8月25日、飯田線南下の旅である。辰野で小休止の後出発。さてこれから90いくつの各駅に停車していくぞ・・・・と思いきや、わずか2分で次の宮木着。続いて3分で伊那新町着。ここまで営業キロにして2.3キロ。元々飯田線は小私鉄の集まりのようなもので、駅の間も短い。そのたびに停車と発車を繰り返すから速度が上がらないのだろう。
豊橋までは国道153号線~151号線が並走している。この国道をクルマで走るのと鈍行列車で乗りとおすのではどちらが早く着くだろうか・・・?ということを考える。一度実行してみようか。というものの、のんびり走るイメージのローカル列車も横から見れば結構早く走る。それなりの速度で走っていてなかなか追いつけるものではない。
駅ごとに1人、2人と地元客が乗ってきて、上諏訪から1時間を経過して伊那市着。時刻表でもまだページの上のほうだ。
上諏訪から1時間半が経過して駒ヶ根到着。まずここで乗客が入れ替わる。駒ケ岳に上った帰りとおぼしきグループも見かける。ソースかつ丼の街として知られるがここは5分停車のみですぐに発車。
中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷。両側に山脈が見えるがガスがかかっているのか、稜線がくっきりとはいかなかった。それでも素朴な景色は旅人の心をくすぐるようで、手持ちのカメラ(携帯電話のカメラも)で何とか景色を収めようとする人や、「え?今?えーとね、飯田線に乗ってるの。豊橋まで6時間かかるやつ」と、かかってきた電話の相手にそう答える人も。乗ること自体が一つの目的になる路線が飯田線である。
まだ収穫には程遠いリンゴ畑を抜け、そろそろ飯田が近づく。元善光寺着。長野の善光寺のご本尊・阿弥陀如来が元々この寺に祭られていたのだが、その後如来のお告げにより、現在の善光寺に移されたという。善光寺と元善光寺の両方をお参りしなければ「片参り」になるとか。
といういわれは以前に聞いたことがあるのだが、旅の途中の私は「"元"善光寺なら今は何親方やねん」てなことを思う。やはり暑さのせいなのかな。列車が元善光寺の駅を出ると右手にそれらしい堂宇の屋根が見えたので少し手を合わせる。
ここから列車は市街地の西側をグルリと迂回する。以前、この迂回区間を行く列車と、市街地を直線で走り抜けるのとでどちらが速いか・・・という「実験」を旅の雑誌でやっていたのを読んだ。元々はマンガのネタか何かだったそうだが、飯田での停車時間も計算に入れることで確かこの実験は成功したんだったか。
上諏訪から3時間弱、ちょうど12時を回ったところでその飯田着。ここで乗客の半数が入れ替わる。この駅では16分停車ということで、ちょうど昼食を仕入れるのにはいい時間だ。改札を出て駅前通りを見渡すと、ちょうど50mくらいのところにローソンを発見。ここで昼の食料および「燃料」を仕入れて駅に戻る。さて、ここからが飯田線の車窓の見所である・・・・。(続く)