まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

BL暴力教室

2020-07-21 | 韓国映画
 「夜間飛行」
 ソウル大学進学を目指す優等生のヨンジュは、同性愛者であることに苦悩していた。同じ高校に通うギウンは、中学生の頃はヨンジュの親友だったが、いつしか心を閉ざし暴力的な不良となっていた。ギウンに恋する気持ちを抑えられないヨンジュだったが…
 「後悔なんてしない」「White Night」のイソン・ヒイル監督作。うう~ん…この映画もいろんな意味で重い、つらい映画でした。ゲイであることって、あそこまで蔑まれ虐げられなきゃならないの?LGBTに対して狭量で不寛容な、ヨンジュをあそこまで不安にさせ恐怖に陥れる韓国社会にあらためて戦慄。そして、韓国人の異常なまでの暴力性にも。韓国人の自分より弱い者への悪質で下劣なパワハラやモラハラは、実際のニュースでもよく見聞きしますが。暴力にも民度があると思います。韓国人の暴力は世界でも類を見ないほど民度が低い。日本にも思いやりのかけらもないクズはたくさんいますが、韓国に比べればまだ甘い。この映画での弱者いじめは、本当に心肝を寒からしめるものがあります。こんな高校生が将来、社会を動かす大人になる韓国って。真の先進国になれない理由が、この映画で描かれていたように思われます。

 生徒もだけど、教師も異常でした。韓国がシビアな学歴社会であることはよく知られていますが、『今は友人は必要ない』とか『フライドチキンを食べるのは上流、配るのが中流、作るのが下流』なんてことを平然と生徒にのたまう教師たち、日本にもいるのかな?!ギウンへの教師の言動とか、日本ではありえない。あんなことしたら、日本だと一発でアウトですよ。韓国では本当にあんなのがフツーみたいですね。今の韓国を見て、さもありなんと納得もします。

 甘く切ないハイスクールBLを期待して観ると、とんでもないショックと失望を味わうことになるので要注意。とにかく男子校でのいじめ描写が容赦なくエグい。肉体的精神的に人間性全否定。人によっては観るに耐えないかも。暗く複雑な家族の問題があるにせよ、そこまで暴力的になる?!なギウンの荒んだ心が不可解。彼のような社会的には底辺弱者にとっては暴力こそが処世術、暴力で立ち向かわないと生き延びられない、という現実にも暗澹とさせられます。そんなギウンを想い、どんなに冷たくされても酷い仕打ちを受けても、ストーカーのようにつきまとうヨンジュも理解できなかったのは、私が彼のように誰かを深く強く愛したこともなく、死と隣り合わせのような絶望にも沈んだことがないからでしょうか。ギウンが頑なな心をヨンジュに開きそうで開かないのが、もどかしくも痛ましかったです。

 苦悶と葛藤の末に、やっとヨンジュへの愛に目覚めたギウンがとった行動が、衝撃的なカタルシス。やっちまったな…という苦々しさと同時に、縛り付けられていた世界と決別できたような開放感もありました。ラストのギウンとヨンジュが辿り着いた愛は、同性愛というより精神的な友愛のようでした。二人がハッピーなゲイカップルになるとは思えませんが、孤独な人生を歩むことはないだろう、というほのかな希望の余韻を残して終わったので安堵しました。

 ヨンジュ役、ギウン役を演じた俳優は、この映画に出るまでは演技経験がないモデルだったとか。自然かつエモーショナルで、ほとんど素人とは思えぬ好演。長年映画やドラマに出てるのに、大根なままの日本の自称俳優たちよりは断然上です。二人とも高校生に見えない(特にギウン)のがちょっとアレですが。ギウン役の子は日本の昭和のにおいがする色気ある男でした。キスやセックスといったBLシーンはほとんどなし。ヨンジュとギウンが結ばれるシーンとかあってもよかったのでは。

コメント
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