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北尾トロ『中野さぼてん学生寮』

2012-03-16 18:27:00 | ノンジャンル
 北尾トロさんの'12年作品『中野さぼてん学生寮』を読みました。北尾さん初の小説です。
 親父が急死し、母と妹が実家のある九州に引き揚げることになり、東京の大学に合格した俺は特例で父の会社の家族用の学生寮に入ることになります。隣の部屋に住む学年が一つ上の小林は、何かにつけ俺と、俺と同学年の矢吹を自室に引き込んで、ジャズのレコードをかけながら、ヨタ話をしたりストリップをしたりプロレス技をかけたりと、朝まで楽しませてくれます。ある日、街角で出会った高校で同級だったトンコは、既にOLとして自立した生活を送っていて、大学にもまともに通っていない俺を励ましてくれるのでした。民話の会と称して民青に勧誘されてしまい、共産党のビラを捲くように言われ、初めて騙されたと気付く俺。矢吹と渋谷を散歩していてジャンジャンでRCサクセションのライブがあると知り、それ以来、RCのライブに通うようになる俺。他の寮生と10日間だけバイトして、それで旅行する俺。ある日、以前合コンで一緒だった矢野みちるに街角で出会い、飲みに誘われた俺は、彼女の方から電話番号を教えてもらいます。
 年末年始を九州の実家で過ごした俺は、帰京の途中、神戸で中学時代の友人と会い、彼から紹介された女性に童貞を奪われます。矢吹も同じ映画サークルに属する女子大生との間で童貞を失い、小林にそれを二人で報告すると彼は喜んでくれます。北海道旅行の際、小林の実家を訪れ、大量の料理で歓迎される俺。その帰り、持ち金が無くなるという失態を演じたことから、『サキ』という喫茶店でバイトを始める俺。カフェ研究会というサークルに勧誘され、そこで麻雀仲間を得る俺。ある日、みちるから電話をもらい、彼女とデートするようになる俺。俺と幼馴染みで、やはり寮生である古村みのりは、俺、矢吹、小林のグループに顔出しするようになります。ある日、高校の恩師に出会い、生活態度を叱られた俺は、「何事も経験」だと思い、『サキ』のママの姪のトモコさんに連れられ、新宿界隈を飲み歩くようになり、女性経験も積んでいきます。
 やがて小林はゼミの同級生に恋するようになり、彼女と初体験を済ませます。マージャン仲間が大学卒業後は故郷に帰ると割り切って考えているのを聞く俺。みちるとの関係が全く進展しない俺を見かねて、デート現場で小林とみのりがみちるの様子を観察すると、二人は「彼女は俺には気がないのだ」と進言してくれます。大学にちゃんと通えと、またトンコから励まされる俺。
 クラスで唯一口をきく仲だった小島は、学生運動に疲れて、大学を中退し、故郷に帰っていきます。そんな彼に触発されて、今のぬくぬくした生活から抜け出ようと思い立った俺は、トモコさんと飲み歩くのも、居心地のいい『サキ』のバイトも、そして小林や矢吹と楽しい時間を過ごせる寮も出ようと決心します。みちるにもはっきりと振られた俺は、どこまでぶらぶらした生活を送れるか試すため、寮を出るのでした。

 上記から分かるように、脈絡のないエピソードが次々に並ぶばかりで、まとまりがなく、小林の風変わりな行動と、それに爆笑する俺と矢吹というシチュエーションにも付いて行けず、俺の行動の動機にも納得できず、ないないずくしで終わったという印象でした。北尾さんはやはりノンフィクションで行くべきだと思いましたが、皆さんはいかがお考えでしょうか?

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/