ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

いろいろあって鍼に酔う

2010年09月08日 | ひとりごと
またまたけったいな眠りしか得られずに、かなり疲れたまま起きた朝、



夏が終わったしるしのカバーがかけられた、窓のすぐそばのプール。そこにできた水たまりで、鳥の親子が行水パーティをしていた。
なんとも楽しそうに大はしゃぎして、それを見て「ふふふっ」と笑ったら、少しだけ体が軽くなった気がした。

Tがとうとうアパートを決めたようだ。
クィーンズの、今まで見に行ったクィーンズの中では断トツでいい感じのご近所らしい。彼の会社までは地下鉄一本で40分弱。駅までも近い。
家賃は少し高めだけど、それでもマンハッタンと比べたら半値ぐらい。
旦那に「寂しなるな」と言われて、「日本とちゃうから」と強がりを言う。

今日と明日は、夏休みのバカンスから戻ってきた生徒達のレッスンでいっぱい。
休みボケで、なんとな~くやってきてダラダラ~っと弾く子を見てると、こんなことやってるぐらいなら自分の練習をしたいよ、と思ったりする。

さすがに心身ともに疲れてきた。
旦那に鍼をおねだりする。

レッスンの合間に突然、タイヤが宅配されてきた。



ずっと、なんとなく不穏な状態で走っていたアウディの後ろのタイヤ2本。
いつもは、隣町にある、中古タイヤの店で安いのを買い、そこで交換してもらってたのだけど、もうそれが安物買いの銭失いだとつくづく学んだので、今回はネットでミシュランのいいのを買ったようだ。
玄関の外に置いておけなかったので、部屋の中にゴロゴロと転がして入れたのだが、なんとも強いゴムの臭いがする。
旦那に訴えると、「2本つないであるテープを外して1本ずつにしたら運べるんちゃう?」と言う。
Kに訴えると、「あ、ボクはちょっと今忙しい」と言う。
まったく、この家の野郎どもは、こういうことは女にさせておくわけにはいかない、などとは全く考えない連中なのだ。
しょうがないので、夕飯後、言われた通りにテープを切り、1本ずつ、一番奥に停めてあるアウディまで運び、トランクによいしょっと入れた。
旦那はその時、夕飯後のパソコン遊び、Kはシャワー。ムカムカ度急上昇。

けどまあ、今夜はプラマイゼロってことにしておこう。

旦那は、患者さんがいっぱいいた日にも関わらず、家に戻ってすぐに、わたしのおねだりを聞いて治療してくれた。
マッサージテーブルにうつ伏せに寝ているわたしの目の先に、ショーティが彼女専用の椅子に丸まって眠っている。
彼女の寝息と丸い幸せが伝わってくる。
そこに鍼を打ってもらった後にやってくる、なんともいえないポワポワとした心地良さが相まって、わたしは20分ほど眠った。


夕飯後に練習していると、既に昨日からマンハッタン入りしている、被爆ピアノコンサートのディレクター竹本さんから電話がかかってきた。
初めて聞く声だったけれど、ずっと前から知っているような、どこか懐かしい声だった。
元気そうで安心した。けれども、一行の中には、今回初めて渡米した人達が多くて、時差ボケが少し大変なんだそうだ。
でも、この天気はきっと楽しんでもらえると思う。23℃から25℃の、この時期の乾いた秋風は、地元の人間でも嬉しいもの。
明日、マンハッタンの紀伊国屋で行われる、NY本願寺の住職さんの講演会とサイン会には行けない。残念!
金曜日のコンサートは夜の7時から。けれども、3時にはピアノを弾けるようにしてくださるそうで、わたしも一度どんなピアノなのか弾いてみたかったので随分助かる。とても楽しみ。相性がいいピアノだといいな。

そんなこんなの、いろいろあって鍼に酔った日。
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でんでん虫狂想曲

2010年09月08日 | 音楽とわたし
嗚呼~!わたしは今、自分で言うのもなんだが、しかも、ピアノ教師をやってる者として言うのもなんだが、

ひじょ~にがんばっているっ!

つい最近、やっぱり独学を続けるのは良く無いと思い知り、慌てて誰かにレッスンを受けたいとあちこち探してみたが見つからず、
けれどもよく考えてみるとわたしはピアノを教えているので、自分を教えられないはずはないと、録音作戦を開始した。

今までにも録音による練習というのはやってきたけれど、完成したのをちょいと録ってフンフンと聞くぐらいで、人をレッスンしている時のような気構えもなく、軽く聞き流していた。

今回、まるで他人の、どこからか突然現れて、いきなり「この曲をめちゃくちゃ美しく弾きたいんです、レッスンしてください!」と頼み込んできた人が弾いている、と想定して、かなりシビアに、妥協もしない、甘やかしもしない態度で録音を聞いてみた。

ひどっ……。

なんかゴツゴツしていて、流れが悪くて、歌てるのはわかるけど、なんかうるさいねんっ、いちいち鬱陶しいねんっ!

いったいなにが原因か……CDやYouTubeで、いわゆる有名な、世界から認められているピアニスト達の演奏と聞き比べてみる。
楽譜を睨みながら、ゴツゴツの原因とうるささの要因を探ってみる。

やっぱり犯人は左手くん。

そこで、左手くんに話しかけてみた。
あのさあ、あんただってこの曲好きなのはわかるよ。うん。めちゃきれいやもんね。
けどさあ、だからといって、自分の気持ちがいいように歌っちゃうと、気がつかないうちに音が出過ぎちゃうんだよね。
特にさあ、あんたの弾いてる音域ってのは、ただでさえおっきくて重い響きを持ってるから。
だから、弾きたい気持ちは重々わかるけど、そこを抑えて、自分の音も含めた全体の響きがきれいかどうか、そこんとこをよ~く聞いてみてくれないかなあ。
音は出しちゃったらもうそれでおしまいだから、鍵盤を押し込む前にすご~く計算して、覚悟して、充分に制御された状態になってて欲しいんだけどね。

左手くん、ブウッとふてくされながらも一応話は聞いてくれて、わたしが指摘する場所を注意深く弾いてくれた。

録音し、聞き、また録音し、また聞く。それをくり返しているだけで時間がビュンビュン過ぎていく。
弾いている時間が短くなってしまう。けれども、聞くのと弾くのを同時にできないのが独りレッスン。仕方が無い。

人をレッスンするのも疲れるけれど、自分をレッスンするのがこんなにしんどいとは思ってもいなかった。
悪い癖を直すのはとても骨が折れる。しかも、かなり暗~い作業なのである。気分がドスドスと落ち込んでいく。

けれども幸い左手くんは、またぁ~~~と言いたいのをグッと我慢して、かなり抑えのきいた打鍵ができるようになってきた。
がっ!抑え過ぎて鬱々とした、ただの弱ったらしい音に成り下がらないように、そこに歌の心が無くてはいかんのである!

ああ、間に合うかなあ……明後日の本番までに……


コメント (8)
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