まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

壮亮来たりてジャズを弾く

2023-10-20 | 日本映画
 「白鍵と黒鍵の間に」
 ジャズピアニストを目指す博は、修行のため銀座のキャバレーでピアノ演奏のアルバイトを始める。元ヤクザと思しき男からリクエストされた「ゴッドファーザー」のテーマを弾く博だったが、それが思わぬ騒動を巻き起こすことに…
 大好きな池松壮亮主演作を観てきました~(^^♪もう随分と長いこと壮亮くんのファンやってますけど、最近はあんまり観たいと思えるような作品に出てくれなくて、気づけばほとんど昔のオトコと化してました久々の壮亮くん、やっぱ彼っていい役者!と心から再確認しましたよ。わらわらいる同世代の若い俳優とは、十把一絡げにはできない個性と才能、そして魅力の持ち主だと思いましたよ。

 おそらく壮亮くんは、業界でも若手では別格の存在、日本映画界の至宝、と見なされ大事にされているのでは。ヒット作や話題作に出てる人気イケメン俳優たちと違い、監督や共演者から畏怖や敬意を抱かれている名優の風格、重厚さがすでにある、みたいな。最近は横浜流星を、イケメン路線を歩まずヒット狙いもしない稀有な若手俳優、として注目していましたが。やっぱ壮亮のほうが役者が一枚も二枚も上手。人気イケメン俳優は、うかつに壮亮とは共演しないほうがいい。間違いなく食われちゃうから。

 昭和のジャズピアニスト、博/南の2役を演じてる壮亮くん、彼ももう30歳とか隔世の念すぎるわ。南の時の、若いのに酸いも甘いも嚙み分けたニヒルさや倦怠感、そこから滲み出る色気ときたら!ここが、いい年してチャラチャラ子どもっぽいアラサー俳優と違う壮亮の魅力。煙草吸ってるのがこんなにサマになって自然な若い俳優、他にいません。スーツ着てサングラスかけて、煙草吸いながら夜の銀座をアンニュイに歩く壮亮as南、ちょっとイケてるヤーさんっぽくて素敵でした。壮亮くんにはいつかヤクザ役も演じてほしいです。

 博の時の壮亮は、田舎から出てきたばかりみたいな純朴な青年風で、可愛い!すごい童顔なので子どもに見える瞬間も。若い男の色気と少年の愛らしさを併せ持つアンビヴァレントさも、壮亮の強力な個性。お面を被ってキャバレーでピアノを弾くシーンがあるのですが、お面の奥にある瞳がキラキラしてて可愛い&美しい!浮浪者になって髭もじゃ顔な時も、瞳はダイヤモンドな輝き!風貌だけでなく、声や口調でも南と博を巧みに演じ分けてる壮亮くんです。台詞は低音の棒読み調だけど、実は壮亮くんってすごいきれいな声してるんですよね。子役時代に出演した大河ドラマ「義経」で初めて彼を見た時、子どもながらにその美声での端正な台詞まわしに、何この子?!と衝撃を受けたものです。この映画でも、怒鳴ったりした時に美声を聞けて嬉しかったです。

 コミカルな演技もお上手な壮亮くん。博のどこかズレた言動やトボけた表情、南がアメリカ人歌手のリサと話す時の英語(リサいわく、18世紀の修道士みたいな)がヘンで笑えた。笑えるシーンが多く、ほとんどコメディといっていい内容の映画だったのが意外、ていうか、ちょっとガッカリだったかも。昭和の銀座、夜の世界で生きるジャズピアニストが主人公、と聞けばもっとムーディで退廃的なドラマを想像、期待しちゃうじゃないですか。そんなんじゃ全然なかったし。


 博と南の二役も、実は…?な、かなりトリッキーな設定。まるで時空が歪んでるような過去と現在の錯綜、ていうか過去と現在が同じ時に進行してつながってる?いや、どっちかがパラレルワールド?みたいな、え?え?え?な展開は、終盤に向かって現実?悪夢?妄想?と、どんどんカオス化。何この映画?シュールなマルチバース系、いや、精神崩壊系コメディ?!

 とまあ、かなりヘンテコな映画でした。壮亮に絡んでくるワケアリな男たちの役で、森田剛と高橋和也というヤメジャニ俳優が。森田氏は、ちょっと前までアイドルだったとは信じがたいほどのヨゴレ系に。高橋さんはヤメジャニの中では、いちばんクセと味のある役者なのでは。銀座に君臨するヤクザのボス役が松尾貴史、という点でもうおふざけ色濃厚。意外な好演だったのが、リサ役のクリスタル・ケイ。歌を聞いてくれない客にイライラ、粗暴で下品な罵倒英語が笑えた。

 猛特訓したという壮亮くんのピアノも見もの聞きもの。彼の「ゴッドファーザー」演奏と、デモテープを録るためのキャバレーでのセッションシーンが、なかなか胸アツでした。すぐに影響されちゃう私、さっそくサボってたピアノ練習を再開しました昭和の話なのに、映像的にあまり昭和感が出てなかったような。

 ↑ いや~やっぱ壮亮いいですね~ホリプロを辞めて独立した彼が、今後どんな作品を選ぶか楽しみですね
コメント (2)
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