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マキノ雅弘監督『色ごと師春団治』

2011-02-26 06:21:00 | ノンジャンル
 マキノ雅弘監督の'65年作品『色ごと師春団治』を、スカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 「大正の初め頃」の字幕。料亭に勤めるお玉(南田洋子)が春団治(藤山寛美)から借金を取り立てに楽屋に来ると、春団治が後の噺家のやる噺を先にやってしまったことでスポンサーが激怒しています。師匠は料亭でスポンサーに聞こえるように春団治を殴るマネをして許してやります。その騒動で仕事に穴を開け、興業師に殴られた春団治は、家でお玉に傷の手当てをしてもらっているうちに、彼女とできてしまい、お玉に思いを寄せる車屋の力(長門裕之)はじっと耐えます。正月興行に着るはずの着物をネズミに穴を開けられた春団治は、新年がネズミ年であることを逆手に取って、力の車を赤く塗り「火の車」と言って町中を走らせ、興行を成功させます。しかしその後、昔の奉公先の後家・千代(丘さとみ)に手を出してしまいます。「それから3年」の字幕。千代の元にいりびたり、めったに帰らない春団治を大目に見ていたお玉でしたが、妊娠した娘・トキ(藤純子)が訪ねてきたことで、トキの譲って家を出る決心をします。トキは娘を産みますが、春団治は自分のために大金を貢いで家を追い出された千代の元を離れず、お玉は春団治の名前で、娘のための着物をトキへ力に届けてもらいます。力は捨て子と騙して娘を春団治に抱かせ、トキの元へ運び、トキは千代と別れてくれと言いますが、春団治は承知しません。「6年経って」の字幕。レコード会社とのトラブルに巻き込まれた春団治は、家財を差し押さえられますが、お玉は自分が妾になって作った2千円を届けます。力はガンで亡くなりますが、死の直前にトキと娘に不義理をするなと春団治に言います。春団治はトキの元を訪ねますが、トキは娘に会わそうとせず、追い返します。春団治は深酒をして、泣きます。「それから7年」の字幕。雪積もる中、危篤となった春団治の元に知り合いが続々と駆けつけますが、幽霊の力も人力車で迎えに来ます。既に幽霊になった春団治は、やって来たお玉の手を取り、トキが娘に「一言お父さんと言ってあげて」と言うのを聞くと、力の引く人力車で去っていくのでした。
 いつものように、無駄なショットが一つもない見事なストーリーテラーぶりを発揮してくれていました。ラストの雪のシーンは、加藤泰監督の『喧嘩辰』のラストを思わせる美しさだったことも書いておきたいと思います。女優の美しさも際立つ映画です。オススメです。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)