木の殿堂を見た後、再び国道9号線に戻り香美町から養父市に入る。山陰を行くメインルートというと(いかにローカル線とはいえ)山陰本線を思い浮かべるが、鉄道と国道では随分離れている。この違いはどういうところからだろうか。
養父市に入り、右に折れる形で脇道に入る。向かうのは大屋町というところ。私は前日にパンフレットを見て、それでネット検索して初めて知ったのだが、ここは「但馬のアート」を発信しているという。最近ではアート好きの中では結構有名なところである。前日の「但馬観光の王道」に比べて、この日は「但馬観光の中で、知らなかったのは私だけ」というスポットを回る一日になりそうだ。
まずやってきたのは、養父市の大屋町庁舎に隣接するホール。ここではこの日まで「木彫フォークアートおおや」という公募展の入賞・入選作品が展示されている。フォークアートというのは、ウィキペディアによれば「土地固有の文化から生まれたアート」とある。また、この後で入った木彫展示館のパンフレットでは「私たちの生活に身近で親しみやすいアート」とある。
この大屋というのは豊かな山林に恵まれていることもあり、昔から人々の楽しみとして木彫りを行う人が多かった。手作りの作品を家に飾ったり、ご近所の方や知人に配ったりということがあった。
それがいつしか、大屋を木彫りのアートで「町おこし」をしようという気運となり、全国から木彫りのアートを募集してコンテストを行うこととなった。今年で第20回、多くの作品が集まるイベントとして定着している。普段アートに接することのない私としては、本当「知らなかったのは私ばかり」というところである。この日も大勢の人が力作の鑑賞に訪れていた。
木彫りのアートにもさまざまな作風があり、印象派的なもの、リアリティを追求したもの、どこかに笑いのセンスを込めたもの、さまざまある。
ただ全体を通して言えるのが、一流の「彫刻家」が造るような、見る者に高い鑑賞眼を求めたり、あるいは挑んでくるようなものではなく、親しみやすさやほのぼのとしたもの、温かみというものを感じさせる。そこが、「土地に根差した」という「フォーク」である。どちらが素晴らしいというものではなく、音楽でもクラシックとフォークの違いがあるように、背景が違うものである。
今年度の作品展示は終わっているが、当然来年は「第21回」が開催される(はず)。どこか懐かしいような、温かみを感じにやってくるのもよいものである。
この後は「こういうところもありますから、ぜひ行ってみてください」ということでパンフレットを渡される。それには「おおやアート村・BIG LABO」とあるのだが、地図に沿って(カーナビには入っていないので)走ってみてたどり着いたところは・・・学校?