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サミュエル・フラー監督『裸のキッス』

2011-02-06 07:35:00 | ノンジャンル
 サミュエル・フラー監督・製作・脚本の'64年作品『裸のキッス』を、スカパーの洋画★シネフィル・イマジカで再見しました。
 客を殴り飛ばしている間にカツラが取れて丸坊主の頭になった娼婦のケリー(コンスタンス・タワーズ)は、金払いの悪いその客から80ドルを奪うと、カツラを被り直し、タイトルが流れ出します。タイトルが終わると同時に、彼女のメーキャップも終わり、「1961.7.4」と印字されたメモ用紙がアップになった後、「1963.8.12 障害児のためのファッションショー」の垂れ幕が写ります。長距離バスから降りたケリーは、警官のグリフに声をかけられると、10ドルで体を売ります。グリフは自分の管轄では仕事をしないでくれと言い、隣町のキャンディの店を紹介しますが、彼女は今までの生活から足を洗うことを決意し、障害児の病院の看護婦となります。町の名士グラント主催のパーティで彼と知り合ったケリーは、彼の誘いに乗って憧れのベニスのフィルムを見ながら彼に身を任せます。その後、同僚のバフがキャンディから誘われているのを知ったケリーは、キャンディを事務所に訪ねると、彼女を張り倒し、バフがもらっていた前金の25ドルを口の中に押込みます。ケリーは自分の半生をグラントに告白しますが、グラントはすべてを許し、プロポーズします。グラントから仲人を頼まれたグリフは、ケリーにすぐに町を去るように言いますが、ケリーがすべてをグラントに告白したことを知ると、彼女を祝福して去ります。そして結婚式の日、ウェディングドレスを持ってグラントの元を訪れたケリーは、彼が小児性愛者であることを知り、彼がお互い異常者なのでこれからもうまくやっていけるだろうと言うと、思わず彼の頭を殴り殺してしまいます。「グラント氏死亡。犯人は売春婦」という見出しの新聞を読む人々。ケリーは取り調べに正直に応じますが、グリフは彼女の話を信用しません。彼女の元ヒモが訪ねてきますが、彼女はピンハネをする彼から逃げたために丸坊主にされた過去を話します。同僚のダスティに出産費用を出していたことが知れ、キャンディはグラントを恐喝する計画をケリーに持ちかけられていたと嘘をつき、ケリーはキャンディがバフを勧誘していたと言いますが、バフはそんな事実はなかったと嘘をつきます。やがて独房の窓からグラントがイタズラしていた少女をケリーは見つけ、バフも真実をグリフに話し、ケリーは釈放されることになります。拘置所の外で冷たい目で彼女を迎える衆人を前に、親しかった人々と抱擁を交わすケリー。彼女が町を去るのを上昇するカメラがとらえて、映画は終わります。
 グラントの人相が悪いので、ハッピーエンドでは終わらないだろうとは思っていましたが、こんなに悲惨なラストだとは思っていませんでした。コンスタンス・タワーズが哀れで、また私の妹が幼い頃にテープに吹き込んでいる「青い鳥」が、同じく障害児たちに合唱されるのが懐かしく聞きました。50年代作家の映画の雰囲気を味わいたい方には絶好の映画です。