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石井輝男監督『いれずみ突撃隊』その3

2013-06-06 03:58:00 | ノンジャンル
 本日はロバート・F・ケネディの46回忌です。1968年の大統領選挙中に暗殺されたロバートはリベラル派のシンボルとして、当時のアメリカの良心の希望の星でした。改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。

 さて、また昨日の続きです。
 “いれずみ突撃隊”の歌を歌う諸木らは、みどりが残ったのはきっと阿川の差し金に違いないと噂します。彼らを追ってくるみどり。諸木は彼女を馬で迎えに行きますが、彼女を馬で追ってきた阿川は「止まらんと撃つぞ!」と言い、みどりを抱いた諸木と対峙します。阿川の鞭を奪う諸木。「反乱兵は皇軍のために抹殺する!」と言って、阿川は拳銃を発射しますが、諸木をかばおうとしたみどりに弾が当たります。阿川は次に諸木に拳銃を向けますが、阿川は何者かに撃たれて馬から落ちます。向うに見える中国騎馬兵の大軍。諸木はみどりを背負い、馬で逃げ出します。移動隊のうちの1人が慰安婦を乗せた馬車を走らせ、残りの4人は中国軍を迎え撃ちます。諸木と合流すると、一緒になって逃げ出す4人。馬車の騎手が撃たれると、栄子が馬を操り馬車を進めます。やがて馬車の車輪が外れ、放り出される慰安婦ら。白兵戦を経て、馬車に籠った諸木らと慰安婦は、周りを走る中国軍を銃で次々と倒していきます。弾切れが近づくと、諸木は手榴弾を皆に配り、最後の抵抗をしようとしますが、その時、援軍のラッパが聞こえます。撤収する敵。(西部劇の模倣)
 “いれずみ突撃隊”の歌が流れる中、騎馬の最後に歩いて続く諸木らと慰安婦ら。中尉は敬礼で彼らを迎えます。中尉は諸木と2人で大地を眺め、「今度はこのでかい土俵場で、お前の晴れ姿を見せてくれ」と言います。“麦と兵隊”を歌い、笑い合う2人。諸木は「やるぞー、このヤロー!」と叫ぶと、木霊が響きます。そこへ「敵300がこちらに進軍中」との報告が入り、中尉は諸木に「ラッパ手に集合ラッパを吹くように言ってくれ」と頼みます。
 敵の歩兵をなぎ倒す諸木の機関銃。負傷したみどりと、その看病をする光子以外の慰安婦はトラックで移動していきますが、栄子はトラックを飛び降り、みどりと光子の許へ戻ってきます。「この陣地が落ちたら本隊が危ない。しかし炊事場も燃料倉庫もやられた」と言う中尉。栄子は米を炊くために、これまで後生大事に持っていた、自分が貯めてきた札を焚き付けに使います。夜になり、光子は諸木のところへやって来て「みどりのところへ行ってやって」と言い、残った兵隊たちには「ご褒美をあげる」と言って、自分の体を差し出します。栄子は負傷兵に飯をあげようとしますが、負傷兵は「今、働ける兵隊に先にあげてくれ」と言い、栄子の涙を誘います。歌を歌ってくれ、という兵士に「じゃあ歌ってやっから、歌い終わったら飯、喰うんだぞ」と言う栄子。諸木がみどりに寄り添っていると、みどりは目覚め、「生きてたいなあ。でも、もうダメ」と言い、「あの時、なんで唇を拭いたの? 唇だけは本当に好きな人のために、今まで誰にもあげなかったのに」と言います。諸木が「俺はお前を汚いと思ったんじゃない。お前に惚れてた坊やに義理立てしただけだ」と言うと、みどりは「うれしい」と言って死にます。「日本一の大和なでしこだ。大手を振って靖国神社に行け!」と言った諸木は、宮田が持っていたお守りをみどりの手に持たせてやります。
 朝になり、敵の砲撃と歩兵の進撃が始まります。次々に味方がやられ、1人残った諸木は、上半身裸になり、ダイナマイトを腰に巻いて、死んだ中尉の軍刀を借り、安川組の名代として敵に向かっていきます。「何発撃ったら倒れるか、気の済むまで撃ってみろ!」と言いながら、よろよろと歩いていく諸木でしたが、腰に巻いたダイナマイトの導火線に火がついてしまい、敵に遭遇する前に自爆してしまいます。そして『“いれずみ突撃隊”の歌が流れ、映画は終わります。

 見事な“ショット”の連鎖からなっている映画で、石井監督の代表作の1本となるべき映画でしょう。ラストシーンは、ゴダールの『気狂いピエロ』を予告する終わり方になっていました。実際に中国で戦争体験のある石井監督ならではの、迫真の“映画”だったと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto