米国航空宇宙司令部「北朝鮮ロケットの軌道進入、成功したと推定」
米国航空宇宙防衛司令部は12日、「北朝鮮の光明星3号が軌道進入に成功したと推定される」と発表した。
米国宇宙専門家もこの日、北朝鮮光明星5号が衛星軌道の進入に成功したと明かした。12日、AP通信によると、ハーバード・スミソニ アン天体物理学センターの天体物理学者のジョナサン・マクドウェル氏は「銀河3号ロケットに搭載された光明星3号が衛星軌道に進入した」とし「北朝鮮の完 ぺきな成功」と評価した。マクドウェル氏は天文台観測と自ら行った計算により、光明星3号は「39026、2012‐072A」の軌道に進入したとした。
北朝鮮ミサイル発射:技術向上、想定海域に落下
毎日新聞 2012年12月12日 11時46分(最終更新 12月12日 12時05分)
北朝鮮が12日に実施した「衛星」打ち上げと主張する長距離弾道ミサイルの発射実験。ミサイルは想定し た海域に落下したとみられ、技術の向上を見せつけた。昨年1月にはゲイツ米国防長官(当時)が「5年以内に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発 するだろう」と言及するなど、高まる北朝鮮の弾道ミサイル技術への懸念は広がっている。
北朝鮮が09年4月に発射したとみられる「テポドン2号」の改良型は全長約30メートルの3段式で射程約6000キロ。1段目を分離後、東北地方の上空約400キロを通過し、2段目以降は発射地点から3000キロ以上飛んで太平洋に落下した。
北朝鮮は81年にエジプトの「スカッドB」(射程300キロ)を輸入。改良型の「スカッドC」(射程 500キロ)を量産し、90年代までに射程約1300キロの「ノドン」を開発して日本のほぼ全域を射程内に収めた。防衛省は「特定施設をピンポイント攻撃 できる精度には達していない」と見るが、核弾頭でなくても生物・化学兵器を搭載して攻撃されれば、大きな被害が出る可能性もある。日本のミサイル防衛 (MD)はノドンを想定するが、約300基が配備され、車両から撃てるため発射位置の特定は難しい。
北朝鮮は98年8月にはノドンを1段目、スカッドを2段目に使った「テポドン1号」を発射。日本列島を 飛び越え、発射位置から約1600キロの三陸沖に落下させたが、10年で射程は大幅に延びた。現在、テポドン2に加えて、韓国「2010国防白書」はソ連 の潜水艦発射ミサイルを改良した射程2500~4000キロの「ムスダン」が07年に実戦配備されたとの見方も示している。射程は米軍のグアム基地まで広 がったことになる。射程が6000キロに延びれば米アラスカの米軍施設を捉えることになる。
北朝鮮ミサイル発射:フィリピン沖に落下 沖縄上空を通過
毎日新聞 2012年12月12日 11時26分(最終更新 12月12日 12時46分)
政府は12日午前、北朝鮮が同9時49分ごろ、北西部の東倉里(トンチャンリ)の「西海(ソヘ)衛星発 射場」から「人工衛星打ち上げ」と称する長距離弾道ミサイルを発射したと発表した。同ミサイルの発射は、失敗した4月に続いて今年2回目。政府発表による と、ミサイルは同10時1分、沖縄地方の上空を通過した。政府は自衛隊に破壊措置命令を出していたが、日本領域への落下の危険はないと判断し、破壊措置は 実施しなかった。政府は外交ルートを通じて北朝鮮に抗議、国連安全保障理事会の開催を議長国に要請した。
日米韓政府はミサイル発射は「国連安保理決議違反に当たる」として強く中止を求めていたが、北朝鮮が発射を強行したことで朝鮮半島を巡る情勢が緊迫するのは必至だ。
政府発表によると、ミサイルは同9時58分ごろ、1段目が朝鮮半島の西方約200キロの黄海に落下。先 端部分のカバーが同半島の南西約300キロの東シナ海に、2段目が同10時5分ごろ、フィリピンの東方約300キロの太平洋上に落下した。3段目は自衛隊 が探知できない遠方に落下したとみられ、政府は米軍と連携して落下地点を調べている。聯合ニュースによると、韓国軍当局は「ミサイルの1段目と2段目の分 離に成功したようだ」との暫定分析結果を明らかにした。
日本政府はミサイル発射を受け、藤村修官房長官が同10時20分から緊急に記者会見し、「発射は極めて 遺憾で容認できるものではない。北朝鮮に対して厳重に抗議する」と北朝鮮を非難。同時に「現在のところ、わが国領土内への落下物は確認されていない。国民 は冷静に平常通りの生活、業務を行ってもらいたい」と語った。
政府はミサイル発射を受け、エムネットと全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて、自治体などに発 射情報を伝達した。同10時51分から、野田佳彦首相、藤村氏、玄葉光一郎外相、森本敏防衛相らによる緊急の安全保障会議を首相官邸で開き、首相は(1) 落下物等による被害がないか改めて確認(2)北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集の一層の徹底(3)米韓中露はじめ関係諸国と連携し対処−−することを指 示した。