「Summer of 85」
1985年のフランス、ノルマンディの港町。16歳のアレックスは、海でセイリング中に悪天候でヨットが転覆。そこに現れ救助してくれた18歳のダヴィドと親しくなり、やがて彼と恋人同士となる。初めての恋に夢中になるアレックスだったが…
コンスタントに作品を発表し続けてるフランソワ・オゾン監督の新作は、直球で王道な青春BL映画!その爽やかさ、甘酸っぱさは、ちょっと「君の名前で僕を呼んで」を意識したのかな?と思わせました。原作小説である「俺の墓で踊れ」も読んだのですが、映画のほうが腐のニーズに応えてます。オゾン監督作品は初期の独特なケレン味や毒気がどんどん薄れていって、近年はごく一部のコアなファンだけでなく、多くの映画ファンにとってもわかりやすくて面白い作風になってきてる気がします。大衆迎合もできる熟練の職人に進化した感があります。まるくなったとはいえ、どの作品も一般受けを狙いすぎな毒にも薬にもならん凡作にはならないところは、さすが希代の才人オゾン監督です。
美少年同士のひと夏の恋だなんて、オゾン監督らしからぬオーソドックスさ、ベタすぎるとも言えるBL設定も、非現実的なBLが苦手な私には心地よくも喜ばしかったです。とにかくアレックスとダヴィドの恋が楽しそうでロマンティックで、その若いキラキラ感、ウキウキドキドキな高揚感と多幸感が、老いたmy heartにも伝染して恋がしたくなる気分に。
印象的なシーンはたくさんありましたが、特に好きなのは二人がディスコで踊るシーンと、互いの傷をバスルームで手当てし合うシーンです。二人の距離が一気になくなるシチュエーションの描き方が心憎いほど巧妙で、二人の性愛シーンもソフトかつ色っぽくもあって秀逸でした。ノンケの男性監督や女性監督だと、ドギツくなったりファンタジーめいた感じになりがちなので。オゾン監督のゲイならではの才気と感性は、この映画でも感じられます。
すぐに恋に落ちて結ばれて、この世の夏は二人だけのもの!といわんばかりなスウィートな時間を共にするアレックスとダヴィドですが、BLを盛り上げるのはやはり幸せよりも不幸なのです。熱しやすく冷めやすい、男心と夏の空。ダヴィドの心がわり(なのかな?おまえに飽きた!とアレックスにひどいことを言いながら、ポロっとこぼれ落ちた涙が意味するものは?)と突然の死で、まさに花火のように一瞬で恋は終わりを告げてしまうのですが、そこからが往年のオゾン節健在!でした。
悲しみと喪失感に打ちひしがれるアレックスの思考と行動が、かなり珍妙でブッ飛んでるんですよ。空想上の自殺方法とか、女装して死体置き場のダヴィドと対面するシーンとか、笑いを狙ってるとしか思えませんでした。アレックスがダヴィドとの約束を律儀に守って彼の墓の上で踊るシーンも、切ないという以上に滑稽でした。オゾン監督、やっぱりどこか人を食ってます。陳腐なお涙ちょうだいにしないところが非凡なオゾン監督です。
アレックスとダヴィドを演じたフランス映画界の新星二人が、予想以上期待以上の好演でした。二人とも可愛いカッコいいけど、フツーっぽくもあってナチュラルな見た目、演技に好感&魅了。
アレックス役のフェリックス・ルフェーヴルは、眞栄田郷敦をものすごく薄めて硬質にした感じの顔?すごい美少年!ではありませんが、恋に一喜一憂な表情がデリケートかつ可愛かったです。白い肌とブロンドも海外BLの受け役にピッタリ。コドモでもなくオトナでもない、いかにも少年な細くしなやかな裸体も印象的。脱ぎっぷりもあっぱれで、何度か見せるお尻が美しかったです。ダヴィド役のバンジャマン・ヴォアザンは、竹内涼真に似て見えて仕方がなかった(わしだけ?)。少年役にしては艶っぽく大人っぽかった。笑顔と視線が誘惑的でセクシャル。適度に筋肉のある日に焼けた上半身裸もエロかったです。
脇役には、オゾン監督作品でおなじみの面々が。アレックスの学校の先生役のメルヴィル・プポー、遠くからだとおっさんですが、アップになるとやっぱ美男子!後頭部ハゲは役作りですよね?!ダヴィドのママ役はヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。息子離れできない気のいいママを可愛く好演。
ファッションや小物、音楽での80年代再現も、当時を知る人たちは楽しめるはず。日本の80年代ヒット曲だと、明菜の「サザンウィンド」とかチャゲ&石川優子の「ふたりの愛ランド」とか杏里の「悲しみが止まらない」とかYMOの「君に胸キュン」とか流れてきても違和感なかったかも。
↑ 違う作品、新作の彼らにも会ってみたいものです
↑ 口裂け女ではありません。オゾン監督の最新作は、何と!イザベル・アジャーニを主演に迎えて、ドイツの鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」をリメイク!満を持しての待望の顔合わせ!
1985年のフランス、ノルマンディの港町。16歳のアレックスは、海でセイリング中に悪天候でヨットが転覆。そこに現れ救助してくれた18歳のダヴィドと親しくなり、やがて彼と恋人同士となる。初めての恋に夢中になるアレックスだったが…
コンスタントに作品を発表し続けてるフランソワ・オゾン監督の新作は、直球で王道な青春BL映画!その爽やかさ、甘酸っぱさは、ちょっと「君の名前で僕を呼んで」を意識したのかな?と思わせました。原作小説である「俺の墓で踊れ」も読んだのですが、映画のほうが腐のニーズに応えてます。オゾン監督作品は初期の独特なケレン味や毒気がどんどん薄れていって、近年はごく一部のコアなファンだけでなく、多くの映画ファンにとってもわかりやすくて面白い作風になってきてる気がします。大衆迎合もできる熟練の職人に進化した感があります。まるくなったとはいえ、どの作品も一般受けを狙いすぎな毒にも薬にもならん凡作にはならないところは、さすが希代の才人オゾン監督です。
美少年同士のひと夏の恋だなんて、オゾン監督らしからぬオーソドックスさ、ベタすぎるとも言えるBL設定も、非現実的なBLが苦手な私には心地よくも喜ばしかったです。とにかくアレックスとダヴィドの恋が楽しそうでロマンティックで、その若いキラキラ感、ウキウキドキドキな高揚感と多幸感が、老いたmy heartにも伝染して恋がしたくなる気分に。
印象的なシーンはたくさんありましたが、特に好きなのは二人がディスコで踊るシーンと、互いの傷をバスルームで手当てし合うシーンです。二人の距離が一気になくなるシチュエーションの描き方が心憎いほど巧妙で、二人の性愛シーンもソフトかつ色っぽくもあって秀逸でした。ノンケの男性監督や女性監督だと、ドギツくなったりファンタジーめいた感じになりがちなので。オゾン監督のゲイならではの才気と感性は、この映画でも感じられます。
すぐに恋に落ちて結ばれて、この世の夏は二人だけのもの!といわんばかりなスウィートな時間を共にするアレックスとダヴィドですが、BLを盛り上げるのはやはり幸せよりも不幸なのです。熱しやすく冷めやすい、男心と夏の空。ダヴィドの心がわり(なのかな?おまえに飽きた!とアレックスにひどいことを言いながら、ポロっとこぼれ落ちた涙が意味するものは?)と突然の死で、まさに花火のように一瞬で恋は終わりを告げてしまうのですが、そこからが往年のオゾン節健在!でした。
悲しみと喪失感に打ちひしがれるアレックスの思考と行動が、かなり珍妙でブッ飛んでるんですよ。空想上の自殺方法とか、女装して死体置き場のダヴィドと対面するシーンとか、笑いを狙ってるとしか思えませんでした。アレックスがダヴィドとの約束を律儀に守って彼の墓の上で踊るシーンも、切ないという以上に滑稽でした。オゾン監督、やっぱりどこか人を食ってます。陳腐なお涙ちょうだいにしないところが非凡なオゾン監督です。
アレックスとダヴィドを演じたフランス映画界の新星二人が、予想以上期待以上の好演でした。二人とも可愛いカッコいいけど、フツーっぽくもあってナチュラルな見た目、演技に好感&魅了。
アレックス役のフェリックス・ルフェーヴルは、眞栄田郷敦をものすごく薄めて硬質にした感じの顔?すごい美少年!ではありませんが、恋に一喜一憂な表情がデリケートかつ可愛かったです。白い肌とブロンドも海外BLの受け役にピッタリ。コドモでもなくオトナでもない、いかにも少年な細くしなやかな裸体も印象的。脱ぎっぷりもあっぱれで、何度か見せるお尻が美しかったです。ダヴィド役のバンジャマン・ヴォアザンは、竹内涼真に似て見えて仕方がなかった(わしだけ?)。少年役にしては艶っぽく大人っぽかった。笑顔と視線が誘惑的でセクシャル。適度に筋肉のある日に焼けた上半身裸もエロかったです。
脇役には、オゾン監督作品でおなじみの面々が。アレックスの学校の先生役のメルヴィル・プポー、遠くからだとおっさんですが、アップになるとやっぱ美男子!後頭部ハゲは役作りですよね?!ダヴィドのママ役はヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。息子離れできない気のいいママを可愛く好演。
ファッションや小物、音楽での80年代再現も、当時を知る人たちは楽しめるはず。日本の80年代ヒット曲だと、明菜の「サザンウィンド」とかチャゲ&石川優子の「ふたりの愛ランド」とか杏里の「悲しみが止まらない」とかYMOの「君に胸キュン」とか流れてきても違和感なかったかも。
↑ 違う作品、新作の彼らにも会ってみたいものです
↑ 口裂け女ではありません。オゾン監督の最新作は、何と!イザベル・アジャーニを主演に迎えて、ドイツの鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」をリメイク!満を持しての待望の顔合わせ!