都議選序盤、与党に異変
首相、街頭に立てず?
首都での政治決戦の序盤、政権与党に異変です。
安倍晋三首相は、告示日に続き、選挙で最初の週末となった24日は街頭に立たず、25日も終日私邸ですごしました。もっぱら携帯電話で、業界団体の関係者や首長らに「支援」を訴えているようです。菅義偉官房長官は、25日の夕方になってようやく町田駅前の1カ所で候補の応援に立ち、加計疑惑で「岩盤規制を打ち破った。52年間獣医学部がつくられなかったことの方が異常だ」などと居直りました。
自民「逆風の中」
「よくこれだけ出てくるなというほどマイナス材料が次々出てくる。政権交代になった2009年かそれ以上の苦戦だ。有権者の反応も厳しい」「逆風の中を歩いている」
自民党東京都連関係者の一人は述べます。
加計疑惑逃れ、「共謀罪」法強行への批判が爆発し内閣支持率が急落、その後、萩生田光一官房副長官の強硬な関与を示す新資料の発見、さらに豊田真由子衆院議員の暴言・暴行―。安倍政権と自民、公明両党の身勝手で乱暴な政権運営と政治の劣化に、かつてなく国民の批判が厳しくなっています。
「地域差もあるが、八王子方面では安倍首相のポスターも断られるところがでている」(自民党関係者)。
八王子は萩生田官房副長官の地元。萩生田氏は、告示日(23日)の八王子駅前での第一声の予定をキャンセル。「公務のため官邸を離れられない」とのメッセージを寄せました。24日には候補者応援に回りましたが、街頭にたてませんでした。
安倍首相を先頭に、政権中枢が選挙の前面に立てない深刻な状況です。
メディア関係者の一人は「それぞれの地元からは(安倍首相の応援は)逆効果になりかねないといわれ、首相本人も、自分が街頭に出て負ければ責任を問われる」と冷ややかです。
公明代表が撤回
公明党の山口那津男代表は告示日の前日、加計疑惑をめぐって「必要があれば閉会中審査を開くなど適切な措置を、国会対策委員会として検討していただきたい」と安倍首相と自民党に“要求”。これまで、集中審議の開催も証人喚問の実現も自民党と一緒になって拒否し続けてきたのに、厳しい国民の批判に党内からも動揺や批判が出て、前向き表明をせざるを得ない状況です。
また公明党は日本共産党に対し「汚い」「危険」などと品のない攻撃を続けてきましたが、新宿の候補の第一声(23日)で山口代表は、私立高校無償化の実現をめぐり「いろいろ提案した党もあるでしょう。その党も実現の一翼を担ったといえる」と発言。共産党に対する「実績横取り」「ハイエナ」呼ばわりの攻撃を事実上撤回したのです。同党の共産党攻撃には、市民から批判が殺到、メディアでも苦言が出され、公明党内でも「逆効果」と動揺が生じていました。
他党派・市民が共産党候補応援
「人権守れ」思いは一致
東京都議選での日本共産党候補の必勝を訴えるため25日、各選挙区で開かれた街頭演説で他党派・市民が応援演説に立ちました。
日野市の京王高幡不動駅前では、自由党都連の渡辺浩一郎会長が「私どもと日本共産党とは、市民の人権を守るなど基本的な考えで一致しています」と表明。自ら中野あきと候補=新=の応援で市内を駆けめぐった体験を紹介しながら、「もっと多くの人たちに中野さん応援の声をかけてほしい」と聴衆に呼びかけました。
八王子市の八王子駅前の演説では、五十嵐仁・法政大学名誉教授が清水ひで子候補=現=を応援。森友学園・加計学園疑惑に示された安倍政権による国政の私物化、憲法破壊の暴走に怒りを込めて批判。「都議会に清水を入れて汚れを洗い出そう」「共産党の議席を増やし暴走をストップさせよう」と訴えました。
目黒区・中目黒駅前で、星見てい子候補=新=の応援に昭和女子大学の菊池誠一教授が駆けつけました。菊池教授は、安倍政権が、戦前の治安維持法に当たる「共謀罪」をつくったと指摘。「私の親族も、治安維持法の犠牲者です。群馬の小学校の先生で村の青年たちと勉強会をしていたら逮捕。拷問を受け、33歳の若さで亡くなりました」と明かし、「東京に、戦争を進める自民、公明の議席はいりません」ときっぱり発言しました。
世田谷区の烏山区民センター前で、里吉ゆみ候補=現=の応援に、真宗大谷派乗満寺の遠藤秀賢住職がマイクを握りました。遠藤住職は自分の意見も言えない自民・公明両党は「最悪」と批判し、「一党独裁をする政党は民主主義の敵ですから、選挙でお仕置きをしましょう」と呼びかけました。
立川市の立川駅前で、浅川修一候補=元=を、緑の党の大沢ゆたか市議が応援しました。大沢市議は、「野党共闘が必要です。第一歩が今回の都議選です。浅川候補を当選させるため、同じ思いを持つ人たちが一緒になって頑張りましょう」と訴えました。