単独首位・・・。
仮にそれが交流戦のことであったとしても、この言葉を聞くのはどのくらいぶりか。いやそれにしても気持ちいい。
やはり最初の西宮一決定戦に連勝したのが大きい。次の巨人戦はなかなかそうはいかないかもしれないが、金子、西の2枚看板と糸井、山本ら新戦力が何とか機能してくれればと思う。個人的には川端にもう少し出番をと思うのだが・・・。
さて、木次線の駅めぐり。亀嵩から出雲横田を過ぎてやって来たのは出雲坂根。
この駅は出雲と備後の境にあり、備後方面にはおろちループを望む難所に位置する。駅のほうは全国でも珍しい三段式スイッチバック。木次方面からの列車は全て一度この駅に入り、向きを変えて引き上げ線に行き、もう一度向きを変えて勾配を上る。
もう一つの名物が、駅のホームに湧き出る「延命の水」。タヌキが見つけたとかいう言い伝えがあり、ホームには信楽焼のタヌキが置かれ、そこから汲める。短い待ち時間のちょっとした楽しみである。
駅舎は年代物で、それがいかにも汽車の駅という感じがしてなかなか風情ある。今回、その駅を見ようと亀嵩方面から向かう。
ただ、どうも様子がおかしい。確かこの辺りかと思ったが、駅の姿が見えない。うっかり通り過ぎたか。
・・・と思ったら、左手に真新しいログハウスのような建物が現れた。何とこれが、現在の出雲坂根駅である。あらあら。もっとも、竣工が平成22年とあり、新しくなったのを知らなかったのは私だけだったようだ。
で、延命の水はというと、駅舎横の売店もある休憩コーナーに移されていた。奥出雲のトロッコ列車も根強い人気のようで、観光客にも認知されるようになっての建て替えなら、地域としては活性化の現れとして喜ぶべきことなのだろう。
一方でホームやスイッチバックの造りは昔のままで、初めてこの駅を訪れた高校生の時のことを思い出す。木次線の気動車の中で、地元の高校生だか中学生だかが、通路やシートの下の隙間をコースに見立ててラジコンカーを走らせてたな・・・。
延命の水は駅の中だけでなく、国道向かいを少し降りたところでも汲める。こちらのほうが大がかりで、クルマで乗り付けてポリタンク何杯分でも汲むというものである。自然の恵みはよろしいですなあと思いながらも、いくら湧き水とはいえ、こうも豪快に流してもいいものかなという気がする。
おろちループを過ぎ、再び広島県に入る。木次線に沿って走り、備後を東西に走る国道との交差点に出る。この横にあるドライブインに立ち寄る。
ここの名物は「おでんうどん」。うどんの具材がおでんというもので、かつてはこの近くの備後落合駅のホームでも売られていた。出汁の相性がいいのか、普通のかけうどんにはない独特の味わいがした。
その備後落合もこの後に書くように、今や牛山隆信氏の手にかかって「秘境駅」の名を頂戴するくらいの凋落ぶり。おでんうどんの姿を止めるのはこのドライブインだけである(このドライブインも、秘境駅とは言わないが、かなり濃い昭和にタイムスリップできるようなスポット)。注文したうどんに乗ったのは玉子、厚揚げ、スジ。いずれもよく味が染み込んでいて、結構いける。これはご家庭でもすぐに再現できるメニュー、十分ありですな。
そしてやって来た備後落合駅。ここは芸備線と木次線のジャンクションであり、その昔は広島から松江など山陰に抜けるメインルートの役割も果たしたところ。おでんうどんも当時は人気メニューだったことだろう。
それが時代の流れもあり、鉄道の利用客が減り、列車の本数が減り・・・の悪循環。おでんうどんもいつの間にかなくなった。今では列車の姿を見ることのほうが珍しいってなもんである。元々まとまった集落があるわけでもなく、かつての賑わいとのギャップもあり、全体の寂れた感じで秘境駅となったところ。
唯一の賑わいと言ってもいいのが、14時台。木次線、そして芸備線の三次、新見両方面の列車が顔を揃える。特に青春18のシーズンは雑踏が見られる。