今年は20年に一度の遷宮の儀が行われたこともあり、伊勢神宮が改めて注目されている。特に近鉄にとっては絶好の稼ぎ時、大々的な観光キャンペーンを展開して、新型特急「しまかぜ」や観光列車「つどい」の運行開始など、力を入れているところである。
10月に遷宮の儀が執り行われ、内宮、外宮とも新たな建物で参拝客を迎えている。私も久しく伊勢神宮には参拝していないし、遷宮の年などはいい機会だなと思っていたのだが、一方では「土日などは大変な混雑ぶりではないか」ということで行けずにいる状況である(一方で、夏から秋にかけて実施している「サイコロしりとり」では、さすがにお伊勢さんはテリトリーに入っておらず・・・)。
さて話は変わって私の職場。どうもこのところ、現場での物損事故や交通事故が続いている。ケガ人が出たとか、新聞沙汰になるような大きなものになっていないのはまだ幸いだが、ハインリッヒの法則ということもあるし、このままズルズルと行ったのではいずれは大きな事故につながるかもしれない。
職場でも事例を出して注意喚起をしているし、事故を受けて原因究明や再発防止策を皆で考えたりしている。ただ、多くが物理的な要因や構造上の欠陥というよりは、その人の「ちょっとした不注意」「思い込み」「確認不足」というところから来ているだけに、再発防止策もその人に確認の徹底を促すくらいしかないというのが正直なところである。支店としても上部機関からも目をつけられることで悩ましいところである。
中には「縁起悪いから、お祓いとか祈祷とかやってもらったらええんとちゃいますか?」という意見も出た。さすがに「再発防止策の報告書」にはそのようなことは書けないが、人の気持ちに何か拠り所を求めるのならばそういうことも必要だろう。職場にも神を祀っており、従来から商売繁盛は伏見のお稲荷さんに、そして災難消除は成田山不動尊のお札にお願いしている。ただ、「これまでとは違ったこともやったほうがいいな」という支店長の意向もあり、まずはもっと地元に根差したことをやろうということで、職場のある地区の氏神を祀る神社で月初めにお祓いをしてもらうことになった。
ということで、そのお願いに私と上司で神社を訪ねたのが15日の金曜日のこと。そこでいろいろとお話を訊く中で、「神様の総元締めである天照大神を中心にお祀りしなければ」ということが出た。
あぎゃっ、そういえばあの棚には天照大神はなかったな・・・。「これは伊勢神宮にお札をいただきに行かないといけませんな」ということを上司と話す。
そして帰って上司から支店長にその報告をしたところ、その直後、支店長から直々に「まつなる、明日(16日)、伊勢神宮に行こう」と。
あまりにも急なことだし、実は16日は予定で入れていたことがあったので一瞬返答に詰まったのだが・・・・、そこは気持ちを前向きにとらまえて、同行することで返答した。支店長は讃岐の金毘羅さんが地元なのだが、伊勢神宮には参拝したことがないとのこと。上司はどうしても外せない予定があり、鉄道のこんなことばっかりやっている私に、列車の設定や現地歴史案内ということで指名があったものと考える。16日なら暦も天候もよいということでの即断である。
まあ、私としても、思ってもみなかったことがきっかけで、遷宮したばかりの伊勢神宮に参拝する機会をいただけるということで、段々と「こういう出張なら私が」という気持ちになってきた(ちなみに予定というのは、この日臨時に運転されたある列車に乗るというものだったが・・・)。
土日は恐らく出かける客が多いだろうとネットで列車を調べると、8時台以降の列車は軒並み満席。結局7時過ぎに難波を出発する特急に落ち着き、15日の夜に前売りで購入。16日早朝、支店長と駅で合流する。思わぬ形での「公式参拝」ということになるが、まずは大和、伊賀の朝靄を突っ切り、好天の伊勢平野へと繰り出した・・・・(続く)。