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福岡伸一『遺伝子はダメなあなたを愛してる』その3

2013-06-09 04:47:00 | ノンジャンル
 またまた昨日の続きです。
 ヒトは食べ物を消化管に取り込んでから分解するが、カビは酵素を細胞外に分泌し、それによって食べ物を細かく分解してから栄養素として吸収すること、私たちのからだは皮膚の細胞、消化管の細胞、筋肉の細胞、内臓の細胞というように分化しているが、これらの細胞は、もともとひとつの細胞が分裂してできたものなので、すべて同じ遺伝子のセットを持っていて、異なる仕事をしているのは、どの遺伝子をオンにし、どの遺伝子をオフにするのかが異なっているからだということ、電球の光への変換効率はたった4%、LEDの効率は約30%なのに対し、ホタルの発光効率はなんと90%にもなること、植物が光を捉える能力はほぼ100%近いのに対し、太陽電池は今のところせいぜい10%であること、300年ほど前まで、アリューシャン列島付近に、成体の全長7メートル、体重10トンという超巨大な大型海生哺乳類、ステラー海牛が生息していたが、ドイツ人博物学者ステラーによって、その存在が知られるようになると、ヨーロッパやロシアからハンターと毛皮商がこの海域に押し寄せ、発見からわずか30年もたたないうちに絶滅してしまったこと、哺乳動物の主要な熱生産器官は肝臓と褐色脂肪組織(背中、肩甲骨のあいだに広がっている)で、そこで血液が暖められ、熱が全身に運ばれていること、エネルギーを受け取ると光を放つ蛍光物質に、ごく少量のラジウムをまぜたものが夜行塗料であり、ラジウムの放射線エネルギーで蛍光物質が光っていること、進化の上で、魚類の一部が、消化管を使って呼吸することを始め、やがて消化管がくびれて袋状になり、呼吸専門の器官となっていったのが肺の発生だと考えられていて、今でも肺で呼吸する古いタイプの魚が南米やアフリカ、オーストラリアにハイギョの仲間として棲息していること、中には腸で呼吸できる達者な魚もいて、それはドジョウであること、肺をもっとも進化させたのは、なんといっても鳥類であり、鳥の肺には気嚢(きのう)という袋がついているので、息を吸いながら吐くことができること、昔の人が金属鉱床を見つける指標にしていたのは、金山草であり、金山草は本来生命にとって毒である重金属を細胞内の液胞という隔離空間に封じ込めることができること、そしてこのような植物の特殊能力を使って環境浄化を行う“バイオレメディエーション”という方法が、最近注目を集めているが、植物に吸収された重金属は消えてなくなったわけではなく、植物の細胞内に隔離・蓄積されているだけなので、根本的な除染のためにはその植物自体の最終処分法が課題となること、植物の基本形は常緑樹だが、常緑樹であっても生命は動的平衡の状態にあり、たえまない分解と合成の流れのなかにあるので、いつまでも同じ葉っぱをはやしているのではなく、一定の期間ごとにパラパラと古い葉は散り、新しい葉っぱと交代していること、植物は液胞に有害物質や老廃物をため込んでいるが、液胞にもキャパシティーがあるので、葉っぱは一定の期間ごとに捨てられなければならないこと、落葉樹はこのプロセスをもっとメリハリを利かせてやっていて、季節のよい時期は葉をめいっぱい広げて光合成を行い、寒くなって凍結してしまう前に葉を一斉に落とすので、その分、寒い地域に進出することができたこと、落葉のプロセスにはちゃんと段取りがあり、まず、葉で作られた養分を回収して枝や幹にため込み、不要となった葉緑素を分解し、葉っぱの付け根に特殊な仕切り壁を作って切り離しの準備をし、やがて冬が来て葉っぱが落ちても、切断面は壁によって塞がれているようになっていること、強酸性の温泉水を田沢湖の水で薄めて農業用水に使おうとしたところ、田沢湖全体が酸性化されてしまい、田沢湖に棲息していた固有種のクニマスなど、それまで田沢湖にいた生物が全滅してしまったこと、生物は子孫繁栄のためだけに生きている訳ではなく、遺伝子は個体の自由度を許容していると著者は考えていること、そして著者の福岡さんが私と同じ年齢であること、などなどでした。

 以上、書いてきたように、知ってためになる、または知って楽しくなる知識がたくさん詰まっている本でした。公共図書館でも借りられると思うので、是非手に取ってみてください。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto