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西加奈子『ほっと文庫 はちみつ色の』その1

2012-03-26 18:24:00 | ノンジャンル
 西加奈子さんの'11年作品『ほっと文庫 はちみつ色の』を読みました。書下ろしの短編1つと、その短編に登場する色と香りの入浴剤が付いている企画本です。
 ママの34歳の誕生日に、私の双子の妹のテンちゃんは亀になりました。テレビで見たゾウガメ、最後の一頭のロンサムジョージの友達になるためです。テンちゃんを呼ぶと、テンちゃんは見えない甲羅から首を伸ばしますが、亀なので喋りません。
 翌朝は雨。テンちゃんが亀になってしまったので、しばらく学校へは行けないとママは電話します。私は一人で学校へ行き、席替えで隣の席が野村君になりました。ママは小説を書いていて、ママの編集担当者が野村君という名前で、8歳も年下の26歳の野村君のことをママは好きです。
 私は3年2組で、テンちゃんは1組ですが、教室でじっとしていられないテンちゃんは1年の途中で「ハチの子学級」という教室で勉強することになり、ママはその時、学校に抗議していました。
 学校から帰ると、テンちゃんはまだ亀で、ママのベッドの下で丸くなっていました。ママが亀の食べ物をネットで調べると、バナナとか野菜ということなので、バナナにハチミツをかけたやつをあげると、テンちゃんは食べたのだそうです。野村君から「誕生日おめでとう」のメールが来ないとイライラするママ。ママは自分のことや周囲の人のことを小説に書いてしまうので、周囲の人から嫌われてしまうのだそうです。野村君にスランプですとか言って、来てもらおうかな、などと言うママ。
 次の日も雨になり、ママがしつこく言うので、私も学校を休みました。テンちゃんはソファの下にいて、寝る時も布団の中で丸くなってずっと亀のままで、私は偉いと思います。野村君に来てもらう理由をあれこれ考えるママ。テンちゃんはリビングをのっそのっそと歩き回って、私が学校を休んだのを喜んでいます。お化粧をしたいと突然言い出した私にママも乗り、私にお化粧をしてくれるママ。ママと化粧談義をする私。おかしかったら亀を休憩して笑ってもいいよと私がテンちゃんに言うと、テンちゃんは目をつむります。そのうち気が付くとテンちゃんは私の膝の上で寝息を立てていました。(明日へ続きます‥‥)

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エドワード・ズウィック監督『グローリー』

2012-03-25 09:38:00 | ノンジャンル
 エドワード・ズウィック監督の'89年作品『グローリー』をWOWOWシネマで見ました。
 「ロバート・グールド・ショーはボストンの裕福な奴隷廃止論者の息子で、23歳の時南北戦争に身を投じ、北軍ポトマック軍団での体験を両親に細かに書き送った」の字幕。大尉ととなったロバート。「1862年9月17日メリーランド州アンティタム」の字幕。前進する北軍は南軍に狙い撃ちされ、敗走します。気付いたロバートは北軍に助けられ、リンカーンが奴隷解放令を出したことから黒人連隊を組織することとなり、大佐に昇進してその連隊長となります。
 「1862年11月27日マサチューセッツ州レッドビル野営地」の字幕。厳しい鍛練が続く中、南部同盟が「北軍の武器を持った黒人は奴隷に戻し、北軍の軍服を着た黒人は死刑、黒人連隊を指揮した白人も死刑」と宣言したことをロバートは連隊に知らせますが、除隊を望む者は誰もいませんでした。陸軍省が黒人であることを理由に給与を13ドルから10ドルに下げるという発表をすると、トリップ(デイゼル・ワシントン)は抗議の声を上げ、それに皆が同調すると、ロバートも13ドルを維持すると発表します。ようやく制服を与えられ、町中を行進して喝采を浴びる連隊。ローリング(モーガン・フリーマン)は皆をよくまとめあげたとして、黒人ながらロバートから曹長に任命されます。
 「1863年6月9日サウスカロライナ州ビューフォート」の字幕。やはり黒人連隊を作ったというモンゴメリ大佐が補給物資を運搬しにいくというので、自分の連隊を連れてそれに同行するロバート。「1863年6月11日ジョージア州ダリエン」の字幕。モンゴメリー大佐の連隊は町を略奪し、大佐は町を焼き討ちにかけろとロバートに迫り、階級差からやむなくその命令をロバートは部下に命じます。その後、肉体労働しかさせてもらえないロバートの連隊。ロバートはモンゴメリーや参謀長が略奪した物資を横流ししていることをネタに二人を脅し、自分の連隊を前線に送る命令書を書かせます。
 「1863年7月16日サウスカロライナ州ジェームズ島」の字幕。南軍の馬の突撃を跳ね返し、相手との白兵戦にも勝ったロバートは、トリップに旗手を務めないかと言いますが、軍隊のために戦っているのではないと言ってトリップは断ります。やがてチャールストンを手に入れるため、ワグナー要塞を攻めることになり、犠牲者が多く予想される先発隊にロバートは志願します。前夜に祈りの歌を歌う連隊の黒人たち。翌日の戦闘は予想通り激しいものとなり、ロバートとトリップは戦死します。「この戦闘で第54連隊は半数以上の兵を失った。後続の白人部隊も多大の損害を受け撤退。要塞の占領はならなかった。第54連隊の武功が伝わり、黒人部隊の設立が正式に認可され、18万の黒人が志願。北軍の勝利は彼らに負うところが大きい」の字幕とともに映画は終わります。

 取り上げて特徴のない映画で、デンゼル・ワシントンの「いい顔」が印象に残る程度の映画でした。次作に期待です。

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スズキコージ『イモヅル式物語』

2012-03-24 08:35:00 | ノンジャンル
 マキノ雅弘監督の'59年作品『たつまき奉行』をWOWOWシネマで見ました。遠山金四郎(片岡千恵蔵)が佐渡金山での不正を暴く話で、南町奉行の密使を東千代之介、やはり南町奉行の密使として送られていた父の消息を追う娘を佐久間良子、金山の鉱夫の首領を進藤英太郎、佐渡守を山村聡、悪役の酒問屋の主人を月形龍之介が演じるという映画でしたが、ストーリーが複雑で、暗くて何が行われているのか分からない画面も多く、期待外れでした。

 さて、宮田珠己さんが絶賛していた、スズキコージさんの'05年作品『イモヅル式物語』を読みました。全12話からなる絵本です。
 第1話『ガマ夫くんの早朝マラソン』は、寺の住職の電気ガマのガマ夫くんが、毎朝行っているマラソンに行き、電気そうじきのそうばあさんや、しんぶんくばりのテレビのテレスケくんと出会い、ラッシュアワーを乗り越えて、やっと寺にもどり、自分のからだに電気をいれ、ごはんをたき、あたまのなかになっとうとたまごとねぎをいれ、しょうゆをかけ、うめぼしをほおりこんでたべ、おごそかにけさをきて、寺の本堂でもくぎょをたたいて、朝のおきょうをあげる、という話。
 以下の話も、第2話『ほえろうくんのハエたたき』の主人公は、ケーキ屋をやっているイヌのほえろうくん、第3話『オートバイでデート」の主人公は、オートバイをのりまわすのが好きなオオカミのめりはりくん、第4話『ミタコさんの日曜日』の主人公は、OLのタコのミタコさん、第5話『水中画家のパッカスくん』の主人公は、カッパの絵かきのパッカスくん、第6話『ボートでデート』の主人公は、かびんのビンカさんと牛のこれうしくん、第7話『ハリコさんのファッションショー』の主人公は、ファッションデザイナーのハリネズミのハリコさん、第8話『ヘビの古着屋』の主人公は、脱皮したヘビの皮服を売る古着屋を開いているヘビのセビラくんと、クマのコロウくん、マダラもようのヘビのマダヨさん、第9話『映画でデート』の主人公は、ゾウのきたぞうくんと、ガールフレンドのコウモリのモリコさん、第10話『バリカンくんの仙人修行』の主人公は、人間のバリカンくん、第11話『カルタくんのひっこし』の主人公は、カエルのカルタくんと、カタツムリ運送、第12話『森のおばけ、ゴッゴレゾッゾーとメラフンニーセン』の主人公は、題名になっているおばけ夫婦と、3びきのクマです。
 どの話も前後にワンカットの絵が描かれたページを含んで6ページからなるもので、第10話以外は全て登場人物は動物。話はたわいもないものばかり。最後のオチは、大概普通の「ですます」調ですが、第4話では「すませましたとさ」、第5話「すてきな肖像画をかきました とさのこうちのはりまやばし。」、第6話「そのしせいがしばらくなおりませんでした とのこと。」、第7話「幕をとじましたがな。」、第9話「たいへんなさわぎだったのですゾウ。」、第10話「仙人をやっとります。」、第12話し「ねむりについたそうだとよ。」と、思いついた文章をそのまんま書いたようなもので、そのくだらなさについ笑ってしまいました。絵画も原色を使ったおどろおどろしいものですが、そのはちゃめちゃぶりが楽しめたと思います。説教臭皆無のエンターテイメント絵本です。興味のある方は是非手に取って読むことをお勧めします。

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サム・ライミ監督『死霊のはらわた/キャプテン・スーパーマーケット』

2012-03-23 18:25:00 | ノンジャンル
 サム・ライミ監督・共同脚本の'92年作品『死霊のはらわた/キャプテン・スーパーマーケット』をDVDで見ました。
 死者の書によって呼び覚まされた死霊とともに紀元1300年の時代にやって来たアッシュは、ヘンリー王の仲間としてアーサー王に捕えられ、城に連れていかれます。死霊が住む穴に放り込まれて大量の血しぶきをあげる捕虜。アッシュも穴に入れられますが、彼がヘンリー王の仲間ではないと見抜いていた賢者に電動ノコを落としてもらい、死霊を次々と倒し、何とか穴から脱出します。彼はヘンリー王を逃がし、アーサー王にも電動ノコとショットガンで脅して、自分が未来から来たことを納得させます。賢者は死者の書に未来へ戻る方法が書いてあると教えてくれ、「死者の書は渡さない」と叫んで突然現れた老婆の死霊を倒したアッシュは、失っていた右手の義手を作ります。若い女性シーラと夜をともにするアッシュ。
 死者の書があるという呪われた墓地へ単身向かったアッシュでしたが、途中の森の中でまがまがしい物に襲われ、風車の中へ逃れます。鏡の破片から出て来た、自分と同じ姿の小人たちに失神させられたアッシュは、そのうちの一人を飲み込まされると、自分の右肩から自分の分身が生えてきてしまい、それと戦っているうちに分身が自分と離れたところをショットガンでやっつけ、電動ノコで切り刻み埋葬します。ようやく呪われた墓地に達したアッシュでしたが、死者の書は3册もありました。1册目を開くと、穴が開いていて吸い込まれ、顔が伸びてしまいます。顔がようやく元に戻ったところで2册目を開くと、今度はそれが噛み付いてきました。本当の書である3册目を手に取ろうとしたアッシュでしたが、本を取る時に唱えなければならないと賢者に教えられていた呪文を忘れてしまい、うろ覚えの呪文を唱えて書を取ると、天変地異が起こり、死者たちが甦り始めます。アッシュの分身も地下から甦り、死者たちのリーダーとなって、手下に地面を掘らせ、仲間を増やしていきます。
 城に戻ったアッシュは、呪文をきちんと唱えなかったことから、死者の軍勢が死者の書を奪いに来ることになったと賢者に教えられると、弱気になって逃げようとするアーサー王とその軍勢を押しとどめ、自ら先頭に立って戦うと同時に、ヘンリー王にも援軍を送ってもらうことにします。空飛ぶ死霊に連れ去られたシーラは、アッシュの分身にキスされて死霊化し、分身の恋人となります。
 現代からアッシュとともにやって来た車に積んであった現代科学の本から、アッシュは現代科学の知識に基づく武器を次々に作り、迫り来る骸骨の大軍を迎え撃ちますが、一つの城門を破られてしまいます。侵入してきた骸骨らを、車を改造して作った装甲車でなぎ倒すアッシュでしたが、死霊化する前の姿に戻ったシーラに気を取られたすきに、車から落ちてしまいます。再び死霊化したシーラと戦うアッシュ。最後には分身との決闘となり、分身は爆弾とともに吹き飛ぶと、到着したヘンリー王の援軍の助けもあって、死霊たちは全滅し、シーラも元に戻ります。
 死者の書を読んだ賢者は、1滴飲むごとに100年時間が進む薬をアッシュに渡し、入り口を塞いだ洞窟の中で薬を飲んだアッシュは、間違って1滴多く飲んでしまいます。それに気付かず眠りにつくアッシュ。目覚めて洞窟から出ると、そこには人類の文明の廃墟が広がっているのでした。

 『死霊のはらわた』前2作とは違い、中世を舞台にした剣劇映画で、2作のエキセントリックさは影をひそめ、ユーモアをより全面に出した「普通の」映画になっていました。次作に期待したいと思います。

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佐藤多佳子『第二音楽室』

2012-03-22 10:03:00 | ノンジャンル
 佐藤多佳子さんの'10年作品『第二音楽室』を読みました。4つの短編が収められた本です。
 『第二音楽室』では、五年生は全員ピアニカ、六年生は様々な楽器を鼓笛隊で演奏する小学校で、五年生に引き続きピアニカを演奏することになった、ウチら6人のグループは屋上にある第二音楽室で練習するうち、お菓子やゲームやマンガを持ち込み、秘密基地化させていきますが、ある日クラスのボスである男子にそれを見つかり、そこに集まることはなくなります。しかしグループの一人・江崎は第二音楽室でピアノの練習を続けていたことをウチは知り、その上達ぶりに感激します。卒業生から楽器を受け継ぐ移杖式で皆と演奏したウチは、合奏の素晴らしさに魅せられ、これからはいろんな楽器を演奏したいと思うのでした。
 『デュエット』では、実技テストで好きな者同士の男女ペアで歌う課題を音楽の先生に与えられたウチは、声がきれいな三野田と期せずしてペアを組むことになり、低いウチの声と三野田のデュエットが一番クラスで受け、ウチはそれぞれのペアのデュエットをこれからも忘れないと思ったという話。
 『FOUR』では、中学の卒業式の卒業証書授与のBGMにリコーダーの生演奏をするために、音楽の先生から私と3人が選ばれます。私はそのうちの一人・中原を好きなことに自ら気付いていきますが、告白できず、やはり4人の一人・千秋も好きな先輩になかなか告白できません。そして練習を積んでうまくなっていった4人は、卒業式で見事に演奏することができ、最後になって先輩の第二ボタンをもらうことができた千秋にならって、私は今後は好きになった人には必ず告白しようと思い、それまでの練習の日々を美しく回想するという話。
 『裸樹』では、中学で理不尽なイジメに会っていた時、夜の公園でギターに合わせて歌っていた女性に心慰められた私は、高校でその女性に出会い、歌っていた歌のスコアも送ってもらうという話と、軽音楽部でバンドを組むも、やる気のないリーダーの元で瓦解した私たちのバンドが、学祭の前に再会すると、ずっとうまく演奏でき、感激するという話です。

 どれも音楽をテーマとした短編で、最後にハーモニーの美しさに主人公が感動するという部分も共通していました。すべて一人称の小説で、私には苦手なタイプの小説でしたが、ぎりぎり気軽に読めたと思えます。学園ものの小説が好きな方は、より楽しめるのではないでしょうか?

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