'09.03.25 『トワイライト ~初恋~』(試写会)@有楽町朝日ホール
yaplogで当選。Showbiz countdownで全米の女子高生に大人気と紹介されてた。女子高生だったのはかなり前だけど、そんな気分になりたい時もある(笑) ってことで見てきた。
「母親の再婚で、離れていた父親と暮らすことになったベラ。転校先の高校には美しい容姿で青白い肌の5人組の男女がいた。他の生徒とはほとんどつきあわず、いつも5人だけでいる彼らは、ドクター・カーライルの養子だった。生物の授業で彼らの1人エドワードの隣の席になったベラ。彼は彼女を避けていたかと思えば、逆に近づいてくる。晴れの日には外出しないという彼らは地元に伝わるヴァンパイアなのか…。ベラは疑いながらもエドワードに惹かれていく」という話しで、これは少女マンガの世界。もちろんバカにしていない。少女マンガで育ったのだもの(笑) 原作はアリゾナ州の主婦ステファニー・メイヤーのデビュー作で4200万部を売り上げたベストセラー小説。全然知らなかったけれど、日本でも発売されてて、なんと13巻まであるらしい。4つの章に分かれていて、すでに2章までは文庫化もされていた。この映画が何章までを描いているのかは不明。
基本的には、学園クィーンみたいなタイプではないけれど、それなりにかわいくて、自分の世界を持っているのではしゃいだりしないし、むしろ自分を地味だと思っている主人公が、美しく謎めいていて、みんなが憧れるけれど近寄りがたい雰囲気のある男の子に徹底的に愛されるという、もう少女マンガの王道中の王道のストーリー。エドワードがヴァンパイアであることが障害になることすら王道。地元の伝説である吸血鬼vs狼男みたいのも、特別『アンダーワールド』(これは好き)の例を出さなくても、さんざん描かれてきたと思う。試写会場のスクリーンのせいかもしれないけれど、CGもやや浮いて見えた。でも、やっぱりおもしろい。王道ってやっぱりおもしろいから繰り返し作られるわけだし。見ている側のこうなって欲しいと思うとおりに進んで、望みどおり着地してくれるのは安心感がある(笑) そのかわり驚きもないし、特別心に残ったりもしないのだけど。
誇張もあると思うけれど、理想の彼氏エドワードに全米の女性達が夢中になり、映画化のニュースが流れると誰がこの役を演じるのかという話題で持ち切りとなり、公開されるとエドワードを演じたロバート・パティンソンの人気は社会現象にまでなったのだそう。個人的にはエドワードが理想の彼氏とは思わないけど、映画(少女マンガ)的には間違いなく理想なんだと思う。どうやらベスはエドワード達ヴァンパイアにとっては、特別な存在のよう。ヴァンパイアには人の生き血を吸う種類と、エドワード達のように本来は人間がいいけれど、動物の血を吸い生活し、人の命を奪うことをよしとしない種族がいるらしい。普通の人間には食欲(?)を感じない彼らだけど、ベラはいい香りを発しているようで、猛烈な食欲を感じるらしい。しかも、人の心が読めるエドワードにもベラの心だけが読めない。そんな彼女にどうしようもなく惹かれるエドワードは苦悩する。彼女を殺してしまわないように距離を置こうとするけど、気持ちを抑え切れない。いつも彼女を見守り危険が迫ると、どこからともなく駆けつけて助けてくれる。たしかに理想的(笑) 実際には、つき合っていたとしても、眠っている間に勝手に部屋に入ってきて「寝顔を見るのが好きだから」と言われたらだいぶ怖い。でも、ベラや読者はうれしかったに違いない。たしかに少女マンガに出てくる王道彼氏かもしれない。もちろんバカにしてないです!
2人の恋愛は意外に普通。時々、エドワードのヴァンパイア・パワーを使って普通でない体験をするけれど、律儀にベラの父親に会って交際宣言するし、自宅に招いて家族に紹介したりもする。彼ら家族は固い絆で結ばれ、人には危害を加えず社会の一員として暮らしている。たまには野球もする(笑) そういう、自分達の恋愛や生活パターンからそんなにかけ離れていない彼らが、ヴァンパイアであるというのが親しみやすいのかもしれない。最初は謎めいていて、エドワードと恋に落ちることになるであろうベラに敵意を持っているかのように見せたり、人間を襲う種族なのかどうかも分からない演出だけど、意外に明るく健康的(笑)
その辺りに物語としての深みがない気がするけど、それより見せたいのは2人の高校生の恋愛であって、それは女性の心をとらえるように描かれている。エドワードはあくまでも謎めいて、美しく描かれていて、ベラに見せる本来の姿ですら、拍子抜けしてしまうほど彼を理想的に描くことに徹している。森の中に建つエドワードの家がカッコイイ。ガラス張りで光を多く取り入れて、有名建築家が設計したかのよう。エドワードの部屋もスタイリッシュ。
エドワード役のロバート・パティンソンは正直好みのタイプではないので、理想の彼氏とは思わないけれど、エドワードとしては良かったと思う。こういう役は単純に美しいだけじゃなくナルシストっぽくて、若干キモイ感じの方がいいと思う。キモイって失礼だけど、上手い言葉が見つからない(笑) でも逆に、だからこそ寝ているベラの寝顔をこっそり見ているというストーカー行為すら「素敵」と受け取れるのでしょう。ベラのクリスティン・スチュワートも普通に良かったのではないかと思う。かわいいけれど、美人過ぎないのもいい。自分を持っていて、かなり強情なタイプだけど、それが鼻につく感じになってないのは彼女のおかげかも。
この町に定住しているというドクター・カーライル一家だけれど、不老不死の彼らは1世紀近く生きていることになる。いつから定住してるのか知らないけれどそれは無理だろう(笑) というようなツッコミ所満載なエピソードやシーンも多いけれど、ヴァンパイアの謎をとく映画ではないので、その辺りは見なかったってことで(笑) セリフもCMでも使われているとおり「これ以上愛してしまうと、命を奪ってしまう」「一生君を守る」などウットリするセリフも満載。個人的にはウットリとはならなかったけれど、こんなこと言われたいと思う女性は多いんじゃないかと思う。
少女マンガの世界がそのまま再現されている。女性はきっと好きだと思う。ベラが特別な存在である理由も明らかになっていないし、先住民のベラの幼なじみの祖先の件もそのまま。そして意味ありげなラストはおそらく続編ありかと思われます。
『トワイライト ~初恋~』Official site