岡野宏文さんと豊崎由美さんの共著『読まずに小説書けますか』の38ページで紹介されている、森見登美彦さんの'07年作品『【新釈】走れメロス 他四篇』を読みました。同名の小説のパロディ小説を集めた本です。
『走れメロス』のあらすじは以下のようなものです。
汚い下宿で惰眠をむさぼり、落第を重ねて暮らしてきた芽野は、たまには講義に出てみるかと大学へ向かうと、学園祭の真っ最中であった。芽野は「世間から忌み嫌われることを意に介さずにのらりくらりと詭弁を弄し続ける」という詭弁論部での親友・芹名がどうしているかと思い、部室を訪ねると、そこには部室から追い出された詭弁論部員らが炬燵に当たっていて、部室には「生湯葉研究会」の看板が掲げられていた。部員らによると、それは図書館警察の長官が生湯葉が好物の一女性を研究するために企んだことであり、彼は全学生の個人情報を一手に握る権力者で、私設軍隊「自転車にこやか整理軍」を指揮しているとのことだった。怒った芽野は「生湯葉研究会」の看板を引き剥がしにかかったが、すぐに「自転車にこやか整理軍」に拘束され、長官の元へ連れ出される。小太りの冴えない男である長官は、大学で唯一の親友であったミュージシャンとたった一人の生湯葉好きの親しい女性が、結局自分を利用して不純異性交遊に走ったことから人間不信に陥ったことを語り、詭弁論部員を救いたいのなら、グラウンドのステージでピンクのブリーフ一丁で踊れと芽野に迫った。芽野は姉の結婚式に出席するために一日の猶予をくれと言い、自分の身代わりとして親友の芹名を置いていくと言う。連れて来られた芹名は、芽野が去った後、芽野に姉などいないことを長官に告げ、「俺の親友がそう簡単に約束を守ると思うなよ」とうそぶくのであった。
芽野はやることもなく、とりあえずマンガ喫茶で夜を明かした後、京都から逃げようとするが、度々「自転車にこやか整理軍」に捕まりそうになる。長官が出した賞金目当ての女性に騙され、一旦は鴨川デルタに追いつめられた芽野だったが、以前芹名とともに失恋した相手の須磨さんが対岸から呼ぶのを見て、濁流の加茂川を泳ぎきった。彼女の自宅に案内された芽野であったが、彼女も恋人のミュージシャンの盗作を暴くと長官に脅されて、彼を追っていたのだった。そこへ駆けつけた詭弁論部員たちは、長官の約束を守らなければ廃部になると彼を無理矢理大学に連れていこうとし、抵抗する芽野は車の中の乱闘でパンツ一丁となってしまい、大学構内でピンクのペンキを全身に浴びながら逃げ出す。一方、芹名は日が暮れる中、悠然とステージ上でピンクのブリープ一丁のまま踊りに興じ、そこへ現れた芽野は芹名に「途中で一度、約束を守ればコトが丸く収まると軟弱にも思ってしまったので、手加減して殴ってくれ」と言い、芹名も「お前が来ないことは分かっていたが、どうも桃色ブリーフで踊るのは嫌だなあ、なぞと軟弱に考えたので、手加減して殴ってくれ」と言った。それを見た長官は、彼らを見て本当の友を知ったと言って、二人に加わって桃色ブリーフの踊りに参加し、観衆らはあきれて去って行った。そして最後に現れた須磨さんは「いいかげんにしたら」と3人に言い、3人の勇者は赤面するのだった。
岡野さんらが絶賛するほど面白いとは思いませんでした。他にも、中島敦の『山月記』、芥川龍之介の『薮の中』、坂口安吾の『桜の森の満開の下』、森鴎外の『百物語』のパロディ小説が収められていて、れぞれ京都大学の学生が主人公で、共通した人物が登場するなどの特徴がありましたが、特に奇抜なパロディとなっているのは上記の『走れメロス』だったのだと思います。元ネタを知っていたら、より楽しめたかもしれません。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
『走れメロス』のあらすじは以下のようなものです。
汚い下宿で惰眠をむさぼり、落第を重ねて暮らしてきた芽野は、たまには講義に出てみるかと大学へ向かうと、学園祭の真っ最中であった。芽野は「世間から忌み嫌われることを意に介さずにのらりくらりと詭弁を弄し続ける」という詭弁論部での親友・芹名がどうしているかと思い、部室を訪ねると、そこには部室から追い出された詭弁論部員らが炬燵に当たっていて、部室には「生湯葉研究会」の看板が掲げられていた。部員らによると、それは図書館警察の長官が生湯葉が好物の一女性を研究するために企んだことであり、彼は全学生の個人情報を一手に握る権力者で、私設軍隊「自転車にこやか整理軍」を指揮しているとのことだった。怒った芽野は「生湯葉研究会」の看板を引き剥がしにかかったが、すぐに「自転車にこやか整理軍」に拘束され、長官の元へ連れ出される。小太りの冴えない男である長官は、大学で唯一の親友であったミュージシャンとたった一人の生湯葉好きの親しい女性が、結局自分を利用して不純異性交遊に走ったことから人間不信に陥ったことを語り、詭弁論部員を救いたいのなら、グラウンドのステージでピンクのブリーフ一丁で踊れと芽野に迫った。芽野は姉の結婚式に出席するために一日の猶予をくれと言い、自分の身代わりとして親友の芹名を置いていくと言う。連れて来られた芹名は、芽野が去った後、芽野に姉などいないことを長官に告げ、「俺の親友がそう簡単に約束を守ると思うなよ」とうそぶくのであった。
芽野はやることもなく、とりあえずマンガ喫茶で夜を明かした後、京都から逃げようとするが、度々「自転車にこやか整理軍」に捕まりそうになる。長官が出した賞金目当ての女性に騙され、一旦は鴨川デルタに追いつめられた芽野だったが、以前芹名とともに失恋した相手の須磨さんが対岸から呼ぶのを見て、濁流の加茂川を泳ぎきった。彼女の自宅に案内された芽野であったが、彼女も恋人のミュージシャンの盗作を暴くと長官に脅されて、彼を追っていたのだった。そこへ駆けつけた詭弁論部員たちは、長官の約束を守らなければ廃部になると彼を無理矢理大学に連れていこうとし、抵抗する芽野は車の中の乱闘でパンツ一丁となってしまい、大学構内でピンクのペンキを全身に浴びながら逃げ出す。一方、芹名は日が暮れる中、悠然とステージ上でピンクのブリープ一丁のまま踊りに興じ、そこへ現れた芽野は芹名に「途中で一度、約束を守ればコトが丸く収まると軟弱にも思ってしまったので、手加減して殴ってくれ」と言い、芹名も「お前が来ないことは分かっていたが、どうも桃色ブリーフで踊るのは嫌だなあ、なぞと軟弱に考えたので、手加減して殴ってくれ」と言った。それを見た長官は、彼らを見て本当の友を知ったと言って、二人に加わって桃色ブリーフの踊りに参加し、観衆らはあきれて去って行った。そして最後に現れた須磨さんは「いいかげんにしたら」と3人に言い、3人の勇者は赤面するのだった。
岡野さんらが絶賛するほど面白いとは思いませんでした。他にも、中島敦の『山月記』、芥川龍之介の『薮の中』、坂口安吾の『桜の森の満開の下』、森鴎外の『百物語』のパロディ小説が収められていて、れぞれ京都大学の学生が主人公で、共通した人物が登場するなどの特徴がありましたが、特に奇抜なパロディとなっているのは上記の『走れメロス』だったのだと思います。元ネタを知っていたら、より楽しめたかもしれません。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)