まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

誰にも言わないで

2012-05-08 | フランス、ベルギー映画
 仕事帰り、久々にピーターとお茶しました。
 職場では、妙にご機嫌だったピーター。GW中、何かいいことあったのかな?パチスロか麻雀に勝って稼いだとか?
 お茶を飲みながら、ニコニコ笑顔でピーターは話し始めたのでした。
ピーター『こないだ、友だちのおごりでデリヘル初体験しました♪楽しかったです♪』
私『…』
 店内で楽しそうにアンなことコンなこと赤裸々なデリヘル体験記を語るピーター。呆れつつも、私も根掘り葉掘りエロエロ、じゃない、いろいろ訊いてしまい、周囲のヒンシュクをかってしまいました。
 また行きたいので金を貸してくれ、と頼まれたら、貸してあげるべきなのでしょうか?
 
 「唇を閉ざせ」
 フランスの人気俳優、ギヨーム・カネが監督したサスペンス映画。
 8年前に突然妻マルゴが殺され、失意から立ち直れずにいたアレックスのもとに、不可解なメールが届く。送り主は、死んだはずのマルゴだった…
 人気作家ハーラン・コーゲンの犯罪小説が原作。殺されたはずの妻が生きていた、次々と届く謎のメール、8年前の殺人事件、それに関わる人々の秘密、そして再び起こる惨劇、妻と事件の真相を追うアレックスに襲いかかる謎の一味…すごく良く出来た2時間サスペンスって感じで、面白かったです。事件の真実も犯人も、驚愕とまではいかなくても意外でした。それにしても犯人さん、ああするより他になかったのかなあ。あんな手のこんだ、むごいことをしなくても、もっと穏やかな解決方法なかったのかなあと、犯人にはあまり同情できませんでした。
 フランス映画らしからぬ展開の速さ、疾走感、ハリウッド映画顔負けなアクションなど、作り手の独りよがりなゲージュツ性の押し付けではなく、観客を楽しませることを重視したエンターテイメント性が強いところも、いい意味でフランス映画らしくなかったです。陽光降り注ぐ明るい、けどジリジリと主人公を焦がす夏の暑さが、サスペンス盛り上げに一役買っていました。ヴァイオレンス色が強いので、ミステリというよりハードボイルドっぽい。かなりアメリカンなテイスト。
 使われている音楽や、アレックスの子ども時代の甘いセンチメンタリズムなど、全体的に若々しくポップな感じがしたのは、監督のフレッシュな感性のなせるわざでしょうか。満身創痍、全速力で事件を追うアレックスが熟年おやぢだったのが、その若々しい演出にちょっとそぐわなかったような気も。アレックス、もうちょっと若い男でもよかったのでは。姉がいるのですが、妹にしか見えないし。おやぢにしては、妻への愛や執着が熱すぎたし。
 あと、マルゴの行方を探るため、事件関係者を襲う謎の一味が、不気味で怖かったです。特に、拷問専門の女が非道でヤバかった。素手での急所責めが、超痛そうでウゲゲゲ

 フランス映画ファンにとっては信じられないほど豪華なキャストも、この作品の魅力です。これだけのメンツ、よく集めたなあ。ギヨーム・カネ(以後、カネやん)、若いのに人脈が広くて信頼が厚い男なんでしょうね。
 主人公アレックス役は、シブい脇役として売れっ子のフランソワ・クリュゼ。いろんな監督の作品に出てるクリュゼおぢさんですが、バリバリの主役な彼を見たのは初めてかも。アレックスを熱演して、めでたくセザール賞の主演男優賞を受賞。めちゃくちゃ動き回る役だったので、さぞやゼーゼーハーハー息絶え絶えな撮影だったことでしょう。
 マルゴ役は、「みなさん、さようなら」でカンヌ映画祭女優賞を受賞、「潜水服は蝶の夢を見る」や「ジャック・ソード 選ばれし勇者」でも印象的だったマリー・ジョゼ・クローズ。色気がなくギスギスした感じだったので、もうちょっと謎めいた美女にマルゴを演じてほしかったかも、と思わないでもなかったが…
 アレックスの姉役は、「レディ・チャタレー」でセザール賞主演女優賞を受賞したマリナ・ハンズ。そのレズの恋人役は、「ずっとあなたを愛してる」などフランス映画で活躍するイギリス女優、クリスティン・スコット・トーマス。そして、敏腕おんな弁護士役で、ナタリー・バイまで登場。エレガントでクールなナタリーおばさまが素敵でした。ゲスト出演的なチョイ役だったのが、すごく惜しかったけど。

 マルゴの父役はアンドレ・デュソリエ。コメディ映画での軽妙洒脱なデュソリエおじさましか知らなかったので、シリアスで怖い彼が新鮮でした。大金持ちの老人役で、パトリス・ルコント監督作品などでおなじみの名優、ジャン・ロシュフォールも顔を見せてます。アレックスを助けてくれるチンピラ役、ジル・ルルーシュもゴツくてイケてました。あとビツクリしたのは、8年前の事件を担当した刑事役で、ジャン・ピエール・ロリも出てたこと!「トリコロール 赤の愛」や「趣味の問題」の端正な美青年も、すっかり枯れた熟年男に。今でもカッコいいけどね。監督のカネやんも、ロシュフォール爺さんの息子役でチラっと(でも超重要な役!)で出演してます。
 この映画、日本でもリメイクできるのでは?理想妄想キャストは…
 
 アレックス…仲村トオル
 マルゴ…夏川結衣
 アレックスの姉…麻生裕未
 アレックスの姉の恋人…若村麻由美
      ・
 チンピラ…藤本隆宏
 マルゴの父…大和田伸也
 マルゴの友人…秋本奈緒美
 刑事A…渡辺哲
 刑事B…趙和
 金持ちの老人…麿赤児
 金持ちの老人の息子…大和田健介
      ・
 刑事…村上弘明
 弁護士…眞野あずさ

 こんなん出ましたけどぉ~?土曜ワイド劇場○周年記念作品って感じで、ぜひ♪  

 ↑ジャン・ピエール・ロリ。カッチョええ~マリク・ジディ共演の“Les Thibault”やジェレミー・レニエ共演の“Un fils de notre temps”が観たい~!
コメント
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