「ワンダとダイヤと優しい奴ら」
ロンドンで銀行強盗が発生し、巨額のダイヤモンドが盗まれる。犯行グループの紅一点でアメリカ人のワンダは、愛人のオットーと共謀しリーダーのジョージが逮捕されるよう警察に密告、さらにはオットーをも出し抜いてダイヤを独り占めしようと目論む。しかし捕まったジョージは、ダイヤのありかについてはだんまりを決め込んでしまう。手がかりを掴むためワンダはジョージの弁護士アーチーに近づく。セクシーで陽気なワンダに、アーチーは恋をするように。オットーは嫉妬に燃え、ワンダの誘惑作戦を妨害し始めるが…
いちばん好きなコメディ映画は?と問われたら、真っ先にこの映画が思い浮かびます(「殺したい女」とちょっと悩むが)。この映画の笑いって、私のツボを突きまくりなんですよ。アメリカのパワフルでノーテンキな笑いと、イギリスのシニカルで毒のある笑いが絶妙に巧妙にブレンドされた、最高のカルチャーギャップ映画なのです。同じ言語なのに、こんなにも文化や価値観が違うのだ!と、その埋められない隔たりを嗤うコメディなのです。
とにかくこの映画、終始ドタバタしているのですが、ドタバタがすごく洗練されているのが驚異。伏線や小道具の使い方が、なるほど~!そうくるか!な巧みさで、さすがアカデミー賞の脚本賞にノミネートされただけのことはあります。英米のカルチャーギャップを、愉快に浮き彫りにする台詞もお見事。とにかく相手をディスるディスる!ディスかましまくりバトルも、北の将軍さまとトランプ大統領のそれとは違い、ハイセンスでハイレベル。文化的で思慮深いけど傲慢で退屈なイギリス人VS強くて大らかだけど無教養で欲深いアメリカ人、という小粋にデフォルメされた対立構図が笑えます。お互いそんな風に相手を見下し、かつコンプレックスも抱いてるのか~と、興味深く両国のお国柄を学べます。
脚本もですが、この映画はキャストも秀逸かつ強烈です。まずはヒロイン、魅惑のアメリカン女泥棒ワンダ役のジャーミー・リー・カーティスが、超チャーミング!
悪賢さとセクシーさ、そして優しさで男たちを手玉にとり、ひとり勝ちを狙うワンダは、まるでルパン3世の峰不二子です。でも、ぜんぜん悪女って感じはしません。美人ではないけど、颯爽と小気味よいコメディエンヌぶりは、痛快すぎて好感しか抱けません。インテリトークと外国語を耳元で囁かれると、欲情して悶絶するというワンダの弱点も笑えます。彼女の変装やファッション七変化も目に楽しいです。大胆すぎるけどイヤらしくない、ヘルシーなセクシーさも素敵。スタイル抜群で、そのパーフェクトボディには同性でさえ惚れ惚れ。
そして何と言っても、映画史上最凶のアホ男オットーを怪演したケヴィン・クライン!圧巻のオバカ演技です。
ハイテンションでクレイジー、凶暴な野獣だけど超絶アホ、ワンダを追っかけまわして事態をどんどん悪化させるオットーを、ブロードウェイ出身でシリアスな名優というイメージのクライン氏が演じている、というのがまず意表を突きますが、生粋のコメディアンでもあの演技は無理なのでは。ちょっと他に例がないアホっぷりなのです。一見いい男で、頭がいいつもりなところが珍妙さに拍車をかけてます。ワンダを欲情させるために囁く怪しげなイタリア語も笑えた。彼が繰り返すお約束の数々に爆笑の嵐。すごくカッコいいバカ男役で画面狭しと大暴れ、世紀の大珍演を披露したクライン氏は、何と!この作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞!納得!映画史に残る名演ですから!
70年代に一世を風靡したという英国の喜劇集団、モンティパイソンのリーダーだったジョン・クリーズがアーチー役。知的でシュールな風刺で人気だったというモンティパイソンの作品、観たくなってきました。そしてこの映画のスゴいところは、タブー知らずな容赦なき障がい者虐待、老人虐待、動物虐待ネタ。まさに人でなしな鬼畜映画でもあります。こんなん日本じゃ絶対ムリ!非道い!けど、つい笑ってしまうブラックさ、毒がたまりません。
ちなみに後年、続編ではないけど同じキャストが再結集し「危険な動物たち」が製作されました。ワンダほどには高く評価されず、ヒットもしなかったみたいですが、未見なので観たいです。
ロンドンで銀行強盗が発生し、巨額のダイヤモンドが盗まれる。犯行グループの紅一点でアメリカ人のワンダは、愛人のオットーと共謀しリーダーのジョージが逮捕されるよう警察に密告、さらにはオットーをも出し抜いてダイヤを独り占めしようと目論む。しかし捕まったジョージは、ダイヤのありかについてはだんまりを決め込んでしまう。手がかりを掴むためワンダはジョージの弁護士アーチーに近づく。セクシーで陽気なワンダに、アーチーは恋をするように。オットーは嫉妬に燃え、ワンダの誘惑作戦を妨害し始めるが…
いちばん好きなコメディ映画は?と問われたら、真っ先にこの映画が思い浮かびます(「殺したい女」とちょっと悩むが)。この映画の笑いって、私のツボを突きまくりなんですよ。アメリカのパワフルでノーテンキな笑いと、イギリスのシニカルで毒のある笑いが絶妙に巧妙にブレンドされた、最高のカルチャーギャップ映画なのです。同じ言語なのに、こんなにも文化や価値観が違うのだ!と、その埋められない隔たりを嗤うコメディなのです。
とにかくこの映画、終始ドタバタしているのですが、ドタバタがすごく洗練されているのが驚異。伏線や小道具の使い方が、なるほど~!そうくるか!な巧みさで、さすがアカデミー賞の脚本賞にノミネートされただけのことはあります。英米のカルチャーギャップを、愉快に浮き彫りにする台詞もお見事。とにかく相手をディスるディスる!ディスかましまくりバトルも、北の将軍さまとトランプ大統領のそれとは違い、ハイセンスでハイレベル。文化的で思慮深いけど傲慢で退屈なイギリス人VS強くて大らかだけど無教養で欲深いアメリカ人、という小粋にデフォルメされた対立構図が笑えます。お互いそんな風に相手を見下し、かつコンプレックスも抱いてるのか~と、興味深く両国のお国柄を学べます。
脚本もですが、この映画はキャストも秀逸かつ強烈です。まずはヒロイン、魅惑のアメリカン女泥棒ワンダ役のジャーミー・リー・カーティスが、超チャーミング!
悪賢さとセクシーさ、そして優しさで男たちを手玉にとり、ひとり勝ちを狙うワンダは、まるでルパン3世の峰不二子です。でも、ぜんぜん悪女って感じはしません。美人ではないけど、颯爽と小気味よいコメディエンヌぶりは、痛快すぎて好感しか抱けません。インテリトークと外国語を耳元で囁かれると、欲情して悶絶するというワンダの弱点も笑えます。彼女の変装やファッション七変化も目に楽しいです。大胆すぎるけどイヤらしくない、ヘルシーなセクシーさも素敵。スタイル抜群で、そのパーフェクトボディには同性でさえ惚れ惚れ。
そして何と言っても、映画史上最凶のアホ男オットーを怪演したケヴィン・クライン!圧巻のオバカ演技です。
ハイテンションでクレイジー、凶暴な野獣だけど超絶アホ、ワンダを追っかけまわして事態をどんどん悪化させるオットーを、ブロードウェイ出身でシリアスな名優というイメージのクライン氏が演じている、というのがまず意表を突きますが、生粋のコメディアンでもあの演技は無理なのでは。ちょっと他に例がないアホっぷりなのです。一見いい男で、頭がいいつもりなところが珍妙さに拍車をかけてます。ワンダを欲情させるために囁く怪しげなイタリア語も笑えた。彼が繰り返すお約束の数々に爆笑の嵐。すごくカッコいいバカ男役で画面狭しと大暴れ、世紀の大珍演を披露したクライン氏は、何と!この作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞!納得!映画史に残る名演ですから!
70年代に一世を風靡したという英国の喜劇集団、モンティパイソンのリーダーだったジョン・クリーズがアーチー役。知的でシュールな風刺で人気だったというモンティパイソンの作品、観たくなってきました。そしてこの映画のスゴいところは、タブー知らずな容赦なき障がい者虐待、老人虐待、動物虐待ネタ。まさに人でなしな鬼畜映画でもあります。こんなん日本じゃ絶対ムリ!非道い!けど、つい笑ってしまうブラックさ、毒がたまりません。
ちなみに後年、続編ではないけど同じキャストが再結集し「危険な動物たち」が製作されました。ワンダほどには高く評価されず、ヒットもしなかったみたいですが、未見なので観たいです。