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溝口健二監督『わが恋は燃えぬ』その1

2012-06-01 05:32:00 | ノンジャンル
 一昨日、渋谷のユーロスペースで、山根貞男さん、山田宏一さん、蓮實重彦先生が選出した『生きつづけるロマンポルノ』と題する上映会に参加してきました。私が見たのは、那須博之監督、山本奈津子主演の'83年作品『美少女プロレス 失神10秒前』と、小沼勝監督、木築沙絵子主演の'85年作品『箱の中の女 処女いけにえ』の2作品でしたが、一つ目が鈴木則文監督を思わせるはちゃめちゃな、オールロケの活気ある作品だったのに対し、2つ目は密室虐待ものであり全編セックスシーンという希有な傑作で、おそらく小沼監督、木築沙絵子さん、ご両人の代表作の一つであることは間違いないと思いました。渋谷まで足を運んで良かったと思います。

 さて、溝口健二監督の'49年作品『わが恋は燃えぬ』をWOWOWシネマで見ました。
 「本映画は日本の永い封建家族制度の伝統の中から、自由を求めてぬけ出そうとする女性の苦悶を描き、真に正しい女人解放の理念を広く若き世代に訴えんとするものである」の字幕。美しい風景をバックにタイトル。
 「明治十七年 岡山」の字幕。汽笛が響く中、岸壁に自由党の女弁士・岸田俊子(三宅邦子)を迎えるため、自由主義者のデモ隊と平山栄子(田中絹代)は集まります。栄子は岸田に、憲法発布と国会開設、そして自由のために藩閥政治を倒すためにともに闘おうと励まされます。船の上で接待を受ける岸田は、女性の自立の必要性も説きますが、船の上で騒ぐデモ隊に対し、警官は解散を命じます。
 河原を歩きながら、栄子と結婚を前提として付き合う早瀬(小澤栄太郎)は、父が亡くなったので、一旦東京に帰ると栄子に言います。栄子が家に帰ると、平山家で下働きをしていた千代(水戸光子)が東京に働きに出ると言って、父と挨拶に来ていました。栄子が自由主義の運動に参加することを叱る栄子の父。
 船着き場で、来年の春になったらまた岡山に帰ってくるという早瀬を送りに行った栄子は、千代が人買いに買われたことを知り、急いで家に帰り母に助けを求めますが、、母は千代にとって、それが親孝行なのだと言って取り合いません。そこに帰ってきた父は、栄子の活動によって教授職の謹慎を言い渡されたと言って、栄子を責めます。汽笛の音の中、離れ行く船を呆然と見つめる栄子は、肩を落として道端に身を横たえます。
 「東京」の字幕。上京した栄子は、自由党のリーダーの一人・重井(菅井一郎)に早瀬の下宿まで送ってもらい、子守唄の流れる中、彼の帰りを待ちますが、帰ってきた早瀬は、両親に無断でやってきたと言う栄子に結婚を迫り、栄子がもうしばらく一緒に勉強したいと言うと、早瀬は栄子を養うことはできないと言います。栄子は何でもして働くので自分の心配はしなくていいと言い返しますが、早瀬はお嬢さん上がりの栄子にそんなことはできないと決めつけてかかり、憤慨した栄子は立ち去ろうとします。そこへやって来た重井は坂崎(千田是也)が発行している新聞「自由のともしび」の仕事を栄子に紹介してくれるのでした。
 ジャンヌ・ダルクの翻訳記事を坂崎に誉められた栄子は、早瀬が藩閥政府のスパイであるとして重井に追及されているところを通りかかります。重井は証拠の手紙を早瀬に突き付け、彼を自由党から追放します。早瀬を無実と信じる栄子。早瀬の部屋を訪ねた栄子に対し、食べていくためにやったとうそぶき、政府の自由党弾圧に一時的に変節して何が悪いと言った早瀬は、金に余裕ができたので結婚しようと栄子に言い、無理矢理栄子を抱こうとしますが、栄子は激しく抵抗し、彼の部屋を出ていきます。(明日へ続きます‥‥)

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