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佐藤多佳子『第二音楽室』

2012-03-22 10:03:00 | ノンジャンル
 佐藤多佳子さんの'10年作品『第二音楽室』を読みました。4つの短編が収められた本です。
 『第二音楽室』では、五年生は全員ピアニカ、六年生は様々な楽器を鼓笛隊で演奏する小学校で、五年生に引き続きピアニカを演奏することになった、ウチら6人のグループは屋上にある第二音楽室で練習するうち、お菓子やゲームやマンガを持ち込み、秘密基地化させていきますが、ある日クラスのボスである男子にそれを見つかり、そこに集まることはなくなります。しかしグループの一人・江崎は第二音楽室でピアノの練習を続けていたことをウチは知り、その上達ぶりに感激します。卒業生から楽器を受け継ぐ移杖式で皆と演奏したウチは、合奏の素晴らしさに魅せられ、これからはいろんな楽器を演奏したいと思うのでした。
 『デュエット』では、実技テストで好きな者同士の男女ペアで歌う課題を音楽の先生に与えられたウチは、声がきれいな三野田と期せずしてペアを組むことになり、低いウチの声と三野田のデュエットが一番クラスで受け、ウチはそれぞれのペアのデュエットをこれからも忘れないと思ったという話。
 『FOUR』では、中学の卒業式の卒業証書授与のBGMにリコーダーの生演奏をするために、音楽の先生から私と3人が選ばれます。私はそのうちの一人・中原を好きなことに自ら気付いていきますが、告白できず、やはり4人の一人・千秋も好きな先輩になかなか告白できません。そして練習を積んでうまくなっていった4人は、卒業式で見事に演奏することができ、最後になって先輩の第二ボタンをもらうことができた千秋にならって、私は今後は好きになった人には必ず告白しようと思い、それまでの練習の日々を美しく回想するという話。
 『裸樹』では、中学で理不尽なイジメに会っていた時、夜の公園でギターに合わせて歌っていた女性に心慰められた私は、高校でその女性に出会い、歌っていた歌のスコアも送ってもらうという話と、軽音楽部でバンドを組むも、やる気のないリーダーの元で瓦解した私たちのバンドが、学祭の前に再会すると、ずっとうまく演奏でき、感激するという話です。

 どれも音楽をテーマとした短編で、最後にハーモニーの美しさに主人公が感動するという部分も共通していました。すべて一人称の小説で、私には苦手なタイプの小説でしたが、ぎりぎり気軽に読めたと思えます。学園ものの小説が好きな方は、より楽しめるのではないでしょうか?

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/