まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

乗って楽しむ飯田線・1

2010年09月08日 | 旅行記C・関東甲信越

8月25日、飯田線南下の旅である。辰野で小休止の後出発。さてこれから90いくつの各駅に停車していくぞ・・・・と思いきや、わずか2分で次の宮木着。続いて3分で伊那新町着。ここまで営業キロにして2.3キロ。元々飯田線は小私鉄の集まりのようなもので、駅の間も短い。そのたびに停車と発車を繰り返すから速度が上がらないのだろう。

Dscn2723 豊橋までは国道153号線~151号線が並走している。この国道をクルマで走るのと鈍行列車で乗りとおすのではどちらが早く着くだろうか・・・?ということを考える。一度実行してみようか。というものの、のんびり走るイメージのローカル列車も横から見れば結構早く走る。それなりの速度で走っていてなかなか追いつけるものではない。

駅ごとに1人、2人と地元客が乗ってきて、上諏訪から1時間を経過して伊那市着。時刻表でもまだページの上のほうだ。

Dscn2728 上諏訪から1時間半が経過して駒ヶ根到着。まずここで乗客が入れ替わる。駒ケ岳に上った帰りとおぼしきグループも見かける。ソースかつ丼の街として知られるがここは5分停車のみですぐに発車。

Dscn2730 中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷。両側に山脈が見えるがガスがかかっているのか、稜線がくっきりとはいかなかった。それでも素朴な景色は旅人の心をくすぐるようで、手持ちのカメラ(携帯電話のカメラも)で何とか景色を収めようとする人や、「え?今?えーとね、飯田線に乗ってるの。豊橋まで6時間かかるやつ」と、かかってきた電話の相手にそう答える人も。乗ること自体が一つの目的になる路線が飯田線である。

Dscn2739 まだ収穫には程遠いリンゴ畑を抜け、そろそろ飯田が近づく。元善光寺着。長野の善光寺のご本尊・阿弥陀如来が元々この寺に祭られていたのだが、その後如来のお告げにより、現在の善光寺に移されたという。善光寺と元善光寺の両方をお参りしなければ「片参り」になるとか。

といういわれは以前に聞いたことがあるのだが、旅の途中の私は「"元"善光寺なら今は何親方やねん」てなことを思う。やはり暑さのせいなのかな。列車が元善光寺の駅を出ると右手にそれらしい堂宇の屋根が見えたので少し手を合わせる。

ここから列車は市街地の西側をグルリと迂回する。以前、この迂回区間を行く列車と、市街地を直線で走り抜けるのとでどちらが速いか・・・という「実験」を旅の雑誌でやっていたのを読んだ。元々はマンガのネタか何かだったそうだが、飯田での停車時間も計算に入れることで確かこの実験は成功したんだったか。

Dscn2741 上諏訪から3時間弱、ちょうど12時を回ったところでその飯田着。ここで乗客の半数が入れ替わる。この駅では16分停車ということで、ちょうど昼食を仕入れるのにはいい時間だ。改札を出て駅前通りを見渡すと、ちょうど50mくらいのところにローソンを発見。ここで昼の食料および「燃料」を仕入れて駅に戻る。さて、ここからが飯田線の車窓の見所である・・・・。(続く)

コメント (2)

飯田線通し乗車に挑む・・・

2010年09月06日 | 旅行記C・関東甲信越

さて長々と書いてきた夏休み旅行記もようやく最終日の8月25日。すんません、えらく引っ張ってしまって・・・。

この日は尼崎まで帰宅する行程であるが、そのルートというのを少し考えてみた。まあそのことから上諏訪に連泊してということになったのかもしれない。

そのルートとは、岡谷・辰野からの飯田線ルート。上諏訪を9時19分に出て、途中90いくつかの駅に停車して15時54分に豊橋に着く長距離の鈍行列車がある。これに乗車しようというのである。飯田線そのものはこれまで辰野方面から1回、豊橋方面から1回走破したことがあるが、それぞれ途中の駒ヶ根、飯田で宿泊しておりこれまで全線を走破するというのはない。せっかくの機会だからこれを体験しようと思う。

・・・とその前に、上諏訪の温泉を味わうことにする。宿泊したルートインホテルも温泉を引いた大浴場があるのだが、道を挟んだ向かい側の片倉館で朝風呂をやっているという。こちらは前日の火曜日が休みで入浴できなかった分、この日の水曜日に入浴することに。

Dscn2717_2 片倉館といえばもともとは製糸業を営んだ片倉組の福利厚生施設的な意味合いで造られた浴場であるが、それが広く地域の人たちに親しまれるスポットとなったところ。「千人風呂」と称される底の深い、大理石の彫刻もレトロ風景を演出してくれる。大浴場は旅行者風の人もいれば地元客らしい人もいる。もしこういう温泉が通勤途中にあって、朝風呂に入れるとなればこれは少し早起きしてでも通っていたかな・・・?

は少しのんびりとして上諏訪駅に現われる。ただこの時発車時刻を間違って頭にインプットしていたようで、駅の自由通路の跨線橋から列車が停まっているのを見て「結構早くから入線しているな」と思いつつ改札口に行くと、何と発車1分前。慌てて改札を抜けホームに行く。何とか間に合った。

Dscn2719 意外だったのが、飯田線オリジナルの車両である119系ではなく、名古屋近辺の快速、新快速でも見かける313系(で合ってるのかな?)の3両編成。転換クロスシートである。ローカル線の旅となれば4人がけのボックス席が似合う感じだが、混雑が予想される中では少しでも気を遣わずに済むかな。3両の座席は半分くらいが埋まっている感じで、中には「筋金入りのその筋」と見られる客もいれば、いかにも最近の秘境駅、鉄道ブームとやらに乗せられた女性鉄道ファンの姿も見える。何とも微妙な空気。

Dscn2720 下諏訪で列車行き違いの交換をした後、岡谷で長野方面からの乗客を乗せる。結構座席も埋まった。川岸を経て辰野へ。ここからいよいよ、営業キロで195.7キロを数える飯田線に入る・・・。(もう少し続く)

コメント (2)

美術と花火にうなる

2010年09月05日 | 旅行記C・関東甲信越

24日夕方、霧ケ峰、蓼科を回った後は茅野に戻り、やってきたのは民芸館風の建物。

Dscn2658 ここは「放浪美術館」というところ。妙な名前であるが、展示されているのは「放浪の天才画家、裸の大将」で知られる山下清の作品。なぜこの地に美術館があるかという話だが、山下清が夏の風物詩である花火が大好きで、諏訪湖の花火にも何度も見物に訪れたこと。ゆかりのある作品を地元に残し、その人生を後に語り継ごうというところから開館されたという。

Dscn2659 どうしても芦屋雁之助のドラマ「裸の大将」のイメージが強く、「ボ、ボ、ボクは、お、お、おにぎりが、食べたいんだなあ」というセリフが先に出てしまうが、諏訪湖の花火をした数々の貼り絵、ペン画を見るとその繊細さにはうならされるばかりである。見る角度によって人物が「動いて」見えるような構図があったり、先述の花火にいたっては、打ちあがっていく花火は紙をこよりにして描くとともに、重ね貼りで幾層にも見えるように立体感を出したり、暗い色で花火が消えるところを描くなど、さまざまに工夫をこらした技法が見られる。描かれた日本の懐かしい風景とあいまって感心させられる。

山下清の「放浪」のことを書いた「日本ぶらりぶらり」「世界ぶらりぶらり」の文庫2冊を買い求め、改めて彼は放浪の中に何を見たのかを感じてみたいと思う。

Dscn2663 さて、一度諏訪湖畔に出る。ここで訪れたのは原田泰治美術館。こちらは諏訪出身ということで、1982~1984年に朝日新聞に掲載された「原田泰治の世界」で描かれた「ふるさと」をテーマにした作品を中心に展示されている。

その時期に描かれた「ふるさと」。さて2010年の今となるとさまざまに開発が進められて、実際の景色はまた変わったと思われるところがあるが、それだけにより一層「懐かしさ」というものが現れるようだ。私が入館した時はちょうど団塊世代くらいの団体さんが見学していたが、口々に「こんなのあったね」「懐かしいね」と作品の一つ一つに見入っていた。

私にしても「懐かしさ」を感じるのだから、やはり日本人のDNAというのかな、原風景というのはある程度世代を越えて受け継がれるものかなと思う。

中でもうなったのは、「鉄道」が登場する作品。白糠線、南部縦貫鉄道、鹿島鉄道・・・・すでに今は廃線となったものばかりだが、やはり心動かされる。こういう景色には鉄道がよく似合う。高速道路ではこうは感じない・・・。絵葉書でもあれば記念に購入しようと思ったがあいにくと思うように揃わず、ならばということで全国の景色を揃えたコンパクトサイズの画集があったのでこちらを買い求める。

いや、これを見ているだけでもまたさまざまな土地を旅してみたくなりますわ・・・。

Dscn2671 夕方となりレンタカーを茅野駅前で返却し、上諏訪に戻る。この日の夕食で向かったのは、駅前の居酒屋「信玄屋敷」。実は前日行った時は閉まっていたのだが「月曜定休」ということらしかった。

Dscn2665 信州の郷土料理を味わおうということで、馬刺に始まり、鱒のたたき、信州味噌で煮込んだ豚の角煮など味わう。馬刺は前日の「庄や」でも注文したのだが、やはり味の深さも噛み応えも全く違う。

Dscn2669 ここからが初体験メニュー。まずは鯰のフライ。鶏のささ身に似た食感だが、ほんのりと魚の匂いもする。

そして、注文しようかどうしようか結構迷ったのだが、エイヤッという感じで注文したのが、イナゴの佃煮。信州南部では貴重なたんぱく源として食された昆虫。その中でもイナゴは定番という。相手昆虫だし、どうも生きて跳ねているところを想像すると・・・というのがあったが、やはり信州にきたのだし。

Dscn2670 で、出てきたのを一口。食感はエビを食べているようなもの。同じく節足動物ではあるし、なるほど、エビが食べれればイナゴも食えるかなという感じ。ただどうだろう、観光客も訪れるであろう居酒屋だから食べやすく色づけ、味付けをしているのかもしれない。地元で昔ながらのスタイルで・・・となるとやはりグロかったりして。

食後、再び諏訪湖畔に向かう。前日は気づかなかったのだが実は8月1日~9月3日までは「サマーナイトファイヤーフェスティバル」として、毎晩諏訪湖に花火が上がるのだという。それを見ようとやってくると、ホテルの浴衣姿の宿泊客も含め結構多くの人たちが思い思いの場所に陣取っていた。

Dscn2693 そして20時30分、MCが打ち上げのコールをすると、音楽と共に湖の上に花火が打ちあがる。

Dscn2698 1回で約800発が打ち上げられる。

Dscn2714 いやいや、うなるばかり。残暑厳しいことを忘れさせる、夏の景色である。

15分ほどの打ち上げが終わり、周りの客からも大きな拍手が起こる。今回の旅の最後の夜を飾るにふさわしい、いいものを見させてもらった・・・・。(続く)

コメント (2)

霧ケ峰と癒しのスポット

2010年09月03日 | 旅行記C・関東甲信越

Dscn2628 車山高原の散策後、レンタカーをもう少し西に進めて霧ケ峰へ。ここまで広大な景色を見ることもこれまでの経験でそうあるものではなく、「日本は狭い」というイメージは見事にぶっ飛んでしまうものである。

Dscn2635 ここで一息ということで峠の駅へ。ビールは飲めないのでノンアルコールビールを注文したが、霧ケ峰の風とともに味わうというのはまた格別なもの。霧ケ峰といえば某社のエアコンの名前だが、エアコンではなく、この自然の風の涼しさを関西に持ち帰れないものかと思ってしまう。

Dscn2639 この先を目指すこともできるのだがここで折り返しとして、再び車山を過ぎる。途中に蓼科山と白樺湖を望む展望スポットに出る。白樺湖のホテル群が箱庭のように見え、実に落ち着いた景色である。涼風に吹かれてしばし佇む。

Dscn2643 ビーナスラインで蓼科高原を回る形になり、ここから少しずつ高度を下げていく。先ほど登った車山がまた遠くに見える。

さて、蓼科に入り癒しのスポットとして見つけたのが大滝。ビーナスラインから脇道に入り、クルマは路肩に停めてそこから自然の遊歩道を5分くらい下りたところにある。

Dscn2650 そこで出会ったのがこの滝。もう、マイナスイオン全快ってなもんである。高度が下がりまた暑くなりだしたかなという中で、また清涼感を存分に味わうことに。

Dscn2654Dscn2656 真夏の青々とした緑の中だったが、これは紅葉の時期に来ればらさらに絶好の眺めとなるだろう。やはり滝の音と川の流れの様というのは、心癒されるものである。

蓼科の眺めもこのくらいにして、せっかくなのであちこちに湧いている温泉に入りたい。どこか手ごろなところはないかなと思うが、ホテルの日帰り温泉は結構あるのだが、スーパー銭湯とか、クアハウスのような施設が案外と見つからない。そういうのは国道沿いにあってこそ商売として成り立つのかな。

Dscn2657 そう思ううち、蓼科温泉のそのまま公衆浴場というのを見つける。昔ながらのつくりの銭湯で、番台で400円払って中に入ると、浴槽や洗い場の造り(水と湯が別々の栓で出る)からして「これぞ銭湯」というもの。ちょうど先客と入れ替わるように入ったので浴槽を独り占め。さらには、しばし浴槽の脇でゴロンと横にもなる。これはいい。

高原、そして温泉と楽しめた一日、まだレンタカー返却までは時間があることなので、今度は「芸術」を楽しむことにしようか。ということで再び茅野の市街地へ向かう・・・。(まだ続く)

コメント

中信での避暑・・・白樺湖、車山へ

2010年09月02日 | 旅行記C・関東甲信越

旅行4日目となる8月24日。この日は荷物も軽く、「青春18」を封印しての行程となる。

通勤客や高校生であふれている上諏訪から一駅、茅野に到着。ここで駅前のレンタカーへ。この日は鉄道の旅というよりは、一日クルマを使っての動きとなる。中信州にはさまざまな高原エリアがあるが、残念ながらこれまで訪れることがなかった。せっかくの機会なので回ることにするか。となれば、時間が限られているバスよりはクルマで・・・ということになる。

ホンダのフィットがこの日のパートナー。今のパートナーであるキューブと、最後までどっちにしようか迷った車種であるが、このクラスのレンタカーでは今や主力。茅野駅の近くでは朝の渋滞があったが、それを抜けると順調な走りを見せる。沿道には信州そばや温泉の看板が目立ち、何やらそそるものがある。

Dscn2589 途中からは大門街道という上り道になり、それを上がりきったところで湖が現れる。白樺湖だ。湖畔にクルマを停めて外に出る。

Dscn2594 朝の時間ということもあるが、実に涼しげな景色。日が直接差すとそりゃ暑さを感じるが、関西のようなジメっとしたムシムシ感はないし、時折通り抜ける風が心地よい。ああ高原に来たんやなと、先日からの平地の暑さ、都会のヒートアイランド現象を忘れさせるような感じである。

そりゃ誰か一緒にいればデート気分にでもなるのだろうし、実際に避暑を楽しむ雰囲気よさげなカップルも目にするのだが、そこはまあ、男の一人旅なもんで・・・先に向かうとする。

Dscn2600 ここからさらに高度を上げてやってきたのが車山高原。丸みをおびた霧ケ峰の主峰、車山の頂上を見上げる。ホテルでもらったパンフレットによればここからはリフトで頂上を目指すことができるという。登山という装備も心構えもない私にとっては、リフトで上がるというのも面白そうだ。

山麓の乗り場ですでに標高1566m、ここからリフトを2本乗り継いで目指す頂上は1925m。まずは冬はスキー場にもなるという勾配を、4人掛けのリフト「スカイライナー」を一人で占領して上る。心なしかリフトが左側に傾いているようにも見えるが・・・。

Dscn2603 中腹からは「スカイパノラマ」に乗り継ぐ。結構急な斜面を駆け上る。そして両方合わせて15分で、山頂に到着。

Dscn2615 車山の山頂。これだけ高いところに来るというのもそうないことで、いつもの私の旅行の中ではなかなかない体験である。

Dscn2613 八王子あたりから夏休みのイベントで来たとおぼしき団体もいるし、その他気軽な感じの観光客も多い。クルマとリフトという、登山愛好者から見ればおちょくっているとしか思えない手段ではあるが、逆に言えばそんな形でも1900mで避暑を楽しめるのは面白いことといえる。

Dscn2620 雲が広がっており、晴れていれば南アルプス、八ヶ岳、遠くには富士山も見ることができるとのことだがあいにくそれらは望めず。ただ360度を見渡せるスポットというのは実に気持ちいい。ここ、初日の出のご来光などでは結構多くの人が上るのではないだろうか・・?

Dscn2623 1時間あまりで山麓の駐車場まで自力で下りることができるそうだが、ここは悲しいかな先を急ぎたいという気持ちもあり、リフトに乗る。ただこのリフト、今度は車山の急な斜面に沿って下りるため、上りより下りのほうが結構怖い。カメラを落としはせんか、ヒヤヒヤしながらの下山ということになった。

Dscn2624 それにしても、山の上というのは実に涼しいもの。この夏は結果として観測史上もっとも「暑い」夏ということになり、日ごろの生活では暑さばかり感じたものだが(だから冷房はフル稼働)、この旅の中で自然の涼しさを感じる一瞬となった。やっぱ信州はええわ・・・・。

リフトから山麓に下り、この次は霧ケ峰を目指す・・・。

コメント