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TPPの大筋合意は歓迎すべきもの?

2015-10-07 04:36:00 | ノンジャンル
 昨日、全国各紙でTPPの大筋合意が大々的に報じられましたが、そのことに関して、東京新聞のコラムで斎藤美奈子さんが「強者の論理」という題で文章を書いておられました。そのまま引用させていただきたいと思います。
「へえ、そうなんだ。安保法には反対でも、TPPの大筋合意は歓迎するんだ。6日の朝刊各紙を読んでの感想である。
『日本経済への恩恵も大きい』(朝日新聞)、『新たな経済成長の糧とすることが期待される』(毎日新聞)、『長い目でみた地域の成長や安定につながる』(日経新聞)など、全国各紙は一様に祝賀ムードだ。
 が、地方紙のトーンは異なる。『これで国益を守ったと言えるのか。米国に追従し、農業分野で譲歩を重ねた秘密交渉だった』と批判した北海道新聞の社説。『交渉の過程で多くの問題点が浮かび上がり、日本への影響を深く懸念する』と書いた岩手日報の論説。
 この件は、もともと中央と地方の間で大きな温度差があった。安保法以上にわかりにくい案件でもあった。だけど、反対者は多かった。
『TPPは私たちの生活を豊かにする。私たちにチャンスを与える』と語った安倍首相と、『日本の国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すもの』という談話を出した共産党の志位委員長。はたしてどちらが正しいのか。
 農業の衰退、食の安全、自由診療拡大による保険制度の破壊、悪名高いISD条項。いずれにしてもTPPは強者の論理。競争を歓迎するのは競争に勝てる人(国・企業)だけだ。犠牲は弱いところに行く。戦争も経済戦争も。」
 「農業の衰退」に関しては、海外から安い食料が入ってくることによって、値段が高い国産物が敬遠され、価格競争に敗れることを意味し、政府や自治体が多額の補償金を農家に払うことがなければ、特に売りがない弱小農家は廃業に追い込まれる危険があることを意味し、「食の安全」は、遺伝子組み替えを施された食料や危険な農薬を含んでいる食料が、消費者の知らぬ間に、スーパーなどの商店に並ぶことを意味し、「自由診療拡大による保険制度の破壊」については、現在の“かかりつけ医”の制度が破壊され、一部の医療施設への患者の殺到、またそのことによって生まれる、その他の医療施設の廃業により、健康保険制度が機能しなくなることを意味します。「ISD条項」は、ネットの「ニコニコ大百科」で調べてみると、「『投資家対国家間の紛争解決条項』(Investor State Dispute Settlement)の略語であり、主に自由貿易協定(FTA)を結んだ国同士において、多国間における企業と政府との賠償を求める紛争の方法を定めた条項である」と説明されていて、それを、たとえば実際例で考えてみると、今後、TPPの内容に反する行為を日本の個人、または企業が行った場合、アメリカの多国籍企業やアメリカ政府が、その行為を直接告発し、日本の国を相手にアメリカの裁判所で争えるようになることを意味していることになります。この場合、日本政府や自治体が農業分野で弱小農家に補助金を与えること自体が、アメリカ政府やアメリカの大規模農家、そしてアメリカで農業を運営する大規模企業から告発される可能性も排除することができなくなります。
 そもそも自民党はこれまでの国政選挙においては、「TPP絶対反対」というスローガンを掲げて戦ってきたのであり、今回の安倍政府、および甘利大臣の行動は、それに対する裏切りに他なりません。農家の方たちは、そして消費者の方たちは、もっと政府に対して、そして自民党に対して、怒ってもいいのでは、と思ったりもしています。
 安倍首相は外遊を理由に、ここのところ数年政府が行ってきた秋の臨時国会の開催をせずに済まし、TPPの国会審議は来年に延ばすつもりのようです。安保法制をあれだけ急いで成立させておきながら、なぜTPPの国会審議を後回しにするのでしょう? 理解に苦しむところです。緊急にTPP対策会議のようなものを、大臣総出で結成させているようなので、先に内閣が手を打って、国民の怒りを鎮めてから、国会でまた急いでTPP法案を成立させるつもりなのでしょうか? 安保法制成立に対する“汚い手口”を見てきている私には、そう思えて仕方がありません。
 いずれにしろ、今回のTPPの大筋合意という事実は、日本国民、そして日本に住んでいる外国人の方々に対して、死活問題になる可能性を秘めています。安保法制と同じように、私は注意深く政府の動きを見ていきたいと思っています。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/