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勝目梓『死支度』

2011-02-14 03:13:00 | ノンジャンル
 ヤン・アルテュス=ベルトラン監督の'09年作品『HOME 空から見た地球[ロングバージョン]』をWOWOWで見ました。現代の大量消費社会と自然破壊を訴え続けるナレーションは、リドレーの『繁栄』を読んでしまった私としては留保せざるを得ないものでしたが、空から見た数々の風景には魅了されました。緑や青以外にも、黄色や赤といった原色が多かったのにも驚きました。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、勝目梓さんの'10年作品『死支度』を読みました。故意に飢死しようとしていたところを発見されて介護施設で延命措置を受けている老人を主人公にした6つの短編からなる本です。
 「仙境」は、儂が死出のために、女の脇毛と陰毛集めて、それを入れた枕と掛布団を作る話。
 「幻の脚」は、儂がそれの足を偏愛していた女が事故で片足を失いますが、義足に性感が戻る話。
 「アトリエ」は、盲目の彫刻家となった儂が、作品を作るためとして、モデルと妻の体を弄ぶ話。
 「化身」は、女になった儂が、美少年や若い女とセックスする話。
 「葉桜」は、儂と手をつなぎながら、儂の妻が他の男とセックスする話。
 「天の恵み」は、不能である儂が、儂の妻が若い全裸の男をスケッチし、それとつがうのをマジックミラー越しに見る話。
 「六道の辻」は、戦艦武蔵とともに夫が死んだ後、自慰を続けていた未亡人とセックスし、また男根が生えて来たバイセクシャルの女性とセックスしても、なおあの世から現世に儂が引き戻されてしまう話です。
 どれもセックス描写にあふれる短編であり、その描写も解剖を思わせる精密で念入りなものであることが、主人公のセックスへの異常なこだわりを示していて、一種異様な感じを受けました。風変わりな短編を読んでみたい方にはオススメかも。