まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第9回四国八十八所めぐり~第30番奥の院「安楽寺」

2017年05月06日 | 四国八十八ヶ所
5月3日~5日の日程で、第9回となる四国八十八所めぐりに出かけた。そのうち3日は前の記事に書いたように四国アイランドリーグの高知対愛媛の試合を観ていたので(これも八十八所めぐりの中の大事なミッション)、実質は2日間で巡拝ということになる。今回は高知市、土佐市編ということで。

・・という札所めぐりの前夜となる3日、高知球場での観戦を終えて、駅近くのツーリストイン高知にチェックイン。最上階には高知城の天守閣も望める露天風呂もある。早めの予約だったために連泊で確保することができたのはよかったが、さすがに大型連休、3日と4日はあちこちの宿泊サイトを見る限りでは高知市内のホテルは軒並み満室のようだった。

まずは高知の名物をということで、帯屋町のアーケード街にある「一本釣り」へ。前回、3年前に高知で宿泊した時にも訪ねた店である。今回、開店直後に入ったのだが、席の多くは予約で埋まっているとのことだ。一人ということで何とかカウンターに通される。ただ食後は順番待ちの列ができていた。

まずはということで、カツオとウツボのたたきをいただく。カツオは塩たたきでいただいた。このカツオのたたきも、特にぽん酢で注文した場合は店によって盛り付けの仕方にいろいろな違いがあり、奥が深いなと思う。またウツボのたたきも久しぶりにいただいたが、鶏肉のような歯ごたえがあってよろしい。

他にもどろめ、はらんぼ塩焼きなどを楽しみ、これで高知に来たなと気持ちを高めることができた。

この夜はそのままホテルに戻り、展望風呂につかったり、パソコンにてアイランドリーグの観戦記事を書くなどして過ごす。

・・・さて明けて5月4日、朝の天気予報を見ると高知は曇のマーク。所によっては雨が降るかもしれないとのことだ。四国八十八所をしながらも菅笠を持たない私、使う雨具は普通の折り畳み傘で、それもこれまでの区間で1回差しただけで、何とか降らないように、降っても傘を差さない程度で済みますようにと祈る。

ロビーで地元紙の高知新聞を見る。スポーツ面ではファイティングドッグスの結果がカラー写真つきで紹介されていて、マニー・ラミレスも3週間ぶりに出場して大いに沸いたことにも触れられていた。マニーを観に東京から来たという女性のインタビューもあり、私もそれと同じようなものだ。連休ということもあり、1800人の観客の何割かはそんな感じで四国外から来た人たちかもしれない。

笈摺を羽織り、金剛杖を手にホテルを出る。今回まず目指すのは31番の五台山竹林寺だが、その前に行っておきたいところがある。第30番奥の院の安楽寺。ホテルからだと徒歩10分ほどのところにある。特に奥の院を目指すわけではないのだが、ここは回っておこうと思っていた。そのきっかけは前回3月の第8回の時、土佐一宮にある30番の善楽寺を訪ねた時のこと。その時の記事にも書いたのだが、明治の廃仏毀釈の影響で、善楽寺は廃寺となった(土佐一ノ宮の土佐神社の神宮寺だったことが却って災いしたといえる)。その間、善楽寺の本尊である阿弥陀如来を引き受け、30番の継承を名乗り出たのが安楽寺。その後善楽寺が再興され、ここで30番の正統性を巡って長く争わることになった。結局は平成6年まで30番札所が二つある形になり、その後、善楽寺を30番、安楽寺を30番奥の院とすることでようやく解決となった。前の記事で私は「安楽寺の男気」ということを書いたが、それはさておき高知駅にも近いのだからと訪ねてみる。

これまで回った八十八所の寺院というのは、多くが山の上とか、田畑の中にポツンというものだったが、さすが高知市内、住宅地の中によく溶け込んで鎮座している。山門は仁王門というよりは龍宮城の楼門のような造りである。また石柱には「四国三十番」と書かれており、今でこそ奥の院扱いではあるが、往年の歴史というか、プライドを感じさせる。訪ねたのは7時すぎで、ちょうど寺の人が境内を清掃しているところ。またおそらくご近所の方か、弘法大師像や一言地蔵像で熱心に手を合わせている。街中の寺の早朝の景色である。

20数年前まで八十八所の一つだったためか、一連のお勤めをするのに必要なものは整えられている。まずはコンクリート造りの本堂に上がり、続いて大師堂にも手を合わせる。

掃除をしていた寺の人に声をかけ、納経所に向かう。「ここは30番の奥の院の朱印ですがよろしいですか?」と訊かれ、納経帳の後ろの空きページに押していただく。これは余談だが、四国には奥の院専用の納経帳があるそうだ。八十八全てに奥の院があるわけでもなく、また住職がいないなどの理由で朱印がないところもあるが(一部は札所で奥の院の朱印も押すところもある)、最近は八十八の霊場だけでなく、別格霊場や奥の院も制覇しようという方も多いようだ。私が参考にする五来重著『四国遍路の寺』でも、四国遍路、札所の歴史を理解するには奥の院に行かなければならないとしきりに書かれていた。

まあ、安楽寺については奥の院というより、「もう一つの30番札所」という理由で訪ねたのだが、こうした経緯でできた奥の院というのも、長い四国八十八所の歴史のひとこまだと言える。

さて次は竹林寺に向かう。高知駅からの周遊バス「My遊バス」で門前まで行けるが、今から高知駅の1便に間に合うように行くのは厳しいし、時間もあるので歩けるところは歩こう。土電の文珠通の電停から南へ向かうのが遍路道である。安楽寺からだとそのまま南へ歩くと電停に出る。途中、高知城の天守閣を眺め、新しくできた歴史博物館の横を通る。さらに文学館では、土佐にゆかりのある人物を多く書いた司馬遼太郎の企画展もやっている。普通の高知観光ならこうしたスポットを楽しみ、ひろめ市場で一杯というところだが、今回の私はそうしたところを外側からかするだけだ。明日5日までの期間で行くことがあるかどうか。

高知城前の電停から土電に乗車。とりあえずは「ごめん」ということで・・・。
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