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【art】「京都・細見美術館 琳派のきらめき -宗達・光琳・抱一・雪佳-」

2015-05-11 00:47:58 | art

「京都・細見美術館 琳派のきらめき -宗達・光琳・抱一・雪佳-」

見てきた遅めの時間に行ったので、空いててじっくり見れたので良かった!琳派の幅広い展示 (@ 日本橋高島屋8階ホール)

400年となっているけれど、例えば狩野派(Wikipedia)のように当主は世襲制で、多くの絵師を抱えた大絵師集団とは違い、私淑(私淑(ししゅく)とは|コトバンク)という、直接教えを受けたわけではないが、著作などを通して師と仰ぐ形で繋がって来たというのが特徴。もちろん、それぞれに弟子はいたし、酒井抱一(Wikipedia)以降は弟子が繋いではいるのだけど・・・ 琳派の始まりは俵屋宗達と本阿弥光悦の時代ということになるけど、彼らとしては"琳派として"活動していたわけではない。彼らの死後、約80年後に京都の呉服商「雁金屋」長男の尾形光琳(Wikipedia)が、俵屋宗達の作品を手本として絵を描き始める。その死後、約100年後に姫路城主の次男の酒井抱一が、尾形光琳の百回忌の法要を営むなど崇拝し、その技法を学んで描き始める。元々が大名の出だからか、抱一の弟子は多く、その中でも鈴木其一(Wikipedia)が力量を見せる。一般に言われている琳派のザックリした流れはこんな感じ。

俵屋宗達の下絵に本阿弥光悦が書を書くコラボ作品は数が多く残されている。今回も4点ほど展示されている。そのスッキリとした美しさの中にある、斬新さは素晴らしいけれど、このコーナーで一番好きだったのは俵屋宗達の「墨梅図」

 

墨梅図_俵屋宗達

 

この構図の大胆さと余白の残し方が素晴らしい! ちゃんと絵について習ったわけではないので、あくまで感覚でしかないのだけど、こういうのが日本画の良さであり、美意識なのかなと思う。墨の濃淡で表された梅の枝のくねり方と、控えめな花のかわいさ。

 

【花咲く琳派 -光琳・乾山と上方の絵師】尾形光琳、尾形乾山、深江芦舟、中村芳中

 

宗達の時代から約80年後。琳派というのは尾形光琳に由来しているのでしょう。光琳が(直接ではないけれど)宗達に習い、その100年後酒井抱一が光琳に習ったことから、琳派が形成されたのだから、光琳自身にその自覚は全くないけれど、彼が中心となったことは間違いない。その不思議な感じも琳派に惹かれる理由でもある。ここでは光琳の作品も良かったし、中村芳中の「白梅小禽図屏風」なども、どことなくマンガ的でかわいかったのだけど、ここで一番好きだったのは尾形乾山の「唐子図筆筒」

 

唐子図筆筒_尾形乾山

 

尾形乾山(Wikipedia)は光琳の弟。乾山は絵ではなく焼き物で才能を発揮。乾山といえば彩色した四角いお皿が有名だけど、これは珍しい形! これ今普通にペン立てとして使ってても全然古くない! この感覚が好き 唐子は江戸時代に流行った題材だったそうだけれど、かわいくないのが多い。でも、これはカワイイ

 

そうそう! 映像コーナーで紹介されていた、光琳の和菓子デザイン集みたいのが興味深かった。どうやら、それを使って和菓子をオーダーしていたらしいのだけど、その形の美しさと斬新さが好き。

 

【新なる展開 -抱一と江戸琳派ー】俵屋宗理、酒井抱一、鈴木其一、池田狐邨、酒井鶯蒲、斎藤一蒲、田中抱二、鈴木守一、酒井道一 等 

 

琳派の中心は尾形光琳だけど、琳派を形成したのは酒井抱一と言えるのではないかな? 抱一が尾形光琳に傾倒し、その作風に習って絵を描いただけでなく、百回忌法要に際し、作品集を出版するなどして、江戸後期に琳派を花開かせたのかなと・・・ 大名家出身で少々複雑な立場であったゆえか、品が良く儚げな作品が多い気がする。どうやら、かなりイケメンで遊郭などでモテモテだったという話を聞き、ちょっとイメージが変わったりしたこともあったけれど 抱一で素晴らしかったのは「白蓮図」と「桜に小禽図」 

 

桜に小禽図_酒井抱一

 

大胆な構図も持ち前の品の良さを損なわず、控えめだけど美しい桜の花もさることながら、鳥の青が画面を引き締めている。素晴らしい。

 

琳派というと酒井抱一まででくくられることが多いのだけど、実は一番好きなのは鈴木其一。映像コーナーで、其一は西洋の図録などを見ていたらしいと紹介されていて驚いた。見てたんだ? 師匠である酒井抱一の淡い色使いや柔らかさを引き続きつつも、大胆で現代的な印象なのは西洋画の影響が入っていたからなのか・・・ 伊藤若冲(Wikipedia)の方が40歳ほど年上だけど、同じ時代を生きてるから、何かしらの影響があったかもしれない。以前の展覧会でもそんなことを思ったりした。其一は「朴に尾長鳥図」も良かったのだけど、やっぱり「藤花図」が素晴らしかった!

 

 

藤花図_鈴木其一

 

今、藤の季節で福岡の「河内藤園」の藤棚がTLなどでも話題だけど、それに比べるとちょっぴり寂しい枝ぶりではあるものの、この大胆な構図と、イライラするくらい細密な描写も素晴らしい! それでいて"絵"である感じ。

 

【京琳派ルネサンス -神坂雪佳ー】神坂雪佳

 

神坂雪佳は名前は知ってたけど、意識して作品を見たのは初めてかも? 多分、作品自体は何かしら見ていると思うし、たしかポストカードを飾っていたことがあったと思う・・・ 琳派の流れに居る人だとは知らなかった。映像コーナーでは、アール・ヌーボーの勉強のためヨーロッパに派遣されたが、作品に触れて、その原点は琳派であることに気づき、そこから琳派に目覚めたのだとか。この方武家出身なのね? なるほど、だから品がいいのか・・・ より大胆でモダンで素晴らしかった! 時代が若いこともあって保存状態がとっても良かったこともあるけど、とにかく色が鮮やか。「四季草花図」も素晴らしかったけど、やっぱり一番好きだったのは「金魚玉図」だなぁ。

 

 金魚玉図_神坂雪佳

 

金魚を正面から描くっていう大胆さと、たらしこみの技法を使った筆致も素晴らしい。カワイイけど、ちょっとムカつくのも好き(笑)

 

【本日の一枚】酒井抱一「青面金剛図」

 

素晴らしい作品がたくさんあったのだけど、今回一番好きだったのは、酒井抱一の「青面金剛図」 抱一は仏画も描いていたそうだけど、見たことあったかな? これは迫力もあって素晴らしかった。

 

青面金剛図_酒井抱一 


これ保存状態も良好で、とっても見応えがあった! これは素晴らしい!

 

ということで、大満足の展覧会だった! 記事書くの遅くなっちゃったので、11日で終了してしまうのだけど、これは多くの方に見て欲しい!

 

京都・細見美術館 琳派のきらめき -宗達・光琳・抱一・雪佳-:2015年4月29日~5月11日 @日本橋島屋 8階ホール

細見美術館 琳派のきらめき|タカシマヤ

 

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