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三羽省吾『ニート・ニート・ニート』

2011-02-23 04:48:00 | ノンジャンル
 三羽省吾さんの'10年作品『ニート・ニート・ニート』を読みました。
  専門学校を出て、中小企業の経営者である父が方々へ頭を下げたおかげで就職した、旧財閥の子会社の孫会社に2年勤めた後、何となく辞表を提出して、社員寮から出る準備をしていたタカシのところへ、中学で同級生だったレンチが突然やって来て、今からすぐに北海道に行こうと言い出します。レンチはこれまで仕事と名のついたものをやったことが一度もなく、次から次へと女性に寄生して生きてきた男でしたが、ヤクザの女に手を出してしまい、追われる身なのでした。レンチはやはり中学時代の同級生で、関西の一流大学に進学するも2年で中退してしまい、今は引き蘢りになっているキノブーの家に押しかけ、キノブーの母をうまく騙して、キノブーを彼の車ごと拉致してきていました。タカシが運転し、助手席にはレンチ、後部座席には猿ぐつわに手足を縛られたキノブーといった形で、3人は北上していきますが、レンチは仙台で高速を降りるように指示し、そこで出会い系サイトで探した月子という女性を乗せようと試みます。が、有名タレント似の女子大生という触れ込みとは違い、月子は無表情で可愛げのない少女でした。レンチは怒り狂い、月子と乗せる乗せないで揉めますが、そこへレンチを追ってきたヤクザらが、レンチの連絡先とされてボコボコにされた、やはりレンチの中学の同級生フーマンを連れて乗り込んで来て、スタンガンに脅され捕らわれそうになります。月子は車のバッテリーを使ってハッタリのスタンガンを作り、ヤクザらを撃退し、彼らの車のキーも盗んで、フーマンを残し逃走することに成功します。
 取りあえず、月子が行けと言った北海道の最北端・宗谷岬に無事到着した4人。キノブーは、そこへと至る北海道の道中の景色と、宗谷岬で寝転んで見た空によって、何年ぶりかに気持ちが動きます。レンチは月子を置いて行こうとしますが、月子は未成年略取誘拐として訴えると脅して、その後も、釧路、旭川、サロマ湖、襟裳岬、支笏湖と、3日間北海道を縦横無尽に走らせます。キノブーは月子が死に場所を探しているのでは、と2人に話し、それを聞いたレンチは、自分とタカシはススキノで時間をつぶしているので、その間にキノブーは月子から事情を聞き出すように、と言って、彼らは二手に分かれます。
 次に訪れた阿寒湖で、月子は探していた巨大な木彫り人形に巡り会い、それを買うと言い出しますが、自分の持っているお金で買えないと知ると、わざとナイフで傷をつけ、無理矢理キノブーに買わせ、キノブーは帰京するための旅費を失います。レンチからはぼったくりバーに捕まっているので助けてくれという連絡が携帯に入り、乗り気でない月子を連れて、キノブーはススキノに向かいますが‥‥。

 ラストの月子のネタばらしは、ちょっと興醒めでしたが、それでも登場人物たちの生き生きとした描写には魅せられました。やはり好きな作家の作品は、一味違うといった感じです。ライトノベルに物足りない青春小説好きの方には、特にオススメです。なお、続きのあらすじは私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels」の「三羽省吾」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。