まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

中年パパラッチの正念場

2017-10-22 | 日本映画
 「SCOOP!」
 かつては将来を嘱望されていたカメラマンだったが、今は有名人のスキャンダルを追うパパラッチで食いつないでいる都城は、新人編集者の野火の教育係を押し付けられる。反発し合いながらも、いつしか二人は次々とスクープをモノにするようになり…
 結婚を機に人気が凋落、今やキムタクと並ぶ“かつてはトップスター、今でもそのつもりのイタいおじさん”と成り果ててしまった福山雅治。深刻なファン離れは結婚のせいではなく、やはり加齢によって魅力や輝きが褪せたせいではないでしょうか。ならば、若い頃とは違う年相応の魅力を発揮できる仕事をすればいいのであって、それによって新たなファンも開拓できるのではないかと思うのですが、言うはやすしなんでしょうね~。いろんな大人の事情とかもあって、そう簡単にはイメチェンもできないのでしょうか。一度は頂点に立った人ほど、方向転換へのチャレンジが難しいんだろうな~。
 桜坂ならぬ下り坂な福山さんですが、この映画の彼は腐っても福山雅治というか、やっぱいい男でした。ワタシ的には、若い頃のイケメン福山よりも、この映画のちょっと崩れた中年福山のほうが好きかも。中年といっても、一般人のおっさんとは同じ人間とは思えぬほどカッコいいですが。

 ほっそりしていた福山さんも、むっちり肉付きがよくなって、中年男の色気を漂わせてました。果物って、ピチピチよりも腐りかけのほうが美味しい、みたいな。上半身裸のシーンがあるのですが、むっちりしてて私好みでした。福山さんの売りである、いい男だけどちょっとスケベ、というキャラも活かされてました。下ネタ、セクハラをしまくって楽しそうな福山さん。でもあのエロネタって、福山氏みたいな男前だから許されるんですよね~。汚いおっさんが同じこと言ったりやったりしたら、殴られるか通報されちゃいますから。いちおうカメラマンという肩書もある福山さんなので、都城役はノリノリで演じられたのでは。
 エロキャラは笑えてチャーミングでしたが、エロいシーンはほとんどなし。冒頭、娼婦とカーセックスしたり、野火とのベッドシーンもあったりするのですが、かつてのアイドル的人気スターである福山さんにしては頑張ったほうなんだろうけど、もうちょっと大胆さとチャレンジがあってもよかったのにな~。そこがやっぱ、女性人気をいまだに配慮しなければならない、演技にすべてを賭ける俳優ではない中年アイドルの限界なのかな~と残念に思います。中年男にしては、都城の言動が幼稚で浅薄なのもイタかった。おそらく天衣無縫な飄々とした自由人、みたいに見せたかったのでしょうけど、あの脚本と福山さんの演技力では単なる軽薄な、いつまでも少年のつもりおっさんにしか見えなかったです。どんなに見た目がカッコよくても、あんなおじさん実際にいたら気持ち悪いもんね~…

 福山さんの下ネタ、セクハラが楽しかっただけで、映画の内容はかなり凡庸です。どっかで見たことあるシーン、よくある設定のキャラには新鮮さや衝撃は微塵もありません。同じパパラッチ映画なら、「ナイトクローラー」のほうが1億倍ユニークです。パパラッチの仕方が、ほとんど犯罪だったのも気になった。のぞきや尾行はまだしも、カーチェイスで追っ手に花火攻撃とか、殺人未遂で公務執行妨害、一歩間違えたら大参事ですよ。ダイアナ元妃の事故を思い出しましたが、パパラッチへの非難とか皮肉とか深い含蓄もまったくないところも、とことん薄い軽い映画でした。恋愛展開も、すごい強引で薄っぺら。お互い惹かれ合うプロセスが上手に描かれてないので、え!?何でそうなるの?!と当惑。ぶっちゃけ、恋愛は不必要で余計でした。師匠と弟子のままが良かったのに。ラストも、お涙ちょうだいで興ざめ。
 野火役の二階堂ふみは、宮崎あおいのバッタものにしか見えなくて。野火のキャラに、まったく魅力を感じなかったのが致命的でした。新人類(死語)?みたいな若者でも、おかしなファッションはさておき、ペロペロとキャンディなめながら初出勤とか、いくらマスコミでも非常識すぎると呆れた。編集者役で、吉田羊とか滝藤賢一とか、またあんたたちかよ~な、どこにでも出てくるメンツがここでも。もっと他に男優も女優もいるだろうに、とゲップが出そうになりました。政治家役の斎藤工も、都城の友人役のリリー・フランキーも、働き過ぎ。おなかいっぱい!政治家のゲス不倫やアイドルの泥酔、スポーツ選手の暴力、オウム事件や和歌山毒カレー事件など、実際の醜聞や事件ネタは楽しかったです。
 
コメント (3)
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