新たな通貨創設構想
中国中央銀行総裁 “ドル基軸に欠陥”
【北京=山田俊英】
四月二日の第二回主要二十カ国・地域首脳会議(G20金融サミット)を前に、中国でドル基軸体制の改革を求める声が出ています。
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は二十三日、ドルに代わる国際通貨の創設を長期的目標とする構想を発表しました。温家宝首相も同日、北京で開かれた中国開発フォーラムで、米国に基軸通貨発行国としての適切な管理を求めました。
周総裁は同行のウェブサイトに「国際通貨体制の改革」と題する論文を発表し、現行制度では、基軸通貨国(米国)がインフレ抑制や過度な内需拡大など国内政策を優先させれば、国際通貨としての役割を果たせないとし、ドル基軸体制に「構造欠陥」があると分析しました。
対策として周総裁は「国家主権を超越した準備通貨」の創設が「望ましい目標」だとし、まず国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の強化を提案しました。
IMF協定を改正し、すべての国がSDRの配分を受けられるようにするほか、SDRを貿易や金融取引にも使えるようにすべきだと主張しました。
IMFの特別引出権(SDR) 国際通貨基金(IMF)加盟国が貿易など国際的決済に必要な通貨に困ったとき、余裕のある国から借 りることのできる権利。SDRはIMFへの出資金に比例して各国に配分されています。決済資金に不足した国は、SDRと引き換えに、余裕のある国からドル など必要な通貨を引き出します。