まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ご主人さまが…

2012-05-01 | 韓国映画
 「ハウスメイド」
 とある大富豪の邸宅で、住み込みのメイドとして働き始めたウニは、当主のフンと関係をもってしまい妊娠する。それを知ったフンの妻とその母は、ウニとお腹の子どもを陰湿な手段で排除しようとするが…
 期待してたほどエロくもドロドロでもなかったので、拍子抜けしました。どちらかといえば、ブラックテイストな喜劇?確かに陰惨で非道い話だし、狂気じみたシーンも多々ある悲劇なのですが、そこかしこでプっと笑えたり、おいおい~と苦笑してしまうシーンや台詞も少なくなかったです。まさに他人の不幸は蜜の味的な内容は、市原悦子の家政婦は見た!と共通する魅力です。
 出てくる奴らが、ヒロインのウニを含めてみんなまともじゃないのが面白いです。
 ウニ、素直というか無邪気というか従順というか受身すぎるというか。純真な少女と淫蕩な女が同居してるようなキャラ。ご主人さまに無理やり手篭めにされ、虫けらのような扱いを受ける可哀想な賤の女、みたいな時代劇によく出てくる女中ではなく、ご主人の夜這いを心待ちにしてるほど快楽に積極的で貪欲だったのが、レイプや服従を強いられるよりも女にとっては悲劇的に思えた。女の業の深さ、怖さを見せつけられたようでゾっとしました。何も考えてない、考えられない白痴女、取るに足らない卑しい女と見なされ、人間扱いされなかったウニの、おまえらこれをくらえやー!!な怨念の最後っ屁が壮絶すぎて笑えます。笑っちゃいけない悲惨なシーンなのですが、え~!?何なのこれ?!なありえなさで、ポカ~ン状態になること必至です。

 ウニの妊娠を機に、内にあった女のイヤらしさ、怖さ、狂気を噴出させるフンの妻、その母、家政婦長の言動が、真っ黒な笑いを誘います。卑しい女の分際で!飼い犬に手を噛まれた!という怒りで(嫉妬よりも、こっちのほうが大きかったはず)鬼と化すフンの妻の冷酷で残虐な仕打ちがヤバいです。妻の母の、欲深さ悪賢さ冷徹な打算も非道すぎる。もっとも不気味だったのが、おばはん家政婦長。彼女のドロドロした不平不満や憤懣、忠実に仕えつつ内心では雇い主夫婦を蔑み、彼らの不幸を願い、そのために動いてるような二面性が面妖です。最後、フン一家に啖呵を切って出て行くシーンは、市原悦子を彷彿とさせました。
 この映画のメインテーマは、官能とか男女の愛憎とかではなく、生まれで人生が決定づけられてしまう階級社会、格差の厳然な理不尽さ、そこに渦巻く怨念なのではないでしょうか。自然の摂理か何かのように、貧乏人を人間扱いしないフン一家にムカつきつつ、生まれ変わったら絶対かしずかれる身分!と願ってしまうのは、私だけではないはず。

 「シークレット・サンシャイン」でカンヌ映画祭女優賞を受賞した韓国随一の演技派女優、チョン・ドヨンがウニを怪演。彼女って、ほんと年齢不詳女優。天真爛漫な童女のようだったり、淫乱な熟女になったり。大胆なヌードもエロい。もう彼女は完全に、他の韓国女優たちとは一線を画してる存在です。
 フン役のイ・ジョンジェも頑張ってました。ウニを性欲処理の道具としか見てない最低最悪な男というより、時代劇の殿様みたいなキャラ?女中に手をつけることなんて、殿様にとっては日常的行為に過ぎないもんね。それもしてもジョンジェ、老けないですね。「情事」の頃と、ほとんど何も変わってないような。地味かわいい顔も、すごい肉体美も。「情事」以来久々に見た、ジョンジェのプリンとした美尻が嬉しい収穫でした。私もジョンジェに『しゃぶれ』『ストローみたいに吸え』とか命令されてみたいものです♪
 フンの妻役は、「シンデレラのお姉さん」のソウ。きれいな化け猫みたいな顔で、きっついセレブ妻を好演してました。妊娠ボテっ腹でジョンジェにまたがってアンアンいってるシーン、笑えました。
 ウニ&フンのセックスシーンは、期待してたほどのものではなかったけれど、ああいう濡れ場はもう韓国映画でしか見ることはできません。肉と肉がぶつかって濡れ合う卑猥な音とか、ホントにヤってるとしか思えないような喘ぎ声や表情とか、まず今の邦画では不可能な演出&演技だし。
 
 
コメント (2)
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