頭に来た描写は、ジュエルの自宅に押収された品々が戻って来るのだけど、捜査員たちが淡々と段ボールを運んで来て、呆然としているボビに謝罪どころか目もくれず去って行く描写。もちろん狙って入れてるとは思うのだけど、本当に頭に来た😠 元 に 戻 せ よ!(*`д´)  ボビが番号書かれてしまったタッパーウェアを悲し気に見ていたのは、一度つけられた傷は元には戻らないという描写なのでしょう。この感じは良かったと思う。

 

6年後、警察署をワトソンが訪ねて来る。カウンターの中にいたのはジュエル。なんと警官になっていたのだった。ワトソンはジュエルに、あの事件の真犯人が見つかったと告げる。特に驚いた様子もなく受け止めたジュエルだったけど、帰ろうとするワトソンに裁判を傍聴できないかと尋ねる。出来ると思うと答えると、調べて欲しいと言う。分かったと言い残しワトソンが去る。見守るジュエルのアップで終了だったと思う。

 

エンドロールでジュエルが心臓疾患で44歳で亡くなったこと、ワトソンはナディアと結婚し子供が生まれたことがクレジットされる。リチャード・ジュエルについて詳しくはWikipediaを見て頂くとして、たびたび入っていた心臓を抑える描写はこのことを示唆していたのね。ジュエルの死因が今作で描かれた一連のことと直接の関係はないかもしれないけれど、この時の心労が彼にダメージを与えたことは間違いないと思う。酷い話だ😣

 

俳優たちの演技が素晴らしかった! オリビア・ワイルドはちょっとオーバーアクション過ぎる気がしたけれど😅 同じく悪役トム・ショーのジョン・ハウの厭らしさは本当に憎たらしくて素晴らしい お目当てのワトソン役サム・ロックウェルが良かった。実際のワトソンがどんな人なのか不明だけど、ちょっと素直じゃないけど正義感に熱い人物を好演。母親以外に友達もほとんどいないジュエルの兄のような存在になっていく感じも良かったと思う。いつ見ても最初は間違いなくサム・ロックウェルだと思うのに、気づくとその人物になってて驚く。

 

キャシー・ベイツには泣かされた。前述の演説シーンはもちろんだけど、ジュエルに八つ当たりされてトイレにこもって泣くシーンも泣かされた😭 ホントに普通のおばさんにしか見えないのスゴイ! もちろんホメてます! どこにでもいる息子を愛する普通のオバさん。特別強くはないけど、息子を信じ抜く強さ。感動した。

 

ポール・ウォルター・ハウザーが素晴らしい。実際のジュエルがどんな人だったのかは不明だけど、疑われてしまったのはFBIが設定した人物に一致してまったからで、その辺りの立ち回りの下手さというか、愚直な感じというか。単純にお人よしなだけではなく、彼には彼の信念があっての協力的な態度であったり、警官やFBIに対する憧れのようなものなどが、見ている側をイライラさせたりする部分も含めて良かったと思う。あの直接対決のシーンは、見ている側をスカッとさせるのが狙いなわけだから、その辺りも素晴らしかったと思う。

 

1980年代や1990年代の雰囲気や、オリンピック開催時の浮かれた感じなどの描写も良かったと思う。ジュエルに起きたことはめったにあることではないかもしれないけれど、SNSでどんどん情報が拡散されていく時代、いつ自分が被害者や加害者になってしまうか分からない。充分に注意が必要だと思った。気になる点や演出的に古さを感じる部分もあったし、放りっぱなしのエピソードもあったりしたけれど、その辺りの注意喚起としては良かったと思う。

 

楽しい内容ではないのでオススメしにくいけれど、実話モノ好きな方は好きかも? サム・ロックウェル好きな方、キャシー・ベイツ好きな方はオススメ。

 

『リチャード・ジュエル』公式サイト

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【動画】 鍵山優真選手 ユースオリンピック 2020 FS

2020-01-13 21:56:40 | 【動画】figure skate

⛸【動画】 鍵山優真選手 ユースオリンピック 2020 FS⛸

 

 

 

スイスのローザンヌで開催中の冬季ユースオリンピック2020での鍵山優真選手のFS演技。ゆまちがやりました! 素晴らしい演技で金メダルを獲得

 

ユースオリンピック(Wikipedia)は14歳から18歳の選手を対象とした国際オリンピック委員会が主催するスポーツ大会。冬季大会は2012年から始まり、オリンピック同様4年毎に開催され今大会で3回目。そして、2012年第1回大会では宇野昌磨選手が銀メダル、2016年第2回大会で山本草太選手が金メダルを獲得している。そして第3回目となる今回も日本選手が金メダルを獲得✨

 

SP3位の6.96点差で迎えたFS。結果とゆまちの演技しか見ていないのだけど、ゆまちは最終滑走だったのかな? 直前に銀メダルとなったモザリョフ選手が素晴らしい演技を披露したらしいけれど、動画を見た限りでは焦ることなく落ち着いて演技しているように思う。

 

冒頭の4Tはコンビネーションの予定だったのかな? 着氷が耐え気味になったため単独に。GOEは0.54点にとどまっている。3Loも着氷し1.40点の加点。そして2本目4Tを4T+2Tのコンビネーションにしてキレイに着氷。2.85点の加点。続く大技は3A+1En+3Sの予定だったのかな? 2SとなりDG判定になってしまった💦これはGOEも-1.03点。1.1倍となる後半3本は3F+3Tをキレイに着氷して1.97点の加点、3Lzも危なげなく着氷し1.85点、そして最後に3Aという驚きの構成😲 これは2.06点の加点を得た。

 

スピンは3つともレベル4を獲得、それぞれ0.82点、0.47点、1.05点を獲得。特に最後のシットスピンは腰が低く姿勢も美しくて回転速度も速かった! ステップもレベル4で1.11点の加点! エッジワークが美しく流れるようなステップで、体全体を大きく使って前半のゆったりした曲調も飽きることなく見入ってしまう。そして一転テンポアップしてからのキレも素晴らしい PCSも8点台が出ている。166.41点で合計239.17点で金メダル🥉

 

ゆまちのお父様でコーチでもある鍵山正和さんは1992年アルベールビル、1996年リレハンメルの2大会に出場した元オリンピック選手。もちろんゆまちの目標もオリンピック出場でしょう! まずはユースオリンピック優勝おめでとう!

 

ゆまちの流れるようなスケーティングと音楽の表現はとても好みの選手。しかも、ゆまちの憧れは宇野昌磨選手! よしよし! 見る目があるぞ😀

 

ということで動画をドゥゾ♪(っ'ω')っ))

 

Yuma KAGIYAMA 鍵山優真 FS 冬季

ユースオリンピック 2020 ローザンヌ Winter Youth Olympic Games Lausanne

 

金メダルおめでとう🎉

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