まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

阿鼻叫喚!地獄のジャングル人質生活

2013-09-01 | オセアニア、アフリカ、中東、その他のアジア映画
 September!早いもので、今日から9月。ようやく暑さも落ち着きそうな空気に、秋の気配を感じます。
 ところで。久々に出張で大阪に行ってきました~♪
 仕事を終え、帰りの高速バス(不景気で新幹線は使わせてもらえない)に乗るまで時間があったので、大学時代のダチに連絡して飯でも食おうかと一瞬だけ思って、気がつけば独り気ままにブラブラ。大阪、相変わらず人が多いなあ。そーいや前にTVで、阪急梅田駅の高架下にある美味しいパンケーキの店を紹介してたっけ。何か無性にパンケーキ食いたくなってきた。雑踏にまぎれながら、パンケーキの店【Butter】へ向かいました。
 お店はこじんまりしつつオシャレな感じで、店内は99%女子でほぼ満席。おしゃれ女子の集う場なの?!苦手…と怖気づきながらも、いったん入ったが最後、にこやかな女性店員に導かれるまま席へ。メニューを見ると、どれも美味しそう。“クレームブリュレ窯出しフレンチパンケーキ”すげー!と感嘆しつつ、たぶん全部食べきれないと断念し、結局“発酵バターの窯出しフレンチパンケーキ“とカフェオレをオーダーしました。

 お味は…もうここ以外のパンケーキは食べられない!とまでは絶品ではなく、フツーに美味しかったです。ちょっと高いとは思ったが。
 その後、小雨まじりの街ブラを楽しんで、映画を観て、そしてバスに乗り込んで帰路につきました。都会もいいけど、やっぱ地元がいちばん落ちつきますね。涼しくなったら、またブラっと独り旅でもしよっかな。

 「囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件」
 フィリピンのリゾート地パラワン島で、武装テロリスト集団が観光客を誘拐する。事件に巻き込まれたフランス人ソーシャルワーカー、テレーズも人質としてジャングルに連れ去られ、死と隣り合わせの過酷で絶望的な日々を強いられることに…
 実話を元にしたノンフィクション・フィクション映画。アメリカの同時多発テロとほぼ同時期に起きた、今なお未解決で謎が多くのこる誘拐事件の顛末を描いた作品です。
 もうこんな映画観ると、世界に安全な場所なんてどこにもないんだなあ、と恐怖と嘆きで暗澹となります。まさかリゾート地であんな恐ろしく理不尽な目に遭うなんて、いったい誰が予想できるでしょうか。何の罪もないのに、精神的肉体的苦痛を強いられる人質が、本当に可哀想。救出前に死んでしまった人質たち、あんな場所であんな死に方、その無念は察するに余りある。まさに犬死。何年か前にイラクで、危険勧告を受けながら居座ってテロに誘拐され、莫大な身代金を政府が払って解放された非営利団体の日本人たちが問題視され、“自己責任”という言葉が流行りましたが…この映画の人質は、それとは全然ちがいます。
 テロリストに脅されて言いなりになるしかなく、死のジャングルを延々と彷徨。疲労と絶望のあまり恐怖も怒りも意思も失くしていく人質たちの姿を、緊迫感あるリアルなドキュメンタリータッチで追っています。早く誰か助けてあげてー!という祈りと、何で救出してもらえないの?!というもどかしさに、歯ぎしりなしでは観られません。だって、決して他人事ではありませんから。9・11以後、どこにいたって私たちの身は安全ではなくなってますし。いきなり爆弾で殺されるのもイヤだけど、この映画のようにわけのわからないところへ拉致され、脅されてテロリストの勝手な主義や都合を押し付けられ、動物同様の生活を無理強いされるなんて、考えただけでも発狂しそうになります。

 それにしても人質の皆さん、よく気も狂いもせず耐えられたなあと、同情以上に感服。ジャングルの中で一年以上ですよ。心もカラダも私ならボロボロにコワレちゃうよ。さまよい潜伏するジャングルが、これまた地獄なんですよ。いきなりのスコール、川を渡ればヒルが吸い付き、足元にはサソリがカサカサうごめいてて、朝起きると全身にアリがたかってて、巨大なヘビが不気味に近づいてくる…そんなワイルドすぎる場所で野宿生活。一日たりとも無理です。ジャングルの自然の脅威のみならず、テロリストとフィリピン軍の銃撃戦が非道すぎる!これが最悪かもしれません。空から地上から、ジャングルだけでなく病人や妊婦のいる病院まで総攻撃。人質や国民の人命なんか、お構いなし。めんどいからまとめて片付けちゃえ!と言わんばかり。まさに悪夢の十字砲火!阿鼻叫喚の地獄絵図に慄然とせずにはいられません。一気呵成にテロ殲滅も、方法があまりにも乱暴で雑すぎる。今年1月にアルジェリアで、同じような事件が起きて日本人が無残な死を遂げたことも思い出されて…あらためて、これは決して絵空事じゃない、いつわが身に降りかかってもおかしくない災いなんだ、と肝に命じました。それにしても…フィリピン政府、よくこの映画の製作を許可したなあ。誘拐事件が早期解決しなかったのは、政府が無能だったからとしか思えないし。国民があまり動揺したり騒いだりしてなかったのも、何だか不可思議で怖かった。誘拐がビジネス化してしまい、もう珍しくもないことになってるからでしょうか。フィリピンも怖い国だ…とにもかくにも、テロは卑劣な犯罪、許すまじ!です。

 極限状態になると表出してしまう、人間の残酷さや醜さもイタい。人質の皆さんは概ね、冷静で忍耐強い人ばかりだったのですが、潜伏先の病院で、空腹のあまり入院患者の食事を奪ったりとか、私なら絶対しない!なんて言いきれない行為に胸苦しくなる。あと、いわゆるストックホルム症候群というのか、犯人と人質が寝食を共にしてるうちに共感や親愛を芽生えさせる現象。テロリストたちのほとんどが若者、あるいは少年で、中にはイケメンもいたりするので、人質の若い女の子といい感じ、なんてことにも。テロリストの連中は、狂信的な野蛮人なんだけど、たまに若者らしい朗らかさや気のよさを見せたり。やはり同じ人間、まったく分かり合えないわけではないのに、という微かな希望も抱かせてくれます。でも、やはりテロと人質、近づけたようで遠い関係でしかない。テレーズとテロの少年(ちょっと昔の池松壮亮似でカッコカワいい!)との交流が、微笑ましくも悲しかったです。 
 テレーズ役は、フランスの大女優イザベル・ユペール。

 泥まみれ、傷だらけになって人質を熱演してます。いつもは無表情で冷ややか、そしてエレガントでシックな彼女なので、怯え嘆き、絶叫号泣、怒りに燃える姿は、珍しく新鮮でもあります。人質の中ではテレーズいちばんクールで知的な感じがするためか、テロリストたちからも何となく一目置かれてるという設定は、イザベル・ユペールだから説得力があります。スッピンでシワも隠さず、痛ましいズタボロヨタヨタ演技は、まさに女優魂のなせるわざ。きれいなだけの吉永小百合とかは、ぜったいやらないでしょうし。それにしても、還暦にしてますます精力的なユペール女史。真の役者とは彼女のような人のことを言うんだろうなあ。CMで稼ぎたいから仕方なくドラマや映画に出てるような日本の“なんちゃって女優”と同業扱いするのは、彼女に失礼ですよね。ユニークで有意義な映画なら、監督のキャリアとか製作国の国籍は関係なし、安いギャラも過酷なロケも断る理由にならない、という彼女のスタンスはまさに女優の鑑。だからこそ、いろんな国の監督が彼女と仕事をしたがるんでしょう。事実、イザベル・ユペールが審査員長を務めた年のカンヌ映画祭で、監督賞を受賞したブリランテ・メンドーサ監督も、彼女にインスパイアされてテレーズ役を創作したのだとか。才能ある監督の創作意欲を刺激して、あなたのために脚本を書きました!どうか出演してください!と懇願させるのが、大女優の証し、条件なんですよね。韓国、フィリピンの次は、ぜひ日本映画に出てユペりん!しかし、彼女ほどの超大物を巧く使いこなす監督、日本にいるかな?ユペりんが興味をもってるらしい是枝監督よりも、園温子監督とかと組めば面白そうだが。

 楽しみにしてた「サスペリア」のリメイクは、どうやら頓挫しちゃったみたいで残念。「修道女」のリメイク“La religieuse”では、色き○がいの中年レズ尼さんを怪演してるユペりんです。予告編(こちら)の彼女、ヤバすぎ~早く観たい♪
 
コメント (5)
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