まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

「SEA SPICA(シースピカ)」でめぐる瀬戸内しまたびライン~広島から呉へ

2021年05月21日 | 旅行記F・中国

いろいろな列車に乗ってみようと、JR西日本の「e5489」のページをのぞくことがある。

その中で目についたのが、呉線・山陽線を行く観光列車「etSETOra(エトセトラ)」。2020年10月にデビューした列車だが、なかなか座席が取れない。乗車1ヶ月前にみどりの窓口に行ったのに売り切れ・・ということが続いていた。旅行会社が団体枠で押さえているのかな・・?と思ったこともある。事実、「etSETOra」の乗車と三原・尾道での豪華昼食を組み合わせたツアーもあった。これに参加しようかと思ったこともあったが、日帰りにしては値段が高くそこまですることもないかな・・と思って見合わせたり。

なかなか乗る機会がないなと思ううち年が明け、4月になって「e5489」の中で検索した。すると運転日のほとんどで空席が出るようになった。デビュー当時のブームも収まったのかな。その中で、大型連休明け、5月9日の尾道~広島間の指定席を押さえる。

JR西日本のサイトでふと見つけたのが、「瀬戸内しまたびライン」。JR西日本と瀬戸内海汽船が共同で開発した観光型高速クルーザー「SEA SPICA」がPRされている。広島~呉~三原間で、瀬戸内の多島美を楽しみ、また途中の島にも寄港するコースが東向き、西向きそれぞれ設定されている。いずれも空席は十分にあるようで、観光列車に合わせる形で、広島~三原の東コースを予約する。つまり、往路は「瀬戸内しまたびライン」で海を行き、復路は尾道から広島まで山間を走る観光列車に乗る・・・県内の魅力たっぷりだ。

さて5月9日、この日も快晴である。まずは広電で宇品港に到着。かつての京都市電と、カープのロゴをあしらったトラム型車両が一緒に並ぶ景色も広島らしい。

これから乗る東向きコースは8時30分に宇品港を出航し、13時15分に三原に到着する。まずは運航する瀬戸内海汽船の窓口に向かう。事前予約で支払いも済んでおり、名前を言うと名簿で確認のうえ、チケットを渡される。この日は途中からも含めて数組、10数名の乗船があるようだが、宇品から乗船したのは私の他にご夫婦2組だけ。乗船案内があり、係の誘導で桟橋に向かう。

船内を見て回る。ソファ型の席が並び、窓側の席の背もたれを低くして外の景色を見やすくしている。コース参加者は一応座席指定となっている。

2階のデッキはフリースペース。瀬戸内の島々をイメージしたソファーがあり、側面、後方には一人掛けの椅子が並ぶ。天気がいいので、座席よりもこのデッキで過ごすのが気持ちよさそうだ。

見送りを受けて出航。ガイドが乗り込んでおり、この先周りの景色やスポットの案内をしてくれる。

最初の寄港地であるプリンスホテルに到着。キャリーバッグを手にしたカップルや家族連れが乗船する。広島市内にあって瀬戸内のリゾートを満喫できるホテルで(私は泊まったことないですが)、広島旅行の帰りに三原までクルーズ船に乗るというのもなかなか面白い行程だと思う。

ここからは本土と江田島の間を走る。さまざまな船とも行き違い、その奥には海上自衛隊の船舶も停まっている。ガイドからは江田島の海軍兵学校の歴史の解説もある。その中で、海軍兵学校に入るのが超難関だったことの例え話として、「今、合格するのが難しいのは、東は東京大学、西は・・宝塚音楽学校ですかね」とあり、思わず笑ってしまう。ただ宝塚、ある意味東大よりも江田島よりも難関かもしれないな・・。

巡視船などが近くに停泊する中を抜け、呉港に到着。ここでも何人かの乗船があり、三原に向けて出航する。

かつての軍港、現在も海上自衛隊の基地があり、造船も行われている呉港。戦艦大和が建造されたドックも現役で活躍している。

このクルーズの売りとして、海上自衛隊の呉基地を海上から見るというのがある。これまで陸地から遠くに護衛艦や巡視艇などを目にすることはあったが、海からというのはなかなかない。乗船客もお目当てが来たとばかりに一斉にデッキに上がり、その姿をカメラ、スマホに収める。身を乗り出さんばかりの人もいる。

この時は海上自衛隊最大の護衛艦「かが」も停泊していた。海外での様々な訓練にも参加しており、お好きな方にはたまらない光景だろう。

潜水艦も停まっていて、隊員たちが業務なのか訓練なのか多数周囲にいる。「余裕があれば手を振ってくれるんですが・・」という案内があるが、この時はそこまでの余裕はなかったようで、しばらくその様子を見た後、港を離れる。それにしても、海上自衛隊の船舶を海上から間近に見ることができる機会、なかなかないものである。

呉港を離れ、日本製鉄(旧・日新製鋼)の製鉄所を通る。この製鉄所も呉の看板企業の一つだったが、2023年9月に閉鎖される。地元の雇用への影響が大きいとしてニュースでも取り上げられているところだ。

音戸の瀬戸を通る。ここからは本格的に「しまたびライン」らしく島々を巡る。まずは停泊地である下蒲刈島を目指す・・・。

コメント