'09.09.20 『BALLAD 名もなき恋のうた』@TOHOシネマズ市川コルトン
なんだかとっても気になったので、連休中だし地元のシネコンへ見に行ってきた。
*ごめんなさい! 辛口です
「小学生の川上真一は最近、毎日のように美しい姫が湖のほとりで祈る夢を見ていた。ある日"川上の大橡"と呼ばれる橡の木の根元で、箱に入った巻物を見つける。それを読んだ瞬間戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこで真一はあの夢の姫に会うことになるが・・・」という話で、これは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』の実写化。クレヨンしんちゃんはマンガを読んだことないし、アニメも映画も見たことなかった。アニメ番組はしんちゃんの行動が下品だということで"子供に見せたくない番組"の1位になってしまったけれど、映画に関しては評判が良くて、この作品や『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』などは大人が見ても、感動して泣いてしまうと聞いていた。その辺りと、戦国時代の戦の仕方や、城の造りなどにこだわったという点が気になって見に行ったのだけど・・・。
うーん。おもしろかったんだけど・・・。正直に言ってしまうと劇場で見なくても良かったかなという感じ。上手く言えないんだけど、全体的に小粒という印象。現代人がタイムスリップしてしまうというのは数々描かれてきたわけで、文明の利器のおかげで昔の人を驚かせたり、助けたりするという設定もたくさん見てきた。戦国時代の戦に加勢するのは『戦国自衛隊』があるし(笑) もちろんパクリだと言っているわけではないです! 姫と家臣の身分違いの恋っていうのもたくさん見てきた。だから、多分もとのアニメ映画が見せたかったのは、しんちゃんが戦国時代に行くということであって、しんちゃんと武士、しんちゃんと姫の関係のおかしさみたいなことなんじゃないかと思う。大人になるといろんなしがらみとか、臆病になってしまった自分がじゃまして素直になれないことは多い。その辺りが、子供の無邪気さというには度を越した感のあるしんちゃんに引っ張られて、開放されることもある。あとは単純に完全に縦社会である戦国時代に、しんちゃんを投入するおかしさっていうか・・・。
でも実写であのしんちゃんのキャラを演じるのはちょっとムリだと思う。忠実に演じたからといっておもしろいかと言うと違うと思うし、見ていて辛いことになるのは間違いないと思う。だから野原しんのすけから川上真一の変更はありだと思う。でも、それだけに真一がタイムスリップしてきたことが、そんなに起爆剤になっていない気がした。真一が帰ってこないことを心配した両親は"川上の大橡"という名前が「川上真一とその一族の活躍」に由来することを知り、真一のタイムスリップを確信するけど、そんなに活躍してないし(笑)
戦国時代の戦を忠実に再現したとのことだけど、あまり伝わらなかった気がする。真一がタイムスリップしたのは天正2年の春日という国。もちろん架空の国で、かなり小さな国という設定らしい。真一の夢に出てきたのはこの国の姫君で廉姫。美人の誉れ高く、輿入れの申し入れがたくさんあり、真一的に言えばモテモテ。この姫が密かに恋するのが幼なじみの侍大将、井尻又兵衛。"鬼の井尻"と恐れられる人物。うーん。ガッキーはかわいいんだけど、ちょっと戦国時代の姫には見えないかなぁ。品がないってことではないんだけど、言葉遣いはともかく声のトーンなんかは、あえての大芝居というか時代劇調にしていないのは、他の人達もわりとそうなので、狙いなのかなとは思うんだけど・・・。ちょっと姫としての威厳はないかも。又兵衛の草彅剛は"鬼の井尻"って感じじゃなかったかなぁ。ちょっと線が細い感じ。ガッキーと並んだ時の画を考えれば、そんなにごつい感じの人じゃダメな気もするし、湖で姫を救うシーンなんかはかっこよかったんだけど・・・。
お目当てだった戦国時代の合戦シーンにしても、ちょっと伝わりにくかった気が・・・。合図が出ると戦が始まって、合図があると本日終了となり、それぞれの陣に戻って翌日また戦ったというのは、高校の日本史の先生が話してくれた気がする。だから知識としてはあった。その辺りは、城に攻め込まれた春日の兵士が、合図が鳴ったのを聞き、戦っていた敵に向かって「合図が鳴ったから帰れ」と言っていたし、見ていれば分かる。でも、例えば槍はつくのではなく、上から振り下ろしていたのだというのは、あんまり伝わらないかも。まるで踊っているかのように敵に向かっていく。何をしているんだろうと考えて、初めてなるほど当時はこんな風に形式的に戦っていたんだなと気づく。その試み自体は素晴らしいと思うんだけど、逆に戦の迫力をなくしてしまったかなという気がする。春日というのは小国なので、城も現在の私達が知っている姫路城のような立派なものではなく、とても小さい。その辺りは狙いなのは分かるけれど、迫力不足は否めず。土ぼこりの立つ山城、櫓、統率されて儀式的に進んでくる敵。圧倒的な兵力の差。それを迎え撃つ小国の兵士達の悲壮感。妻や子、母との別れなんかは、城壁に梯子をかけてよじ登るシーンを含めて『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』の"ヘルム砦の戦い"みたいなことがしたいのかなと思ったのだけど、気のせいかな? 全然パクリと言うつもりはないけれど、なんとなく既視があったのは事実。あくまで個人的な感想です!
物語の核となるのは廉姫と又兵衛の恋愛。いくら小国といっても姫君と家臣の恋愛は御法度。それが分かっているからこそ燃え上がる気持ち。これまた今までたくさん見てきた。それでもやっぱり感動しちゃうのは王道ゆえ。やっぱり秘めた恋って本人は苦しいけど、見ているぶんには切なくて素敵。姫はその竹を割ったような性格ゆえ、抑え切れない思いをチラチラと又兵衛にぶつけるけれど、家臣である又兵衛はそれに応えることが出来ない。そんな切ない男心がいい。だからこそ応えて欲しい姫の気持ちも分かる。でも、なんとなく中途半端になってしまった印象。さっきも書いたけど、原作は2人の切ない恋を中心として、そこにしんちゃんが加わることによる効果があるんだと思う。でも、しんちゃんを登場させられないのだとすると、ありふれた身分違いの恋になってしまうし・・・。
この映画を見た後、録画しておいた『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』を見てみた。野原一家から川上一家、原作にない又兵衛の家来の息子を登場させるという大きめな変更以外は、多少の変更はあるものの、ほぼ原作に忠実でセリフもけっこうそのまま。この家来の息子の登場は真一との交流部分は彼に置いて、姫との恋愛部分を強調させる狙いかもしれないし、まだ幼さの残る彼まで戦に出るという悲壮感を出そうということだと思う。妻子のない又兵衛としんちゃんが、親子のような関係を築くのも見どころではあったのだけど、まぁそれはOK。アニメ映画の方が戦闘シーンや恋愛シーンなんかはあっさりしているものの、大人が見ても楽しく感動できる仕上がり。でも、やっぱりいろんな場面にちりばめられたギャグ・シーンは、しんちゃんありきな気がする。そもそも井尻又兵衛という名前も、しんちゃんが「おまたのおじさん
」と呼ぶことからも分かるように、股をいじるということなんだろうし(笑) その辺りがどうしても浮いた感じになってしまった気がする。いっそのこと恋愛を中心とした戦国時代モノに特化してしまった方が良かったかも・・・。と言ってしまうと身もフタもないか(笑)
さんざん辛口コメントを書いてしまったけれど、原作にはない出陣前夜の写真撮影は楽しく、そして切なくて良かった。戦闘シーンのCGは分かってしまったけれど、大倉井の城や又兵衛の屋敷のCGは自然。『ALWAYS三丁目の夕日』(未見)で、CGで昭和30年代の日本を再現した山崎貴監督は、この映画でもCGにこだわったのだそう。ハリウッドの大作モノを見てしまえば、その圧倒的なスケール感にはかなわないけど、こじんまりとした感じは小国春日には合っていた気がする。ホメてます!
役者さんたちは、まぁ良かったと思う。廉姫の父で春日の殿様中村敦夫以外は、言葉遣いこそ時代劇のござる調だけど、わりとサラリと現代的な演技。まぁ、新垣結衣は正直狙いというよりは、素なんじゃないかという気もするけど、かわいいのでOK(笑) 真一の父親役の筒井道隆は、個人的には好みなのですが、いつもモゴモゴと滑舌が悪いのが気がかり(笑) 母親の夏川結衣は良かった。独特の雰囲気があって好きな女優さん。真一を思う母としての気持ちも良かったし、女として廉姫を気づかう感じも良かった。彼女が背中を押したからこそ廉姫は踏み出せた。真一の武井証くんはかわいいし上手。高虎に向かう又兵衛を止めるシーンでは、アニメ版のしんちゃんにかなわなかった気がするけど、いつも逃げていた真一が強くなっていくのは良かった。キャラ変更の理由の一つはここを描きたいからでもあると思うので、ここに説得力がないとダメだと思う。そういう意味ではよかったと思う。
又兵衛の草彅剛は切ない演技は良かったと思う。廉姫を愛する気持ちを、全力で彼女を守るという形に転化して抑えている感じは伝わったし、姫を見つめる姿は切なかった。湖で姫を救うシーンはかっこよかったし、高虎との対決シーンも良かった。ちょっと残念なのは"鬼の井尻"と呼ばれる迫力がなかったこと。命を懸ける気迫はあったんだけど、ちょっと武将というには線が細いかも。でも、やっぱり廉姫が恋する相手なので、そこはイケメンじゃないとダメなのは分かるし、このキャラ自体は草彅くんに合っているので全体的にはOK。
と、またしても辛口になってしまったけれど、明日出陣する又兵衛と廉姫が、許される限りお互いの思いを伝えるシーンが良かった。CMでも流れているので書いてしまうけれど、「自由にお生き下さい」と絞り出すように言う又兵衛のセリフが切ない。自分は自由に生きられないわけで、幸せにしてあげることはできない辛さが伝わってきた。女性としてはこんなに切なく思われているのはうれしいハズ。だからこそ廉姫は「お前と共に生きる」と応えるわけだし。10~20代前半くらいの女性たちが感動しているのはこの辺りかと。"歴女"なんて言葉ができるくらい、若い女性の間で歴史や戦国武将がブームらしい。それはやっぱり黙って自分を守ってくれる強い男性を求めているのかも。そういう意味では理想的。
個人的には"歴女"以前から歴史や時代劇が好きなので、何度も書いたとおり期待していた本当の戦国時代の戦風景がイマヒトツだったのは残念。でも、本来はあまり歴史に興味はなくても、2人の恋愛モノ目当てで見に来た女性たちには、逆にあまり残虐ではないのがいいかもしれない。戦国時代では戦で敵を殺すことは当たり前だったけれど、現代人である川上一家には殺人なわけで、彼らは人を殺さないし、彼らによって救われる命もある。その命はこの映画の方が救うべき命に描かれているのもいい。
というわけで、そんなに歴史に興味はなかったけれど、美しい姫と家臣との切ない恋愛モノなら見たいという人にはいいかも。娯楽作品としてはおもしろかった。ホメてます!
『BALLAD 名もなき恋のうた』Official site
追伸:クレヨンしんちゃん原作者である臼井儀人さんの御冥福をお祈りします。
なんだかとっても気になったので、連休中だし地元のシネコンへ見に行ってきた。
*ごめんなさい! 辛口です


うーん。おもしろかったんだけど・・・。正直に言ってしまうと劇場で見なくても良かったかなという感じ。上手く言えないんだけど、全体的に小粒という印象。現代人がタイムスリップしてしまうというのは数々描かれてきたわけで、文明の利器のおかげで昔の人を驚かせたり、助けたりするという設定もたくさん見てきた。戦国時代の戦に加勢するのは『戦国自衛隊』があるし(笑) もちろんパクリだと言っているわけではないです! 姫と家臣の身分違いの恋っていうのもたくさん見てきた。だから、多分もとのアニメ映画が見せたかったのは、しんちゃんが戦国時代に行くということであって、しんちゃんと武士、しんちゃんと姫の関係のおかしさみたいなことなんじゃないかと思う。大人になるといろんなしがらみとか、臆病になってしまった自分がじゃまして素直になれないことは多い。その辺りが、子供の無邪気さというには度を越した感のあるしんちゃんに引っ張られて、開放されることもある。あとは単純に完全に縦社会である戦国時代に、しんちゃんを投入するおかしさっていうか・・・。
でも実写であのしんちゃんのキャラを演じるのはちょっとムリだと思う。忠実に演じたからといっておもしろいかと言うと違うと思うし、見ていて辛いことになるのは間違いないと思う。だから野原しんのすけから川上真一の変更はありだと思う。でも、それだけに真一がタイムスリップしてきたことが、そんなに起爆剤になっていない気がした。真一が帰ってこないことを心配した両親は"川上の大橡"という名前が「川上真一とその一族の活躍」に由来することを知り、真一のタイムスリップを確信するけど、そんなに活躍してないし(笑)
戦国時代の戦を忠実に再現したとのことだけど、あまり伝わらなかった気がする。真一がタイムスリップしたのは天正2年の春日という国。もちろん架空の国で、かなり小さな国という設定らしい。真一の夢に出てきたのはこの国の姫君で廉姫。美人の誉れ高く、輿入れの申し入れがたくさんあり、真一的に言えばモテモテ。この姫が密かに恋するのが幼なじみの侍大将、井尻又兵衛。"鬼の井尻"と恐れられる人物。うーん。ガッキーはかわいいんだけど、ちょっと戦国時代の姫には見えないかなぁ。品がないってことではないんだけど、言葉遣いはともかく声のトーンなんかは、あえての大芝居というか時代劇調にしていないのは、他の人達もわりとそうなので、狙いなのかなとは思うんだけど・・・。ちょっと姫としての威厳はないかも。又兵衛の草彅剛は"鬼の井尻"って感じじゃなかったかなぁ。ちょっと線が細い感じ。ガッキーと並んだ時の画を考えれば、そんなにごつい感じの人じゃダメな気もするし、湖で姫を救うシーンなんかはかっこよかったんだけど・・・。
お目当てだった戦国時代の合戦シーンにしても、ちょっと伝わりにくかった気が・・・。合図が出ると戦が始まって、合図があると本日終了となり、それぞれの陣に戻って翌日また戦ったというのは、高校の日本史の先生が話してくれた気がする。だから知識としてはあった。その辺りは、城に攻め込まれた春日の兵士が、合図が鳴ったのを聞き、戦っていた敵に向かって「合図が鳴ったから帰れ」と言っていたし、見ていれば分かる。でも、例えば槍はつくのではなく、上から振り下ろしていたのだというのは、あんまり伝わらないかも。まるで踊っているかのように敵に向かっていく。何をしているんだろうと考えて、初めてなるほど当時はこんな風に形式的に戦っていたんだなと気づく。その試み自体は素晴らしいと思うんだけど、逆に戦の迫力をなくしてしまったかなという気がする。春日というのは小国なので、城も現在の私達が知っている姫路城のような立派なものではなく、とても小さい。その辺りは狙いなのは分かるけれど、迫力不足は否めず。土ぼこりの立つ山城、櫓、統率されて儀式的に進んでくる敵。圧倒的な兵力の差。それを迎え撃つ小国の兵士達の悲壮感。妻や子、母との別れなんかは、城壁に梯子をかけてよじ登るシーンを含めて『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』の"ヘルム砦の戦い"みたいなことがしたいのかなと思ったのだけど、気のせいかな? 全然パクリと言うつもりはないけれど、なんとなく既視があったのは事実。あくまで個人的な感想です!
物語の核となるのは廉姫と又兵衛の恋愛。いくら小国といっても姫君と家臣の恋愛は御法度。それが分かっているからこそ燃え上がる気持ち。これまた今までたくさん見てきた。それでもやっぱり感動しちゃうのは王道ゆえ。やっぱり秘めた恋って本人は苦しいけど、見ているぶんには切なくて素敵。姫はその竹を割ったような性格ゆえ、抑え切れない思いをチラチラと又兵衛にぶつけるけれど、家臣である又兵衛はそれに応えることが出来ない。そんな切ない男心がいい。だからこそ応えて欲しい姫の気持ちも分かる。でも、なんとなく中途半端になってしまった印象。さっきも書いたけど、原作は2人の切ない恋を中心として、そこにしんちゃんが加わることによる効果があるんだと思う。でも、しんちゃんを登場させられないのだとすると、ありふれた身分違いの恋になってしまうし・・・。
この映画を見た後、録画しておいた『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』を見てみた。野原一家から川上一家、原作にない又兵衛の家来の息子を登場させるという大きめな変更以外は、多少の変更はあるものの、ほぼ原作に忠実でセリフもけっこうそのまま。この家来の息子の登場は真一との交流部分は彼に置いて、姫との恋愛部分を強調させる狙いかもしれないし、まだ幼さの残る彼まで戦に出るという悲壮感を出そうということだと思う。妻子のない又兵衛としんちゃんが、親子のような関係を築くのも見どころではあったのだけど、まぁそれはOK。アニメ映画の方が戦闘シーンや恋愛シーンなんかはあっさりしているものの、大人が見ても楽しく感動できる仕上がり。でも、やっぱりいろんな場面にちりばめられたギャグ・シーンは、しんちゃんありきな気がする。そもそも井尻又兵衛という名前も、しんちゃんが「おまたのおじさん

さんざん辛口コメントを書いてしまったけれど、原作にはない出陣前夜の写真撮影は楽しく、そして切なくて良かった。戦闘シーンのCGは分かってしまったけれど、大倉井の城や又兵衛の屋敷のCGは自然。『ALWAYS三丁目の夕日』(未見)で、CGで昭和30年代の日本を再現した山崎貴監督は、この映画でもCGにこだわったのだそう。ハリウッドの大作モノを見てしまえば、その圧倒的なスケール感にはかなわないけど、こじんまりとした感じは小国春日には合っていた気がする。ホメてます!

又兵衛の草彅剛は切ない演技は良かったと思う。廉姫を愛する気持ちを、全力で彼女を守るという形に転化して抑えている感じは伝わったし、姫を見つめる姿は切なかった。湖で姫を救うシーンはかっこよかったし、高虎との対決シーンも良かった。ちょっと残念なのは"鬼の井尻"と呼ばれる迫力がなかったこと。命を懸ける気迫はあったんだけど、ちょっと武将というには線が細いかも。でも、やっぱり廉姫が恋する相手なので、そこはイケメンじゃないとダメなのは分かるし、このキャラ自体は草彅くんに合っているので全体的にはOK。
と、またしても辛口になってしまったけれど、明日出陣する又兵衛と廉姫が、許される限りお互いの思いを伝えるシーンが良かった。CMでも流れているので書いてしまうけれど、「自由にお生き下さい」と絞り出すように言う又兵衛のセリフが切ない。自分は自由に生きられないわけで、幸せにしてあげることはできない辛さが伝わってきた。女性としてはこんなに切なく思われているのはうれしいハズ。だからこそ廉姫は「お前と共に生きる」と応えるわけだし。10~20代前半くらいの女性たちが感動しているのはこの辺りかと。"歴女"なんて言葉ができるくらい、若い女性の間で歴史や戦国武将がブームらしい。それはやっぱり黙って自分を守ってくれる強い男性を求めているのかも。そういう意味では理想的。
個人的には"歴女"以前から歴史や時代劇が好きなので、何度も書いたとおり期待していた本当の戦国時代の戦風景がイマヒトツだったのは残念。でも、本来はあまり歴史に興味はなくても、2人の恋愛モノ目当てで見に来た女性たちには、逆にあまり残虐ではないのがいいかもしれない。戦国時代では戦で敵を殺すことは当たり前だったけれど、現代人である川上一家には殺人なわけで、彼らは人を殺さないし、彼らによって救われる命もある。その命はこの映画の方が救うべき命に描かれているのもいい。
というわけで、そんなに歴史に興味はなかったけれど、美しい姫と家臣との切ない恋愛モノなら見たいという人にはいいかも。娯楽作品としてはおもしろかった。ホメてます!

追伸:クレヨンしんちゃん原作者である臼井儀人さんの御冥福をお祈りします。