お松の第2回イザベル・ユペール映画祭③
「ピアニスト」
音楽大学でピアノを教えているエリカは、抑圧された性衝動から密かに異様な行動をしていた。そんな中、ワルターという魅力的な青年がエリカの前に現れるが…
イザベル・ユペールといえば、やはりこの怪作!映画史に残る怪演で世界を仰天させた彼女は、この作品で二度目のカンヌ映画祭女優賞を受賞しました。
初めてこの映画を観た時の衝撃とインパクト、後味の悪さは、とても忘れられるものではありません。おそるおそる再観してみると、やっぱハンパないゲロゲロさでした今なおこの映画を凌駕するゲロゲロ映画には私、出会えてません。とにかくヒロインのエリカ先生が、ヤバすぎます。唖然ボーゼンとなってしまう異常変態行動のオンパレードに、な、何やってんの?!も、もうヤメテー!とドン引きのつるべ打ち!変態というより、もう狂人です。ビデオ店の個室で先客の男が精液を拭きとったティッシュを拾ってクンクンとか。バスルームでアソコをカミソリで切ったり。カーセックスをのぞき見しながら放尿とか。もう目を疑う背けたくなるようなことばかりするんですよ。何で?!理解できない!いや、理解できたらヤバいだろワルターへの変態リクエストレター、変態七つ道具も頭おかしすぎる。ワルターとのトイレでのラブシーン?も、映画史に残る迷場面です。とんでもないことばかりやらかすエリカ先生ですが、極めつけのウゲゲゲ~!は、老母に欲情して襲いかかるシーン。性的に抑圧された中年女って、あんな風になっちゃうの?!と、空恐ろしくなります。
もう気持ち悪すぎてホラーファンタジーな世界ですが、グロテスクさもここまできたら返って笑えるというか、一周回ってコメディの域に達してます。ヘタなコメディより笑える映画かも。笑えない人のほうが多いでしょうけど…エリカ先生の病みは深刻なんだけど、独りで苦悩、煩悶といった暗い悲劇的な風情は微塵もなく、終始淡々と静かに、シレっとサラっと食事をとる感覚の病的変態行為には、ちょっと笑いを狙ってる節もあります。性的抑圧や倒錯性癖を嗤うなんて、ミヒャエル・ハネケ監督らしい意地悪さ、冷徹さです。
変態ヒロイン、そしてイザベル・ユペール主演。話題騒然となった「エル ELLE」とはまるで姉妹のような映画ですが、エルのミシェルよりエリカ先生のほうが生々しく、ザワザワした不快感、神経逆なで感が強いです。こんな役、こんな演技、他の女優には絶対ムリ!イザベル・ユペールの狂演には、畏怖するばかりです。彼女ほど映画ファンを震撼させる女優、世界広しといえどもいないですよね~。驚愕の一言なのですが、ユペりんの特異なところ、偉大なところは、女優生命を賭けた捨て身の熱演!とか、女優魂燃やして!とかいった、しゃちほこばった気合い入れ過ぎ演技ではなくて、常にシレっとスットボケてるところ。彼女の力んでない軽やかさのおかげで、エリカ先生は気持ち悪いだけじゃない、次は何をやらかすのかな?と期待させる面白い人になっています。変態シーンは笑えたけど、氷の無表情で生徒に冷酷な意地悪をするシーンの彼女は、ゾっとするほど怖いです。ユペりんの地味だけどエレガントな女教師ファッションや、トコトコした歩き方も印象的でした。
そしてこの映画といえば、若き日のブノワ・マジメルですよ!まさに神ってる(死語)!
今はすっかり貫禄ある恰幅のいいシブいおじさんになってるブノワですが、当時25、6歳!の彼の、光輝くイケメンぶりときたら!超カッコカワいい爽やかくん!サラサラのブロンドで色白な、絵に描いたよう王子さまルックス。見た目だけでなく、明るく優しくひょうひょうとしたキャラで、まさに完璧なイケメン。少女漫画に出てくるような線の細い美青年ピアニストって感じではなく、アイスホッケーもしてるスポーツマンで、すごいガッシリした体格で男らしい、というところもトレビアン。
若い頃から暗く荒んだ役が多いブノワですが、この映画ほど笑顔や甘い魅力を活用した出演作はないのでは。冷たくされても無邪気に執拗にエリカ先生を追っかけ回すワルターの、可愛すぎるワンコっぷりときたら!あんなイケメンにストーカーされてみたいものです。人の善いイケメンが、変態女に翻弄されて酷い目に遭う様子が、可哀想で可愛い!エリカ先生の手◯キや◯ェラの寸止め攻撃を受けるブノワの、切ない表情や声が素敵すぎ。ラストの、あの一瞬の爽やかな残酷さの、ハンパない破壊力!エリカ先生、とうとうブッコワレちゃいましたし。ただの被害者ではなく、ちょっと彼も変?危ない子?と思わせる(そもそも、あのエリカ先生に一目惚れするってのがフツーじゃない)演技がさりげなくも秀逸なブノワは、この作品でカンヌ映画祭男優賞を受賞しました。日本の柳楽優弥が受賞するまでは、ブノワが史上最年少の男優賞受賞者でした。
エリカ先生もワルターもフツーからの逸脱人でしたが、エリカ先生のママもかなりヤバい人でした。あんな母ちゃんと二人暮らしじゃあ、病んでも仕方がない。子離れ親離れできない母娘関係の異常さにも戦慄。ママ役のアニー・ジラルドのウザすぎる因業婆っぷりも圧巻です。
↑少年時代のブノワも神ってた!
「ピアニスト」
音楽大学でピアノを教えているエリカは、抑圧された性衝動から密かに異様な行動をしていた。そんな中、ワルターという魅力的な青年がエリカの前に現れるが…
イザベル・ユペールといえば、やはりこの怪作!映画史に残る怪演で世界を仰天させた彼女は、この作品で二度目のカンヌ映画祭女優賞を受賞しました。
初めてこの映画を観た時の衝撃とインパクト、後味の悪さは、とても忘れられるものではありません。おそるおそる再観してみると、やっぱハンパないゲロゲロさでした今なおこの映画を凌駕するゲロゲロ映画には私、出会えてません。とにかくヒロインのエリカ先生が、ヤバすぎます。唖然ボーゼンとなってしまう異常変態行動のオンパレードに、な、何やってんの?!も、もうヤメテー!とドン引きのつるべ打ち!変態というより、もう狂人です。ビデオ店の個室で先客の男が精液を拭きとったティッシュを拾ってクンクンとか。バスルームでアソコをカミソリで切ったり。カーセックスをのぞき見しながら放尿とか。もう目を疑う背けたくなるようなことばかりするんですよ。何で?!理解できない!いや、理解できたらヤバいだろワルターへの変態リクエストレター、変態七つ道具も頭おかしすぎる。ワルターとのトイレでのラブシーン?も、映画史に残る迷場面です。とんでもないことばかりやらかすエリカ先生ですが、極めつけのウゲゲゲ~!は、老母に欲情して襲いかかるシーン。性的に抑圧された中年女って、あんな風になっちゃうの?!と、空恐ろしくなります。
もう気持ち悪すぎてホラーファンタジーな世界ですが、グロテスクさもここまできたら返って笑えるというか、一周回ってコメディの域に達してます。ヘタなコメディより笑える映画かも。笑えない人のほうが多いでしょうけど…エリカ先生の病みは深刻なんだけど、独りで苦悩、煩悶といった暗い悲劇的な風情は微塵もなく、終始淡々と静かに、シレっとサラっと食事をとる感覚の病的変態行為には、ちょっと笑いを狙ってる節もあります。性的抑圧や倒錯性癖を嗤うなんて、ミヒャエル・ハネケ監督らしい意地悪さ、冷徹さです。
変態ヒロイン、そしてイザベル・ユペール主演。話題騒然となった「エル ELLE」とはまるで姉妹のような映画ですが、エルのミシェルよりエリカ先生のほうが生々しく、ザワザワした不快感、神経逆なで感が強いです。こんな役、こんな演技、他の女優には絶対ムリ!イザベル・ユペールの狂演には、畏怖するばかりです。彼女ほど映画ファンを震撼させる女優、世界広しといえどもいないですよね~。驚愕の一言なのですが、ユペりんの特異なところ、偉大なところは、女優生命を賭けた捨て身の熱演!とか、女優魂燃やして!とかいった、しゃちほこばった気合い入れ過ぎ演技ではなくて、常にシレっとスットボケてるところ。彼女の力んでない軽やかさのおかげで、エリカ先生は気持ち悪いだけじゃない、次は何をやらかすのかな?と期待させる面白い人になっています。変態シーンは笑えたけど、氷の無表情で生徒に冷酷な意地悪をするシーンの彼女は、ゾっとするほど怖いです。ユペりんの地味だけどエレガントな女教師ファッションや、トコトコした歩き方も印象的でした。
そしてこの映画といえば、若き日のブノワ・マジメルですよ!まさに神ってる(死語)!
今はすっかり貫禄ある恰幅のいいシブいおじさんになってるブノワですが、当時25、6歳!の彼の、光輝くイケメンぶりときたら!超カッコカワいい爽やかくん!サラサラのブロンドで色白な、絵に描いたよう王子さまルックス。見た目だけでなく、明るく優しくひょうひょうとしたキャラで、まさに完璧なイケメン。少女漫画に出てくるような線の細い美青年ピアニストって感じではなく、アイスホッケーもしてるスポーツマンで、すごいガッシリした体格で男らしい、というところもトレビアン。
若い頃から暗く荒んだ役が多いブノワですが、この映画ほど笑顔や甘い魅力を活用した出演作はないのでは。冷たくされても無邪気に執拗にエリカ先生を追っかけ回すワルターの、可愛すぎるワンコっぷりときたら!あんなイケメンにストーカーされてみたいものです。人の善いイケメンが、変態女に翻弄されて酷い目に遭う様子が、可哀想で可愛い!エリカ先生の手◯キや◯ェラの寸止め攻撃を受けるブノワの、切ない表情や声が素敵すぎ。ラストの、あの一瞬の爽やかな残酷さの、ハンパない破壊力!エリカ先生、とうとうブッコワレちゃいましたし。ただの被害者ではなく、ちょっと彼も変?危ない子?と思わせる(そもそも、あのエリカ先生に一目惚れするってのがフツーじゃない)演技がさりげなくも秀逸なブノワは、この作品でカンヌ映画祭男優賞を受賞しました。日本の柳楽優弥が受賞するまでは、ブノワが史上最年少の男優賞受賞者でした。
エリカ先生もワルターもフツーからの逸脱人でしたが、エリカ先生のママもかなりヤバい人でした。あんな母ちゃんと二人暮らしじゃあ、病んでも仕方がない。子離れ親離れできない母娘関係の異常さにも戦慄。ママ役のアニー・ジラルドのウザすぎる因業婆っぷりも圧巻です。
↑少年時代のブノワも神ってた!