豊橋に行こうと思う。
目的地は豊橋から東海道線で2つ目の新所原から出る天竜浜名湖鉄道である。その前に、豊橋というところも通過するばかりということもあり、一度宿泊してみようと思う。
ここまではどうやって行こうか。もっとも速いのはもちろん新幹線であるが、在来線で行ってもいいし、近鉄特急で名古屋まで行き、名鉄に乗り継ぐのも面白そうだ。別に急ぐわけではない。
早朝、近鉄難波を特急で出発する。・・・ただし乗ったのは名古屋行きではなく、賢島行き。別にこれは乗り間違いをしたわけではなく、どうせならとコースを選んだのは、鳥羽まで出て伊勢湾フェリーに乗り、伊良湖岬から豊橋鉄道のバスに乗り継ぐというもの。変化をつけるということもあるし、フェリーで潮風に吹かれたかったということもある。近鉄特急の「しまかぜ」にはなかなか乗れないが、フェリーでは本当の「島風」に触れることができる。
鳥羽駅から歩いてフェリー乗り場に向かう。早い時間であるが、隣接する鳥羽水族館のチケットを買い求める家族連れの姿も多い。
チケット売り場でフェリーと豊橋鉄道の乗車券がセットとなった割引券を購入。これで2000円ということでかなり割安となっている。連休中ということで便を増発している。
伊良湖岬からの便がやってきた。あちらはかなりの乗船があるようで、甲板でも大勢の客が着岸の様子を眺めている。吐き出される車を見ると愛知方面だけでなく、関東方面のナンバーも目立つ。高速道路の混雑を避けるのと気分転換で伊勢湾フェリーという選択肢がある。それとも、今年遷宮の大祭がある伊勢神宮への参拝目的か。一時は航路廃止の噂もあったが、こういうルートは交通手段の多様化の面からも、観光面からも残してほしいものである。
さて伊良湖岬行きは9時に出航。こちらは一転してガラガラ。まあ、時間帯にもよるのかもしれないが、ゆったりとして50分の船旅を楽しむことにする。このくらいの時間の航海となると船室よりは甲板に出て潮風、島風を味わうのがよい。
伊勢といえば伊勢茶でも有名だし、対岸の渥美半島もお茶の産地ということか、それぞれの産地で製造されたお茶のペットボトルを購入する。これで飲み比べということにしよう。
出航して真珠島を抜けると、前方に巨大な客船を見る。コスタ・ビクトリアというこのイタリア豪華客船、GWのクルーズということで、横浜を出航し、韓国の済州島、長崎を経由してこの日は鳥羽に寄港とか。こちらのツアー客も伊勢神宮への参拝の予定である。ああいう豪華客船の旅、結構高いだろうし、船内の食事などもドレスコードがあって気を使うというイメージがある。それでも一度はああいう旅をしてみたいなと思う。

好天の下、答志島や神島といった島の景色を眺める。他の乗船客も甲板に上がって記念撮影などする。中には一種の高所恐怖症なのか、甲板脇のフェンスに行くのもこわごわといった感じでぎゃあぎゃあ言っている女性も。「大丈夫だよ落ちるわけないよ」と、旦那さんや親御さんから半ば笑われながら記念撮影に収まっていた。確かに船の場合は板子一枚下は地獄・・・かもしれないので気持ちはわからなくもない。私も高所恐怖症の気があるもんで・・・。
好天ということで志摩半島、渥美半島、そして知多半島の陸地も見通せる中、伊良湖岬に到着。こちらのターミナルはドライブ客でごった返している。乗船手続きにも行列ができており、次の便は満員、1本後の便の案内となっているようである。
こちらはバスに乗り継ぐがしばらく時間があるので海沿いを少し歩く。伊良湖岬といえば唱歌「椰子の実」で有名であるが、南の海から流れ着くのは何も椰子の実だけではなく、飲み物や洗剤のペットボトルやら木屑やらである。日本海側だとハングルで書かれたものが結構流れ着くのだが、こちらではパッと見た限りでは英語や中国語のものはないようだ。
この後はバスに乗り継ぐ。渥美半島の先端は広い平地が続き、広大な畑が広がる。休暇村などを抜け、田原の市街地に入る。
田原駅前のバス停に到着。バスは豊橋駅前まで行くが、「お急ぎの方は電車のご利用が便利です」とのアナウンス。購入した割引切符も、豊橋まではバス1本で行ってもいいし、ここで電車に乗り換えても有効で、普通に利用すれば当然別々の料金だからさらにお得である。
電車とバスなら、電車の定時性の利点が出てくる。元東急の電車にガタゴト揺られる。途中交換する電車の車両には花を彩ったデザインの塗装が施されている。豊橋鉄道もこうしたところに力を入れるなどして、地元の足として地道ではあるが頑張っているところである。
ちょうど12時前に豊橋駅に到着。この日の午後は豊橋からもう少し足を延ばすが、その前に昼食ということで・・・・。