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【tv】100分de名著「風と共に去りぬ」(第2回)

2019-01-18 00:41:52 | tv

【tv】100分de名著「風と共に去りぬ」(第2回)

アメリカの光と影

 

 

1回25分×4回で1つの作品を読み解く番組。2019年最初の作品はマーガレット・ミッチェル(Wikipedia)の「風と共に去りぬ」(Wikipedia)で、講師は2015年に新訳をした翻訳家の鴻巣友季子さん。今回はその2回目。1回目の記事はコチラ


今の状況:

南北戦争開戦から2年。スカーレットと息子ウェイドはメラニーと共にアトランタで暮らしている。南部連合軍の敗色が濃厚で、スカーレットら女性たちも危機感を感じている。そんな中、アシュリがアトランタに一時帰国する。


一週間の休暇中、メラニーら家族に囲まれて2人きりになれずヤキモキしていたスカーレット。アシュリが戦地に戻る日、ようやく2人きりになれたので、再アタックしようとするも自分に代わりメラニーの面倒を見て欲しいと言われてしまう。怒りがこみ上げて来るがアシュリのために約束をする。しかし、メラニーに妊娠を告げられ動揺する。<タラ>に帰りたいと願うが、アシュリが行方不明で北軍の捕虜になったようだと知らせが来る。また<タラ>では最愛の母エレンが腸チフスで危険な状態だとの連絡。メラニーが妊娠していなければ直ぐにも<タラ>に向かうのにとイライラ。さらに、医者からお産が重くなりそうだと言われると、メラニーの死も望んでしまい葛藤する。アトランタに北軍が迫る中、メラニーは産気づく。医者を呼びに行くも負傷兵で手いっぱい。スカーレットは黒人のメイドと共に難産を乗り切り、メラニーは長男ボーを出産する。


揺れるスカーレットの思い。


伊集院光氏:メラニーの死を望んでしまったり、それを直ぐ反省したりとちょっとカワイイ。

 

この1つの声だけでなく他の声も描く手法は「多声的ポリフォニック」といい、ミッチェルはよく用いている。各登場人物が多面性を持っている。

 

舞台は戦火のアトランタから<タラ>へ


映画では息子の存在はバッサリ切られているので、ウェイドという名前があるのも知らなかった💦 彼はハミルトン家にとっては跡取りということになるのよね? メラニーの実家でもあるハミルトン家がどんな感じなのか不明だけど😅 映画でかわいらしい髪型してた叔母様はハミルトン家の叔母様ってことよね? 


【映画豆知識】

メラニーが産気づいたためミード先生を呼びに行ったスカーレット。地面に横たわる何百人という負傷兵を見ることになる。今なら当然CG処理されるこのシーンは、多くのエキストラを使って撮影された。

 

レットは燃え盛るアトランタの街で馬車を盗みスカーレットたちを連れて<タラ>へ向かう。道中、2人は南部の敗戦を悟る。スカーレットは<タラ>までレットが一緒に来てくれると思ったが、レットは突然南部連合軍に参加すると言い出し、スカーレットたちを置き去りにする。スカーレットが抗議すると、君ほど身勝手で強い人はいないから大丈夫だ。もし君が北軍に捕まったら、彼らに神のご加護をと言い、熱い口づけをして去って行く。

 

レットの南部連合軍志願? 真相は不明であり、ちょっと唐突に感じる。作者ミッチェルの側から考えるとレットにはスカーレットを捨ててもらう必要があった。レットに捨てられてから次章までのパートが最後まで書けなかったらしい。ミッチェルは冒頭から書いたわけではなく、エンディングから遡って執筆した。

 

このパートで重要なのはスカーレットが庇護者を二段階で失うこと。まずはレット。<タラ>に帰るとさらに大きな喪失が待っている。喪失へのプレリュード。

 

伊集院光氏:その方が面白い。物語はどこか謎めいていて欲しい。


確かにレットが南軍に加わるのは唐突。ただ、レット・バトラーのキャラには合っている気がする。とはいえ、あくまで映画でのイメージなので、原作を読むとまた変わるかもしれない🤔


【映画豆知識】

有名な燃える建物をバックに馬を引くレットと馬車に乗るスカーレットのシルエット。このシーンはスタントマンを使っての撮影。当時スカーレット役が決まっていなかったため、このシーンから撮影していた。このシーンをローレンス・オリビエに連れられて来たヴィヴィアン・リーが見ていて、その姿を見たプロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックが「スカーレット・オハラがいる!」と叫んだと言われている。けど、実際は違うらしい? ちなみに燃やされたのは『キングコング』のセット。

 

死に物狂いで辿り着いた<タラ>は荒れ果てており、出迎えたのは魂の抜けたような父ジェラルド・オハラ。最愛の母は亡くなっていた。妹や使用人も頼りない。畑をあさり残った野菜をむさぼり食べながらスカーレットは二度と飢えないと神に誓う。

 

母とレットを失って初めてスカーレットは自立する。レットが傍にいるとスカーレットの自立が完結しない。なので、あの場でレットを退場させた。

 

父、息子、妹のスエレンとキャリーン、そしてメラニーとその息子ボーと<タラ>で暮らし始める。<タラ>に着いた翌日、南部連合軍は投降し終戦となる。南北戦争後の混乱と略奪が始まる。スカーレットは略奪に来た北軍兵を撃ち殺す。この時、病身のメラニーが重いサーベルを抱えて駆けつけ、射殺した兵士の財布や貴重品を奪おうと提案する。スカーレットはメラニーの黒い部分を見て、彼女も自分と同類だと感じる。

 

スカーレットは型破りだが常識の一線は超えない。何度も「常識という冷静な手」に引き戻されるという表現が出て来る。メラニーは狂気との境を超えそうな覚悟を感じる時がある。スカーレットは自分の上を行く人間なんじゃないかと感じる。

 

<タラ>には毎日、食料と休息を求めて帰還兵がやって来ていた。ある日、いつものようにやって来た1人の兵士を見てメラニーの顔色が変わる。彼女は駆け出していき、その兵士に抱きついた。兵士はアシュリだった。アシュリは<タラ>に身を寄せ、慣れない野良仕事で辛い日々を送る。 そんな中、<タラ>に不当な税金がかかる。スカーレットはアシュリに相談するが、遠い目で現実を嘆くばかりで頼りにならない。2人きりで話しているうちに気持ちが高まり、スカーレットは自分を連れ出してほしいと言うが、名誉というものがあるとアシュリに拒まれ泣いてしまう。アシュリはそんなスカーレットを抱きしめてしまう。アシュリにも欲望的な情熱が盛り上がり、2人はキスをする。

 

肉食系のスカーレットに情熱的に迫られ、子煩悩なメラニーには2人目をとせがまれてアシュリは板挟みになる。実は病弱なメラニーは妊娠すると命が危ういので、医者から夫婦生活を禁じられており、セックスレス夫婦だった。

 

安部みちこアナウンサー:アシュリは逃げてはダメだと思う!名誉があるなどと抽象的な言い方をしてもスカーレットには伝わらない!

 

伊集院光氏:映画を見ていた時はアシュリはいいかっこし過ぎど思っていたが、やっと人間ぽくなってきた。

 

鴻巣友季子氏:その弱さゆえ好き。


まぁ、アシュリにも性欲があるのは当然だし、スカーレットのような肉食系女子に迫られたら気持ちが揺らぐ気持ちは分かるけどね😅

 

このラブシーンでもスカーレットは結局アシュリにふられる。自分には何も残っていないと言うと、アシュリは<タラ>があるじゃないかと言う。スカーレットは土と金を握ると正気に返る。

 

土地への思いは序盤の父ジェラルドの言葉とも呼応している「土地こそがこの世でたたひとつ価値をもつものだ」 アメリカ人はルーツと辿ると移民である。根無し草的な思いがあるのではないか? 

 

「風と共に去りぬ」という題名も土地への強い思いに根差している。レットに置き去りにされた時のセリフ。「<タラ>の屋敷は無事だろうか? それとも、ジョージアを席巻した風と共に去ったのだろうか?」 屋敷や畑や人々は去っても土地だけは残るはずだという思い。オハラ家はアイルランド系移民。長い苦労の末に土地を手に入れた。開拓した土地が大切。

 

南北戦争後の再建時代に学ぶ。支配者によりルールが変わる。←改めて読んで欲しい部分。

 

南北戦争を経て奴隷制度が無くなったことは絶対的に良いこと。多くの人にとってユートピアが訪れた。反面で統制や管理が行き過ぎると抑圧される人々が出て来る。負けた南部は管理・監視社会となり、政治汚職・不正選挙・略式裁判での処刑が横行した。

 

ミッチェルは北部を糾弾したり、南部がダメだと書きたいわけではない。どんな国家社会でも人が集まるとディストピアの危険性をはらむということを改めて感じ取って欲しい。


『風と共に去りぬ』は好きな映画でもう何度も見ていて、その都度見る視点が変わったりしていたけど、今回このように原作を読み解いていくと印象がまた変わっておもしろい。決して理想の女性というわけではないスカーレット・オハラの物語に惹かれるのは何故なのか?🤔 さらに詳しく知りたいところ。続きも楽しみ😃

 

100分de名著:毎週月曜日 午後10:25~10:50 Eテレ

100分de名著


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