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クリント・イーストウッド監督『ジャージー・ボーイズ』その6

2015-10-13 06:40:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 ノーマン「1万4900、1万5000、よし全部だ」フランキー「これで完済だな」「フランキー、恨みっこなしだ」ジップ「ノーマン、帰ってくれ」「これで失礼」ジップ「やはり結果はついてきたな」フランキー「ああ」ジップ「長寿を!」。ジップとフランキーとボブ、乾杯。電話が鳴り、フランキー「娘だ。毎週金曜日に電話がある」「いい子だな」「クラブで歌ってる」。フランキー、電話に出る。「フランシーン、ちょっと待て」。受話器を置く。ボブ「電話をくれ」。ボブとフランキー、ハグする。ジップとボブ、家の出口へ。フランキーはジップと握手し、「ありがとう」とハグする。フランキー、電話に「今、誰が来てたと思う? 何だって? ええ、父親です。うちの娘に何か?」。バックにフランキーの歌。
 葬儀。参列するフランキーとジップ。泣くメアリー。牧師。フランシーンの写真。ボブ。歌「まばゆい光を目指して、富と名声への階段を登った。休みなく働き、スターの座を手に入れた。だが皮肉だ。過ぎた時は戻らない。今も思い出す。置き去りにした愛とまぶしかった娘。手を触れたこともないけど好きだった。まるで100万マイルも離れてるかのように。気づいてくれない。近くて遠い君だった」。
 ファミレスで1人のフランキー。窓を叩き、入って来るボブ。「君の定席だな。調子はどうだ?」「最高だ」「いいものを持ってきた。(外は雪景色)開けてくれ。(フランキー、封筒の中身を出す)クルーと書いた」「娘を埋葬した俺にラブソングを歌えって?」「死を乗り越えないと」「娘は俺より声域が広くて、心に歌が宿ってた。あの子の首に縄を? 鎖で縛れと? 娘は親の手を離れ、社会に出て、ドラッグの餌食になった」「自分を責めるな」「そうか? じゃ誰が悪い?」「なあ、頼む。持って帰って見てくれ。うまくない部分があるから、何か案を出してほしい。とにかく見てくれ」。ボブは立ち上がって、マフラーをフランキーに渡す。「やるよ。巻いてけ。肺炎になるなよ」。ボブ、去る。
 妻の横で寝ていたボブに電話。フランキー「問題はブリッジの後の転調だ。変えよう。聞いてるか?」「ああ、続けて」「全体的に君の曲とクルーの歌詞はよく合ってる。だがメロディが凝りすぎて安っぽい。少し音を削ろう」「分かった。明日来てくれ。相談しよう」「予定を調べるよ」「それがいい」。電話、切る。
 スタジオで社長に売り込み、脅すボブ。クルーはフランキーとボブを励ます。フランキーは『君から目を離せない』を歌う。ステージの幕が上がり、ホーン・セクション現れる。客はノリノリ。歌い終わると、客、スタンディングオベーション。ボブも客の中に。フランキー、深々と礼。
 “ロックの殿堂 表彰式 1990年”の字幕。夜の摩天楼に照明があたっている様をあおった映像。カメラがパンダウンすると、建物の中に赤いじゅうたん。リムジンが到着し、スタンリーとボブ、降りる。記者「4人そろって歌うのは久しぶりですか?」。憮然とするフランキー。はしゃぐ記者たち。答えるフランキー。そこへトミーが現れる。皆白髪混じり。トミー「久しぶりだ。フランキー」フランキー「どうしてる?」トミー、微笑み「何とかやってるよ。握手を」「いいんだ。分かってる」。2人、ハグ。
 ステージ。「20余年ぶりに4人そろいました。今夜は最高の舞台。オリジナルのフォー・シーズンズ!」。4人、歌いだす。トミー「フランキーは俺がイジめていたジョーイの助手だった。2カ月前、ジョーイの奴と車で地元へ戻った。『お前、当時は正直言って“クソ”だったぜ』とジョーイ。人は都合よく記憶する」ニック「なぜグループを辞めた? と皆訊く。答えは『あれは裏取引でもツアーでもトミーと同室のせいでもなかった。ただ口をついて出た。だが本音と分かった。俺は家が恋しかった』」フランキー「殿堂入りも大ヒットも、どれも素晴らしい。だが、まだ駆け出しの頃、街灯の下で4人して俺たちだけのハーモニーを作ってたあの頃、ほかのことは消失して音楽だけがあった。最高の瞬間だ」ボブ「昔の地元など懐かしくもない。僕にとってはどうでもいい。今いるところが地元だ。最近はナッシュビル。僕は美しい妻といい葉巻とともに暮らし、静かで平和だ。そして自負もある。僕がいなければ、グループの成功はなかった」。ボブ、ウインク。トミー「ところでベガスのカジノで俺の名を出してみな。誓って言うが、12秒で追い出される」ニック「正直に言おう。確かに存在感の問題はあった。もし4人の中で“リンゴ・スター”なら?(笑う)子供と過ごす方がいい」フランキー「電池の切れた人形のように俺はひたすら前へと進む。音楽を追い求めて。あの頃に帰るために」。若い4人が笑い合って歌い始める。客ノリノリ。
 暗転。街灯の下で指を鳴らす4人は『シェリー』を歌いだす。カメラは俯瞰から降りてくる。街の中、ホーン・セクションや女の子が踊りだす。ジップも車から降りて、皆に合流。エンディング・タイトル、彼らの踊る姿に重なり、映画は終わる。

 ジップ宅に金の普請にいく辺りから対話劇が展開されていくのですが、見ていて画面が自由に動き始めるのがビンビン伝わってきて、これが蓮實先生らが言う「イーストウッドは狂ってる」という意味なのか、と合点がいきました。映画好きの方なら十分楽しめると思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/