アーミテージ氏“米の国益に合致”
アメリカのアーミテージ元国務副長官は、来週、新政権を発足させる自民党の安倍総裁が、日米同盟の 強化や集団的自衛権の行使を目指していることについて、
「アメリカの国益に合致する」として歓迎したうえで、中国や韓国との間で関係を悪化させないよう慎 重に対応すべきだという考えを示しました。
ブッシュ前政権のもと、対アジア政策に深く関わったアーミテージ元国務副長官は、NHKのインタ ビューに応じ、衆議院選挙で圧勝した自民党の安倍総裁に祝意を示し
たうえで、安倍氏が外交上の優先課題として日米同盟の強化を掲げ、総理大臣就任後の最初 の外国訪問をアメリカとする方針を示していることを歓迎しました。
そのうえで、「日本が経済再生に失敗すれば、日本の地位が徐々に低下してしま う。アメリカは、日本が活気に満ちたパートナーとして、世界のさまざまな問題について
見識を示してくれることを望んでいる」と述べ、次期政権が経済の立て 直しに最優先で取り組むことに期待を表明しました。
また、安倍氏が集団的自衛権の行使や自衛隊を「国防軍」と位置付ける憲法改正などを課題として掲げていることについては、「日本が強くなれば、地域における日本の
立場も強まり、アメリカの国益にも合致する」と述べ、歓迎する立場を示しました。
ただ、アーミテージ氏は、今回の自民党の圧勝が、強い日本を目指す安倍氏の政策への支持によるものか、民主党への反発の表れなのかははっきりせず、国民の支持
を得られるかどうかを見極めるには、まだ時間がかかるという見方を示しました。
一方、日本と中国や韓国との関係については、歴史認識や領有権の問題を巡って緊張が高まることを憂慮しており、「当面は『静かな外交』に徹するべきだ」と強調しまし
た。
特に沖縄県の尖閣諸島を巡る中国との対立について、アーミテージ氏は、偶発的な事故や誤解が、衝突に発展するおそれがあると指摘しました。
そ して、事態の鎮静化を促すために、ことし10月、クリントン国務長官の要請で日中両国を訪れた際、中国政府の指導部から「もし日本が尖閣諸島に建造物を設 けた
り、人を常駐させたりすることがあれば、激しい対応をする」と伝えられたことを明らかにし、慎重な対応をすべきだという考えを示しました。