まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第32番「斑鳩寺」~新西国三十三所めくり・33(播磨の聖徳太子)

2017年05月22日 | 新西国三十三所
鵤(いかるが)のバス停から少し歩いて斑鳩寺の山門に立つ。読みは「いかるがでら」なのだが、別称として「はんきゅうじ」というのもあるそうだ。ただ『はんきゅうじ」と聞くと「阪急寺」と頭の中で変換する人もいるだろうから?、「いかるがでら」とする。またこれは全く関係ないことだが、四国八十八所の札所寺院は、11番の藤井寺を除き、全て「○○じ」と読む。「○○」のところが訓読みであっても「きりはたじ(切幡寺)」、「たつえじ(立江寺)」などがそうだ。他の札所めぐりでは「○○じ」も「○○でら」も両方あるが、四国にだけ法則があるのだろうか。

境内はちょうど緑の濃い時季とあって青々としている。定期的なものか境内のあちこちに御座が広げられていて、骨董品などが売られていた。地元の人らしいのが談笑している。

この斑鳩寺、聖徳太子が推古天皇からこの辺りの土地を賜り、伽藍を建てたのが開創とされている。長く法隆寺の支院としての権威があったが、室町工期の赤松氏、山名氏の戦乱で焼失した。その後、赤松氏などの手で復興したが、三重塔はその頃から唯一現存する建物とされている。後はさらに再建されたものである。

本堂に当たる講堂に向かい、まずはお勤め。ちょうど講堂の横で広げていた出店のスピーカーから「皇紀二千六百年~」と軍歌が流れていて、何だか奇妙な感じがした。講堂には薬師如来、釈迦如来、如意輪観音が本尊として安置されている。新西国に選ばれたのはこの如意輪観音があるのと、聖徳太子ゆかりであるのとが理由だろう。もっともこれらは秘仏扱いで、太子忌の法要の時だけの開帳である。

続いて講堂の左、三重塔と向かい合う形で建つ聖徳殿に向かう。こちらは聖徳太子を祀る建物で、四国八十八所でいうところの大師堂に当たる。この建物、正面から見れば普通のお堂の形だが、奥に続いていてそこは八角形である。ちょうど法隆寺の夢殿を模した造りで、聖徳太子はこの八角形のところに祀られている。この八角形の部分は大正時代に増設されたとある。無理やりくっつけたように見えるのもそのせいだろうか。

この聖徳殿と、別にある聖宝殿は拝観料500円で拝観できるとある。せっかくの機会だからと、納経所で朱印をいただく時に尋ねると、拝観券を持って講堂の左横に行くよう言われる。そこは工事中のエリアで関係者以外立入禁止だが、中から別の係の人が出て来て通される。聖宝殿もいつでも公開というわけではなく、私のような希望者が出た時だけ開けるようだ。外扉、玄関扉と鍵を開けて通される。撮影禁止なので画像はないが、本尊の薬師如来、如意輪観音を模した木造や、これは重要文化財にも指定されている日光・月光菩薩に十二神将たちという「チーム薬師」の像が安置されている。他には、聖徳太子が蘇我馬子らに法華経の講義をしている場面の絵や、往年の斑鳩寺の境内を描いたものもある。

続いて係の人に連れられて、先ほど手を合わせた聖徳殿に再び向かう。横の扉から内陣に入り、八角形の下にある厨子が開けられる。聖徳太子16歳とされる像が現れた。父の用明天皇の病気平癒を神仏習合の作法で祈る姿を像にしたものである。珍しいのは、わざわざ衣服を上から着せていること。この衣服はかねてから皇族から賜っているそうで、現在のものは1962年に当時の高松宮からのものだという。だとすると55年か・・・これが長いか短いかはわからないが、じゃあ次の衣服を今の皇族方から・・」というのは厳しいのではないかと思う。先日、眞子さまの婚約が決定というニュースがあって明るい話題なのだが、皮肉にも皇族数の減少や、女性宮家をどうするかという課題が注目されるようになった。この状況では、聖徳太子(それも播磨にいる)の衣服を新しいものに・・・とは、なかなかいかないだろう。いやそもそも、現在の皇族方や宮内庁は、聖徳太子をどのように位置づけているのかな。

これにて斑鳩寺を回り、次の行き先である。選択肢は再度行かなければならない福崎を含めて4つ。

1.西神明石(太山寺)

2.福崎(金剛城寺)

3.大阪市内(太融寺、鶴満寺)

4.比叡山(横川中堂)

5、6.振り直し

・・・そして出たのは「3」。ここでというか、やっと出たのが大阪市内。四天王寺に続く2、3番が来た。まあ、わざわざどこかに遠征ではないが、ようやく近くを楽しめるところ。ただ、いずれも訪れたことはないので、その意味では大阪市内も四国の端でも、行く楽しみは同じである。なお、「キタの太融寺」と聞いただけでいらんイメージを膨らませる方もいるだろうが、拙ブログにはそのような展開は起こらないのでお断りしておく。

さてこれから暑い日が増える中、新西国も最後に向けた熱を帯びてくる・・・・。
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