高野秀行さんが推薦する、宮本常一さんの「忘れられた日本人」を読みました。
本のカバーには次のように書いてあります。「昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907-81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。」
私は民俗学の本について読んだことはありませんが、この本で学問的な考察がなされているのは冒頭の寄り合いについて書かれた部分だけです。ここでは、重要なことは寄り合いで、長いと何日もかけて、村人全員の了承を得るまで話し合って決める対馬の村のこと、決して口外しないことを条件に、言いたいことを言ってうっぷんを解消する老人たちの寄り合いのことなどが語られ、寄り合いが村で持つ意味に言及されています。
ただ、他の部分に関しては、とりとめもない老人たちの昔話が書かれているだけで、何が民俗学なのか、何が伝承者なのか、ちっとも分かりません。そこではただ昔の暮らしぶりが語られているだけです。それが文化なのだと言えば文化なのでしょうが、「文化を築き支えてきた伝承者」などと紹介文に書かれているので、言い伝えとか、そうしたものを期待していた者としては、見事に裏切られました。民俗学とは単に老人に昔話を聞くことなのでしょうか? そうだとしたら老人福祉施設で毎日のように老人たちの昔話を聞いているケアワーカーの人たちは民俗学のフィールドワークをしていることになるような気もしますが、どうなのでしょう?
私は少なくともこの本が学問に関する本だとは到底思えませんでした。機会があれば戦前戦後の日本の民俗学の本を読んで、日本における民俗学がどういうものなのかを知りたいと思いました。老人の昔話が好きな方にはオススメです。
本のカバーには次のように書いてあります。「昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907-81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。」
私は民俗学の本について読んだことはありませんが、この本で学問的な考察がなされているのは冒頭の寄り合いについて書かれた部分だけです。ここでは、重要なことは寄り合いで、長いと何日もかけて、村人全員の了承を得るまで話し合って決める対馬の村のこと、決して口外しないことを条件に、言いたいことを言ってうっぷんを解消する老人たちの寄り合いのことなどが語られ、寄り合いが村で持つ意味に言及されています。
ただ、他の部分に関しては、とりとめもない老人たちの昔話が書かれているだけで、何が民俗学なのか、何が伝承者なのか、ちっとも分かりません。そこではただ昔の暮らしぶりが語られているだけです。それが文化なのだと言えば文化なのでしょうが、「文化を築き支えてきた伝承者」などと紹介文に書かれているので、言い伝えとか、そうしたものを期待していた者としては、見事に裏切られました。民俗学とは単に老人に昔話を聞くことなのでしょうか? そうだとしたら老人福祉施設で毎日のように老人たちの昔話を聞いているケアワーカーの人たちは民俗学のフィールドワークをしていることになるような気もしますが、どうなのでしょう?
私は少なくともこの本が学問に関する本だとは到底思えませんでした。機会があれば戦前戦後の日本の民俗学の本を読んで、日本における民俗学がどういうものなのかを知りたいと思いました。老人の昔話が好きな方にはオススメです。