まつたけ秘帖

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母娘凌辱!

2018-06-17 | イタリア映画
 「ふたりの女」
 第二次世界大戦中のイタリア。未亡人のチェジラは娘のロゼッタと共に、ローマから田舎町へ疎開する。母娘はインテリ青年のミケーレと親しくなるが…
 「ひまわり」や「昨日、今日、明日」etc.数々の名作を生み出した名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督と大女優ソフィア・ローレンのコンビ作。ソフィア・ローレンはこの作品で、アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。非英語映画でのオスカー演技賞受賞は、この映画でのソフィア・ローレンが初なんだそうです。

 チェジラとロゼッタに降りかかる悲劇を知っていたので、観るのが正直怖かったのですが、思ってたような陰鬱で陰惨な映画でなく、どちらかといえば終盤までは人情喜劇っぽかったのが意外でした。とにかく明るいイタリア人、というか、バイタリティあふれるイタリア人気質には驚かされます。空から爆弾や銃弾が降り注いでるのに、たじろいだり慌てたりせず、かなり平然としてるんですよ。私だったら、恐怖で精神に異常をきたしてるでしょう。死と隣り合わせの恐怖に慣れてしまってる、というのも戦時下特有の異常事態です。

 疎開地でのチェジラ母娘と人々との交流は、明るく元気いっぱいで、なおかつほのぼのしてます。クスっと笑えるシーンや台詞も多く、もともとは喜劇の名匠であるデ・シーカ監督らしさにあふれてました。いつ死ぬかわからない緊迫感、危機感の中にあっても、みんな絶望したりガックリまいったりせず、何とか生きよう、生き残ろうとする必死さ、たくましさは、ぬるま湯のような平和に浸っている現代人にはない力強さ。みんな食べることで頭がいっぱい、人間にとって結局いちばん大事なことは、やっぱ愛とか恋とかではなく食べること、なんですね~。食糧難、絶対に経験したくないです!不満だらけの人生でも、食べ物にだけは不自由してない私。これって幸せなことなんですよね!

 イタリア女性、特にイタリアの母ちゃんの気性の激しさって、イタリア映画ではおなじみですが。チェジラの喜怒哀楽にも圧倒されました。大したことじゃなくても鬼の形相で罵倒&威嚇するので怖いわ~。情が深すぎるのも何か重い。ロゼッタを溺愛してるチェジラですが、私がロゼッタだったらあれは鬱陶しいわ~。そんなチェジラの過保護ぶりも、ユーモラスに温かく描かれていたのですが…ローマへ戻る途中、チェジラとロゼッタに襲いかかる災厄…そんなに過激なシーンにはなってないのですが、それでも起こったことを考えると戦慄、暗澹となります。あんな目に遭うくらいなら、爆弾や銃撃で殺されたほうがまし!死よりも恐ろしい、忌まわしい恐怖と苦痛です。自分だけならまだ耐えられるかもしれないけど、愛する人が目の前で…私なら絶対に発狂するわ~。人間をケダモノにしてしまう無秩序と荒廃が恨めしい。戦争中は、イタリアだけでなく、世界各地で多くの女性たちがあのような戦禍に身も心も傷つけられたのかと思うと、平和な世に生まれ生きてることに安堵と罪悪感を覚えてしまいます。

 チェジラを熱演してオスカーを獲得したソフィア・ローレンは、当時26歳!おばさんなのに少女ぶってる綾瀬はるかとか宮崎あおいとかより年下!まさに野生の美女!迫力ありすぎで、フツーの男じゃとてもじゃないけど対峙できません。フツーっぽくきれい、可愛い、みんなに好かれたい、共感されたいな日本の女優とは、ほとんど違う生き物な女優です。おっぱいとお尻が大きいけど、ウエストはくびれてるというグラマー(死語?)の見本みたいなセクシー肢体。生命力あふれる女の色香と強靭さに圧倒されます。インテリ青年ミケーレ役は、何と!若き日のジャン・ポール・ベルモンド!イケメンではないけど、未亡人へのシャイな片想い演技が可愛かったです。彼のイタリア語は吹き替えなのかな?
コメント (5)
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