往年のハリウッド大女優映画祭④
「コケット」
アメリカ南部のとある町。医師の娘ノーマは友人たちと遊びまわる毎日を送っていた。そんな中、彼女は朴訥な青年マイケルと出会い恋に落ちる。しかしノーマの父はマイケルを嫌悪し…
サイレント時代の大スター、メアリー・ピックフォード初のトーキー作品、そして彼女が第2回アカデミー賞の主演女優賞を受賞した作品です。メアリー・ピックフォードの映画を観たのは初めてですが、明るく清純な乙女の役で人気を博しただけあって、とても可愛らしかったです。小柄なのですごく少女っぽいです。でもはかなげでデリケートな女の子って感じではなく、見た目も演技も元気溌剌、たくましくバイタリティあふれてるところが、いかにもアメリカ女性。タイトル通りコケティッシュだけど、男に媚びたあざとさはないので好感。実際のメアリー・ピックフォードも、自ら設立した映画会社で主演作を制作するなど、女性プロデューサーの先駆け的な存在だったとか。当時のハリウッドでは珍しい、男性と対等、もしくは男性の上に立つカッコいい女性だったようです。
そんなピックフォード女史が、乙女ちっくなヒロインに飽き足らず、大人の女性役を演じて女優として一皮剝けようと挑んだのが、この作品でのノーマ役です。前半は男たちにチヤホヤされながらパーティ三昧な、浮かれたフラッパー娘役を天真爛漫に演じてます。ちょっと舌ったらずなアニメ声と、ドレスが聖子の衣装みたいで可愛かった!あんなドレス、一度は着てみたい。サイレント時代の名残か、やはり演技がオーバーなところが今の映画ファンが観たら珍妙かもしれませんが、返って新鮮でもあります。事件を知りマイケルのもとへ向かうノーマが森を駆け抜けるシーンが、サイレント映画っぽくて面白かったです。
後半は父親が恋人を射殺するという悲劇に襲われ、ショックと嘆きで立ち直れない姿を痛ましく、父を裁く法廷では父を救うためふしだらな娘を演じなければならない苦悩を、渾身の大熱演。可愛いだけの女優と見られたくない!というピックフォード女史の強い意気込みが伝わってきます。大真面目な熱演なのですが、やはりかなりオーバーなので悲劇なのに笑ってしまった
それにしても。ノーマのパパ、狂乱しすぎでしょ。何であそこまでマイケルを毛嫌いしたのでしょう。確かに私も、貧乏なのはいいとして、善良だけどちょっと陰気で正々堂々としてないところに男の魅力を感じなかったけど、なにも殺さなくても。どんなに反対されてもノーマはあんたより俺を選ぶ、みたいな不遜なマイケルの態度にカっとなったみたいでしたが、溺愛している娘をどこの馬の骨ともわからん男に盗られてたまるか、みたいな独占欲、嫉妬に狂った犯行だったのでしょうか。老いた男の娘への異常な執着、愛が怖い。ラストの法廷でのさらなる悲劇といい、かなりイカレたキャラと展開だったのが意外な映画でした。父と恋人、二人の男の運命を狂わせ破滅に導いたノーマは、ある意味ファムファタール、魔性の女。陽気で健康的なピックフォードの個性とは真逆なヒロインなので、何でそうなるの?な違和感を否めなかったのでしょうか。
↑ メアリー・ピックフォードも早々と引退し、悠々自適に長寿をまっとうしました
「コケット」
アメリカ南部のとある町。医師の娘ノーマは友人たちと遊びまわる毎日を送っていた。そんな中、彼女は朴訥な青年マイケルと出会い恋に落ちる。しかしノーマの父はマイケルを嫌悪し…
サイレント時代の大スター、メアリー・ピックフォード初のトーキー作品、そして彼女が第2回アカデミー賞の主演女優賞を受賞した作品です。メアリー・ピックフォードの映画を観たのは初めてですが、明るく清純な乙女の役で人気を博しただけあって、とても可愛らしかったです。小柄なのですごく少女っぽいです。でもはかなげでデリケートな女の子って感じではなく、見た目も演技も元気溌剌、たくましくバイタリティあふれてるところが、いかにもアメリカ女性。タイトル通りコケティッシュだけど、男に媚びたあざとさはないので好感。実際のメアリー・ピックフォードも、自ら設立した映画会社で主演作を制作するなど、女性プロデューサーの先駆け的な存在だったとか。当時のハリウッドでは珍しい、男性と対等、もしくは男性の上に立つカッコいい女性だったようです。
そんなピックフォード女史が、乙女ちっくなヒロインに飽き足らず、大人の女性役を演じて女優として一皮剝けようと挑んだのが、この作品でのノーマ役です。前半は男たちにチヤホヤされながらパーティ三昧な、浮かれたフラッパー娘役を天真爛漫に演じてます。ちょっと舌ったらずなアニメ声と、ドレスが聖子の衣装みたいで可愛かった!あんなドレス、一度は着てみたい。サイレント時代の名残か、やはり演技がオーバーなところが今の映画ファンが観たら珍妙かもしれませんが、返って新鮮でもあります。事件を知りマイケルのもとへ向かうノーマが森を駆け抜けるシーンが、サイレント映画っぽくて面白かったです。
後半は父親が恋人を射殺するという悲劇に襲われ、ショックと嘆きで立ち直れない姿を痛ましく、父を裁く法廷では父を救うためふしだらな娘を演じなければならない苦悩を、渾身の大熱演。可愛いだけの女優と見られたくない!というピックフォード女史の強い意気込みが伝わってきます。大真面目な熱演なのですが、やはりかなりオーバーなので悲劇なのに笑ってしまった
それにしても。ノーマのパパ、狂乱しすぎでしょ。何であそこまでマイケルを毛嫌いしたのでしょう。確かに私も、貧乏なのはいいとして、善良だけどちょっと陰気で正々堂々としてないところに男の魅力を感じなかったけど、なにも殺さなくても。どんなに反対されてもノーマはあんたより俺を選ぶ、みたいな不遜なマイケルの態度にカっとなったみたいでしたが、溺愛している娘をどこの馬の骨ともわからん男に盗られてたまるか、みたいな独占欲、嫉妬に狂った犯行だったのでしょうか。老いた男の娘への異常な執着、愛が怖い。ラストの法廷でのさらなる悲劇といい、かなりイカレたキャラと展開だったのが意外な映画でした。父と恋人、二人の男の運命を狂わせ破滅に導いたノーマは、ある意味ファムファタール、魔性の女。陽気で健康的なピックフォードの個性とは真逆なヒロインなので、何でそうなるの?な違和感を否めなかったのでしょうか。
↑ メアリー・ピックフォードも早々と引退し、悠々自適に長寿をまっとうしました