ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

目は口ほどにモノを言う

2010年09月03日 | ひとりごと
さて、レッスンもなくなったことやし、ということで出かけたダイナーレストラン『レイモンズ』。
隣町モントクレアの中心にあるチャーチストリート沿いのお店です。

その通りは石畳になっていて、両側に小洒落たお店がぎっしり並び、アンティーク物から最新のアウトドアグッズまで、いろんな物を売ってます。
もちろんレストランやケーキのお店もいっぱい。その中のひとつ『レイモンズ』は、いつ行ってもぎっしり満員の超人気レストラン。

旦那はもちろん、歩道にセットされたテーブルを選び、そこで各々好きな物を注文していただいとりました。
今年の夏の過激な暑さ(日本の方々には鼻で笑われてまうかもしれんけど……)と乾燥で、すでに木々の葉っぱは落ち葉モード。
上からちらほらと、色づいた葉っぱが落ちてきて、なんや急に夏が名残惜しくなってしまいました。

と……、道路側にあとひとつ置かれていたテーブルに、生後半年ばかりの可愛い赤ちゃんを連れた若い夫婦が座りました。
わたしから見るとおかあさんが真正面、おとうさんは背を向けて、赤ちゃんの口にベビーフードをせっせと運び入れていました。
おとうさんが笑うと赤ちゃんも笑う。それを見ているおかあさんも笑う。ああ~ええもんやなあ~。

すると、お向かえの店の真ん前で、駐車禁止を取り締まる警察官と、たった今チケットを切られてしまったばかりの車の持ち主が、なにやらもめ始めました。
可哀想やけど、もう切られてしもたもんはどんだけ粘っても無理。諦めなはれ。と心の中で同情しながら見ていると、
その男性、もろたチケットを手に、まるで映画の中の一シーンのように、やれやれ……と頭を振りながら店の中に入って行きました。
そのお店はアメリカ風カップケーキの専門店。男性はそこの商品を工場から運んで来て、ほんの3分停めていた間に捕まったみたいです。
お店のオーナーが出てきて、「大丈夫、チケット代はこっちがもつから」「え、そうでっか?いや、悪いねえ」みたいな会話をして(全く聞こえへんかったけど、絶対にそんな感じ)、その男性もやっとニッコリ。元気を取り戻し、大きなバンに乗り込みました。

カップケーキの陳列も終わり、歩道にテーブルと椅子をセットするために、後から来た店員の若いお姉さんが、簡易テーブルと椅子のセットを始めました。
で、わたしの目はどないしてもそのお姉さんから離れんようになってしもて……。

お姉さん、とんでもなく短いワンピースを着てたんです。それで、彼女が少し前屈みになると、え?!マジ?!ええんかいな?!
そ、そんな……こんな公衆の面前で……と、息を飲んで見守っておりました。

するとまず、その異様な瞳孔の開き具合を見て、異変を感じた旦那が後ろを振り向き、それを見たひとつ向こうの若いおかあさんとわたしの目が合うて、そしたら今度は背を向けていた若いおとうさんがわたしの方に振り向いて……、

その時の、一瞬のうちに伝えたり伝わってきたりした音の無い言葉を、いったいどないしたらうまいこと説明できるやら……。

あ、おたくも思てはったん?
あんまりやんねえ、あの格好。公共の場で屈むには、ちょっと布が足りんわなあ。
そやねえ、わたしもさっきから気になって気になって、目が離せんかったんですわ。
そらそうやわ。うちの旦那なんかさっきから、目の玉ウロウロしてしもて、娘の口にちゃんと食べ物入れてるのかどうかも怪しいもんですわ。
え、ボク?いやいや、ボクは冷静ですよ。当たり前ですやん。可愛い娘とお姉ちゃんのパンツと、どっち取るねんって言われたら、答はひとつ!
そんなん、口ではどうとでも言えますやんねえ。
いやいや、お宅のご主人は大丈夫ですわ。うちのがもし、わたし側に座ってたら、もう今頃鼻血垂らしてるかも知れませんもん。

そこで初めて声が出た。

あははは!
おほほほ!
わははは!

にんげん万歳
コメント (12)
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米国とても義理堅い男の子事情

2010年09月03日 | ひとりごと
先日、ジャズバンドのピアノ担当争奪オーディションでの『勝ち』を目指す、元生徒のウィルがうちにやって来た。
彼の疑問を解き、ちょいちょいと気になる部分を直し、練習時に注意すべき点をいくつが伝えた。

昨日の夜、母親のヘレンから電話があり、ぜひぜひもう一度、今日金曜日にレッスンを受けたいと言われ、「午前中だったらいいですよ」と言うと、「じゃあ10時に。また急なお願いでごめんなさい」ということになった。

それで、朝から休暇モード100%の旦那は、隣町のお気に入りダイナーに食べに行きたかったのだけど、ウィルが来るので時間的に落ち着かない。
なので、わたしがネギと椎茸入りのオムレツを作るから、ということで、家で食べることにしてもらった。
だいたい、どんなに美味しいと評判の店でも、旦那がいれてくれるコーヒーより美味しいと思えないのだから、どこへ行ってもお金の無駄遣いに思えてしまう。それは精神衛生上よろしくない。

「じゃあ、ペイストリィー買うてくるから、コーヒー用のお湯沸かしといて」と言って旦那は車で出かけて行った。
はいはい、ほんじゃ~と、薬缶にお水を入れようと台所に入った時、またまた電話がかかってきた。

「まうみ~、ごめんなさ~い!わたし、うっかり忘れてたのよ~。ウィルが今日の10時には行けないことを」とヘレン。
「別にそれだったらそれでいいよ」とわたしが言いかけると、
「それがね、どうして行けないかっていうと、実は彼、前々からUSオープンの今日の試合観戦に誘われてて、それをわたしがすっかり忘れてたのよ~」
「USオープン?!そりゃもうそっちでしょ!」
「ありがとう、そう言ってもらうと気が楽になるわ」
「じゃあ、ウィルに楽しんできてねって伝えておいて」
「それがね、実は……」
なによ、まだなにかあるん?
「まうみに悪いって。昨日、また急にお願いして、時間を空けてもらって、それでこんな理由でドタキャンなんかできない。ボクはまうみのレッスンの方をとるって言って……」
「なぁ~に言ってんだか!そんなん全然気にしない気にしない!今はまだ夏休みモードで、もともとレッスンの空きがいっぱいあったからね。んなこと気にせずに、スッコ~ンと楽しんできてって言っといて」
「それじゃ、試合は3時ぐらいに終わる予定だから、4時半とか5時にそちらに行かせてもらってもいいかしら?」
「う~ん……今日は金曜日だから、それぐらいの時間だと道が混むだろうし、時間を約束するのはどうかなあ……」
「でも、それだとずっと待ってもらわなきゃならなくなるし」
「それはわたしにとっても楽しくないことだけど、まあ、今回限り、しゃあない、ということにしましょう」
「あ~ありがとうまうみ!じゃあ、そう伝えるね」

そんな、USオープンを蹴ってまで来られちゃったらわたしも困る。若者は楽しめるチャンスをみすみす逃したりしてはいけない。
でも、そっか、ってことはまるまる朝が空いたやん。おっと、旦那に連絡連絡!

するとまた、ヘレンから電話がかかってきた。

「まうみ~、どうしよう~、彼ね、そんなことは悪くてできない。やっぱり観戦には行かないって」
「そんなのはわたしも困る。う~ん、ちょっとウィルと直接話させて」
「それが、今わたしは外からかけてるの。ウィルは家に居るから、家にかけてくれる?」
「わかった」

説得に少しだけ時間がかかったけれど、彼は本気でわたしに悪いと思ってくれていて、さらに、こないだのレッスンがとても楽しくて、レッスン自体をすごく楽しみにしてくれていたみたい。
けれども、いくら近くでいつでも行けるとはいえ、USオープンだよウィル、チケットだって買ってあるんでしょ~が!
しかも、試合後に、できたら夕食も一緒に、と誘われているらしい。
あ~も~、わかったわかった。土曜日はどっちかっていうとしたくない日ではあるけれど、特別大サービスで時間を取ってあげよう。

最後らへんでやっと、ちょっと晴れ晴れとした声になったウィル。

じゃあまた明日。


コメント (2)
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