2023年6月11日(日)
米軍辺野古弾薬庫建て替え 沖縄
黒塗り資料で隠蔽
日本政府が新基地建設を強行している沖縄県名護市辺野古の米海兵隊キャンプ・シュワブに隣接する辺野古弾薬庫の大規模な建て替え工事をめぐり、在沖縄海兵隊作成の文書から、弾薬庫に関する記述が黒塗りされるなどして抹消されていることが分かりました。
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弾薬庫の記述が抹消されている文書は、在沖縄海兵隊が2019年に作成した「統合自然資源・文化資源管理計画」。日本の環境団体が環境省に情報開示させたものを、ジャーナリストの山本眞直氏が入手しました。
同文書は5年ごとに更新。米国の環境団体が米情報自由法に基づき入手した14年版は、全文公開されています。
14年版では、辺野古弾薬庫に関して、新基地建設(普天間基地の移設)に伴い、「キャンプ・シュワブと辺野古弾薬庫は再構成され、新たな任務を受け入れるため、広範囲の工事が発生する」と明記。その上で、「13の弾薬庫を取り壊し、12の新たな弾薬庫と武器の組み立て区画を含む」としていました。
ところが、19年版と14年版を比較すると、(1)「辺野古弾薬庫」の名称を記してあるとみられる6カ所(2)辺野古弾薬庫の担当部隊名(3)新基地建設との関連性(4)弾薬庫13カ所の取り壊しと12カ所の新設など工事の詳細―という、少なくとも4点が黒塗り、または削除され空白になっています。
また14年版は、米軍から環境省に提供されたものも存在しますが、これも19年版と同様、建て替え工事の詳細や新基地建設との関連を記した箇所が黒塗りになっていました。米国内では全文公開した文書を、日本には“制限付き”という隠蔽(いんぺい)を図ったのです。
日本政府は、米軍再編ロードマップ(06年)に盛り込まれなかった辺野古弾薬庫の工事を、海兵隊の計画に追随する形で、新基地建設に伴う「シュワブ陸上部の施設再編成の一環」として解釈。約31億円を負担して4棟を建設した上、今年5月26日には防衛省沖縄防衛局が5棟の工事入札を公告しています。
辺野古弾薬庫には本土復帰前まで核兵器が配備されていました。本紙が独自に入手した、09年の米議会諮問機関による核態勢見直しに関する意見聴取録には、秋葉剛男駐米公使(現・国家安全保障局長)が沖縄への核貯蔵庫建設を打診され、「そうした提案は説得力がある」と語ったことが明記されており、衝撃を与えました。
緊急時に沖縄に核を再配備するとの日米密約は今も有効です。こうした経緯で辺野古弾薬庫の工事をめぐり不安が広がっています。
本紙は、黒塗りされた箇所について在沖縄海兵隊に質問しましたが、10日までに回答は得られていません。