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 スティーヴン・キング『不眠症(下)』

2012-03-19 18:32:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 数日後、薬剤師のワイザーは野良犬のロザリーを車で轢き殺してしまい、やはり第三の医者の行為は死をもたらすことをラルフは知ります。ラルフとロイスは、知人を見舞いに病院に行ったというビルに会うため、病院に向かいますが、そこは光にあふれた空間となっていて、二人の体は透き通って、人から見えなくなります。そして二人は心臓発作で倒れるビルの姿を見、鋏を持つチビとハゲの白衣の二人組に出会い、彼らは様々なことをラルフらに教えてくれるのでした。
 仮の名をラケシスとクロートーと呼ぶ2人は、ラルフらと手を結ぶと、空中に浮かび、自分たちは「意志」と呼ばれる自然死を担当し、メスを持つ、仮の名を「アトロポス」と呼ぶ第3の白衣の男は「偶然」と呼ばれる事故死を担当していること、彼らは現実の時間より高位のレベルにある時間の中で生きていて、自分たちよりも、もっと高位の存在の意志によって仕事をしていること、今晩〈ウーマン・ケア〉が中絶容認論者の代表であるスーザン・デイを呼んで行う演説会に集まる人々2千人を、アトロポスは全員殺すつもりであること、それにはエドが使われること、そしてその惨事は絶対に避けなければならないものであり、そのためにラルフとロイスが選ばれたことを教えてくれます。
 なぜ自分たちが選ばれたのか、なぜその惨事を避けなければならないのか、疑問に思いながらも病院を出たラルフとロイスは、以前エドのスカーフに刻まれていた文字が、漢字の「神風」であることに気付き、エドが飛行機の操縦も習っていたことから、市民センターに特攻攻撃を行うことを知るのでした。
「第三部 真紅の王」 二人はヘレンに会うため〈ハイ・リッジ〉に向かうと、既にそこは〈命の友〉の狂信者によって襲撃され、ティルベリーは殺され、火災が発生しており、二人は自分たちのレベルを上げて扉を通り抜け、ヘレンらを救出します。
 そこで出会ったドランスに導かれ市民センターに向かったラルフとロイスは、そこから続くアトロポスの足跡を辿り、その住処に至ると、そこにアトロポスが死者から奪ったコレクションの中から、エドの結婚指輪を見つけ、そこに現れたアトロポスの耳ごと、ロイスのイヤリングを奪還します。ラルフは彼のメスを奪って、自分とロイスとエドに危害を加えないことを誓わせますが、別れ際アトロポスは未来の一場面をラルフに見せて立ち去ります。
 ラルフらは直感にしたがって町の中心の公園に行き、ラルフがクロートーとラケシスを呼び出すと、彼は彼らから、会場内にいる一人の幼児が将来の歴史を変える人物なので、惨事を避けなければならないと教えられ、それを聞いたラルフは、それなら自分が言う別の一人の人物を救ってくれるなら、惨事を避けるために働くと言い、クロートーらに特別の力を与えてもらいます。クロートーらはエドの操縦する機内へと通ずる道をラルフに与えてくれ、ラルフは機内に至ると、そこでエドを操る変幻自在の〈真紅の王〉に出会いますが、先ほどクロートーらに与えてもらった力で〈真紅の王〉を倒し、飛行機を市民ホールの駐車場に墜落させ、未然に自分は高いレベルへと逃れ、死者を71名に抑えることに成功します。そして2人は不眠症からも解放されます。
「エピローグ 死時計が時を刻む(?)」 不眠症からもオーラからも解放されたラルフとロイスは結婚し、幸福な生活が数年間続きますが、やがてラルフは自分の死の時計が時を刻むのを聞くようになり、不眠症も再発します。そしてある日、その日が来たことを悟ったラルフは、ロイスの止めるのも聞かず、車に轢かれそうになるナタリーを救い、自分が身代わりとなって死にます。そばにいて悔しがるアトロポス。数年前別れ際にアトロポスがラルフに見せた未来の一場面とは、ヘレンの目の前でナタリーが交通事故死する場面であり、ラルフがクロートーらとした契約は、ナタリーの命を救う代わりに惨事を避けるのに協力するということだったのでした。

 病院のシーンは話が抽象的すぎて退屈しましたが、冒頭の部分とラストの部分は迫力満点でした。やはり1000ページを超える小説を一気に読ませる力量はキングならではのものだと思います。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/